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監督  アンジェロ・ロンゴーニ
出演  アレッシオ・ボーニ、エレナ・ソフィア・リッチ、ジョルディ・モリャ、パオロ・ブリグリア、マリア・エレナ・ヴァンドーネ、シモーネ・コロンバリ、サラ・フェルバーバウム

映画を見たなー!という満足感。映画は美術なんだ!という感歎! 絵とドラマとにがっちり向き合ったという幸福感。
難をいえば、たむろした男達の集団の個の識別し難さかな。
満足感のあらかたは映画の中で製作されていく彼の絵。夭折した彼の僅かな絵・・・その中の何作かはカラヴァッジョ展で実際に見たことはあるが、教会などにある大作は見たことが無い。それらをこの映画の中で見ることが出来た。そして、モデルとの関係も知ることができた。女性たちはともかく、果物籠を抱えた少年やバッカスの絵のモデルとマリオ役の青年の顔が本当によく似ていたなぁ・・・。
光と影の画家の光と影は彼の絵の表現でもあるが、彼の私生活を表現したものでもある。
無頼の画家、犯罪者(殺人を犯した)と天才画家の二つの顔。
天才と呼ばれる人たちの神経・・・何が彼らを反抗させ、何が彼らを沸騰させ、何が彼らを創造に導くのか?
どんな天才たちを描いた映画を見ても評伝を読んでみても、実際には本当には分からない。だって、こちらは凡才の凡が満タンな人間なのであって、所詮窺うことしか出来ないのだ・・・という感じは絶対である。この映画で綴られる彼の生涯を見ていると彼は才能と共にわけの分からない負の感情(反抗恐怖憎悪怒り等々)という原罪を背負わされて産み落とされたに違いなく、そういう意味ではキリストの原罪というものが分かるような気がするよーと思って見たりする。
神は多く与えたものからより多くを奪う・・・のかな?
何でこんなトラウマ?を背負って生きることになってしまったのかねぇ・・・なんで好意を寄せ庇護してくれる人たちを裏切り続けるのかねぇ・・・しかも行き詰まるとまた庇護を願うのに・・・その繰り返しばかり・・・死をこれほど恐れているのに衝動に駆られるとすべてを破滅的な方向へと向けてしまう。自分の行動を自分でも肯えもできず自己を知ろうともしていない。こんな生があるのだろうか?
天才でありながら惨めで、無頼でありながら美を知る。善良でありながら悪意にも満ちている。至福に酔いしれもするが地獄も漂う。つらいだろうなぁ・・・。
そう思いながらも絵を描き続ける姿に圧倒されて・・・傍観するしかない人生の安全な岸に居る普通の生のありがたみも思っていた。
ドラマチックとはこういうものかと?