マイレージ、マイライフ

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監督  ジェイソン・ライトマン
出演  ジョージ・クルーニー、ヴェラ・ファーミガ、アナ・ケンドリック、ジェイソン・ベイトマン、ダニー・マクブライト、メラニー・リンスキー、エイミー・モートン、サム・エリオット、J・K・シモンズ  

                                                                 

見終わって最初に思ったのは「いや、女は強いわ!」だった。
ジョージ・クルーニーの演じるリストラ宣告人ライアンは自分で選び取った自分の人生を支配していると思っている。 だから講演も楽々自信たっぷりにこなすし、キャスター付きの機内持ち込みバックに入るものしか背負わない人生を生きている。 家には何も無いし、家では精彩も無いし、家族の中にいても異分子だ。
世の中には似たような人生を送る女性も当然?居て、そういう女性と都合のいい付き合いは受け入れる。 映画冒頭実キャリーバックを軽々と転がしながら、実に軽やかに楽しそうに生きているこの男・女が不思議なもののように思えた。
それでもそのリストラをメール1本でしちゃおうという女の子が現れた途端に彼は旧世界の住人に見えてくるから不思議。
世の中はどんどん乾いて、痛々しくなるんだ・・・という実感まで感じてきてしまった。自分の仕事がリストラされそうになって彼が始めて人間らしく見えてくる。 実際泰然と自分を肯定しまくっていた男がうんざりしながら大卒の有能な女の子を意外にもウェットな世界を連れまわるのだ。 マニュアル通り非常に解雇宣告をしていた男が、人間に向き合うことの大切さをまるで教えているかのような?おかしくも彼にとっては理不尽な?シチュエーションに身を置く事になる。 そして当然彼は・・・ま、他にも親族の問題が重なってだけど・・・初めて人と向き合う事を考えはじめる。・・・とまぁこういう物語。
つまり、彼は老いて、若いためらいの無さの前で疲れたのだ・・・多分。 しかし、思い切ってウェットになり他人との未来を考え始めた時・・・皮肉だよね? ヴェラはもっと先に人生を割り切ってものに?していたのでした!・・・と、まぁ思えたわけですが・・・で、女の方が現実を把握しているのかも・・・です。
ヴェラになれる人は多分ほんの一握りだろうけれど・・・かっこいい!と思っちゃう危なさがあります。 ヴェラを演じた女優さん若かりし頃の岸田今日子さんを思い出させるような風貌なのですが、実に雰囲気があって、カッコイイのですよ。 うん、そう、こんな人生やってみたいなぁ・・・
で、ジョージ・クルーニーさんハンサムだと思いますがイマイチ大好きとはいきません。それでも見ていると本当にいい笑顔持っているのねぇ・・・と、負けそうになります。 だから人生まだまだこれからだし、選べるのよあなたは!と、言ってあげたくなっちゃった・・・笑顔、そう笑顔は大事!

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花のあと

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監督  中西健二
出演  北川景子、甲本雅裕、宮尾俊太郎、市川亀次郎、國村隼、
相築あきこ、佐藤めぐみ、伊藤歩、柄本明

見始めて風景の美しさ、静かな丁寧な映像・・・あら、「山桜」と同じ監督の作品かしら?と思ってしまいました。 藤沢さんの作品を映像化するには・・・みたいなマニュアルが出来つつあるのかもなぁ?
それにしても私の集中力は衰えつつあるのかもしれない・・・と、思わされたのは「山桜」を映画館で見た時はその‘ため’もゆっくりした人物の大写しも景色の長回しも心地よいリズムで気持ちを載せるいい時間のように思われて堪能した気分だったのに、その映画をTVで見たときには・・・やりすぎじゃないか?じれったい、思わせぶりすぎると思えたことだ。 ま、それは映画館と自宅では見る姿勢も集中力の持続も・・・ソリャハナから違うもん!と、その時は納得したのだけれど。
この映画の場合やっぱり集中力を試されているような気がしたのは何故か? 間が重すぎるように感じたのは何故か?
いい映画を観たと思う一方でそう考えたのは何故か?
多分原作が周平さんの作品の中でも私の大好きな短編であり、あの作品に漲る人生の諧謔味、ユーモア、大らかさが、あまりにじっくり溜めた主人公のしとやか過ぎる表情の中に薄れてしまったからではなかろうか? あの作品の持つ楽しさ、威勢が消えてしまっていたのが残念に思えたからに違いない。
間は難しい、本当に難しい。特に滑稽に措いては。また、情緒に置いても。 折角きりりとした表情を見事に出せる女優さんだったので、物語の切り返しにも私はもう少しきりっとした間が欲しかったんだと思う。
現在孫に囲まれて幸せでいる老女の述懐の中の懐旧。記憶の中でより麗しくなり忘れられない恋、あの当時、親や夫に従う性であった女性の一世一代の命をかけた反逆、そして夫となった男に抱けた信頼と親愛。 悲劇的な死の上にも人間の営みは着実に続いていき、常識が導く平穏な人生もまたくる。 悲喜劇綯い交ぜになる人生をまぜっかえせる人間の強さ知恵・・・そう、そうして人は生きていくんだなあと人間を肯える素晴らしい世界がこの作品にはあるのですね。そしてまた非業に倒れるのも人なのだと、若くして倒れた人を痛み続けるのもまた人なのですね。
 以登さんは謹厳ながら面白そうな人だと思っていたけれど・・・でも俳優さんたちはなかなか見事にイメージに合っていて、良かったです。

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監督  キャスリーン・ビグロー
出演  ジェレミー・レナー、アンソニー・マッキー、ブライアン・ジェラティー、レイフ・ファインズ、デヴィッド・モース、ガイ・ピアース

我が家は「アバター」を高く評価した。実際此処では多分侵略戦争に幕が落とされる・・・映像などの美術的方面では私の評価はもっと高い。 「アバター、見てないのよ」という友人を連れて二度劇場へ行ってしまったくらいだ。
そのアバターがアカデミー賞を取れなくて、まだ情報に引っかかってもいない作品が賞を取った・・・ということなので、確かめねば・・・という気分で出かけた。
そして、呆然とした。 この映画はアメリカ人にとっては多分意味があるのだろう。あるべき映画かもしれない。だけどおぞましい!
アメリカという国、こういう映画が出てくる国でしかもそれ(こういう映画を作れるということ)が、正義?として認識されていそうな国だというおぞましさ。そしてそれを評価してしまうおぞましさ。
だって、テロを作り出したのはアメリカの対外おしつけ!民主主義政策なんじゃないの?という気が常に私の底にあるからだろう。
全ての国が日本みたいに素直ないい子ではないのよ。敗戦でショックを受け自信を完全に消失している国じゃないのよ、イラクは。
かたくなに信じる宗教もある(日本にゃ無かったわ)全く米国と違う国であの頃の日本のように完全敗北を受け入れて小さく小さくなっているわけじゃないのよ、イラクは・・・多分。
「戦争は麻薬だ」確かに。冒頭おっしゃるとおり。個人としての兵士たちは麻薬漬けになっています。ランボーを見ていなくとも、沢山のベトナムを描いた映画の何も見ていなくとも・・・「フォレスト・ガンプ」をさえ見ていなくとも・・・戦争から帰ってきた兵隊のメンタルは想像がつく、私でも。
「戦争は麻薬だ」確かに。そして戦争は経済の即効薬であり、戦争は雇用の増強薬でもある。欲しい物を手に入れる認可薬だし。
だからアメリカは戦争を止めない。止められないのではなく止めないのだ。
自分で作ってばらまいた物は自分で回収するという鉄則がここにある。自分たちで生み出した爆弾弾薬は自分たちで処理しなければならない。そのために捨ててもいい命はアメリカには多分無尽蔵にあるんだ・・・そんな風な怒りで苛々させられた。
よく思うでしょ、そのビデオ乃至写真撮ってる時間があるのならその子を助けてよ・・・って。カメラを捨ててその子を守って!って。
そう、賞をあげてる時間があるなら危険に麻痺する前に、興奮と殺戮が常態になる前に、全ての兵士が麻薬漬けになる前に・・・自分の国の兵士を当たり前の日常に戻して。
そう思ってもらいたいと思っているのなら成功なのかも?

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