監督  クリス・ヌーナン
出演  レニー・ゼルウィガー、ユアン・マクレガー、エミリー・ワトソン、ビル・パターソン、バーバラ・フリン、ロイド・オーウェン、マッティエロック・ギブス

気持ちの良い映画を見ました。自然で無理の無い涙も少しこぼれました。短い映画でしたが内容は充実していました、あらゆる点で。景色良し!俳優良し!絵本の動物良し!物語良し!
現在では女性が当たり前のように選び取っている自分の人生を、全うすることの困難な時代に自分の行き方を勝ち取った女性の半生ともなればそれだけで心を動かされます。
しかもこの俳優陣はそのままセットであの時代から借りてきたような自然さです。
レニーさんはいつもながらの多彩な表情を駆使して粘り強く自分の道を切り開いていくビアトリクスの強情をも愛らしさでカバーしながらいじらしくも雄雄しくも生き生きと演じて、いつもながら上手いなぁ・・・!と感嘆させられましたが、ユアンさんです!
ノーマンが実に初々しいくチャーミングなイギリス紳士になっていて、私の方が恋したくなってしまいました。彼が恋に落ちたときのドキドキ感が、目の輝きが、私の心臓にまで移ってくるようでした。いいなぁ~。
それにおなじみの動物たちの動きもほどが良くてチャーミングな挿入でした。
最もミス・ポターのこの世界はシャーロック・ホームズが活躍した時代と重なるはずですが、そしてそのホームズの依頼人には結構自立した女性がいましたが、階級が違うとまだこんなだったんだなぁ・・・
なんて思いながら両親を見ていました。親は責められません、あれでいいのです!なんといってもあのビアトリクスを育てたのですから。
そしてあのヒルトップ農場です。
物語のせいかあの農場と湖水地方の映像がしーんと悲しげに淋しげに見えました。イギリスといえば湖水地方をめぐる旅!あの鉄道の写真も定番!私の旅心も見終わってからうずき続けです。
彼女の自由な生い立ちと動物たちへの愛情が彼女に未来のビジョンを明確に見せたのでしょう。御蔭でその気になりさえすれば?遠い外国からでも彼女が住んでいた時と変わらぬあの自然をあの村をあの農場を見ることができるのですから。なんという功績でしょう!
それにしてもベアトリクスが結婚する気にならなかったあのお見合いの青年たち・・・笑えましたが・・・あれじゃ彼女じゃなくとも・・・なんて思っちゃいますよね。彼らが相手じゃ結婚より絵と物語と自立を愛する人生を選んだと言う事を強調することにはなりませんよね?おかしかった!おかしいと言えばあの付添いおばあさん!私も彼女がお酒に目がないとノーマンのお姉さんより早く?気が付きましたよ。
ロイド・オーウェンさん、一寸鹿賀丈史さんの若い時に似ていません?子供時代の交情が将来を暗示していたようで・・・素直に彼らの将来の結婚が理解できた感じです。いい脚本だったんだなぁ・・・という気がしています。
それにしてもヴィクトリア朝の恋は!停車場のキスにかかる蒸気が見事に表現していました!やっぱりいいなぁ!