監督 ジョー・ライト
主演 キーラ・ナイトレイ、マシュー・マクファデン、ドナルド・サザーランド、ブレンダ・ブレシン、ロザムンド・バイク

さて、先日「コリン・ファース」のところで、イギリスTVドラマの「高慢と偏見」について触れたから、この映画にも触れないわけにはいかないですね。
ジェーン・オースティンの原作は私の高校の頃からの愛読書ですが、TVドラマになった作品と映画を、どちらが原作に忠実だとかイメージがあっているとかいう問題を論じても意味がないと思っています。
それぞれにどのくらい楽しめたかということがまず第一に大事なことでしょう。
その点ではどちらも楽しめたという事をまず最初に書いておきたい。
原作は何回もの読書に耐える素晴らしさを持っています。
余りにも現代とはかけ離れてしまった世界に思えますが、人の心の動き、感情の波、家族の有り様、恋の駆け引き・・・色々な点で今、どんな時代に読んでもきっと十分魅力的な作品で、私など読んだ年代によってその度何か嬉しいものを感じさせられています。
恋の成り行きにも、いじらしい姉の恋にも、出来の悪い放任された妹たちのこれからの人生にも、勿論リジーの生活にもわくわくさせられるです。
姉妹・母親・その友人たちの織り成す物語のそれぞれの心の動きに頷かされてしまうのでしょうね。
これだけ魅力を持った小説は反対に言えば読むものに、読む人毎に、色々なイマジネーションを与えてくれるのでしょうから、色々な脚本が現れても不思議は無いわけです。
だからこの原作からどんなTVドラマ、映画、舞台が生まれたとしてもそれはそれぞれに比べるのではなく、それ一個のものとして鑑賞され論じられるべきだと思います。
「コリン・ファース」で激賞したように私の中ではあのミスター・ダーシーは最高に魅力的な男でした。
たった二時間のドラマにされてしまった映画においてはダーシーのしどころは短くて、その魅力を十分に発揮することは出来なかったろうという点でマシュー・マクファデンははなっから分が悪いですね。
プライドを前面に押し出すには轟然と頭をあげて、見下す視線を送るしか手が無かったでしょうから。
彼の人間性の隠れた人みしりするような繊細さ、真に誠実な性格まで表現する時間も無いままにあのいきなりの恋の告白に行かなければならなかったのだから、ちょっと辛いですよ。
結局女としての私は主人公に同化してしまって、恋の対象であるダーシーを論ずることにのみ興味を示してしまいます。
ダーシーが表面的にしか描かれなかった分、映画ではあの告白が呼び起こした猛烈なリジーの反発・拒絶は反対に素直に受け取れましたね。理解できました。
だってアンナ表情しか見せなかった男の告白ですよ?
コリンのダーシーには彼の性格の奥行きを表現する時間があったので告白がああなるという必然をちゃんと見るものに納得させるので、かえってリジーのあの激烈は拒絶はダーシーに同情を起こさせてしまうようでした。
悩める男の内心のせめぎあいの表現が見事でしたよねェ!
というわけで、私はどちらのダーシーをも楽しめたといえるでしょう。
映画のあの時代考証は綿密なものだと思いますが、彼女の家とダーシー家の階級の差は映画の方がかなり際立って表現されていました。あれならダーシーがこの縁組を心底ためらった理由が分かりやすかったと思います。
イギリスの貴族階級の館と庭園の見事なこと!
田舎が本当に美しかったですね。これはTVでも映画でも!
それにしても女性のドレス、映画のはちょっとおとなしくなりすぎていませんですかねぇ?あの時代女性は女性をモット強調していたのではないでしょうか?
キーラのリジーは繊細で機転が利き当意即妙な元気さと美しさが良いとおもいましたが、TVで演じた女優さんの理知的で勝気なしっかり者の雰囲気もよかったなぁと思いますし。そんなわけでどちらも面白く楽しんだというわけです。
ジュディ・デンチという女優さん凄いですね?
ツイこの間の「ラベンダーの咲く庭で」見ました?
あの可憐なおばちゃまですよ。
いやこっちの方が大方の彼女のイメージですよね。
ビクトリア女王とか、はまり役でしたが、「ラベンダー」で可愛いのに驚いたのでした。
お父さん役がドナルドだと知った時にも、あの田舎紳士、「彼でいいのかなぁ?」と思ったのに、ちゃんとイギリス親父になっていました。
俳優さんてだから素敵!と思うのです。
それにしても何で「プライド&プレジャデス」か「高慢と偏見」じゃなくて「プライドと偏見」なんですか?