つぐない つぐない
キーラ・ナイトレイ, ジェームズ・マカヴォイ, シーアシャ・ローナン, ロモーラ・ガライ, ジョー・ライトジェネオン エンタテインメント 2008-09-26
売り上げランキング : 1529
おすすめ平均 Amazonで詳しく見る
by G-Tools
映画「つぐない」オリジナル・サウンドトラック 映画「つぐない」オリジナル・サウンドトラック
ジャン=イヴ・ティボーデ イギリス室内管弦楽団ユニバーサル ミュージック クラシック 2008-03-19
売り上げランキング : 154418Amazonで詳しく見る
by G-Tools

tugunai.jpg tugunai1.jpg 

tugunai2.jpg

監督  ジョー・ライト
出演  キーラ・ナイトレイ、ジェームズ・マカヴォイ、シアーシャ・ローナン、ロモーラ・ガライ、ヴァネッサ・レッドグレープ、ブレンダ・ブレシン、パトリック・ケネディ、ベネディクト・カンバーバッチ

見逃して残念と思っていた映画がアンコール上映とかで豊洲のララポートの映画館に1週間だけかかりました。大慌てで出かけました。
そしてやっぱり見るに値する映画だったと特大のため息をついて帰ってきました。
妹ブライオニーが最初に登場するシーン、屋敷の廊下をカクカク、きっぱり勢いよく歩いてくるところでもうこの少女の輪郭が凄いほど明瞭に心に入り込んできたようです。タイプライターの音、蜂の音、風や緑まで音で表現されているのではないかと思える音楽。こんなに音を意識させられそれに揺さぶられた映画は久しぶりだなぁ・・・
少女の受け取った「事実」の後に時々カットバックで現実の様相が挿入される。その明かされる実相と少女が意識して、または意識しないで歪曲して出来上がってしまう事実の恐ろしい落差。
少女を演じるシアーシャさんのきっぱりとした目が大人たちを操縦してしまった・・・その怖さ。これっぱかりの悪意も存在し得ないような美しい風景の中で行われた残酷。
そして人生にはつぐなっても、償おうとしても、つぐないきれないものがあるのだという現実。一生をかけても命をかけても・・・取り戻せないものがあるという悲惨。
戦争で衰えていくロビーの目、セシーリアを思うその目・・・
豊かな生活をなげうって戦火のロンドンで看護婦に従事する姉の眼の中の祈り・・・もう誰にもあの牧歌的だった生活は取り戻せない・・・
あの瞳の命を葬ったものは永遠に許されない・・・そう感じさせる若さ美しさ。
本の中で償いを完了できるものでもない・・・と、知ってなお・・・結びつけて人生を終えたいと願うブライオニーの背負ってきた一生。
痛いほど心に迫ってきたけれど、それでもあの若く美しかった姉と未来を見つめていたロビーとの恋を意識した瞬間を殺ぎ消された二人の帰らない命を思うと・・・ゆるされないことってやはりあるのだと慄然とさせられた。
だけど、罪って人生のどこに罠のように仕掛けられているか・・・誰にも分からないで・・・それでも人はその人の人生を生きなければならないんだ・・・つらい。少女期の微妙なほんの一時の揺らめき・・・!
ブライオニーを演じた3人の女優さんが余りにもブライオニーらしく老いていったのにも驚かされた、演技者って凄い。感受性や観察力に優れすぎている・・・というのもおそろしい賜物だわ。