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監督  ターセム
出演  リー・ベイス、カティンカ・ウンタルー、ジャスティン・ワデル、ダニエル・カルタジローン、レオ・ビル、ジュリアン・ブリーチ、マーカス・ウェズリー、ロビン・スミス、ジットウ・ヴェルマ、エミール・ホスティナ
予告編とチラシにトルコのガラタ・メヴィラーナ博物館で知ったセマーゼンという旋舞の映像を見た時、既に「見に行く!」と、決めていた。そのトルコ部分の映像は紡がれる物語のほんの一部分に過ぎなかったけれど、あの忘我を感じさせる映像はこの映画を象徴していたなぁという感じが見終わった今している。
映画はなんともアレキサンドリアを演じた少女が素晴らしくて、ただもう彼女の笑顔・笑い声・泣き顔・泣き声に虜になってしまった。特に最後の意識が戻ってから、悲しくなる一方のお話にただもう泣いて泣いてロイに物語の主人公を助けてと泣きつくところ・・・もう、私も泣くしかないじゃない?
それにしても骨折を直すギブスの形が何でああなの?あの不自然な形から物語のおかしな方向付けが始まるような不思議な錯覚。
それにしても絶望の底にいる青年のつむぐお話にあの色彩をつけていったのはあの少女なのよね。そう思うと幼い魂の想像力の翼の底知れない可能性を感じてしまう。ロイは思惑があって、アレキサンドリアの名前に触発されて、寝たままの絶望的な状況から物語を紡いでいるのだから、きっと彼の頭の中に広がる世界は味気ないモノクロだったのだろうな・・・でも生き生きとして弾む少女はロマンの中に夢の色彩とめくるめくシチュエーションを構築していけたのだろうな・・・なんて思いながら繰り広げられる現実と物語の二重の世界に私も包み込まれていってしまった。
これが美しい世界遺産やロケ現場のただの記録映像にならなかったのは現実のロイの絶望へと走る思いが切実だったこともあるけれど、それ以上にこの少女の生き生きとした好奇心、物語にワクワク出来る豊かな感情、そして家族を思いやるなんともいえない利発な優しさが見るものの心に迫ってくるからだろう。
そして彼女の物語へのめりこむ一生懸命さが、彼の心の中の映像に色を付けていって、それは二人の紡ぐ物語になったのだろうな。
映像の美しさは、物語の登場人物の個性に益々裏打ちされて、もう絶対私の頭のどこかのスクリーンに投射されたまま永遠にしまいこまれてしまったんじゃなかろうか?と思わせられた。
子供の頃大好きだった「黒い海賊」のあの悲しい物語が髣髴としてあの頃ぽとぽと本の上に涙を落として泣いたように泣きたい気持ちになってしまった。
黒い海賊が父からロイに変化を遂げて、最後にその境目が少女の中ではなくなっていく。彼女は成長していく・・・ということが進行形で見えて来るようで・・・それも切ない。