ハンニバル・ライジング
映画タイトルINDEX : ハ行 5月 13th, 2007監督 ピーター・ウィーバー
出演 ギャスパー・ウリエル、コン・リー、リス・エヴァンス、ケヴィン・マクキッド、スティーヴン・ウォータース、リチャード・ブレイク、ドミニク・ウェスト、チャールズ・マックイヴノン
最近ハムレットになることなどまず無い。真剣に考えなければならない状況が全くと言っていいほど無いのだ。子供は育ったし、老後には未だ遠し?だし・・・だからってこんなことでこんなに真剣に悩むなんて我ながらアホヤネン・ヒマヤモン・・・とは言え、ハンニバル・レクター=アンソニーのことと思えば真剣にならざるをえない・・・でしょう?
ギャスパー・ウリエルは「かげろう」「ロング・エンゲージメント」に続いて三作目だが、確か「美貌の新星」と謳われていたんではないかな?だけどそれはごく?フランス的な意味でだと私は前二作で了解した。
あまりと言えばあまりにアンソニーとはタイプの違うお顔。そんなわけでこの作品に異論があったとしても「あのハンニバル」とは別のどこぞかのハンニバルの映画だと思い切れるではないか!・・・とまぁこんないいわけだが、実際はハンニバルの前半生・幼少時の設定への興味に引きずられてもいたのだ。
作家がどのような人物を作り上げたかったのかということを知るには本を読む方が手っ取り早いだろう。
ただ、私は映画「羊たちの沈黙」で金縛りになっているので、ある意味あの映画の中の「ハンニバル」の魅力の強大さにクラリスになって?しまっているので、今のところ本を読むつもりは無いが。
だから私の中ではクラリス(ジョディでもジュリアンでも)の登場する2作が真正「ハンニバル」、グレアムの登場する話は「外伝」という位置づけになっている。だからこの作品も当然「外伝」か「亜流」に入れるという方法も?
監督だって皆違うんだからさ!・・・と、まだハムレット?えーい、尼寺よりは映画館へ行け!
第二次世界大戦中のリトアニア、ナチとロシアのせめぎあいの地が舞台となればどんなトラウマでも用意できるという点で「あのハンニバル」の生い立ちを作ると言うのは「ハンニバル」を生み出してしまった作者にとっても物凄く大それたことだったのではないかな?という感じだった。リトアニアのレクター家をトランシルバニアのドラキュラ家と区別して?リアリティを貼り付けるにはやっぱり戦時下の異常性がベストだったのだろうか。新聞をひっくり返せばもっと恐ろしくも異常な恐怖のトラウマを叩きだせるだろう時代に?
その割には、あの生い立ちに医大生時代を足しただけでは、イタリア時代のレクター博士のあの教養・文化度?洗練性・優雅さ?に追いつくにはその後の深い学問と洞察とセンスが必要でしょう?それには?なんてついこの後のレクターのことにまで思いふけってしまった私ですが。
「フランスの理解する!ジャポニズム?」をいかに振りかけようと「あのハンニバル」を醸し出せはしないぞぉ・・・それともこんな「異質な異国」がいびつな精神形成に関与したとでも?それはちょっとぉないでしょ?この時点で私の集中力は落ちたかもしれない。
「あのハンニバル」は「あのハンニバル」として生まれるしかなかったので、どんな幼児期も彼を形成することは不能なのではないか?そんなわけで?
「それにしても最近は外国の日本の理解度が増して映画の中でおっそろしくおかしな日本を見なくてもすむようになって来たなぁ・・・と思っていたところだったのに!」とか。
「コン・リーさんも日本人役(SAYURIは見ていないけれど)が来ることに慣れてる?かも知れないけれどせめて日本人女優使って欲しかったなぁ。」とか。
「鎧兜に祈っても、能面ブラブラでもいいけど?レディ・ムラサキの終始妙に思い入れが多すぎるような悩殺風?流し目視線は日本女性の一人として厭だなぁ、一応叔母さんだよ。」とか。
「あの首謀者の男の顔が・・・誰だ、誰だ、何で見たんだっけ?」とか。(「シッピングニュース」から「ノッチングヒルの恋人」にまでたどり着くのに苦労しちゃった。)枝葉末節に引っかかりまくってしまった。
ただ「あのハンニバル」だと思わなければ、ギャスパー・ウリエルって言う俳優さんはサイコ・スリラーにはもってこいの風貌で異常な幼児体験のトラウマが作り出した犯罪者の横顔を見事に見せたと思った。「復讐」というタガの外れてしまった異常犯罪者を。
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