ダイアナの選択 [DVD] ダイアナの選択 [DVD]
ユマ・サーマン, エヴァン・レイチェル・ウッド, ヴァディム・パールマンNIKKATSU CORPORATION(NK)(D) 2009-07-24
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監督  ヴァディム・バールマン
出演  ユマ・サーマン、エヴァン・レイチェル・ウッド、エヴァ・アムリ

美しい映画だったという印象が残った。気持ち悪い森の中をさ迷う場面でさえも、エマの墓のある光景でさえも・・・でも特に少女時代の少女の焦燥が生き生きと迫ってくる場面がひと際。
それと同時に「シックス・センス」を見たときに感じたような、背筋に迫ってくるような違和感、追い立てられるような不安感も映画全編を通じて感じていたという印象もしっかり残っている。
途中でふっと「シックス・センス」を思い出して、何でかなぁ・・・と思いながら見ていたのだけれど、見終わって多分それは最後にどんでん返し・・・それもただならぬ・・・そんなものが迫ってくるという予感を感じさせることに成功した映画だったからだろうと思った。
死ぬ間際というのは以外に長くて、人生がフラッシュバックして見える・・・と言うような物語や映画はそう珍しくは無い。
しかしそれをこの長さで・・・人生を二つ・・・小出しに、フラッシュバックを積み重ねて描いている。17歳・18歳?の少女が大人への一歩手前、田舎の町の閉塞感の中で先が見えず足掻いて、反抗して・・・それでも人生で最良の親友を得た幸せの中での一夏・・・悲劇が起こるまで・・・理不尽に命を奪われるまで・・・その痛々しい輝き!
そして15年後の彼女。不安感が、怯えが、底に染み付いている震えに支配されるような人生を生きている。幸せだけど夫には現実感がないし、「居なかったり、隠れていたり」する娘は昔の彼女の苛立ちを体現して彼女に見せ付けるかのよう。
そしてダイアナの選択が示される。倒れて目を開いている彼女が見つめている物は・・・と、思ったとき・・・この映画が理解できる・・・と、思ったけれど。
この短い映画の中でアメリカの銃乱射事件、コロンバイン高校のあの事件ムーア監督の「ボウリング・フォー・コロンバイン」に見るアメリカ社会、銃規制のどうしても出来ないアメリカを見た。
あの気弱そうなひ弱な少年が構える銃、「そういえば・・・殺してやると言っていた」ということの当たり前さ。失われた少女の未来の悲しさ。生き残ったモーリーンのその後。子供を失った大勢の親たち。様々なものが心臓を細かく振るわせる。その震えがこの映画のすべてで、一つの主張。15年後のダイアナを描くことで一つ一つの命のいとおしさを目の前に突きつけて見せた。こんな素晴らしい未来を、家庭を、娘を
仕事を、 持てたかもしれないのに・・・一人の命の大事さが胸に迫ってくるのである。