監督  山田洋次
出演  木村拓哉、壇れい、笹野高史、坂東三津五郎、緒方拳、赤塚真人、桃井かおり、小林稔侍

本当だったら、年末「今年最後の映画・・・」と言って書いているところでした!
それが「今年最初の映画・・・」になりました。それもこれも映画が好きでないのに「俺も行く。」と言い出した旦那のせいです。「笠間城址でロケに遭遇したから。」とか「山田洋次監督の時代劇は前の2作も見たろう?だから行くよ。」とか言うんですよ。
でも結局は映画好きじゃないんですね。「今週末行こうか?」「いいわね。」を何度も繰り返した挙句・・・その週末には牡蠣になったみたいに口を閉ざして・・・。
「行く」なんて言ってくれなければ行っちゃえたものを・・・と。「まぁ、映画好きな私に付き合ってやろうっていう気はあるんだから?」と我慢の日が続きましたが、さてようやくその日が来たというわけです。
今回は原作も短編1本に絞ってあるし、原作はきりりと絞った無駄の無い秀作だし、きっちり作れば映画もそうなる!
前の2作は短編をつなぎ合わせたもので単品では有りませんでしたから、じっくり「あの」話を見せてくれるのを期待していました。
それに個人的に「八目神社」の場面どんなになるのか楽しみでしたしね。ほら、佐志能神社のロケ現場に居合わせた話です。
その話を先にしちゃうと・・・「映画」って面白いわねぇ!です。
あの目の前で見てきた小さな古びたお社が別物になっていました。
「八目神社」の額のせいですよ!
確かに小(大)道具さんたち?苦労していましたよ。生木をいっぱい運んでね。その甲斐がありました!ほんの僅かなシーンでしたから、あのためだけに・・・!という感動?
旦那の最初の感想も「あれだけのためにか?運び上げた生木の意味がほとんど無かったじゃないか?」でした。
「監督はきっともっといっぱい撮ったけれど、編集でああなったということじゃない?」
お百度を踏む足場の悪さと壇さんの素足の痛々しさと汗とで健気も極まった!ようでしたね。それで十分!
映画は丁寧に作られていました。だから見るほうもじっくり彼らの生活が見えますよね?
それで却って妙なところが気になっちゃいました。城から下げられた夫に薬を飲ませる前に「まずその汗拭いてあげて!」とか、お茶碗に白湯を貰って沢庵でゆすいで・・・っていうところは「箱膳に戻すのだからもっと丁寧に。清兵衛さん上手かったよ。」とか言うようなほんの瑣末が。30石の生活ってアンナ感じでしょうか?
でも主役?3人とも良かったですね。
ただ、妻と夫の時代感がちょっとずれているような気(二人の生きている時代が違うような感じ?)がしないでもなかったのは多分演技の質のせいでしょうね。そこを笹野さん、赤塚さん、桃井さんが多様なそれぞれの上手さで膠のようにくっつけてくれたという感じでしょうか。
壇さんが写真で見ていたのよりふっくらと美しくて初々しくて魅力的でした。キムタクさんはあの映画に合っていたのかちょっと微妙な気はするのですが、難しい盲目の演技も上手かったと思いました。目のメイクさんの御蔭もあるかも?
三津五郎さんが歌舞伎の板の上の舞いと全く違って、妙にリアルに色悪になっていてちょっとおかしかったといったら、失礼?いい悪役になりそうですね、映画やドラマで。
全体として原作のイメージを損なわない品の良い作品に仕上がっていたと思いホットしました。
今年最初の映画が楽しめてよかった!
藤沢周平原作映画3本、心の中でああだこうだと順番をつけてみているのですが・・・まだ決められない。主演俳優に好き嫌いがあるし、主演女優に好きな順があるしっていう・・・のが邪魔をしちゃうんですね。