あなたになら言える秘密のこと

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監督  イザベル・コイシュ
出演  サラ・ポーリー、ティム・ロビンス、ハビエル・カマラ、エディ・マーサン、ジュリー・クリスティ

ボビーを見損なって、ギンレイでしているのを見つけたときには、あそこは二本立てだから、おまけのつもりでついでに見る映画だったのだが、結果的には大もうけ!だった。
2本とも見ごたえのある素晴らしい映画だった。
この映画を見てから〈孤独である〉ことと〈一人で居ることが好き〉
の間にある深くて大きい溝の事を考えていた。
工場では内気な一人が好きな潔癖症の変人に見えかねないハンナだったが、丁寧に描かれているうちに、彼女が〈一人でいることが楽〉なタイプの女からずーっと離れたところにある重くて辛い記憶を抱えている気配が伝わってくる。
折角の?一人旅で看護士を買って出るところ、選び取る生き方のストイックさ・・・何があるのだろう?と、思ったところから引き込まれていった。前半の無言の時間の多さも心がほどけていくためにかかる時間と必要な沢山のステップの事を考えれば、短いくらいのものだったのだろう。
行った先の海中油田の孤独な佇まいが実に見事なシチュエーションに思えた。心象風景の具象化とでもいったらいいのか。
ところでもう一つ考えているのはティム・ロビンスのことだ。
目が見えなく寝たきりで顔も包帯で殆ど覆われている。でも、演じているのは彼だとわかっている。あの大柄でポワッとした子供めいた頬のあの人でしょう?そしてあの状態でのあのおしゃべり・・・癒しが始まるだろうと予期してしまう。
話してしまう、打ち明けてしまうという行為にある慰め・・・我に返ったときの気まずさ・・・そう思うと、顔を見られないで相手が誰だか知られないで話せるそのシチュエーション作りの上手さが際だつ分、ティムさんの役柄を未知の人にしてもらった方がより良かったような?
顔や体の傷は時間が癒してくれる事を目に見させてくれるから、鏡を見ながら癒えていくのを実感できる。けれど心の中の傷は時間が癒してくれていたとしても目にも見えず、自分でも気が付かないのかもしれない。痛い記憶だけが居座っているので、気が付くきっかけが要るのかもしれない。
あの沢山の石鹸が上手に語るのを見ていて、表現の見事さに驚かされた。
真に孤独な人は本当に孤独になれる場所を探し当てるものなんだなぁ・・・そしてそういう場所は優しくて孤独をも癒してしまうんだなぁ・・・
ERのコバッチュはクロアチア人で妻子を亡くしている設定で、最初に出てきた頃はその痛みを見せていて心を打たれたし、先日BSで放送されたイギリスの「第一容疑者」もボスニアの大虐殺を描いていて鋭く心に残った。ボスニア紛争は記事で知っていたが映像(フィクションでもノンフィクションでも)の力を改めて思う。
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大日本人

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監督  松本人志
出演  松本人志、竹内力、UA、神木隆之介、海原はるか、板尾創路

あんまり面白くなさそうな噂が耳に入ってきちゃって・・・「監督・ばんざい」はカンヌのニュースしか耳に入らないまま、私的には?すぐさま出かけたから何とか見ちゃいましたが。外野から聞こえてくるあれこれは行きたい気持ちをかきたててくれないんだもの・・・おまけに映画館が遠いとあっては、誘ってくれる人も無いとあっては、
億劫この上ないですよ。どうやら「2本とも見ようぜ!」と言った旦那は音なしの構え。・・・と、思っていたらどうやら私ほどニュースは入っていなかった?らしくて「雨だな・行くか?」「ハイ!」
だって、公平なんて言葉「監督・・・」で使っちゃったんですもの。行けてホッて感じですよ。
で、生まれて初めてでもないけれど、マジで嘘っ!って感じですが、寝ました。私が?映画で?旦那と並んで?信じられない!っと心の中で騒いでいます。
冒頭、余りにもつまらないインタビューを聴いているうちに・・・頭を並べて・・・で、一人馬鹿笑いする人が居たんですね。その人にところどころで起こしていただきました。(あいつはサクラか?なんてちょっぴり思っているんですが)
でも、どう考えても・・・寝ていても聴いてはいるんですね・・・ハッと目覚めると忘れるんですが・・・で、絶対どこがおかしかったのか私には解からなかったんです。なんかコメディアンの冴えた閃きでもあったんですか?笑の世界での将来的展望でも見えたんですか?笑を説明してもらうなんて・・・冗談じゃないって思うから訊きません!松本さんファンには面白かったんでしょうか?あの応答?う・不安だ?
私が声を出して笑ったのは「ここから実写で・・・」の後の何分間かです。でも、公平のために書いておきますが「監督・・・」では、ほんの一声二声しか声は出さなかったから、笑い声を秤に載せるとすると私の場合松本さんの方が重かった!ということになりますか。
どっちも攻略本が必要かな?と、思う点で同点?松本さんが始めに出した本は息子に借りて読んで面白かった記憶があるんだけどな。
期待がすっぽ抜けたのは年齢のせいじゃありませんよね?だってね、その日映画館内をくまなく見回しましたが、我夫婦が俄然飛びぬけて高齢、最高齢!松本さんだって40越え?はて北野さんて幾つだっけ?私あせってる?なんで?
邦画、ここんとこ私には今一喰い足りません・・・悲しい!
やっぱり「キサラギ」か「舞妓Haaan!!!」見にいかなくっちゃ駄目かな?
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憑神

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監督  降旗康男
出演  妻夫木聡、西田敏行、香川照之、赤井英和、夏木マリ、佐々木蔵之介、鈴木砂羽、森迫永依、佐藤隆太、江口洋介

浅田次郎さんの原作です。本は読んでいません。このところ彼の小説数冊読んで、余りの上手さに舌を巻いて・・・一寸やりすぎ!と言う気がしないでもないのですよ。してやったり!という作家の顔が見えるようなんですもの。一寸西田敏行さんと似ています。彼も実に上手い!文句無く上手い!上手すぎてやっぱりしてやったり顔に見えないことも・・・椿山課長に次いで又このダブルですよ。
少々(かなり?)痩せていただいて、天切り松も西田さんでどうでしょう?浅田さんと相性がいい感じがしますが?勘三郎さんやすまけいさんより?あーーー、それでもやっぱり、3人ともマズイ、屋根が抜けちゃうわ。
でもどうやら「大日本人」はパスに決めたらしい?旦那が行こうと言うのです。そうなれば否やはありません!と言うわけで夫婦50チケットゲット!ほんの一寸ですが彼は寝ましたね。やっぱり!です。でもこの映画の場合ナットク!って気もするんです。
西田さんにしては出番が少なかったせいですか、やり過ぎと言う気は全然しませんでした。むしろ疫病神に余ったそのパワーを分けてやってもらいたい感じ。西田さんなのにあんなへなちょこ調伏でへなへなになっちゃうなんてなんか間違ってない?ってくらい。折角の3巡さん、もっと弾けて貧乏!厄病!真骨頂を見せて欲しかったな!でも3神にハジケル時間を与えたらシリーズ3本物になっちゃうかな。死神に愛される話ってちょっとありきたり?原作の長さはどのくらいなんでしょう?ぽっぽやはあれで映画1本持ちましたからね。
香川さんが江戸っ子の町人の、佐々木さんが江戸っ子の侍をそれらしく演じていましたし、この二人のキャラクターは最高!(砂羽さんとの夫婦が実にいい!)佐々木さんは本当に注目株です、と密かに思っているオバサンは私だけではないでしょうね。え、もう高値?
妻夫木さんには「父子鷹」の勝小吉あたりを読んでもらって勉強してもらうと貧乏御家人の小倅の雰囲気もっと出たんじゃないでしょうか。(勝さんといえば麟太郎さん、江口さんだけ妙にあの映画で浮きませんでしたか?見ていて妙にコミックに劇画が一コマ紛れ込んだみたいな場違いの気恥ずかしさを感じてしまったのはなぜかなぁ?私、江口さんのファンなのに?)
彦四郎さんは貧乏旗本の次男坊にしてはちょっとばかし可愛くておっとりしすぎていたかな。でも死神が彼を好きになる感じにはぴったりだったのかも。それに将軍の影武者になるにも。慶喜さんて水戸っぽの若様だったのだからあまりべらんめえになってもね・・・ってとこでしょうか。3神にとり憑かれて成長して行く彦四郎に感動するより、3神に振り回される江戸っ子侍をもっと楽しみたかったなぁ。
というわけで?なんだか少しずつ帯に襷にどっちにしても物足らなくて、どうせならもっとやりすぎてくれてもよかったのにぃ・・・と思いながらエンドタイトルをにっこり笑って見ていたら、変なところでやりすぎを見ちゃいました。「お台場でなにしてんですか?浅田さん!」
城跡歩いていると崩れたお社がよくあります。いつもお参りしていたんですが・・・ちょっとどんなもんかな・・・ぁ・・・お参りするのにこれから勇気がいる?
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パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド

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監督  ゴア・ヴァービンスキー
出演  ジョニー・ディップ、オーランド・ブルーム、キーラ・ナイトレー、ジェフリー・ラッシュ、トム・ホランダー、ビル・ナイ、チョウ・ユンファ、ナオミ・ハリス、キース・リチャーズ、ケヴィン・R・マクナリー

見たくて見たくて、首を長ぁ~くしていましたが、どこかであの音楽を聞くたびワァークワァクしていましたが、ようやく見てきました。首が長く伸びていた分不利?になったかな!
同じバタバタめまぐるしいコミカル冒険活劇?でも、なぜか2の方がずーっと面白かったな。顎が外れかけたものねぇ。だからこそ期待も膨らみきっていたのに。
でもそれはこっちの勝手かな?考えてみればあれだけのテンション維持してさらに意表を突いて面白楽しくっていうのは実に難しいよね。しかも思いっきりどたばたわくわくさせた上でを期待されているのだから。
しかも、2で解からなかったこと3で全てわからせてくれるとも期待していたんだから・・・
多分製作に携わった人は皆ちゃんと自分の中でつじつまはあっているんだろうね?
でも私は回答を覗き損ねたのかなぁ?それとも答えはまだこの先に?
勿論ジョニーは期待通りと言うかそのままというか平行移動というか?だからそれでいいかっていうとそこが難問なんだねぇ。
分身ジョニーは面白いアイデアだったし楽しんだよー、あの白い塩?砂漠の海賊船は一寸いい感じで楽しい美しい夢みたいだったよー、船の間を跳び跳ね行き来するジョニーは真骨頂だったよー、エリザベスと別れる時もいい感じのジョニーだったよー・・・で、最後のジョニーの表情とシチュエーションだよねぇ・・・まさか?4でブラック・パール号取り戻すって?かな?それ、期待すべきかな?いやどうかな?謎々の正答は知りたいんだけど・・・はて?知るべきか?
我ながら素直なジョニー様大好き冒険大好きワクワクフェチの観客なのね、私!
お気に入りと言えばあの渦潮だね。カリプソの渦?
〈名にしおう激流の瀬戸。門司・赤間・壇ノ浦はたぎッておつる潮なれば、源氏の船は潮に向っておしおとされ、平家の船は潮に乗ってすすみ、源平死力をつくしての戦いは、はじめ、平家に有利・・・〉なんて・・・フライング・ダッチマン対ブラックパールはたぎって落つる潮の中・・・なんて節が付きそうな按配・・・そういや連休に瀬戸の渦潮覗いて来たとこだっけ、それより台風の目というべきかな?素敵な渦潮でしたねぇ・・・!あの中の二艘の襤褸船のなんと楽しくワクワクさせてくれたことか・・・
ただね雁首並べた折角の9人の海賊が小粒なんだもの、出番が妙に中途半端で・・・キース?ジョニーに(が?)似ていたよ!
だからか、なんだかバルボッサが一人勝ちした印象なの。
演技力でジョニーの存在感に太刀打ちできちゃっていたもの。
ラッシュさんて何をやってもその場をさらっていく感じがするのよ「やられちゃったね?」って主演の俳優さんに同情して上げたくなるような。ただこの映画、演技力は必須?って気もするね。いや、とんでもない絶対必要条件!ですよ。じゃなけりゃこれほど、3まで、引っぱれました?
で、ここに来てオーランドさんがやっと男になれた感じです。
中性と少年の間をさ迷って大人に成りきれなくて歯がゆかった感じがキレイに拭い去られました。
だから?私もエリザベスになりたいなぁ・・・、10年に1度1日だって?いいな!いいな!でもヒョットするとディヴィの代わりになっちゃったウィルは年取らないんじゃないのかなぁ・・・10年で1歳だったりして?いかに美貌のエリザベスでもそれじゃ辛すぎる・・・?
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ボビー

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監督  エミリオ・エステヴェス
出演  アンソニー・ポプキンス、イライジャ・ウッド、マーティン・シーン、シャロン・ストーン、ヘレン・ハント、デミ・ムーア、ハリー・ベラフォンテ、クリスチャン・スレーター、ウィリアム・H・メイシーリンジー・ローハン、ヘザー・グレアム

あの時代を記憶している・・・といっても、もう何枚もベールを重ねた向うだけれど。それにボビーの兄のケネディ暗殺のニュースの時の衝撃も忘れていない。ケネディ家はそれまでがどんな栄華を重ねてきてあれだけの家になったのかは知らないが、ジョン以後悲劇の家として永遠にアメリカの歴史に残るだろうということは確かだろう。
でも、この映画はJ・F・ケネディ暗殺に関して作られた幾つかの映画のように暗殺犯人を割り出そうとするような映画ではなかった。ボビーの暗殺当時のアメリカの普遍的な?ホテルの一日を、日常を描いているのだ。あの日のアメリカ人たちを!
あの日、あの時・・・不思議なことに私にとっては、登場する俳優たちそのものがあの時の具現のような感じだった。
アンソニーはいつもながら柔らかな存在感を表現できる最高の役者さんだし、彼がいるだけでそこには暖かさをまとった懐かしさが醸しだされる。古きよき時代だったような。でも実際は暗殺が行われた時代だったのだ。普通の時間の中に紛れ込んだ異常。平和な日常の中に突如として起こるテロのような。アメリカは変わらないし、世界は変わらない。そこに住んでいる人間も変わらない。過去は今に他ならない。映画が描いているのはそういうもののような気がした。
けれど、シャロン・ストーンとデミ・ムアの今の姿は私には失われた時間の経過を如実に思い知らせる。「あぁ、なんと時が立ったことか!」世は移り人も移る!彼女たちは円熟して昔の美しさを私に思い起こさせる。なのにアメリカは円熟していかない。彼女たちの栄光はまるで過去のアメリカの栄光の様。しかし新しい人、若い女優たちが又彼女たちの栄光の道をちゃんとなぞってゆきつつある。時代は進み変わってゆく!
しかし不思議なことには男の俳優さんたちにはそういった感慨がわかなかったのだ。ウィリアム・H・メイシーもマーティン・シーンも代わり映えしないしアンソニーの老成もイライジャの子供っぽさも感慨にはならない。
男が変わっていかなければ世は変わっていかないのかも・・・って、理不尽な考え方だけれどふとそう思ってしまった。
あの地でアメリカンドリームが伝説である間は、夢を見続けられる人と夢から醒めた人がいる間は、いや只単に人間が踵を接して生きている間は日常と異常は常に背中合わせ?
それを丹念に見せてくれた後にかぶさるボビーの演説!
永遠に色あせない希望!やっぱり人は希望が欲しい!理想を抱きたい!良心もある!絶対ある!
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監督・ばんざい

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監督  北野武
出演  ビートたけし、江守徹、岸本加代子、鈴木杏、吉行和子、内田有紀、藤田弓子、モロ師岡、井手らっきょ

北野武さんというかビートたけしさんというか、私の中では区別が付いていないほど、余り興味ない・・・と言うのが本音です。
「座頭市」しか撮った物も、出たものも映画は後にも先にもこれっきりしか見ていないくらい興味はありませんでした。「座頭市」も勝さん好きだった父の付き合いですよ。
だからチョコット興味があったのは又?舞台がカンヌか!くらいですか。松本さんとどっちが興行的には勝つのだろう?なんて殆ど向こう岸からの野次馬程度です。
だから旦那が見に行こうと言ってくれたときには「?」って感じでしたが、多分?映画誘ってくれるのはある程度彼の気遣いですよね?それにまぁ、映画ならほとんど行けるチャンスは逃がしません。
で、二人で出かけて、ぼやっと笑ってなんだこりゃ?とブスっとして帰ってきました。多分私の顔もいつも以上にブス!えー、いつも以上って?コワッ!
でも、なんと“あの”旦那が鼾をかきませんでした。これは特筆?
まだ、見ていませんが「興行的には?」なんて考えていたのですから公平の立場で?やはり「大日本人」も見るべきだとは思っていますが、正直カンヌに行く「お笑い」?って心配です。
日本人ってどんな風に見えるのでしょうね?そこに一番興味があったりして。
この映画です。参っちゃうのは多分評論家さんほど(多分ビートたけしさんファンほど?)この映画に色々な膏薬を貼り付けられるだろうな・・・って感じてしまったところです。これって何気に凄い!とまぁ私もぶって?書いてみました。
早い話何気に才能と言うかひらめきというかは感じると言えば感じますけれど?只それだけを投げ出してどうだ?って見得を切っている。乃至はあなた任せに放り出して気取ってみている?
乃至無労死・・・なんてい言っちゃったりして・・・って気分。
だけどなんと時々笑ったんです。でもそれは全部俳優さんたちの努力の賜物。それにしてもこの映画に争って?出たい理由を皆さんから聞きたいなぁ・・・そっちの方がやっぱり興味あるっていうか・・・脚本の(あったとして、そう思わせるのが眼目だった?)どこにひかれて、何を感じて出演したかったのかなぁ?教えて!江守さん!何でアンナニ頑張れたの?
物を作り上げる人の途中経過を投げ出されたってソリャ違反じゃないのっていう気ばかりするのよね、結末をつけてからの作品をどうぞ、って思うのですが。作家なら自分の中のカオスを乗り越えて創造した物を見せてナンボ?でしょう。大向こうのファンはそれも面白いのでしょうけど、それに甘えていいのかなぁ・・・才能に胡坐をかいてファンにちょっと骨を抛ってやっただけ?
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あるスキャンダルの覚え書き

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監督 リチャード・エア
出演 ジュディ・デンチ、ケイト・ブランシェット、ビル・ナイ、アンドリュー・シンプソン、トム・ジョージソン、マイケル・マロニー

先日知り合ったばかりの方と映画の話で盛り上がりました。その方からお電話でこの映画誘われましたが、あの時毎週ご主人と映画に行くと言っていらしたので、「ご主人は?」「彼が見ても面白くなさそう。」
「全くその通りだ!男性には見せたくない。」と、思いました。
でも女性にとっては・・・!殆ど女性で埋め尽くされた映画館で見終わった時、期せずして多くのため息が漏れたのを聞きました。
そして、その方も私も本当に深いため息をついていました。
映画の中の二人の女性、ジュディ・デンチとケイト・ブランシェットが演じたバーバラとシーバの中にどなたもいくばくかの自分を嗅ぎ取ったからではないか?と思ってしまいました。
どちらの女性に傾いても、程度の差こそあれ、女なら多分誰しもが映画の中のシチュエーションなり、感情なりに覚えがあるでしょう。もしその人が孤独を知っていたら・・・受け入れられなかった何時かの記憶があったら・・・そして、どんな社交的でどんなに愛されてきた人でもきっと何らかのバーバラとシーバに思い当たるのではないかと思いました。
嫉まれた人も、嫉んだ人も。執着した人も、執着された人も。受け入れられた人も、拒絶された人も。一人暮らしの人も、家族に取り囲まれている人も。これは私がどっちの側の人間であるということではないのです。不幸なことにこの女性を演じた二人の女優さんは余りにも上手かったので、女の性がむき出しに描かれすぎたのではないかという気すらして恨めしい。いやぁ、怖かったなぁ・・・と言うのが実感でしょうか。えぐられた感じですよ。
人はどれだけ孤独だったとしてもそれに慣れることも狎れることも出来ないのだと思い知りました。バーバラは過去に執着した人を“病気”にしているのに、又執着したシーバを追い込んでこんなスキャンダルに、そしてその後も又同じ金髪の弱々しい人に擦り寄っていく・・・学ばないというか、もうその性としか言い様がないのですが、その性こそは彼女の孤独だった人生が彼女に付与したものだと思うと哀れです。ジュディ・デンチさんの厳しい顎の線と容赦の無い目の光がそれをものの見事に表現しつくして怖い。あのヘンダーソン夫人の愛すべき頑固さとは全く違ういこじさを見せていましたね。微塵も、これっぱかしも愛される何かを持っていませんでした。
そして一方のシーバもあれだけ傍から見れば問題はあっても生きていくのに不足を言っては罰が当たる?かとも思われる状況下でも満たされない空虚を抱え込んでいる。誰かから影響を受けて塞ぎたい穴を持っていてその誰かから流され易い性を持っているとも言えるのかな?過去に30歳も?年上の夫に充たしてもらい、今少年に、そしてバーバラにと・・・。そして又夫の下に塩垂れて還ってゆく。
永遠に彼女もこの循環を続けそうな哀れさです。ケイト・ブランシェットさんが甘い惨めさ弱さをその姿いっぱいに美しく表現して悲しいくらい愚かです。ガラドリエルで表現した尊厳の欠片も見せません。
そして自分の中にある何かを顕微鏡で覗き込めば彼女たちと同類の欠片が私の中にもしーんとしてあるのです。それはやはり拡大して見たいものではありません。その気持ちに行き当たった時あのため息が洩れたのです。初めての方と一緒に見るには心底疲れる映画でした。行くならお一人でどうぞ!
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スパイダーマン3

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監督  サム・ライミ
出演  トビー・マグワイア、キルステン・ダンスト、ジェームズ・フランコ、トーマス・ヘイデン・チャーチ、トファー・グレイス、ブライス・ダラス・ハワード、ジェームズ・クロムウェル

1、2を見に行った友人と行くのを楽しみにしていました。
「来るね!」「来たよ!」
楽しみにしているシリーズがあるって言うのは嬉しいです。
「パイレーツ」も「エラゴン」も新しい「スーパーマン」も「オーシャンズ」も・・・おっと忘れちゃいけない「ダイ・ハード」!
私の中の子ども(いや男気?)が楽しみにしています。
そしてこれらはちゃんと安心して楽しめるように出来ていますよ。
映画のもともとの楽しみはこういうワクワク感でしょう?
1,2,3と見て好きなのは2かな?と、思いますが、いずれにしてもスパイダーマンのあのアクション、ビルのすき間をスーット渡っていくあの動き、あのリズム感とスピードが好きです。
だから物語がどんなでも構わないっていうところがあります。
特にM・J関係はどうでもいいんです。
スーパーマンだって私はロイスは誰がやっても気に入らないと思いますし、スパイダーマンも然り!「何でよりによってロイスは彼女でM・Jは彼女なのよ?」って気持ちを心の隅から追っ払うと、後はスピードと浮遊感を楽しむのに夢中です。悪人もその筋書きも好悪はあっても良悪は私の中では存在意味は薄いです。
彼らが激突して建築物などが崩れていくあの映像が凄いかどうかが第二です。「きゃぁっ!」と言う声を飲み込んで掌をしっかり胸の前で握って乗り出せれば後は「あ、面白かった!」と胸をなでおろせればいいのです。
勿論ピーターの日々は大事です。それが彼の動きを支配するのですから。ピーターの復讐心や恨みや悲しみや慢心やいい気や恋心や友情やその他の彼の感情は今回もキーです。ピーターに共感できれば彼の動きに付いていくのはより楽しくなりますから。
今回の黒いスーツのものが何を象徴するもので、それをどのように克服して行くかとか親友のニューゴブリンにどのように真実を理解してもらうのか、その彼も友情と恨みをどうするのか、役を下ろされたM・Jもカメラマンの職保全に汲々とするピーターもカメラマンの職を奪う青年にしても、サンドマンの生活にしても・・・つまりあらゆるピーターを含めて彼の周りで起こる全てがいかにスパイダーマンの行動を引き出すかの触媒なのだから・・・その意味でそれらを筋書きを、あげつらおうなんて気持ちはさらさらありません。
もう乗り出した姿勢そのまま楽しむ気分満杯で映画館に滑り込んでいるのですから。で、今回も息を飲んで楽しみました!
「何であたしゃこういうのがこんなに好きなんだろうねぇ・・・」と思いながら「やっぱり好きなんだね」と確認してきました。
今回はピーターと言うよりトビーさんの役者っぷりも楽しめましたし・・・黒いピーターの行動とっても笑えました!
サンドマンは結局あのままサンドマンとして永久に存在しちゃうのかしら?何でハリーを殺しちゃうのよ!(それを言うならば伯父さんを何で殺したのよ!もかな)何であの黒い宇宙生命体みたいのは教会の?鐘の音に弱いんだろ?(こんな話で教会持ち出す?)と、まぁ、色々あるけど、もし4が来るなら私は又ワクワクしながら行きますよ!
やっぱり?
彼女ともっと映画行けるともっと嬉しいのだけど・・・
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しゃべれどもしゃべれども

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監督  平山秀幸
出演  国分太一、伊東四朗、八千草薫、香里奈、松重豊、森永悠希

落語をベースにされると、こちらの期待感が高くなります。
「まんじゅうこわい」は誰のってとくには思わないですけれど、よく知っている話ですし、「火焔太鼓」は志ん朝さんので知っています。
ね、だから期待は高まるでしょう?高まりすぎました。「タイガー&ドラゴン」ってTVで秀作ありましたし。
期待にたがわなかったのは土地です。背景に切り貼りされた下町風情です。満員の都電のステップにしがみついて中・高と学校に通っていた私です。路線は違えど「三ノ輪」の文字が正面を飾っていた都電でね。私のテリトリーですし、その風情が映画の中でよく生かされていましたし・・・細かいことは無しで(あの都電だけでは行けないところだらけですけれど、クリーニングやさんを除いてね)水上バスなんておまけもあったし、登場人物もと言うより俳優さんたちとこの場合言いましょうね、皆好きで申し分なかったし・・・なのにこの淡々とし過ぎて・・・好感度の度合いと落ち着き先に悩んでしまうのは何故でしょうね。
決して悪くは無かったんですよ。いい映画だ!という感じはありましたし、気持ちよく見終えて帰って来ましたし。これっぽっちも厭な物はありませんでしたし。
少し節制し過ぎたんじゃないでしょうか。品がいいといえばいいし、節度があるといえばあるし、落語の世界のように気のいい世界だといえばそれはそうだし・・・でも変人が集まったエネルギーみたいなものをもう少し発散してもいいんじゃないかなぁ・・・マァ、言ってみれば下町が一寸山の手に侵食された?人情物のほどの難しさですね。
花よりもなほ」って言う映画を思い出したのですが、あのエネルギーは好ましかったなぁ・・・お江戸の雰囲気下町気質の発露の点でも。
細部を情緒だけで押し切った?(いやーでもほおずき市効いたな、私には)3人の生徒を紋きり型で作りすぎた?国分さんの三つ葉さんは好演と思えども、下町のざっくばらんとは一寸違う感じ?雑ックバラン?
話方教室→落語教室→悩み相談会=二つ目さんの成長って寸法なんですが、教室に意外性があることはあり発想が面白くないこともないけれど、うーんただ人との出会いとそれによる触発ってことでもよかったみたいだなぁ・・・でもそれじゃおばあちゃんの出番が無くなる・・・え、「火焔太鼓」の出来が良かったのは酒のせいでもよかったの?的な消化不良があったってことでしょうか。
ただ森永君の大阪弁の落語には最高点を上げたいです。彼の早口のあのテンポ、全体に底上げして欲しかったのがそうテンポ!かな?もっともこんな子に周りをうろちょろされたら大抵の下町っ子はやりにくいと思うと思うよ。
枝雀さんは好きでしたねぇ・・・だからこの坊やにはホント参りましたね。枝雀さん、子供の頃はこんな坊主だったかもなんて、「いや、こいつはいけねぇ」って気持ち!わかってもらえるでしょうか。
香里奈さんのぶっちょう面っぷりもなかなかお得!?
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バベル

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監督  アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトウ
出演  ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット、役所広司、
菊池凛子、ガエル・ガルシア・ベルナル、アドリアナ・バラッザ、二階堂智、エル・ファニング

「バベル」と表題を聞いた段階でこの映画のモチーフというか監督が言いたいことの概略がわかるような気がしましたが、はて、ブリューゲルの「バベルの塔」ほどの?映画大作が出来たのでしょうか?
旧約聖書でもこの話は面白く読んだような記憶もありますし・・・ちょっと素通りしたくない含蓄満ち溢れた心躍る題ですし・・・後ろに「ベン・ハー」「スパルタカス」「十戒」「クオ・ヴァデス」みたいななつかしの大作が顔を出しているんじゃないでしょうか・・・なんて・・・現代の巨匠がどんな塔を築き上げたか見てみようじゃないですか?
入り口で「上映開始から1時間20分後のクラブ内のシーンにて。1~2分の間、照明が高速で点滅するシーンが・・・云々」のお断りを貰って、ちょっとドキドキ?なんか凄いものが見られるのかなぁワクワク?
・・・!やっぱりバベルの塔は築き上げるのは本当に難しかったようです。何を表現しようとしたか。何を描きたかったか。何を伝えたかったか。ということに関しては私なりに受け取った物はありました。4つの国、4つの言語。すでにして、人々は分けられ共通の物は何一つ無く、理解し合い繋がり合い知り合おうとなんか、はなっから思っていない人間たちに1発の銃弾という災厄?が降りかかることで、繋がってしまった物語。風が吹くと桶やが・・・ですか。
この監督はメキシコ人だそうで、それでかな、メキシコの結婚式の挿話が一番地に足が付いているというか生き生きしていたなぁ・・・裏返すとこの中の日本部分にはちょっとナットクが行かなかったってこともあるのだけれど。そうそう入場時に渡された「照明高速点滅」はまさかと思った日本シーンでした。驚いたけれど、確かに渋谷は私にとって既に?得たいの知れない町だから、「こんなのかな?今の渋谷は?こんなんかな?今の高校生は?」でもあったのだけれど。ただ今の高校生がどんなであるにせよ、この子供たちが世界中で「日本の女の子って・・・」の基準にまさかならないでしょうね?いえ、ソリャどこにだって色々な状況下の色々な人がいるでしょうけどって百も承知。その上でデモネです。言葉も心も通じあわなくなった関係を描くのに父娘を持ってくるのはいい!通じ合えない表現としての聾唖もいい!それでもデモネと思ったのです。この監督の中にある日本てなんでしょ!これですか?
それだけでなく、きっとモロッコの人もきっと描かれたモロッコに悲しむのじゃないでしょうか?モロッコの現状が「あの感じ」だとしても、描かれる子供は何故ああじゃなければならなかったのか、そこに全く共感も理解も抱けませんでした。
彼が妻・子を取り戻せたとしてその代償は?で、日本人の父娘が理解しあえたとしてその代償は?
大作の印象はあったし、気宇も感じましたが、読み解いて理解したいという気持ちになるには厭な棘が幾つもあって不愉快だなぁと思ったのです。
お互いの心を繋ぎあうための旅行に何であの土地を選ぶの?子供を失ったらしいのに何故大事な子供を子守任せに出来るの?テロが怖いアメリカ人旅行者が無防備に何でイスラムの地へ出かけていくの?子守の事情に無頓着でその結果に責任をどう取るの?他人の子供を守りきった子守が全てを失ったことに?アメリカ人の前で自己を通じさせられなかったあの能天気な甥はどうなるの?子供を殺された父親に何を伝えられるというの?あの悲しみをどう贖うの?あの国とこの国のために一方のあの国とこの国はツケを払わされると?世界の今はこんなだと見得を切りたいの?それがなんになるの?・・・とまぁ、こんな気分でいい訳はありません!それが狙いでしたか?この棘こそが意図だと?結局こんな風にメキシコ人には日本もモロッコも解からないのですよって?そもそも神は人間が嫌いなのかも!
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