監督  スコット・ヒックス
出演  キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、アーロン・エッカート、アビゲール・ブレスリン、パトリシア・クラークソン、ボブ・バラバン、ジェニー・ウエイド、セリア・ウェストン

ババロッティですよね?あの厨房に鳴り響いていたのは?おぉー!
と言うわけで?関係ないけど!素直に「マーサの幸せレシピ」でした。
が、どっちも好きです。マルチナ・ゲディックさん(善き人のためのソナタよりも美しいくらい!)のマーサもキャサリンさんのケイトも。キャサリンさんはいつも美人だと思ってみていましたが、この映画の彼女にはその上をいく美しさがありました。色々な感情を表す表情に柔らかいベールを被せたようです。
落ち着いてしっとりしてこの年代の女性の美しさが私には魅力でした。マルチナさんにはヨーロッパの成熟が産んだというような大人の美しさがあってアメリカ風?の華やかなキャサリンさんでどう?っていう危惧は最初の厨房で吹っ飛びました。ほっ!ケイトが可愛かった。
女性が自分の職場を自分のものとして完圧(こんな言葉無い?)しようとすれば彼女みたいにそれだけしか眼に入らない、それだけに集中した生活をせざるを得ないよ・・・って、彼女の立つ位置が理解できますものね。ぎりぎりのところで自分を保とうとしているキャサリンさんの顔がいとおしかった。この時点でこの映画は「マーサ」に比べても合格点だ!です。
完璧な厨房で完璧な料理をするということとお店で客が満足すると言うことの間には一本きっぱりと引かれた線があるんです。だって、満足ってそれぞれの人の個人的なものですもの。だからこの時点でのケイトはただ素晴らしいシェフなだけです。そして・・・というケイトの成長がいじらしいです。
と言うわけで、シェフと店主の立場は違いますから・・・それが一致した彼女たちの店は理想の姿ですが、三人居てこそという肩の張らない関係が気持ちよく収まりました。幸せになって満腹できた幸せな映画でした!だけどあのレストランどうなるのだろう?可哀相に!
何が新しい居心地の良い自分を発見させてくれるか分からないものですが、一生懸命な人のところには何かが舞い降りてくるのかもね・・・って祝福できちゃう。
好み的にはアーロンさんが一寸?なんです。大体が謎の男ですよ、ニックって。大柄で声が良くて体格どおりに欲の無いおおらかな人間性を見せてくれましたが、「カンバセーション」のこの「映画日記」に書きようが無かったつまらなさを思い出してしまって。好きになれるかなぁ?この俳優さん。
でもアビゲールさんとの組み合わせはとても良かった。
アビゲールさんのあの薄い色の目って表情を浮かべ易いんじゃないかなぁ!影も光も波のように通り過ぎていくようで、黒い目なんかよりも・・・なんて一寸羨ましくなって。「リトル・ミス・サンシャイン」の余韻をも加味してしまって・・・子役にはかなわない!でもこの子はのさばらない。ほどの良さが映画を大人のものにしています。
「恋と娘・・・」に続いておいしそうな映画でしたが、心に何も無くても家であの魚料理は食べたくない!最もだからこそ始めて子供と向き合った叔母さんの肩に力が入った姿勢がよく分かって毛糸の不器用な一生懸命さが可愛くもありました。