その木戸を通って [DVD] その木戸を通って [DVD]
浅野ゆう子, 中井貴一, フランキー堺, 井川比佐志, 市川崑ポニーキャニオン 2009-02-13
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監督  市川昆
出演  中井喜一、浅野ゆう子、フランキー堺、岸田今日子、井川比佐志、石坂浩二、榎木孝明、神山繁

この原作は何故かとても心引かれるものを持っていて、周五郎さんの作品の中でも忘れられないものの一つです。やっぱりなぁ・・・この作品の映画化を考えた監督がいたんだなぁ・・・って思いましたけれど、この作品は93年にテレビドラマで発表されたものなんだそうです?何故劇場で見られなかったのか?不思議です。
今見ても豪華キャストです。本当の所、私の好きな女主人公ふさに浅野さんは考えなかったのですけれど。フランキー堺さんと岸田今日子さんを懐かしく見る不思議を感じました。ついこの間まで見お目にかかっていた!みたいな気がするのに・・・年を取りました。
それにしてもやはりお二人は名優です。たくまないユーモアが体全体からにじみ出てくるのは積み重ねてきたお仕事の成果でしょうね。
監督は92歳の大往生?だったのですね。それにしても何故今?勿体無い事をしていたものだと思いました。
過去を失った者は今、この時、をいつくしむ。日々を大事に大事に重ねることで幸せは生まれる。生まれた幸せが大きければ大きいほど失ったものの影に怯え、その幸せが一層愛しくなる・・・そしてそれは周りの心優しい普通の人々をも巻き込んで時を大事に生きる心構え、そのとき、のかけがえの無さを共有して・・・
美しい映画でした。庭にあのような竹林がある暮らし・・・いいなぁ・・・竹のこすれあう竹やぶの音って不気味なんですよ。葉ずれの音も風の強い晩には怖いほどです。あの竹の林の先の木戸を通って・・・やってきたふさはどこへ帰っていったんでしょう。本を読み終えた時も感じた胸騒ぎが残された正四郎たちの後の姿に癒されていく安心感。原作とは違った味わいがありました。映像も心映えも本当に美しい映画でした。途中差し込まれた文は妙に優しい句読点になっていました。
 確か私が読んだのは「おさん」という表題の短編集だったと思いますが・・・
「なんで出来た時に劇場公開しなかったんだろう?」と友人に言ったら「最近、山田洋次さんの周平さん者とか他にも、地味な時代映画がヒットしたからじゃない?」って。そうかも。

その木戸を通って (1960年) その木戸を通って (1960年)
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