リンカーン

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監督  スティーヴン・スピルバーグ
出演  ダニエル・ディ・ルイス、サリー・フィールド、デヴィッド・ストラザーン、トミー・リー・ジョーンズ、ハル・ホルブルック、ジェームズ・スペイダー、ブルース・マッギル、グロリア・ルーベン、ジャッキー・アール・ヘイリー、ジョン・ホークス
これだけおじさんがいっぱい出て来ると誰が誰だか、誰がどういう立場だか、誰のどういう意味のセリフなんだか…わからないうちにどんどん話が進んでいきます。早い話が翻訳が追い付いていないんじゃないかと…声の多さに比較して少ない字数にいらいらします。どんどん内容が取り落とされているんじゃないか?英語が分からない私がいけないんだと思いつつ…こういう討論物は翻訳が命なんだからさぁ…と無い物ねだりです。ところが一心に声に耳を傾けているうちに…彼等俳優さんの演技にすべて委ねるしかないね…と覚悟を決めた時がやってきました。そのところでやっぱりダニエル・ディ・ルイスさんなんだと納得したみたいです。
トミーさんも宇宙人だけの人ではもちろんありません。リンカーンのあの表情、あの声…そして彼の意志を感じる! だれの主張がどういうので誰の論調がどうのでなんてことはもういいみたいでした。 リンカーンがしたいことが、その意思を伝える彼の確かさが伝わっているのだからいいんだ…凄いって思われてきて。
何が凄いんだか?でも凄い!自分のしたいことを徹底して伝えていく彼の声の力。 激しさも、力強さも、優しささえも、にじむ疲労感さえも…すべてひっくるめて彼の意志が凄い!ってそういう波をどーんと受けたようでした。政治家っていうのはこういう意思を持つ人だったんじゃないかな? こういう未来を思い描いてそれに向かって力の限りをふりしぼり語り動かす人のことなんじゃないかな?
で、当然のことながら映画館を出て、思ったんですよ。そういう波を起こしてそれに乗りたいと思わせてくれる政治家がいない!現実に私のそばには見当たらない…ってことに。 今の日本のシーソー状態はこの現実の上にあるんだ。涙しそうでした。

ロボジー

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監督  矢口史靖
出演  五十嵐信次郎、吉高由里子、濱田岳、川合正悟、川島潤哉、小野武彦、田畑智子、和久井映見、竹中直人、田辺誠一
肩に力が入っていない! っていうか見ていても入らない!
ホォウワッと笑えた!
日常にこんなエポックあるのって悪くないよね?
うん悪くない!
ってとこかな?
こんな日本だったら結構生きていけるよね。うん生きていける!

なんでミッキーさん名前を変えたんでしょうか?

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リアルスティール

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監督  ショーン・レヴィ
出演  ダコタ・ゴヨ、ヒュー・ジャックマン、エヴァンジェリン・リリー、アンソニー・マッキー、ケヴィン・デュラント、カール・ユーン

私は格闘技は嫌いなので見に行く予定はなかったんだけれど…友人が見たいというので出かけて…よかったぁ! 見逃すところだった。 この映画で感動できるとは期待していなかったから見っけものだった。
子役と父子の切れた絆をつなぎなおす再生の物語って知識はあったのだけれど、変な風に泣かされてもねって気持ちだった。 子役が又可愛かったからね。
所がこの子役は可愛いだけでなく実にうまかった。
誇りも意地もなくし小さな一発を充てる事だけが目的になってしまっている男に面倒なだけの子供がやってきて…で始まる話は、余りにべただと思っていたのに…見終わるまでに私は何度ボクシングをしたことだろう。
体が自然に動いていた。アトムとマックスとチャーリーと一緒に。 そして体が動くとともに気持ちもどんどん寄り添っていったんだと思う。
こんなに素直に感動するとは思っていなかった分だけなおさらいい映画だと思えた。 失ったと思ってもチャンスはちゃんとあるんだなぁ…捕まえるか捕まえられないか…それは心構えだけのものかもしれないけれど、その心構えの底には本人も気が付いていなかった愛情という大きな土台が生まれているんだ。

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ダニー・エルフマン サントラ リンプ・ビズキット ライヴァル・サンズ アレクシ・マードック バッド・ミーツ・イヴィル ビースティ・ボーイズ フー・ファイターズ 50セント ザ・クリスタル・メソッド feat.イェラウルフ エミネム feat.ネイト・ドッグユニバーサル インターナショナル 2011-12-07
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レオニー

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監督  松井久子
出演  エミリー・モーティマー、中村獅童、竹下景子、原田美枝子、クリスティナ・ヘンドリクス、メアリー・ケイ・ブレイス、山野海、柏原崇、中村雅俊、吉行和子

予告編のレオニーの顔を見たとき、絶対見に行こうと決めました。
この方の、女優さんの顔好きです。 いい顔ですよねー。お若いのに精神的な成熟した女性のお顔だなぁと思ったのです。 「マッチポイント」の時の気弱なお嬢ちゃんではありませんでした。
こんなに素直に感動できたのが・・・不思議だ!と、映画を見終わって10日も経ってから改めて思っています。
映画の中の時間軸、物語の展開には、正直に言ってかなり問題があります・・・と、思います。 描かれなかった、描くべきことが凄く多いような・・・描き落とした感情が山のようにあるような・・・大事な物を置き忘れたのじゃないの?というような・・・不足感がすごくあるのです。それなのに一人の、本当にあの時代の日本にやって来たアメリカ女性の、強さが心に沁みてくるのです。
そしてまたそれなのに彼女の心が津波のように伝わってきたのです。これは何によるのだろう・・・そう考え続けています。
イサムの成長期の一番大事なところが見事に抜け落ちました。
でも彼女にとって彼の父の国を体験させることが最重要なことだったのでしょうね。彼女の選択したものがわかったからでしょうか。その道が一番過酷な道だとわかったからでしょうか。
野口米次郎の詩には惚れぬいたのでしょうね。アーティストにこだわり続けた・・・何かにこだわり続ける生き方のかたくなさが見事だったからでしょうか。 
いつの間にか目に涙が溜っていましたが・・・それは同情なんてものとは一線を画します。 一人で老いていく彼女の姿も心に沁みました。
他に印象的だったのは(時代とはいえ、あの時代の先端をいっていた女性なのに・・・だから?)津田梅子さんです。だからこそその対極にあるような小泉八雲の妻たみさんのたおやかなおおらかな思いやり深さがほっとさせてくれました。それは日本人として救いでした。
 

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RAILWAYS 49歳で電車の運転手になった男の物語

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監督  錦織良成
出演  中井貴一、高嶋礼子、本仮屋ユイカ、三浦貫太、宮崎美子、奈良岡朋子、橋爪功、佐野史郎、遠藤憲一
TVでこの映画の事を知ったとき、浅田次郎さんの原作かしら?と、思った。なんかほんわかと「ぽっぽや」をイメージしたからかもしれない。 原作は違ったけれど、そのほんわか感はそのままで、確かに見終えて後味のいい気持ちのいい映画だった。
ただし、いい意味でもそうでなくとも、まぎれも無く今だった。
私の世代より確実に1世代若い人たちの今?
夢はあくまで自分ひとりのものであって、応援してくれる人たちは居ても、人に頼って手にするものではないんだね。
見れても見れなくとも、妻には妻の、子には子のそれぞれ夢があるんだから。 私の世代だと、まだ夫の夢についていくのが妻であり子である・・・と言う自己規制が働いてしまう。 いやそうでもないか。離婚までにいたらなくとも夫は田舎、妻は都会・・・なんていう別居生活を選ぶ夫婦たちが私のまわりでもちらほら出てきている。
そこをおし付けがましく描かず、誰をも貶めず、素直に描いたところがこの映画の白眉かもしれない。田舎出雲の風景と映画の映像の美しさと共に。
確かに「同じ夢をみれたらいいのにね?」って言うところはあるのだが・・・。男も自立、女も自立。それぞれがそれぞれでありえるってステキなことだね。この夫婦が、またこの母がちょっと我が強かったら泥沼に落ちるところだから。あやういバランスではあるので、その意味では確かに奇麗事過ぎるところはあるのだが。
この夫できる!っていう感動?
やっぱりこう生きれたらいいね・・・っていう提言だと・・・ウン、思う。羨ましい!
よく「欧州鉄道の旅」を見るのだが、イギリスの地方のボランティアに運営されているような田舎の観光列車・・・あれはいいなぁ・・・と思ってみているのだが・・・日本の田舎にこんな鉄道が生活レイルとして何とか生きていることがステキに思えた。どんなに運転手になりたくても鉄道が無くなっていたら・・・ってことか。
英国の場合も一度は廃線になって・・・という例があるようだけど、北海道なんかの鉄道を何とか・・・して・・・なんてぼんやり思ったりする。一面の芝桜やだけかんばやエゾシカの間を縫っていく電車に乗って旅する夢を見た。 その意味でも提言?になっている。
RAILWAYSの「S」ね。 人それぞれに道はあって、自分の行きたい道は自分だけの道だけど、家族といえども同じ道を歩けるとは限らない、でも家族のために諦めるのもどうかな・・・。 何度も書くようだけど押し付けがましくないいい映画だった。
 

レイチェルの結婚

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監督  ジョナサン・デミ
出演  アン・ハサウェイ、ローズマリー・デヴィッド、ビル・アーウィン、トゥンデ・アデビンベ、デブラ・ウィンガー、アンナ・ディーヴァ・スミス、アニサ・ジョージ、ロビン・ヒッチコック
 

全ての人が皆己の物語を秘めている、いわんや家庭をや?
姉レイチェルの結婚式に出席するために妹キムは依存症の施設から出所する。迎えを待つ彼女からもう既に危険な香り、騒動のタネが萌え始めている予感がする。このアン・ハサウェイの美貌には昔からあきれ果てるほど?可愛いお目目ちゃんだなぁ!と思ってきた私だけれど、この彼女は危ない!ベンチにかがみこむその姿がもう危なくて可愛げは払拭されている。ここ数作の彼女の成長は感じている。彼女もかわいこちゃんを脱する季節に入ったんだなぁ・・・上手に脱皮するか永遠の吉永小百合になるか?ってほどでもないかな?
しかし不思議!彼女はこれだけの家庭に生まれていながら、依存症で施設を出たり入ったり歴はもう長い。映画の途中でその設定は弟の死の責任からかと思えば、もうその頃は依存症でラリッテいたそうだし。姉が出来すぎでいじけて親を困らせるため?父親の愛情を独り占めしたかったため?いずれにしてもほんの子供が依存症になっているとは。ただの好奇心が出発点だったのかも?としか思えない状況。だとするとただアメリカは病んでいる!いつでも簡単に手に入る恐るべき社会!で終わってしまう。しかしこの映画はそこが出発点なのだ。だから・・・この映画は厭な映画だった。
どの家庭にも壊れ物、腐ったみかん、隠しておきたい汚物・・・あるでしょう?いいえ、ありません!あったとしてもそこはそれ乗り越えていけるものではありませんか、家族ですもの、助け合えますわ。愛がすべてを克服しますわ。ええ、乗り越えていくべきでしょう・・・とは建前?実生活ではまずならないのですね?
キムはひたすらに自分の気分を主張し続け・・・家族は理解しようと譲歩を続けます。私がレイチェルだったらキムにはうんざり、姉妹の縁を切りたいと切に願うだろう・・・と思う限を越えても父も姉も受け入れようと努力をし続けるのです。やっと現れた母は他人事のような姿勢を崩さず自分の今の家庭を守ること最優先。これが普通かも・・・と、思いながら・・・キムの小意地の悪さがブローのように家族に効く様を見ていて・・・最近の家族間の殺人事件はこういうときに起こるのだ・・・と、妙な理解をしていました。
濃厚すぎる保護も愛情も無駄なものには無駄だし・・・手放さなければならないときに上手に手放す方を学ぶ方が利口なんだろうな・・・それはお互いになんだ・・・?いや、やっぱりそうは思いたくない。どの家族も再生への希望は潜在している。思いやり、愛があれば?理解しあえる?
それにしてもこの家族のホーム映像誰が撮ろうと思ったんだろう、いやな物を残しちゃったね・・・なんて、不愉快に見ていました。
植物の種も悪い種といい種があって、悪い種はどうしようもないのは確かだぞーと思いながら、それが愛しい我子だったら・・・どうしたらいいんでしょうね。
お父さんの自信の無い慌てふためきようとか・・・一生懸命妹を受け入れようと闇雲の譲歩をする姉とか、痛ましい限りでした。姉自身かろうじて立っているのではないですか?この先も・・・不安が靄のように家族のすき間に忍び込んでくるような・・・。
私は多分第一付添い人の席を奪われたレイチェルの友人の目になっていたのかもしれないな。

ラ・ボエーム

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監督  ロバート・ドーンヘルム
出演  アンナ・ネトレプコ、ローランド・ビリャソン、ニコル・キャベル、ジョージ・フォン・ベルゲン、イオアン・ホーランダー

オペラの映画化は難しいものだろうと思います。舞台なら遠目に見て許せるものも、映画だったら許せない!って事にもなりかねません。舞台を忠実に画面に移すだけのオペラ映画は願い下げにしたいと思う所以です。オペラ歌手による映画はイメージが合わなくてつらいことが多いし、演技の種類も違うような気がします。吹き替えの方が許せる場合も多いようです。ハイビジョンシアターっていうのでオペラを見たときにこんなアップで歌手さん見たくないけど・・・なんて思ったことも。
ところがこの映画、オペラ気違いと言っても過言でない友人に誘われました。「う~ん」しばし考えてから行くよと返事をしたのは、この映画で起用される歌手に「当代一のソプラノ」とあったのを思い出したからです。そんな歌手なら舞台は高いでしょうから絶対聞く機会は来ないと踏んだからです。つましい話でしょ?
薄幸な美女をかなりお太り目の歌手が歌った事があります。隣にいた友人が「目をつぶって聞きな」と言ったので噴出しそうになりましたっけ。ウィーンのオペラ座で。いざとなったらその手があるさ?
実際ミミを歌ったアンナさんはちょっと健康的に過ぎました、が美女でした。ミミかぁ?という気配は濃厚だったものの、流石に歌は素晴らしい声でした。同じ伝で、貧乏な芸術家の青年たちは皆恰幅のいい中年でした。これも?が最初付きました。
ところがやっぱり音が、声が良いんです。それこそ目もつぶらずに聞きほれました。聞いて、聞いて、この私が眠くもならずに聞いて、聞きました。
そしてロドルフォを最初詩人と言うより気の弱い山賊崩れみたいだと思ったことなど忘れ果てました。
そしてムゼッタがミミを連れ帰ったところから涙が止まらなくなりました。映画館でここまで泣いたのは・・・いったい何時以来だろうと今考えているのですけれど・・・
あの涙は完全に歌声にしてやられたのだと思います。これが歌の力だ!と感服して、暫し席を立てなかった私です。

ロルナの祈り

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監督  ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ
出演  アルタ・ドブロシ、ジェレミー・レニエ、ファブリツィオ・ロンジョーネ、アウバン・ウカイ、モルガン・マリンヌ

20数年と思われる人生でいったいロルナはどんな苦労をしてきたと言うのでしょう?強い女だったと思っています。何が彼女をこんなに強くしてしまったのでしょう?そしてその行き着く先は傷付き暗闇にうずくまる母性です。なんと哀れな。この先彼女はどうなるのでしょう?
真の母性こそが究極の愛だと信じます。これ以上に侵されない物はないでしょう。先日そう思える素晴らしい愛の映画を見ました。母の娘への愛の。「そして、私たちは愛に帰る」でした。最後に素晴らしいあらゆる物を乗り越える母の想いの美しさに打たれたのでした。その後、自己実現しかない、自分しか見えない若い夫婦を、愛の育ちきらない夫婦を見ました。人を自分の鎖で縛る欲は愛とは言いません。「レボリューショナリー・ロード」です。
そして今この映画の愛です。愛を描くことの永遠、尽きぬ泉を思います。一人の人の中に無限に湛えられている愛を思います。その人の成長と共に変化し育ち成熟していく愛の姿を思いました。
人も、自分も縛らない、無私の、要求しない愛は親にしかないのか?
そう最後に思わせる映画でした。
ロルナも恋人との未来のために国を出、偽装結婚をし・・・それは愛のためだと思っていたのでしょうに、哀れな青年の日常を見、頼りすがる孤独を見たとき・・・彼女の中で新しい愛が育ちます。独りよがりの自分に都合の良い愛から、苦労と忍耐を強いられ他人の支えとなれる強い愛に。犯罪者になる事をも厭わなかった、クローディが殺されることにも眼をつぶれるはずだった彼女が変わります。彼女の中に埋もれていたおおしい愛が立ち上がり育ちます。そしてその対象を失ったとき、クローディの命を救えなかったとき、彼女の愛はいつかは生まれるはずだった愛の結晶を夢見させる母の愛にまで昇華します。狂気が純粋を産んだのでしょうか?
でも現実の前でそれがどんなに悲しいことか。彼女のいる世界が病んでいるので彼女の愛の器も病んでしまう。世界の方に愛が無ければ個人はその愛をどう実現できると言うのでしょう?
いる場所を買い、国を買い、人を買う現実に人のもろい心が無傷なまま付いていけるはずも無い。何で世界はこんなにも病んでいるのだろう・・・。朝広げる新聞を見て、少しでも良くなっていくのか・・・期待がむなしい社会なのか・・・と怯えています。祈るしかないのかと。

レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで

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監督  サム・メンデス
出演  レオナルド・デカプリオ、ケイト・ウィンスレット、キャシー・ベイツ、マイケル・シャノン、キャスリーン・ハーン、デヴィッド・ハーバー、ゾーイ・カザン、リチャード・イーストン
 

さーてね、何から書いたら良いのかなぁ?チラシがこんなに手に入ったってことは、やっぱりハリウッドなんだなぁ・・・しかもこの写真見て、タイタニックを歌われたら・・・ねぇ?
私は老いたる家庭人なので、キャシー・ベイツの演じたギグィングス夫妻の年齢に近いので・・・最後の場面、夫がしゃべり続ける妻の言葉を補聴器を切ることでシャットアウトする場面で思わず失笑してしまった。キャシー・ベイツの病んだ息子の存在、そしてお互いの存在、腫れ物のように扱うことで?必要に応じて意識から除くことで?保ってこれた老?夫婦の形。
いわば私たち(多分不特定多数の)夫婦が上手く今まで夫婦としてやってこれたとすれば、多分この能力のお陰だろうと・・・それもあるだろう・・・と思わずにはいられなかったから。年月が身につけさせてくれる叡智を身につける暇もなく自らを滅ぼしていった若い、若すぎる夫婦が哀れだった。
ここまで来る年月の間に身をかんだ焦燥の数々を私は思い出してしまった。そういう焦燥・渇望に焼かれた日々を乗り越えてきたのは、乗り越えさせたものは、結局今思うと、子どもの存在だったから、この夫婦のというよりこの映画の子どもの存在感の薄さが気に掛かった。
子どもがいて、「子ども子ども」というわりに彼らは子どもの事を真に気にしていないような?現代の子どものいない多くの夫婦のことを考えさせる、というか世界中の子どもの減少とこの映画はある意味シンクロしているような気がした。夫婦として何かを乗り越える必要がない、誰かのために我慢しなくていい、道が違えば別かれていける現代の夫婦に通じるようだ。彼らももし今生きていれば、当然別かれていってこのような結末には至らないで済んだのに?
他人に理想の夫婦と思われ、自分たちもそうだとある意味自負していたから起こった結末。「そうじゃない、理想の夫婦じゃない、したいことも、行き着きたいところも全然違う。心は同じではない。したいことも全く違う。」っていえない時代のアメリカもあったんだ!
子どもが二人もいれば、そしてそれが3人になれば益々、その責任だけは果たそうと思うのが私の時代の母だった・・・と、思う。
母になる事を選んだ時点で、それを全うするまではきちんと家庭を維持することが義務、それがあるから夫は同志・・・だから心の補聴器はしょっちゅうオフにする。自分の心の願いも、要求にもオフにする。それは夫も妻も同じ・・・だったんだろうと思う。
そんなにつらいなら、あそこまで言い争うなら、言い募らずにはいられないなら・・・子どもも夫も捨てて飛び出せば・・・ハリウッドにでもブロードウェイにでも・・・と思ってもむなしい。あれは若さがみせる蜃気楼、でも見ているものには真のオアシス、そこに向っていかずにはいられない、誰を傷つけても自分を滅ぼしても。過去のページをめくるとだれにも思い当たる痛み。それにしてもそのエネルギーの凄まじさ!我儘さ!・・・甘え・・・と思う。

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レッドクリフ Part1

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 監督  ジョン・ウー
出演  トニー・レオン、金城武、チャン・フォンイー、チャン・チェン、ヴィッキー・チャオ、フー・ジュン、リン・チーリン、中村獅童、ユウ・ヨン、バーサンジャブ、ザン・ジンシェン、ソン・ジア
 

岩波の「少年少女文学全集」というのは今思い出しても優れもので、古今東西の「読んでおくと知識のいい土台になるよ!」的いい作品を網羅していましたね。その中で中国の三国志、水滸伝、聊斎志異はなかなか・・・あの長大な作品を上手く?まとめてありました。この中では私は水滸伝が一番好きでこれは高校生になって膨大な作品を読みましたが、三国志はそのままになっています。劉備さんが今一私にはそれほどの男と思えなかったからかなぁ・・・あの中では関羽さんが一番好きだと思ったのを覚えています。三国志の愛好者は圧倒的に孔明さんのファンが多いのでしょうか?孔明さんは赤壁の賦で覚えているのですが「これだけ沢山の人を殺したこの謀略を天は決して許さないだろう」と思ったという場面は印象に残っています。
竹中半兵衛、黒田如水、明智光秀といった教養派参謀型武将って私の好きなタイプですから、本当なら水滸伝より諸葛孔明さんに溺れそうなものでしたが・・・?
「レッド・クリフ」の予告編を見たときに中国映画の「赤壁の賦」だときつそうだけれど、同じ中国映画でもこの監督はハリウッド化アクション系商売上手っていうイメージがあって、かえって「その人の映画なら安心して?見られるかも・・・」という気がしました。そして その印象は確かに!でした。スローモーションとCGを多用した殺戮場面はゲームの世界のように痛みを伴わず、同じCGでも「ロード・オブ・ザ・リング」系のファンタジー的持ち味は欠片も無いけれど、それなりに凄いわ、面白いわ、と楽に見られて安心。乾いていて、実写じゃなくてもよさそう?風。陣形がくっきり見えてお得!リアルな戦闘だとなかなか陣形の推移は見られませんものね。
何より関羽、張飛、趙雲などの豪傑が楽しくて漫画。その行き届いた?嘘っぽさを打ち消すために周瑜とその妻の濃い情愛を挿入してプラマイゼロ?策謀家としては周瑜さんに分があるかな、そんなはずは無い!のに・・・孔明さんその人(金城武君がね)がお目目ニコニコでただ可愛くみえちゃうのだから・・・。
ただ、以前始皇帝暗殺で荊かを演じていたチャン・フォンイーという俳優さんが子供の頃にはただの悪人としか思えなかった曹操を演じていて、妙に風格があったので・・・三国志の本当の姿をやっぱり一度読んでみた方がいいのかな?と思いながら帰ってきました。でもあの時代の三国志ならやっぱり悪く書かれているのかな。
歴史上の人物は「時」がその時々に善悪を判定してしまいます。
覇者が歴史を記録する!今が語る曹操は一体どんな人物なんだろう?西郷隆盛が、新撰組が、足利尊氏が、天智天皇が、なんだか変わってきているように。(でもそれってなんだか寂しいことでもあるのです)この映画を見に行って「三国志」の予告編を見ました。アメリカが凋落して中国・インドの時代が到来?日本の時代は?人口減が痛いわねぇ。昔はアメリカ映画の人海戦術スペクタル映画に魅せられたものだけど、今それが出来るのは・・・?
 

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