プラダを着た悪魔

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監督  デヴィッド・フランケル
出演  メリル・ストリープ、アン・ハサウェイ、エミリー・ブラント、スタンリー・トゥッチ、エイドリアン・グレニアー、トレイシー・トムズ、サイモン・ベイカー

いやいやいや・・・満席でした。まだ早かったか!40分も前に行ったのにそのあおりでかなり前方の席になっってしまって疲れたぁ!
それにしてもほぼ90パーセントは女性、それもちょっと年齢アベレージは低め?私も誘ってくれたのは8歳も年下の友人、ブランド情報通(私よりはね)の彼女は入ってくる女性たちのバックの解説をしてくれました。
映画の中もゴージャスだったなら、会場もかなり?ゴージャス?
「ひょっとしてあなたのそれプラダ?」
「そうだよ。」
「あれ、ヴィトン。あれは分かるよね?あの人のあれシャネル、あっちほらあれエルメス、あれ三越にやたらとあったでしょガッバーナ。」「みんな本物?」「?」
と、まぁ、始まる前から賑やかでした?が、銀座スカラ座の私の隣の超ミニのもこもこショートジャケット・シャネルバックのお姉ちゃんはこっそり紙袋から取り出したカップヌードルを映画が始まってからもすすっていました。
注意する肝、元へ、気も!失った私でしたが、間もなくその残り香?も気にならなくなってゴージャスでハードな世界に引き込まれた私でもありました。
何もかもひっくるめてピンクのオブラートに包んでベルベット・シュガー(そんなものがあるならね?)をたっぷり振りかけてシャボン玉で包んで差し出された世界!
確かに映画が終った時点で弾けて消え去りました!
実話だそうですが・・・とっかえひっかえ出てくるブランド名と衣装・バック・靴のオンパレードはそれだけで圧巻。美しくて魅力的で豪華で・・・後何ていえばいい?
鬼上司と成長する若者譚なんてお話はもうどうでもいいの・・・になっちゃいます。
で、目くるめくその世界は実話らしさの欠片も吹っ飛ばしてしまう迫力!
ターコイズ色のセーターを着てきた主人公に全く無頓着にその色のセーターを選んだ彼女にミランダが「背景」を簡単に辛らつに説明した短いくだりは眼からうろこ!
ウォー!私のワイン色のセーターもそんな流れの結果だったりするわけ?
アホに見えた隣のお姉ちゃんたちのブランド信仰?もいじらしく思えましたよ。
ミランダが言っていたじゃありませんか「この本に憧れ読みふけってこの世界に憧れて、やってきて直ぐ首になっていく娘たちは馬鹿が多い」っていうようなことを、アンディを採用した理由としてね。
それでもそういう子供たちに(女性も男性もひっくるめて)夢を見させる力って凄いじゃないですか。踊らされているのを承知で踊ってみたいっていう気にもなりますよ。
最もアンディ、サイズが幾つだろうとあのお眼々を持っていたら・・・男なら?皆溺れちゃいますけどね。
私もサイズは4なんだけど・・・手と足と長さを詰めると・・・サイズ8どころか・・・に、見えちゃうんだもの、鼻ッから論外。まずは、ピンヒールで走り回れなくちゃね?
でも別の次元に存在している私はああかも知れないし?黒を着こなせる?へへッ!
メリル・ストリープがその非の打ち所のない若いアン・ハサウェイを向こうに回して魅力で一歩も退けを取らないの。凄くない?
「ソフィの選択」のメリルは一生忘れられない存在だけれど、こんなメリルはメリルでいいなぁ・・・ウットリでした。ただの鬼じゃないの。あくまで実力をがっしり発揮している素晴らしい人間なのが分かるのよ。
シャボン玉が飛んでいる間思いっきり楽しみました!
でもそれより映画の世界から覚めたら「11ヶ月でサイズ2つもダウンさせる方法を教えてもらいたかったな!」・・・と。これは切実!!!
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黄昏

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監督  マーク・ライデル
出演  ヘンリー・フォンダ、キャサリン・ヘップバーン、ジェーン・フォンダ、ダグ・マッケオン、ウィリアム・ラントゥ

先日カズオ・イシグロの映画化だからといって「上海の伯爵夫人」を見に行ったが、彼の作品というとなんといっても「日の名残り」が印象に残っている。その「日の名残り」の事を思い出すと連続して思い出されるのがこの映画だ。物語り的にも全然関係ないし、舞台もイギリスとアメリカだし、単純に日の名残りが見られる時間が黄昏だからだ?と言ってしまってはみもふたもないが。
ただ老人を描いたという意味で、しかも頑固に生きた老人を描いた、人生の終章を描いたという点で共通の味わいがある。
先日八千草薫さんと杉浦直樹さんの出演での舞台の広告を見ていた。
多分非常に好配役だろうなぁ・・・と思ってその記事を読んだが、日本人の俳優によって演じられるその舞台は身近過ぎて自分にぴったり引き付けてしまいそうだぞ・・・という懸念もある。
「黄昏」も「日の名残り」も外国の話だというところに程の良い感傷に素直に浸れるという一種のクッションが私の場合あるのだと思う。照れないで見られるのだ。
老いてはいてもヘンリーもキャサリンもおしゃれだったしなぁ・・・あの当時そう思ったのだった。
全てが人も別荘もその周りの景色も羨ましいくらい美しかった。
そのあたりで痛みを感じないで感傷にふけれたのだろうと今は思う。
だけど今は切実なんだなぁ。
人生の黄昏がいつかということは人それぞれだし、その同じ人でもある年はしっかり黄昏ていたのに、翌年は気を取り直して生き生きしていた・・・なんてこともあるし。そろそろ老年を迎えるから親孝行できる時に・・・なんて思い初めた頃に急に亡くなってしまった母のようなこともある。その私の母は自分の人生の黄昏時を認識したことはあったのだろうか?母の歳までまだ15年も残している私は先月から起きた腰痛を庇っていたら?首も回らなくなってしっかり人生の終わりを痛感している。だから?この映画を思い出した?
いずれにしてもこの映画は決して忘れることのない輝きを私の映画史?のなかに燦然ときらめかせている映画の一つだ。
人なら大抵は必ず迎える時の一つの普遍的な現れのような気がするからかもしれない。
夫婦が二人で老年を迎えると、きっとこんな時が来るのだろうなぁ・・・という?
子供と問題のない親なんてそうはいないし、首尾よく分かり合えて、愛を確認しあえて・・・晩年を迎えるなんてこともそうそうはないかもしれない。
ヘンリーとジェーンのフォンダ父娘が同じ眼をしていた、確か。
だからなお更親子のことが、確執も理解も素直に心にしみたんだろうか。
でも時間が無くなる時が来ることは確からしいから?なるべくは心を広くおおらかに(大雑把に?)受け入れることは受け入れ、受け入れられないことも受け入れ・・・ということも心できれば・・・と思わされた映画だ。
だけど頑固になっていく一方、せっかちになっていく一方、弾力性がなくなっていく一方、我慢がきかなくなっていく一方・・・なんだなぁ・・・やっぱり今はもう人生の日の名残りを秒読みしている段階に入ったのかなぁ?
願わくば、キャサリン・ヘップバーンさんのような美しい賢い老年を迎えられますように・・・と、ひたすら願うしかないかな?無駄だ!無理だ!有り得ない!
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カポーティ

映画タイトルINDEX : カ行 4 Comments »

監督 ベネット・ミラー
出演 フィリップ・シーモア・ホフマン、キャサリン・キーナー、ブルース・グリーンウッド、クリス・クーパー、クリフトン・コナーズ・Jr

「ティファニーで朝食を」と「冷血」で名前を知っているトルーマン・カポーティを描いた映画でアカデミー主演男優賞受賞の映画であって、見たい気分十分の一方で、予告で見るホフマンさんはどうみても私のタイプじゃない?って言う言い方もどうかと思うけれど苦手・・・というわけでシーソーのギッタンバッタンという感じでズーッと「見よう、止めよう」の行ったり来たり。
結局今日見てきたのは友人に「「プラダを着た悪魔」まだだよね?来たら行かない?」と誘われて、何時から始まるか調べてみたら銀座ではカポーティと入れ替えなの。
「明後日までだ!」と、思った途端出かける支度をしていた・・・というわけ。
それで・・・見ている間から既に・・・「こりゃぁ何も書けないぞ!」と思っていた私。
カポーティって言う人の人となりが浮かび上がってきてそれが真実かどうかは別として、こういう複雑な陰影の人物を浮き彫りにしていく俳優の力量と言うものがひしひしと感じられたことは確か。
こういうのを適材適所?いい役を引き寄せたのもやっぱり実力!
それに時代の感じ、文壇やその周辺の社交事情、人間関係などがまるで?まさに?文芸作品ですよという知的な雰囲気をかもし出していてそのあたりが魅力的だったことも確か。
一つの新聞記事から想を得て、ノンフィクションの作品が生み出されていく緊迫感・執念?もきっちり表現されていたことも確か。
さらにその過程でカポーティの上を通過していく様々な葛藤などが作家って言う職業の業の深さを見るものに語りかけてくるのも確か。
だけど不思議なことに、確かに語りかけてくるものがこんなにもあるにもかかわらず、この作品は好きにもなれず「いい映画だったなぁ。」とも言い難い気がしたのは何故だろう?
「冷血」を生み出した後の彼の心がどんなになったか・・・気の毒だなぁ・・・引き裂かれたろう・・・と思いはしても、命と引き換えに何かを生み出すというのが作家の宿命だろうし、こういう事件に引かれてのめりこんだのは彼自身の素質的?宿命だろうなぁ・・・つまりどこか醒めていて酔えなかった私。

余談ですが、「アラバマ物語」は私の中では子どもを描いた作品として「スタンド・バイ・ミー」と双璧だから「作家のリーさん(カポーティの弟子・友人だったの?)」にひょんなところでお会いできて?光栄!
それにクリス・クーパーさんの顔って好きなんです・・・ちょっと見れて良かった!
それにあんなにハンサムなのにろくな役で見ないケネディさんと呼んでいる(名前を直ぐ忘れるので)ブルース・グリーンウッドさんが今回はいい感じでよかったなぁ・・・と。
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上海の伯爵夫人

映画タイトルINDEX : サ行 7 Comments »

監督 ジェームズ・アイヴォリー
出演 レイフ・ファインズ、ナターシャ・リチャードソン、真田広之、リン・レッドグレーヴ、バネッサ・レッドグレーヴ

「カズオ・イシグロ」の原作というだけで私も見たいと思っていたら、案の定「日の名残」を最高の映画の1本だと思っている父からの誘いがあった。
カズオ・イシグロさんの作品を本で読んだことが無いので、経歴は全く知らないが、この映画も、見終わって「英国」の香りがしたと思った。日本人の名を持つこの人が描く「英国」は妙に魅力的だ。
「日の名残」はまさに英国映画だったが、この作品は上海が舞台で、しかもアメリカの元外交官が主人公の映画なのに何故「英国」を感じたのだろうかと考えてみた。
主人公のジャクソンを演じるレイフ・ファインズが英国人然としているからかもしれない・・・「ナイロビの蜂」の見事な英国人の役柄がまだ目に新しいからかもしれない?
何故イギリス外交官にしなかったのだろう?その方が自然だったろうにと思うが・・・あの当時上海の外国租界ではないところに店を持たせるにはアメリカ人の方が都合良かったのだろうか?などと当時を知らない身としては色々思いあぐねてしまった。
それほど英国ぽさをこの映画から感じ取れたということだろうが・・・レッドグレーヴ家のせいかもしれない。主な女優陣は英国人の母(ヴァネッサ)と娘(ナターシャ)と叔母(リン)で占めていたのだからかも?
それにしても「レッド・ドラゴン」のレイフ・ファインズを見た後で「ナイロビの蜂」を見たときの「嘘っ!」っていう感じはもう無い。
むしろこの紳士的な役柄こそ「この人のものだ!」と思えるところが凄い!これで私、完全に彼のファンになってしまいそう。
まぁそれはさておき、この映画の魅力は1936年前後の上海のなんともいえない猥雑な多国籍的魅力とエネルギーの表現にあった。
フランス租界とか英国租界とかでの一旗挙げ組や難民、権益に遅れを取るまいとする日本人など怪しげな人々の坩堝だったのだろうか?
その感じがこの作品をただの風変わりなロマンスものではないものに昇華せしめていると思った。
町の描写、「ホワイトカウンテス」やそのほかの社交場の描写に歴史の流れが覆いかぶさって醸されてゆく雰囲気が魅力だった。
そして見ているうちになんか妙に変なことに気を取られた。
中国という国はあの当時の列強による様々な侵食を忘れたのだろうか?阿片戦争後、様々な国に齧られていたということはどういう記憶になっているのだろうか?とか。
伯爵家の人たちは香港に行ったが、ユダヤ人と伯爵夫人とジャクソンたちはマカオに行くと言っていたけれど・・・どっちが正解だったのだろう?ジャクソンたちには愛という明るさが、ユダヤ人一家には知性という明るさがあったけれど?とか。
伯爵夫人が一家を食べさせていたけれど、ロシアも大家族主義なんだ。そして誇りというものは死ぬまでに随分とじたばたあがくものなんだ・・・とか。彼らはあの後どうやって生きていったのだろう・・・?
真田広之さんの演じるマツダがとても堂々としていて良かったなぁ・・・外国映画の中の日本人がやっとこの頃安心して見られるようになってきたなぁ・・・(ラスト・サムライ以降?)とか。
「伯爵夫人の持ち味?」の悲劇性と諦めがあの混乱の中で頼られることの嬉しさと頼れることの歓びとに変わっていったのを見て、娘のはつらつとした様子を見ていて、香りの良い映画だったなぁ・・・と思いました!
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監督  リチャード・ドナー
出演  ブルース・ウィリス、デヴィッド・モース、モス・デフ、ジェナ・スターン、ケイシー・サンダー、シルク・コザート

実を言うと、ブルース・ウィリス大好きです。
無理して映画を付き合ってくれると、必ず隣で眠る我が旦那(「父親たちの星条旗」の前半も寝てましたよ)が、「ダイ・ハード」を見た時だけは、「スティーブ・マックィーン亡きあとはこいつだな。」と、実にアバウトに「私のブルースはいいよ!」意見に賛成してくれました。
私の方は「ブルームーン探偵社」以来ですから、筋金入り?
でも彼は「ダイ・ハード」だけの支持者ですからね、つまるところ。
というわけで「付き合う?」に・・・煮えきれない「う~~ん。」。
待ってなんていられません。というわけでさっさと行ってきました。
思ったとおり楽しませてもらって帰ってきました。
この人の「楽しませてやろう」精神。好きですねぇ。
久しぶりの?「ダイ・ハード」系!この系、絶対損はしないですよ。
一段と冴えない老込んだしょぼくれた刑事になって・・・「髪」気になります?ブルースの頭知っていますよね?あのままでいいじゃないの・・・アガシと同じで格好いいんだから・・・と、思いかけたのですが、
あれじゃぁ、この作品のコンセプト?からいってしょぼくれ方が不足しちゃいます。ブルースのそのままの頭じゃ絶対この難事凌ぎきるって最初からわかっちゃいますもの・・・って、最初から分かっているのですけれど・・・!そこはそれ・・・いかにして?って問題じゃありませんか!
で、そこをちゃんと楽しませてもらって、ブルース・ファンとしては満足です。
今まで「ブルース好き!」って一項目作って書いていないなんて不思議です。でも確実に年月は経っていますね・・・淋しいくらいに。何時までこの「系」見させてもらえるのでしょう。
「ダイ・ハード4」があるらしいって、ホントですか?・・・だといいな。
善人顔の人が悪いと絶対本当に悪いですよ・・・という点でデヴィッド・モースも適役でしたし・・・だから最後のところで撃たないだろう・・・という予測もドンデンが効いて悪役に徹し切れていましたものね!
二人の間の長年の微妙な感情も想像の余地があって・・・ふくらみがあって濃くもいや増し。
そこで一つ。私の中で解決できなかったのがあの護送囚の黒人さん。
この俳優さん歌手ですって?信じられないのですが、私は声が厭でした。しゃべり方が厭でした。耳に障りまくりでした。うっとうしかったです。
いいこといっぱい言って、いい科白もちりばめられていたけど(だから、惜しい)、あそこまでしゃべり続けなくてもいいのにねぇ・・・って。
途中で「ガントレッド」思い出して、それも楽しめちゃったし・・・だけど、だから「あのバスが裁判所に横付け・・・って事は無いな」ってわかっちゃった・・・って、はなっからそれは無いでしょう。
妹とその仲間とか、隠し球がちょっと安易な気もしたけれど、気持ちのいい隠し球だからいい!
女(妻)?の匂いさせておいて、ありふれたその系のごたごたが無かったのも好感!
最後の決めはブルースらしくサッパリと快く決まって、出所後の誕生日はとても心温まるシーンで大おまけの付録みたいで、良かったなぁ。

しかしあの司法取引っていうのがいまいち理解できないんですよ。
最近あちら物?で、耳に馴染んでいますが・・・日本でもこっそりあったりするんですか?ブルースがどんな悪徳刑事だったのかはっきりしませんが二年の「お勤め」くらいで済むものなの?護送囚だった黒人の経歴抹消なんてことも実際取引出来るんですか?本当にあり?
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