サラの鍵
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監督 ジル・パケ=ブランネール
出演 クリスティン・スコット・トーマス、メリジューヌ・マヤンスキ、ニエル・アレストリュブ、エイダン・クィン、フレデリック・ピエロ、ドミニク・フロ
友人に誘われたから出かけたのだけれど、土壇場で彼女から急用で行けなくなったと肩透かしを食った。 ところがこの映画は一人で見に行くべき類の映画だった。
感動したと書けばそれですべてだけれど…登場人物の人生がみな時代とめぐりあわせに大きく影響を受けて90°いや180°転換してしまう。
殆どが右肩上がりでさして大きな時代のうねりに翻弄されることなく60数年を過ごしてきた私には突きつけられたものの切っ先が鋭く痛い!
以前にオランダでもあってひた隠しにされてきたオランダ人によるユダヤ人迫害とナチ協力の暗部をえぐった佳作があったが…これはフランスのそれである。 当然日本の戦争推進協力者たちのことも含めて、人間は常に勝ち組と思われるものに迎合する歴史を繰り返してきた。 それが又一つ具体的に一人の少女と、真実を知りたくてならない(知らねばいられない)ジャーナリストによって明るみに出てしまった。
自分のしたことのせいで平穏な戦後の生活を締め出してしか生きられなかった(それでも生きられなかった)少女と、それを見つめてしまって家庭を失った女と…戦争は女の上にこそ重くのしかかる。 妥協しないで知ろうとする女と、弟を救い出そうと命を懸ける少女、二人のひたむきな頑固さが痛々しい。目を背けることを知らない精神は自分も当然周りをも傷つけるしかない。 それでもそのたまらなく大きな痛みを乗り越えてまた新たな命は祈りのように生まれてくる。 その生まれてくるもののために女は目を背けられないのかもしれない…なんてことを思っていた。
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