師走の声を聞くと思い出すのが浅草の賑わいです。
子供の頃の楽しみは浅草の映画館街へ行くこと、観音様の様々な行事に出かけることでした。
あの頃の浅草ロックや仲見世は人とぶつからないでは歩けないほどの賑わいでした。
父が休みの日に出かけたのですから日曜だったのでしょうが、大人たちの間に埋もれて、大人の背中ばかりを見つめて、目の前が見えない状態で、それでもウキウキとスキップを刻みたいような気持ちで父の手にぶら下がって歩いていましたっけ。
色々な呼び込みの声も楽しく面白く、あの賑わいを越えるウキウキ感は今も無いと思いますね。
妙なエネルギーがありましたっけ。
それでもたまにロードショーなど日比谷有楽町界隈に出かけてゆきましたが、絶対浅草が一番の繁華街だと信じていました。
親とではなく映画館へ行くようになってからなぜか浅草で映画をみなくなりましたっけ。
それにもうその頃は浅草にはスキップをしたいような賑やかさはなくなっていました。
久しぶりで日曜にロックへ出かけて人と肩をすれあわさずに歩けることに気が付いて驚いた日の事を不思議なくらい鮮明に覚えています。紙くずと埃が木枯らしに吹かれて足元で渦を作っていましたっけ。
いつの間に浅草はあの賑わいを失っっていたのだろう?
でも今考えてみれば、私ですらその頃は浅草へ行くことが稀になっていたということですねぇ。
今、ヤフーで劇場を検索すると浅草で23館出てきます。
といっても、劇場そのものは、浅草新劇場、浅草中央、浅草名画座、の3つですか。
シネマメディアージュとか、シネマコンプレックスとか、ユナイテッドシネマとかシネマートとかいうもののように一館に幾つもの劇場が入っているようなものなのでしょうね?
しょうね?って、そうなんです。
40年以上も?浅草で映画見ていないんですね。
最後は「東京オリンピック」を学校から行列を作って出かけた時かしら?
一人で行くならなるべく家から近いところを目指しますし、友人と行くとなったら圧倒的に銀座界隈か新宿界隈です。
浅草に懐かしい愛着を持っている私ですら、浅草の賑わいに引かれることがなくなったことにこの師走気が付いて、(風邪引いて籠もっていたからですよ)妙に淋しくなりました。
つくばエクスプレスの駅が出来て賑やかさを取り戻せたのでしょうか?
25年ぶりに東京へ帰ってきて観音様へ初詣に行って、長すぎる行列にびっくりしましたが、その行列はおとなしくて昔のあの賑やかさから程遠い印象でした。
人は確かにいっぱい出ているのに・・・何が違うのでしょう?
友達と
「映画に行こう?」
「うん、じゃァ浅草で会おうか。」
「うん、浅草がいいね。」
なんて会話してみたいなぁ・・・
もみくちゃになっていたのにあの頃の浅草の賑わいははちっとも怖くなかったのに・・・
そういえば先日、真新しいユナイテッド・シネマでレディス・デーに「エラゴン」を見ました。413席の劇場に客は私を入れて9人でした。
つまり私以外は4組のカップルだけで・・・しかも一組は最後列のカップル席に埋もれていましたから、私一人の貸しきりかと思えました。
うーん、贅沢って?いやーそれが妙に侘しいものがありました。
「エルビス・オン・ステージ」を有楽町で立ち見でしかも潰されそうになって見た時が懐かしく思い出されました。あの人いきれと高揚感と!
映画を見るのに最適の環境と最高の気持ちって結構難しいですよ?