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監督  平山秀幸
出演  豊川悦司、池脇千鶴、吉川晃司、岸部一徳、村上淳、小日向文世、高橋和也

池脇さんがどう考えてみてもミスキャストとしか思えない・・・って事を除けば、藤沢作品の映画化としては私は合格点。 藤沢さんの作品で好きな物は大体自分の頭の中にそれなりの映像が描けているのに、人の作品もどうしても見てみたくなる。
ただね、上手なのは分かっているのだけれども当たり前に出すぎていて、岸部さんが鼻に付く。 これは彼のせいじゃないのだけれど。 あの、まさしく自分だけの正義感に突き動かされている思い込みの強い醜男として描かれた兼見三佐衛門を豊川さんが演じて填まったのがなんとなく嬉しい。  彼の表情が突き詰められていて、一度も甘くならないところがいい。
映画は政治と私情の分かち難い緊密感と政治を行う人のいやらしい手管を描いて、一人の不器用な男を浮かび上がらせている。 君主というものの粗雑さと謀臣の傲慢を見せてくれる。 復讐にこれだけの手間と家臣の命を無駄に賭ける非情さを。
思ったこと、考えた事を直裁に行動に移せる男の、しかし選べなかった最後が哀れだ。 しかし子供を抱えて兼見を待つりおの姿は哀切に見えてしかも幸せに満ちてもいる。
こうして世の中は良い方にか悪い方にかわからないまま動いていき、人はそこで生き続けるのだなぁ・・・などと感慨に耽ってしまった。
藤沢さんの小説の剣技、特に秘剣の描き方にはいつも読んでいると引き込まれるのだけれど、それを映像で見る時はたいていの場合苦しい。 えー、こんななの?みたいにがっかりする場合が多い。しかし、今回の鳥刺しは「半ば死んでいる」からの刺殺が妙に腑に落ちた。 (10・07・13)

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