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スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師 スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師
サントラWarner Music Japan =music= 2008-01-16
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監督  ティム・バートン
出演  ジョニー・ディップ、ヘレナ・ボナム=カーター、アラン・リックマン、ティモシー・スポール、サシャ・バロン・コーエン、エドワード・サンダース、ジェイミー・キャンベル・バウアー、ローラ・ミッシェル・ケリー

「ジョニーから眼を離せない!」という二人連れで見に行きました。
でもジョニーを見るより首を押えて横向いている時間の方が多かったようだなぁ・・・と、ぐったりして帰ってきました。でも映画そのものはよかったんですよ。念を押しておきますけれど、濃い時間を過ごせます。
これは確かに音楽劇!かもしれないけれどミュージカルって響きは無かったなって思いました。だってあれ聞いていたら一緒に歌いたいって思える歌は一つも無かったのですもの。ミュージカルを見たなら、時に口ずさめるような気分も欲しいじゃないのって。
歌として聞いていた物は無かったんです。あれは独白が捩れたものだという気がしたのです。ジョニーが歌うとそれは心の思いが吹き出る・・・念がよじれて立ち上ってくるっていう感がありました。
復讐の念が凝り固まってもう他の何も見えなくなった男の心の暗黒が口から捩れながらこぼれてきたものだという感じが。
それはヘレナ演ずるミセス・ラペットも同じでした。何を歌っても貧しさと報われない思いと閉塞感にしかならない、哀れ。
それが、19世紀、暗黒の世相、霧のロンドン、モノトーンの世界と相まって二人が二人共に狂気に流れ込んでいく様がドーンと見るものに、聞くものに、重苦しく、(しかし不思議にスムースに)のしかかってくる感じでしょうか。
息苦しい映画でした。若者の恋にも明かりは全く射さないし。過去過去過去・・・ここには未来は無いのです。
スゥイーニーにはもう娘も判るはずが無い。消息を聞いてももう娘は彼の心の中でリアルにはならない。恨みで凝り固まっているうちに彼の心の中で娘は成長をやめてしまっていた。妻とともにもう失われ去った者になっている。彼はもう未来は見えない。娘の未来を思いやる感情も無い。心の中にはもうひとかけらの潤いも残っていないのだ。何も明らかにならずこの出来事はロンドンの塵芥の中に紛れて消えていくのだろう・・・と・・・首を押えたまま思っている自分に気が付いて「ジョニーはやはり凄い俳優だ。」と、改めて思った。
終りまでとうとう首から手が離せなかったのです。
何時まで経っても顔が一つにならない不思議な面白い俳優だと。
今度はどんなものをどんな風に見せてくれるのかという期待を常に抱かせる俳優だわ・・・と。
で、しっかりマフラーを首に巻いて映画館を出ました。