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監督  セドリック・クラビッシュ
出演  ジュリエット・ビノシュ、ロマン・デュリス、ファブリス・ルキーニ、アルベール・デュポンテル、フランソワ・クリュゼ、カリン・ヴィアール、ジル・ルルーシュ、メラニー・ロラン
 

ヒョットすると、住むように?パリが見られるかもしれない映画だ!と、思ったので、ワクワクしながら出かけました。
主人公のピエールを演じたロマン・デュリスさんが私には問題でした。あのルパンをした人なんです。どう名前を確かめても・・・間違いない!(最も私はあのルパンはイメージ違いでしたけど)
なのに、死が近づいてくるその時を佇むベランダでの横顔にはルパンの面影の欠片も無いのです。いやもっと、あの真っ赤なシャツでギンギラギンのジャケットで踊る姿は・・・もっと面影は無い。いくら俳優さんとはいえこのギャップはなんなんだ?と、暫くはそこに囚われてしまいましたよ。
それはともかく彼の目から見下ろすパリの街角は、私が住んでみたいなと思うパリの街角でした、間違いなく。マルシェに人が集い、賑やかな挨拶が交わされる下町の風情。国際劇場で踊るダンサーや色物の師匠が住んでいて妙にごちゃごちゃしていた子供の頃の浅草の風情。ま、確かに建物はずーっと問題にならないくらいアッチの方がおしゃれなんだけれどね。人の匂いが濃密であるという意味では変わらない。どこか肉を感じさせる分あっちの方が濃密かな?死が近づいているときにこのような日常を見るということ、だから日常が愛しく見えるという気持ち。それがパリをパリ以上にしていたのかもしれない。実際そのときが来たらそんな風に見えるかどうかということは別として。
「生きているのだから楽しむ」の「楽しむ」部分にかなりの相違はありそうだけれど・・・まぁ、気持ちは共有できるし・・・
確かになぁ・・・年は取ったけれども、あちこち痛んでもいるけれども・・・でも、楽しめる間は積極的に楽しもうかなぁ・・・なんてしっかり思い込んで帰路に付いた事は確か。
ビノシュさんは疲れた、だけど何処か危うくかわいい母親を好演しているし・・・と、思ったら、吃驚するほど恋?にうかれてしまって・・・やっぱりパリジャンは永遠に男か女なんだ?だから私の目にはパリは永遠に魅力的に見えるのかな?この映画の中には溺れたくなるような美男美女も余りいないし、おしゃれな恋も手管も無い、だけど人が住んでいる息遣いはちゃんとあるんだな・・・って思ってみていた。映画的には海の向こうの話ははしょってもいいかもねと思うけれど、とにかくパリを縦横に歩いてみたくなったことは確か。