監督  松岡錠司
出演  オダギリジョー、樹木希林、内田也哉子、小林薫、松たか子、勝地涼、平山広行、原知佐子、結城美栄子、荒川良々、柄本明

東京タワー」で本、TV二時間ドラマ、TVドラマ、映画、舞台と5つ美味しい?という凄さです。
物凄い人気が良く分かります。ここまで来ると社会現象?
私は二時間ドラマは見損なったし、劇は見に行く気はありませんので、本と映画とTVドラマの3点観測?
TVドラマと映画を比べる?すると・・・音楽を聴き比べる楽しみも付いてきましたね。

ここまでマザコンもの?が日の目を浴びて、おおっぴらに?大手を振って扱われるなんて時代も変わったのだと・・・私にはその驚きが大きいです。しかも実際の世の中はそんな風に懐が深くなったという気はしないのですが・・・というか全ての親と子がお互いに親離れ子離れしない世の中に全体としては動いているような感触?はあるんですけれどねぇ・・・
まぁ、この素直さは気持ちよいです。
というわけで友人もTVドラマと比べてみたいというので異議なし!雨の銀座まで出かけてきました。それにしても桜も終ったというのに、この冬の暖かさはどこへ行ったのでしょうというまさに冬でした!
でも映画は心温まる訛りの散見する気心安さに溢れていて居心地の良い時間でした。私は「そんなに「泣かせるぞ!」という作りはしていないな・・・」とそのほどの良さを買いながら見ていましたが、なんと!お隣に座ったおばさんがオカンが東京に引き取られて柄本さん扮する医者が出てきた頃から凄い勢いで泣き始めました。
「ぐすん、ズズズズゥ・・・しぇくぅ」
それに気を取られて私の素直な感想がしぼんでいきました。
「え?ええっ?そんなぁ、そうなの?」っていう感じです。
きっと自分の中に自分の母息子の物語をお持ちだったのでしょう。
この映画は抑えている分見る人それぞれに自分とオカンの物語、自分のボクとの物語を紡がせてしまったのかも知れませんね。
ここまで、私は長くした分TVの方が泣かせ作りじゃない?と、思っていたのですけれど?TVドラマは細かく作りすぎた分見る人が自分に引き付ける余白を失っていたかもしれません。
でも倍賞さんのオカンと樹木さんのオカンと甲乙つけられない!オカンって色々あってボクも色々あってどんな組み合わせにも好悪はあっても甲乙はきっとありえないよねぇ・・・って思って見ていたのです。
だって原作の持っている素直さが群を抜いていて心に迫るものを持っているのですから、脚本が思いっきり意訳しようとしない限り心打つ作品に仕上がるでしょう?って言う気がしていましたもの。
そうはいっても映画に出てくる俳優さんたちの演技の見事さはなんとも充実して見ごたえがありました。邦画が充実しているわけだ!と俳優さんを見ながら思いました。
オダギリジョーさんは役に溶け込む術、それは才能なのでしょうか、自然な普遍的な僕がいましたし、語りが本の味を加えて静けさがありました。小林さんは若い時も年取ってからも年月を体の中でろ過してしまったようで不思議な人ですねぇ・・・「紙屋悦子の青春」で30代のお兄さんが自然に見えたのに喫驚したのですが・・・勝地涼君、面白い味があって、楽しみですし・・・樹木さんはあの抗癌剤投与の苦痛を表現する時の凄さ!あの足!本当に治療を受けていました!可哀想で治療止めさせて・・・と叫んでいました。本の中のオカンがそこで苦痛に喘いでいました。
私の母より若い世代の母なのに不思議に私の母のような何かが有りました。母を手放しで懐かしんでいます。

ちょこっと思っちゃいましたけれど、才能ってなんでしょうね。大学時代ちゃんと勉強して優を積み重ねて・・・何にも花開かないことって・・・ありがちでしょ・・・どこで何をすれば・・・何時何をつかめれば・・・努力って何かし遂げた人が見せないのはかっこいいですけれど・・・努力ってなくちゃならないのに・・・しているのでしょうけれど、それを越えた何かってどうやったら得られるのでしょうね?