監督  エドワード・ズウィック
出演  レオナルド・デカプリオ、ジェニファー・コネリー、ジャイモン・フンスー、マイケル・シーン、アーノルド・ヴォスルー

ため息をついて帰ってきました。
なんか一つの時代が終ってしまったなぁ・・・って言う感がありました。まぁ、ここの所成長していると目を見張っていたレオナルド君ですが、「ディパーテッド」を見て覚悟はしていましたが・・・「あ~ぁ、もう子供じゃなくなってしまったんだなぁ・・・」
「ギルバート・グレイブス」のあの子が!「フルハウス」のあの子が・・・!もう子供の面影は一片も、欠片も、無くなってしまいました。ハワード・ヒューズには未だ甘さの欠片があったけどなぁ・・・チョット郷愁?です。自分の息子たちが巣立っていった時みたいに?(いやそれほどではありません、念の為)妙な寂しさがありました。気が付いたら彼の成長を映画館の銀幕の中で見守ってきた叔母さんみたいです?
そうそうもう一つ心しようと・・・無駄に思ってきました。
紛争ダイヤモンドというものがあるんだ・・・買うことがあったら要注意だぞ!・・・です。でもこれはちょっと虚しいかも。
宝飾店で「なんでこんなに色々な色の金があるの?」なんて聞いたことのある私です。宝石貴金属店には永遠に縁がなさそう!
「じゃぁ今度の誕生日、ダイヤの指輪と温泉どっちがいい?」と聞かれても「温泉!」と答えてしまうに決まってますけれど・・・ハハハ、一生入っていられる?あのピンクの大ダイヤモンド入手「たら・れば」で?
ジャイモン・フンスーさん。この人「アミスタッド」で始めて見ましたが、あのときの驚きは今も薄れていません。アフリカにこんな偉丈夫が!なんと見事!なんと言う尊厳!感動すら覚えたのです。
アフリカの黒人たちも色々な人種があってそれぞれの個性があるのでしょうが、彼の伸び伸び発達した優れた容姿はまさしく神が与えた最大の賜物だと思いましたし、演じている役柄からだけではない英知を感じさせました。この映画の彼はまたしても見事!でした。
素朴な大地の育んだ誠実な基本の人間、変な言い方ですが美しい大地があったら美しい人が育つだろう・・・という感じです。
でも実際はアフリカは列強の侵略以来様々な病気と貧困(搾取)と政治的分断に喘いでいるのですね。それをここのところアフリカを描いた映画で見ています。「ホテル・ルワンダ」の大虐殺は真実ですし、このシオラレオネの現状も事実でしょう。「ER」でちょっと描かれたアフリカも難民と虐殺と銃弾の響きに溢れていました。曽野綾子さんの「哀歌」もそうでした。
イラクでもアフガンでもアフリカでも少年兵のニュースは耳にしていますし。ツチとフツの同じアフリカ人同士の躊躇いの無い虐殺も、この虐殺も、人間のすることとは思えないのに事実です。
映画は事実を誇張しているのか、それとも現実ははるかにこの映像を凌ぐのか?答えを祈りたい気持ちです。
そしてそこには成功した?武器商人だけでなく資源搾取の甘い汁・利益から取り落とされたプア・ホワイト、一発逆転を狙って手先にしかなれなかった白人たちもいっぱい蠢いているのですね。
ルパンの傭兵はロマンでしたがこの大量殺戮銃器を抱えた傭兵崩れの人生の哀れさも含めて悲しいアフリカの現状を見てしまいました。
さても資源を持って遅れてきた国は本当に哀れな・・・日本は資源が無くて良かった!とは思いましたが、そういう日本は人的資源(勤勉とか器用とか工夫上手とか)は豊富だったのに最近はそれも心もとなくなってきたような・・・お魚を食べないからですよ?
でもやはり一番怖かったのは洗脳されて現実に何万も居るという自分を失って兵士になっていく子供の姿です。
映画では3人の出会いが一つの事実を告発することに繋がりましたが、コネリーさんの演じたジャーナリストは現実を認識しすぎているのでしょうね。ジャーナリストの無力さも。ダニーが死んでゆくのを悟った時の静かな涙は諦念の涙のようにも思えましたから。彼女が世界の良識の力なさを体現しているように見えました。丁度ルワンダから撤退していった報道陣や国連軍みたいに。
イムホテップ?(ハンナプトラの)が掴んだアフリカの土と最後にアーチャーが掬う土の象徴するものがこの映画の骨でしょうか?