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監督  クリント・イーストウッド
出演  アンジェリーナ・ジョリー、ジョン・マルコビッチ、ジェフリー・ドノバン、コルム・フィオール、ジェイソン・バトラー・ハーナー、マイケル・ケリー、ギャトリン・グリフィス、ジェフリー・ピアソン

「絶対見る」リストに入れておきながら間が悪くて釣落としてしまった映画。ありがたいことにララポートの「アンコール上映」に引っかかりました。で、飛んで行きました!
事実あった事件を描いた作品でした。それは最初の字幕で出ます。
けれどそれ以上に最初に映画の中の人々を見た時点で、町の風景を見た時点で、映画の時代に取り込まれてしまいました。
暗みの勝った町や人々の映像の中に一点、主人公のクリステインの独特の形の真っ赤に引かれたルージュの色に驚かされます。
それが次第に主人公の強い意志を表現していくものになるのですけれど、最初その違和感に捉えられました。
子供を取り戻そうと必死であがく母があのような唇を書くだろうか?その余裕があるだろうか?なりふり構わないだろうが・・・?
ところがそれが彼女だったわけです。自分を失わないんですね。自分をあくまで押し通す彼女の意志の象徴なのです・・・そう見えてきました。訴え続ける彼女の強さの表出だと。
権力や警察は退廃腐敗と浄化を繰り返して結局はまた腐敗に向っていくものなのでしょうか?この事件から何十年も立っていても警察にはこういう部分がまるで基礎のように残っている。警察が魔女のように取替え子を何食わぬ顔で置く?
それにしても真実とは思えない事実でした。親も先生も周りの人は皆違うと言っているのに押し通そうとする力があることに愕然とします。あった事を無かったことに、無かった事をあったことにするのが権力なのかもしれません・・・と、思っちゃいますね。と、まだ私は半信半疑です。それでも真相を導き出した警察官がいたことにとりあえずはほっとしましょう。(その警察官でさえもあの少年に墓を掘り返させる酷さを持っているのですね。罪と罰の意識の過酷さ?この少年役の俳優さんが良かったですし)息子は帰ってはきませんでしたけれど、主人公は永遠に希望を持っていくのですね。それも酷いような・・・私にはわかりません。当事者ではないと判らないことが殆どです。ただ想像し思いやる力だけは喪わないでいたいものです。この映画はクリステインの意志に引きずられていきますが、牧師とジョーンズ警部の恐ろしさにも引きずられていきます。どちらも怖いです。特に最初はアジと民衆を扇動することに喜びを感じるたちの、質のよくない聖職者と思われた牧師が、最後までクリスティンに手を差し伸べ続け戦うことに驚きました。それだけあの時代の警察が腐敗していたということを表しています。あそこまで激烈な民衆扇動をしなければ浄化できないほどに。精神病院の様は恐怖そのものです。彼にはそのときの社会の姿が良く見えていたのでしょう?この人物像には興味が湧きます。その意味ではマルコヴィッチさんはいつも興味を抱かせますね。     そしてまた犯人役をした俳優さんに妙に同情を寄せたくなります。無気味な変質者像が、まるで彼そのものがそうであるかのように・・・そんなで、俳優さんを含めてすべてが実にどっしりと見ごたえのある映画で、あー走って行ってよかった!2時間余り私はアメリカのあの時代のあの町でどっぷり生活していたような疲れはあるのですけれど。