監督  西川美和
出演  香川照之、オダギリジョー、伊武雅刀、蟹江敬三、真木よう子、新井浩文

この映画不思議なんです。
確かにオダギリジョー演ずる弟の真っ赤なパンツ、赤い革ジャン見ているんです。
そしてちゃんとその色が焼きついているのに、思い出そうとすると映像は白黒なんです。
白黒映画を見てきたような印象が残りました。
確かに実に押さえた色合いの映画でしたが、多分白黒がこの映画のモチーフだと思ったから、映画の印象も白黒になってしまったのかも知れないなぁ・・・
兄の香川さんの顔が凄く黒くて、髭面ぼさぼさ髪で余りはっきり見えない弟の顔が凄く白くて・・・を皮切りに?今の日本で考えられるあらゆる対照が描かれたように思います。
田舎と都会、素朴と洗練、才能と平凡、女にもてるもてない、生き上手下手(要領の良さ悪さ)、お金の有る無し、親付き親無し・・・といった具合に。
その対照がご丁寧に兄弟、二代に渡って繰り返されて。
昔は長男に生まれることが全てだったのに、現代で長男に生まれることののっぴきならない重さ。
最もそれは今は都会ではもう死にかけている意識・・・でも田舎は・・・まだだろうな。
でもやはり消えかけている意識だから、伊武・蟹江兄弟では顕在化しなかったものが香川・オダギリ兄弟では顕在化してくる・・・ということだったのかなぁ。
でもどうしようもないなぁ・・・という重たい感じ?
だから映画を見終わってもしんと音なしの構え・・・劇場中が・・・と、思ったのは私の意識の問題だろうか?
男だけだったらお互いに仕方ないよな、分かっているさ・・・式に言わなくてやり過ごせたものを、良くも悪くも真木さん演じる「今の女の子(田舎はいやで、お金は必要で、だけど家族(親も子も)を作る覚悟は無い?・・・あらら、今の男の子もか!)」が挟まることで全部が見えてしまって・・・。
我慢していない者にとってはなんてことも無いことが、我慢してきた者にはここで我慢の糸が切れるって言う飽和の時が来るものだということかしら?
糸を切っておいて、奪えるものを奪っておいて、「僕の知っていた本当のお兄ちゃんになって欲しい・・・」なんてほざく弟、柵を柵と感じない無神経な都会人に、自分を投影してしまってがっくり私自身が重くなってしまった。
それにしてもお兄ちゃんの服役中の弟のこざっぱり感が解せないなぁ。正直に言っちゃったからすっきりした?正直なら何言ってもいいってことはないでしょ!
そして最後の弟の呼びかけに気が付いていたんだよね?お兄ちゃん。
あのかすかな笑みは・・・全部を見切ったと言う感じ?過去も人生も家族も故郷も・・・全ての抑制を・・・切った?
香川さんて表現する人だなぁ・・・って、凄いわ。
私まじめだから、恨んじゃうわ。一生懸命解釈しようとしちゃうじゃないの、香川さん。