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監督  ソウル・ディブ
出演  キーラ・ナイトレイ、レイフ・ファインズ、シャーロット・ランプリング、ドミニク・クーパー、ヘイリー・アトウェル、サイモン・マクバーニー
歴史物は丁寧に作られるとそれなりに魅力的な作品になります。
時代考証とかコスチュームだとか言語だとか・・・とりあえずタイムスリップという旅を楽しむことが出来ますから。ドラマチックだし。
広大な領地、古城、屋敷の豪華さ美しさ!そしてあの女たちのコスチューム!そして週刊誌的?ゴシップの華!
ダイアナ妃のご先祖様という事を予告では大々的にうたっていたようですが・・・それは惹起にはなったのかもしれませんが・・・映画は全く違う人物を描いていました。状況が似通ったとしても時代の意識が違えば全く別の解釈が成り立ちます。今の時代のダイアナは魅力的な人でしたけれども弱い自分に溺れるしかなかった人の様に見えました・・・。もしかしたら短か過ぎた一生が彼女を大成させなかっただけかもしれませんが。
この映画で描かれたスペンサー家出身のデボンシャー公爵夫人は見事でした。あの時代!と思えば益々見事でした。感動的な一生!見事に自分を貫く強さも利口さも備えた聡明この上ないパワーもある女性を見事にスクリーンに定着していました。キーラ・ナイトレーの針金のような姿はこの場合ピンと張った糸のように張り詰めた一生を象徴していたようです。見方は色々ありましょうが、私は自分がそういう人間でないだけに?わがままを貫き自分を貫くことに自分の痛みを全部賭ける力のある人間が好きです。そういう人間を描くドラマは堪えれません。いいなぁ・・・こんな風に生きられたら・・・ドラマチックだなぁ!ステキ!でも現実の自分は大事な子供を無事育て上げ、自分の快適な生活を保障してもらい・・・ということに汲々としているのですからね。ソリャこういうドラマどっぷり浸かりたくもなろうじゃありませんか。
彼女は母の望みどおりに巨万の富と絶大な権力を持つ公爵と結婚します。その時既に心のかなりの部分を占める人が現れかけているにもかかわらず。でも私は責める気は毛頭ありません。だって時代はそういう時代だったし、彼女の立場はそういう立場でしたし。それはそういう決断は今だって普通に行われることでしょう。昔の知り合いに可愛い青年と恋をしつつ大地主と結婚した人が確かにいましたもんね。それはそういう能力があるかないかというだけの問題で、ある人は男も女もいっぱいいるでしょう。
結婚に至る道はダイアナもジョージアナも今の人もさして変わりません。ジョージアナが魅力を見せるのはその後の彼女の生き方です。「あの時代で」・・・ほらこれがキーワードです。
愛人を作った夫に、それを許すから自分も作ると宣言し、はばからない事実を見せ付けます。しかも彼女はその恋人のために彼女の持つカリスマ的人気を最大限に活用し、また自分をも生かし輝かしめます。傷付く時は目いっぱい傷を見せます。
跡取りを作るプレッシャーに押しつぶされている男の理論などクソ喰らえでしょ?男が圧倒的に保護?されていた時代なんですから。それなのにあの時代の男の方が可愛そうに見えてくるのが醍醐味です。妻妾同居を押し付ける夫が却って惨めに、妻に暴力を振るう夫はさらに惨めに見えて・・・ひょっとしたら夫そのものも自分が惨めに見えてきたのかもしれませんね。妻を正統な後とり息子を産む道具としてしかみていない男が妻にああ堂々と振舞われたら。自分を鏡に映し出したような行動を突きつけられたら・・・?ジョージアナの素晴らしいところはそれでも、公爵家の体面のためだったかもしれないけれども、その彼女を手放せないほど公爵なりの愛情を掴んで公爵を縛れたところじゃないかしら?そう、だって愛人は後のチャールズ・グレイなんですものね。あんな男に愛される女になって見たいモンですよ。そしてその後も自分の世界で君臨し続けたのですから・・・。ダイアナ様も雅子様もこういうパワーがおありになればいいのに・・・なんて思うのはいけません。人はその人であることしかできないのですから。多分。