監督  シャカール・カプール
出演  ヒース・レジャー、ウェス・ベントリー、ケート・ハドソン、ジャイモン・フンスー、マイケル・シーン、ルパート・ヘンリー・ジョーンズ

ヒース・レジャーといえばゴールデングローブ賞受賞作品「ブローク
バック・マウンテン」に主演していた俳優さんで、今「カサノバ」が
公開されている。
「カサノバ」当時のヴェネチアには物凄く興味があるけれど「カサ
ノバ」さんはどうかなぁ?
「ドン・ファン」と「カサノバ」の違いについて聞いた事がある。
ドンファンは次から次へと新しい女性に恋をするけれど、只飽きて
次の花に移るので、女たちは捨てられても余り憎まない。
けれどカサノバは真に素晴らしい理想の女性を求めているので「こ
れは違う、理想の女では無い!」と思って捨てるので捨てられた女
は彼を本当に憎む・・・っていうんだったかな?
それとも、その反対だったかな?
見ようか見るまいか?見ればどっちか分かるかも?
そのヒース・レジャーで思い出したのがこの作品。
正直「カサノバ」を演じられるほどの男前とは思えない。
でもこの作品なら。
冒頭がとても生き生きとした青春群像で良かったという記憶がある。
戦争前と戦争後のヒースの容姿にはメイクによるものだけではない変化
が如実に現れていて、多分これは彼の演技力によるものなのだう。
演技力でいい男になれる人だという気がした。
舞台的には男の友情を描くには持ってこいの設定だ。スポーツから入って軍隊だなんてね。
協調と一体感が何より大事な所だ。
しかもその中に名花が1輪ともなれば?
否応も無く友情は試練に逢う。
しかし、男の友情を書きたいためだけの設定には少々無理があるようだ。
なぜなら、戦争がいやだから除隊したと臆病を認めている男が行け
る場所ではないからだ、あの当時のスーダンは。
このあたりで主人公の精神設定の理解に苦しむ。
「そこへ行けるなら、友人たちと一緒に戦うだろう?」と思うのは
私が男ではないから?
あの土地で、スーダンの人々の間で、言葉も分からなく、イギリス
人である事を隠して入り込めるはずも無い。
そして、あの黒人(土人)の登場だ。
まるでヒース演じるハリーの守護天使?みたいな。
妙に都合いい設定をしたとしか言いようが無い。
ハリーを守りきって彼は「神の与える道を行く。」なんて、格好よく去っていく。
それでも背景がとてもリアルに描かれているので納得させられる。
サハラの砂はそれだけで圧倒的にリアルになる。
現実離れがしているくらい現実だって言う気がする。
圧倒的な砂の物量に気圧されるのだろう。
それとその砂にまみれた戦闘場面。
緻密で丁寧なシーンが積み上げられていると感心してしまった。
主人公の思考回路にはちょっと首をかしげた私だが、ケート・ハド
ソンが美しく堅実なしかもいかにも女性らしい揺らぎを見せていて
よく描かれていた。
「あの頃ペニー・レインと」の印象的だった女優さんだ。
こんなに成熟した優しい笑顔を見せる女優さんになったんだなぁと思った。
ウェス・ベントリーの演じたジャックの「運命」に同情を惜しまない!損だ!
邦題がちょっとロマンチックだったので見たいと思ったのだった。
題名は大事!