その土曜日、7時58分 コレクターズ・エディション [DVD] その土曜日、7時58分 コレクターズ・エディション [DVD]
フィリップ・シーモア・ホフマン, イーサン・ホーク, マリサ・トメイ, アルバート・フィニー, シドニー・ルメットソニー・ピクチャーズエンタテインメント 2009-07-03
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監督  シドニー・ルメット
出演  フィリップ・シーモア・ホフマン、イーサン・ホーク、アルバート・フィニー、マリサ・トメイ、ローズマリー・ハリス、ブライアン・F・オバーン、エイミー・ライアン、サラ・リビングストン

昨年の秋に公開、しかし気になりながらとうとういけなかった。こういう時はギンレイでしてくれないかな?と、待つことになる。
そんなわけでようやく見られた映画である。そして待った甲斐があったと満足して帰ってきたところである。でも楽しい映画を見たいと思う人には薦められないことは確か!
全く役柄にぴったりの俳優さんが配されればこんなに見事な見応えのある映画が出来る!の、お手本みたいだった。男のドラマという気がしたのはフィリップの演じるアンディの妻の不倫もその相手への驚きも、夫の生活の醜さと比べればさして驚くようなものでもなく、ダメ振りに嫌気がさして離婚したハンクの妻が夫に関心があるのは養育費の支払い状況だけだろうから、ステレオタイプで金々としか言わない乾き振りも目新しくないからで、いかにも現実的。最もそれが気弱なハンクを追いつめるのだが。
そこへ持ってきて自分の人生に開いた大きな穴を塞ごうとする情けない小悪党の兄弟二人の開き直りとゆれ振りが実に際立って見事に描かれていくので、この心理と行動の帰結するところがリアルにうなずけてしまう。強盗失敗から始まって過去へ遡るほど厭な映画だなぁ・・・という気配なのだが緊張感が見事でのめりこんでしまう。アメリカはどこに銃があるか分からないから、強盗なんか絶対に簡単にはいかないよ、ウンウン。
最初に原題を見たときには「ふうん?」だったものが最後に父のした行動で納得がいった。そうかそれも父の心だ!と思えたのである。しかしこんな二人の息子を持ってしまったことに気付かず逝ってしまえた母の方が父(最も故買屋での父親を見れば彼も十分悪党?)よりナンボか幸せだったろう・・・と思わされてしまうくらい二人は上手い!
この家族の崩壊は一体何時始まったんだろう?どこから何時ヒビが生じたのだろう?それを知りたい!と、思ったけれど、ヒビは入るときにはどんなところにも入るんだろう?悪魔はどんな小さな隙にも顔を突っ込んでくる!誰も気が付かないうちに?それが一番怖いかなぁ。兄の幼い頃からの弟への嫉妬?とか・・・終盤のアンディと父の会話は・・・
悪巧みをしているアンディはどうしようもなく醜い兄で(ホフマンさんが本当にぴったり!)、それに乗せられていく弟は最後になっても逃げを売ってる卑怯者で(これまたこの手の弱虫を演じたらイーサンの右に出る者はいないっていうくらい?ぴったり!)・・・あああ、こんな悲しい家族ってあるだろうか・・・とまだ思っているのだ。ポスターの映像が映画そのもの。