監督  スティーヴン・ダルドリー
出演  トム・ハンクス、サンドラ・ブロック、トーマス・ホーン、マックス・フォン・シドー、ジョン・グッドマン、ヴァイオラ・ディヴィス、ジェフリー・ライト

これはまた…東北の震災の後で…これをタイムリーというには気が引けるのだけど、心の中心を直撃されたような…痛さを感じさせられた。
親が子を失う悲しみに勝る悲しみは無いと思い、子が親を失う不幸に勝る不幸は無いと思う。
この映画が心を打ったのはこの少年のひたむきさだろう。
が、冒頭父と息子のふれあいーゲームーとかを介した日常の濃密な関係が描かれていてそれが醸す不思議さが…納得がいった頃には、この少年の虜になっていた。
この障害についてほとんど知識はなかったが、その息子に対する父親の知的で愛情あふれるスタンスの見事さが又心を打つのだ。 仕事に忙しいこの年頃の父親としては最高の父親ではないか!
それが描けていたからこそこの少年が秘めた心の一途さ、必死さが理解できるのだ。
人は人と触れ合ってこそ、かかわりを持ってこそ成長していけるという当たり前のことが改めて胸を打つ。
祖母、間借り人の老人、訪ねていくロードで出会う様々なブラックさんたちとその周辺の人々…誰もが彼を労わるわけではないけれど、会話し接触することで彼の世界は確実に広がっていく。 守ることでは守りきれないということを見せてくれる母親のスタンスもまた素晴らしい。
これは素晴らしい愛情を持った両親の記憶でもあったし、その羽の下で大きく羽を広げることを悟って育っていくこの話でもあった。
こんな親で会ったらよかったのに…反省も込めて、感嘆し、感動し、あらゆる不幸に立ち向かいながら育っていく多くの子供たちに幸いを願った。