監督  平山秀幸
出演  国分太一、伊東四朗、八千草薫、香里奈、松重豊、森永悠希

落語をベースにされると、こちらの期待感が高くなります。
「まんじゅうこわい」は誰のってとくには思わないですけれど、よく知っている話ですし、「火焔太鼓」は志ん朝さんので知っています。
ね、だから期待は高まるでしょう?高まりすぎました。「タイガー&ドラゴン」ってTVで秀作ありましたし。
期待にたがわなかったのは土地です。背景に切り貼りされた下町風情です。満員の都電のステップにしがみついて中・高と学校に通っていた私です。路線は違えど「三ノ輪」の文字が正面を飾っていた都電でね。私のテリトリーですし、その風情が映画の中でよく生かされていましたし・・・細かいことは無しで(あの都電だけでは行けないところだらけですけれど、クリーニングやさんを除いてね)水上バスなんておまけもあったし、登場人物もと言うより俳優さんたちとこの場合言いましょうね、皆好きで申し分なかったし・・・なのにこの淡々とし過ぎて・・・好感度の度合いと落ち着き先に悩んでしまうのは何故でしょうね。
決して悪くは無かったんですよ。いい映画だ!という感じはありましたし、気持ちよく見終えて帰って来ましたし。これっぽっちも厭な物はありませんでしたし。
少し節制し過ぎたんじゃないでしょうか。品がいいといえばいいし、節度があるといえばあるし、落語の世界のように気のいい世界だといえばそれはそうだし・・・でも変人が集まったエネルギーみたいなものをもう少し発散してもいいんじゃないかなぁ・・・マァ、言ってみれば下町が一寸山の手に侵食された?人情物のほどの難しさですね。
花よりもなほ」って言う映画を思い出したのですが、あのエネルギーは好ましかったなぁ・・・お江戸の雰囲気下町気質の発露の点でも。
細部を情緒だけで押し切った?(いやーでもほおずき市効いたな、私には)3人の生徒を紋きり型で作りすぎた?国分さんの三つ葉さんは好演と思えども、下町のざっくばらんとは一寸違う感じ?雑ックバラン?
話方教室→落語教室→悩み相談会=二つ目さんの成長って寸法なんですが、教室に意外性があることはあり発想が面白くないこともないけれど、うーんただ人との出会いとそれによる触発ってことでもよかったみたいだなぁ・・・でもそれじゃおばあちゃんの出番が無くなる・・・え、「火焔太鼓」の出来が良かったのは酒のせいでもよかったの?的な消化不良があったってことでしょうか。
ただ森永君の大阪弁の落語には最高点を上げたいです。彼の早口のあのテンポ、全体に底上げして欲しかったのがそうテンポ!かな?もっともこんな子に周りをうろちょろされたら大抵の下町っ子はやりにくいと思うと思うよ。
枝雀さんは好きでしたねぇ・・・だからこの坊やにはホント参りましたね。枝雀さん、子供の頃はこんな坊主だったかもなんて、「いや、こいつはいけねぇ」って気持ち!わかってもらえるでしょうか。
香里奈さんのぶっちょう面っぷりもなかなかお得!?