ラッキーナンバー7

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監督  ポール・マクギガン
出演  ジョシュ・ハートネット、ブルース・ウィリス、モーガン・フリーマン、ベン・キングスレー、ルーシー・リュー、スタンリー・トゥッチ

面白かった!
実は絶対友人が誘ってくれるだろうと思っていたので、とっておいたのに日にちが逢わないまま結局違う映画を見に行くことになって、ハッと気が付いたら近くの映画館はもう今週で終わり。私が行ける日は今日しかないことに気が付いて慌てて飛び出した。
だから思っていた以上の面白さに、見逃さなくて良かったと胸をなでおろしながら帰ってきたところである。
こういうブルースって大好き!「16ブロック」の彼と昔の彼と体をスポット入れ替えたんじゃないかと思うくらい顔も体も引き締まっていて、表情もしたがって?引き締まっていて、わーい!嬉しい!
ジョシュをはじめてみたのは「パール・ハーバー」だったと思いますがハンサムだとは思っても好きにはなれなかったんです。そしてルーシーもきつい印象が勝っていて目の険が厭でやはり好きな女優さんではなかったのです。(「アリー・マイ・ラブ」の印象悪かったし)だけど他のメンバー見てごらんなさいね。凄いでしょ?癖のある独特の何かを持っている人ばかりでしょ。楽しくないはずが無い!と、これだけで思えたのですもの。見る価値大いに有りですよね。トゥッチさんの可愛らしさって癖になりそうじゃありません?
美男も美女も若い時ってそれが肩に出るのでしょうかね?目いっぱい「いい男(女)だぞ、見ろ!」っていうのが嫌味になっていたりするのよ・・・なんて思うのは、はいはい、美貌に縁の無かった僻目です。
少し年を重ねると自然な美しさになる人が居ますよ。ジョシュもそう、男性の魅力が加わって表情が豊かになってきたのでしょうか。そしてルーシーもそう。何でこのメンバーにルーシーなんだ?って思ったのに、このルーシーはこの映画の中で始めて魅力的で可愛くてキュートだ!と思いました。だから私にとっては収穫の上乗せです。
さて、映画です。
なかなかスマートで上質の脚本だとつじつまが分かった時に思いました。後味もすっきり!想像の余地というか、こうらしいぞ・・・どうやら・・・見当も付かないような難しい謎ではないですが、おしゃれな話ですよ。
謎物が大好きなくせに謎に迷う趣味?濃厚な私にはこの納得感がお得!
俳優陣が皆上手くて表情も雰囲気も柔らかくて悪すぎるボスに見えないのに、死体はさて、幾つ?その殺人もが実にクールなので私は楽しんじゃいました。鼻ばかり折られるジョシュも可愛かったです?さて彼は何人殺したでしょう?ルーシーの殺害場面はギョットしましたけれど、ブルースの長髪は楽しめたし?最初の出だしの意表を衝かれる感じも好きでしたし、終わりのシーンも好きですねぇ・・・と言うわけで、何がどうで、何がこうだから・・・なんて理由は無しに楽しめました。
大体パンフや予告編に「ついてない男」って書きすぎ、言い過ぎですよ。最もその分の思い込みで、ちょっと煙に巻かれましたけれど・・・でも最後が実に良かったから許す!です。
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京鹿子娘二人道成寺

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出演 坂東玉三郎、尾上菊之助

「シネマ歌舞伎」というのだそうです。
平成18年2月歌舞伎座で上演された「京鹿子娘二人道成寺」を映像にして映画館で上映したものです。
実はかなり前から予告編も見、広告も見ていました。
でも、実際見に行く気はさらさらありませんでした。
歌舞伎も舞踊も舞台で見てこそという気があったからです。
この作品上映、1千円です。
歌舞伎の一幕見の値段と比べてどうか?という問題でもありません。
玉三郎さん、見るならやっぱり舞台で見たいじゃないですか。
それが先日「寿新春大歌舞伎」昼の部の最後に舞踊「喜撰」を勘三郎さんの喜撰法師、玉三郎さんの祇園お梶で見たのです。
その前見たのは・・・もう何年前になりますか・・・京都南座だったかなぁ?
それなのに玉三郎さんは何年も前と全く同じ、いやもっと?美しくて・・・その美しさにホント惚れ惚れと見惚れました。
勘三郎さんの喜撰法師はこの手の踊りを見せたらぴか一、滑稽味のある踊りをこの人ほど上手く踊る人を知りません。
あの体で?(失礼)どうして?と思うくらい軽やかに軽妙に・・・軽味が只者じゃない?素晴らしい踊りでしたのに、私ときたら玉三郎さんに釘付けでした。
姿形の美しさだけではないのですからね。一挙手一投足、手指の先から足のつま先の動きに至るまで、魅了しつくされました。
あの表情の無い表情、人形の魅惑に近いのでしょうか?こちら、見るものの心をそのまま映せる様な?
で、俄然見逃したこの舞台惜しくて惜しくて・・・仕方が無い、映画で我慢!の心境にコロリ転げたわけです。
大昔?歌右衛門さんの道成寺見ているんですが、正直あの頃あの方はもう美しくは無かったんですね・・・それにこっちも芸が分かるような目も無かったし。だから玉三郎さんの絶頂期を逃してはならじ!
東劇での最終日、満席の片隅に滑り込みました。着物の女性がいっぱいの華やかな劇場でした。その意味じゃ舞台にひけを取らなかったですね。
それで、どうか?これが難しいところです。綺麗な映像、音響も悪くなく、でもなんか一重挟まったような感動なんですね。
美しかったです。舞台が想像できました。やはり臨場感が全てなんじゃないかなぁ・・・舞踏はという感じでしょうか。
二度とないはずのものを映像にとどめておくのは意味があります。
取っておきたいですよね、留めておきたいです。でも目の当たりに見たい物は見たいです。その意味ではやはり次善のものに過ぎなかったです。舞台を見落とさないようにしようと思いました。
彼がうんと年老いた時その芸の素晴らしさが分かるようにこちらも目を養っておきたいものだと思いました。
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それでもボクはやってない

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監督  周防正行
出演  加瀬亮、瀬戸朝香、山本耕史、もたいまさこ、田中哲司、光石研、尾美としのり、役所広次、小日向文世

いやーもうー怖ぁい!
この国では、疑われるような事をして、警察に連れ込まれたら、もう私らにはなすすべは無い!ってことですか?
無実なら出るところへ出れば大丈夫!って、思って生活していましたよ。
警察へさえ行けば、ちゃんと調べてくれるって思っていましたよ。
で、無実なら、起訴されることははなっから無いと思っていましたよ。人を見もしない検察官にはあーぁ。
そして、もしどこかで行き違っても、まかり間違っても、弁護士さんがいてちゃんと無実を証明してもらえるもんだって思っていましたよ。
全部幻想だったんですね。
もうお手上げだって思っちゃいました。
大体まかり間違ったところで、弁護士さんだってあそこまで働いてくれる人、私たちで見つけ出すのってまず無理でしょ?
そう思ったら、疑われることなぞ、まちがってもしてはいけない社会なんだって不安になっていました。
李下に冠を正さず、瓜田に沓を入れず?でしたっけ?それだけが私たちのすがるよすが?
彼は情けないフリーターに見えたから警察はああ、居丈高におざなりに決め込んだのかも知れませんが(いつもああなの?)、反対に彼がそういう立場だったからあそこまで頑張れたのでしょうけれど、頑張ったからといってお先は真っ暗に見えますものね。もう新しい証拠見つけられそうな状況じゃないですもの・・・後はもし上告できたとして・・・裁判官頼り?
裁判官の勤務評定?のあり方も映画の中の幾つもの「愕然!」のうちの一つでした。
もうてっきり「疑わしきは罰せず」が主流?と思い込んでいましたが・・・出てきた数字にも愕然!です。
犯罪とは無縁で」暮してきましたから、むしろ、限りなく黒に近い人が「疑わしき・・・」の鉄則のお蔭で野放しにされている社会の方がこのところ恐ろしい社会に見えていたんですから・・・えぇ~、180度方向転換の目からうろこ!状態で、座席で呆然としてしまいました。
凄い映画だなぁ!緊張して目を見張って終りまで引き込まれて見てしまいましたけれど・・・不安でいっぱい。
映画そのものは収監者の生態?傍聴人オタク?面白く見せるところもいっぱいあって係争中の「痴漢?」さんの援助など重層的に膨らませてとても見応えありました。考えさせられちゃいました。
パンフに11年ぶりの映画ってありました。「Shall We ダンス?」からもう?
「お父さん、認めて罰金払っちゃいましょうよ、明日からの事を考えてよ。」なんて言う自分を信じられます?
それより、この映画見た後で「あなたを信じてるからどこまでも戦いましょう!」なんて、そんな無責任なこと言えます?家族が居て途中でもうお金も続かないしお手上げ・・・なんてなったらもう最悪。
「よかったねぇ、頑張った甲斐あったねぇ!」って言える保証100人に3人ですってさ。
それ以上に、私みたいのが陪審員になったところで、いたいけない少女を見ながら怪しい男?に「疑わしいから無実」って手を挙げられますかね?裁判員制度で何か変わる?
頭を下げて罰金払って野放しになった人って懲りないでどこかでまたやっているのかなぁ?裁判潜った人の方が懲りる?痴漢だけの専用裁判所・万引きだけの専用裁判所でもれなく懲りさせる?
満員電車では手を絶対胸から下に下ろしちゃ駄目よ、女性が居たら何とか背中を向けるのよ、とか何とか自己防衛しても?・・・状況次第でどこから火の子が飛んでくるか分からないし・・・警察へ行ったら相手は全部詐欺師だと思え!って?とにかく何があっても署名しちゃ駄目だ!って?えー、そんなァ・・・
信じてもらうってこんなに難しいことだったのかぁ!
どこから改善していけばいいのですか?日本の裁判制度。司法制度も。
改善点が山積みなのはとてもよーく分かったのですが。
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名犬ラッシー

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監督  チャールズ・スターリッジ
出演  ピーター・オトゥール、ジョナサン・メイソン、サマンサ・モートン、ジョン・リンチ、ステーヴ・ペンバートン、ヘスター・オジャース、エドワード・フォックス

予告編でちらりと見た老人・・・あれは紛れも無くピーター?
となれば、見ないわけにはいきません。それに何よりラッシー懐かしいですし。
素敵な人が素敵に年老いているのを見ると元気をもらえます。嬉しいですよね。
「おしゃれ泥棒」から40年。最近では「トロイ」くらいしか殆ど私は見ていないのですから、途中がどうだったのか本当の所は知らないのですが、それでも銀髪になったものの、白い肌に昔と変わらぬ青い目が輝いて・・・恰幅の良いイギリス貴族をわがままに風格を見せて演じていました。いい味がありましたね。
子供と犬を向こうに回してなかなか負けていなかったですね。
これが存在感よ!と、圧倒的に贔屓目の私ですが・・・実際そうでした。
さて、物語ですが、大昔TVで見ていたドラマはアメリカの話だったと思っていましたが、原作はイギリスだったのですね?(あのTVドラマ、DVDで見れるのですね)
いかにもアメリカ的な物語だと思っていたのですが、考えてみれば犬を愛することにかけてはイギリスの方に1日の長がありますよ?
狐狩りのいかにもイギリスらしい風景から物語りは入っていきましたが、イギリス貴族(領主)はまだあんなことしているんですかね?動物愛護運動があんなにも盛んな国で?
炭鉱が閉山する頃といえば4・50年くらい前の舞台設定でしょうか。それでもその光景には犬がいかにも生活に馴染んでよく訓練されて人間と共存している感じがリアルでした。
わがマンションのおじいちゃんやおばあちゃんに抱かれて夕方中庭に散歩に出てくる犬たちと違って、映画の中の犬たちが生き生き堂々としていて羨ましいようでした。
「犬って本来これだよ!」と頷いてしまいましたね。
イギリスの炭鉱の町も「フラガール」で見た常磐の風景と酷似しているところがあって、日本もイギリスも炭鉱の町では同じような時代を通り抜けなければならなかったんだなぁと感慨がありました。
ちょっとひ弱で印象の薄いラッシーの飼い主の少年より、貴族の孫娘の方が生き生きとして利口で行動的でちょっぴりおじいちゃんに似て頑固そうで生意気で魅力がありましたね。
コリー犬は表情がちょっと淡々と?悲しいっていう感じしません?
そのせいかラッシーの困難な旅そのものより、途中で会う青年と娘とか小人の犬への愛情が素敵に印象に残りました。銃に追われたり、野犬狩りにあったり、色々有った割にはラッシーは淡々と800キロもの旅を続けていたような?
何よりハッピーエンドが嬉しい映画でした。
我が家の利口でハンサムでおとなしかったシェットランドのコロが懐かしくって堪まりません。それにしてもラッシーってずーっと男の子だと思っていましたよ。
「犬は人間の言うことが分かるのに、人間は犬の言葉が分からないのに・・・」本当に!うちのコロはうちの男の中で一番忍耐強かったなぁ・・・と、思い出しました。
ラッシーを買った貴族の館へ行く列車が地図の上でスコットランドのエディンバラを越え、アバディーンを越え、インヴァネスを越えてさらに北へ向かうのを見た時、わくわくしました。何時かは行って見たい憧れの土地です。でもどうやら撮影はアイルランドでしたらしいですね。
映画で見た美しい山河がスコットランドだったらいいのに、それにあの湖もネス湖だといいのに・・・ネッシーがいましたよね?
スタッフの中にローレンス・オトゥールという名を見つけました。
いかにも「アラビアのロレンス」を演じた人の息子!という名ですが?
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武士の一分

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監督  山田洋次
出演  木村拓哉、壇れい、笹野高史、坂東三津五郎、緒方拳、赤塚真人、桃井かおり、小林稔侍

本当だったら、年末「今年最後の映画・・・」と言って書いているところでした!
それが「今年最初の映画・・・」になりました。それもこれも映画が好きでないのに「俺も行く。」と言い出した旦那のせいです。「笠間城址でロケに遭遇したから。」とか「山田洋次監督の時代劇は前の2作も見たろう?だから行くよ。」とか言うんですよ。
でも結局は映画好きじゃないんですね。「今週末行こうか?」「いいわね。」を何度も繰り返した挙句・・・その週末には牡蠣になったみたいに口を閉ざして・・・。
「行く」なんて言ってくれなければ行っちゃえたものを・・・と。「まぁ、映画好きな私に付き合ってやろうっていう気はあるんだから?」と我慢の日が続きましたが、さてようやくその日が来たというわけです。
今回は原作も短編1本に絞ってあるし、原作はきりりと絞った無駄の無い秀作だし、きっちり作れば映画もそうなる!
前の2作は短編をつなぎ合わせたもので単品では有りませんでしたから、じっくり「あの」話を見せてくれるのを期待していました。
それに個人的に「八目神社」の場面どんなになるのか楽しみでしたしね。ほら、佐志能神社のロケ現場に居合わせた話です。
その話を先にしちゃうと・・・「映画」って面白いわねぇ!です。
あの目の前で見てきた小さな古びたお社が別物になっていました。
「八目神社」の額のせいですよ!
確かに小(大)道具さんたち?苦労していましたよ。生木をいっぱい運んでね。その甲斐がありました!ほんの僅かなシーンでしたから、あのためだけに・・・!という感動?
旦那の最初の感想も「あれだけのためにか?運び上げた生木の意味がほとんど無かったじゃないか?」でした。
「監督はきっともっといっぱい撮ったけれど、編集でああなったということじゃない?」
お百度を踏む足場の悪さと壇さんの素足の痛々しさと汗とで健気も極まった!ようでしたね。それで十分!
映画は丁寧に作られていました。だから見るほうもじっくり彼らの生活が見えますよね?
それで却って妙なところが気になっちゃいました。城から下げられた夫に薬を飲ませる前に「まずその汗拭いてあげて!」とか、お茶碗に白湯を貰って沢庵でゆすいで・・・っていうところは「箱膳に戻すのだからもっと丁寧に。清兵衛さん上手かったよ。」とか言うようなほんの瑣末が。30石の生活ってアンナ感じでしょうか?
でも主役?3人とも良かったですね。
ただ、妻と夫の時代感がちょっとずれているような気(二人の生きている時代が違うような感じ?)がしないでもなかったのは多分演技の質のせいでしょうね。そこを笹野さん、赤塚さん、桃井さんが多様なそれぞれの上手さで膠のようにくっつけてくれたという感じでしょうか。
壇さんが写真で見ていたのよりふっくらと美しくて初々しくて魅力的でした。キムタクさんはあの映画に合っていたのかちょっと微妙な気はするのですが、難しい盲目の演技も上手かったと思いました。目のメイクさんの御蔭もあるかも?
三津五郎さんが歌舞伎の板の上の舞いと全く違って、妙にリアルに色悪になっていてちょっとおかしかったといったら、失礼?いい悪役になりそうですね、映画やドラマで。
全体として原作のイメージを損なわない品の良い作品に仕上がっていたと思いホットしました。
今年最初の映画が楽しめてよかった!
藤沢周平原作映画3本、心の中でああだこうだと順番をつけてみているのですが・・・まだ決められない。主演俳優に好き嫌いがあるし、主演女優に好きな順があるしっていう・・・のが邪魔をしちゃうんですね。
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理想的な音楽教師

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先日「敬愛なるベートーヴェン」を見てきたせいか、思いっきり年末はやっぱり第九よねという感だったくせに、結局はスティングを聞きながら掃除している。合間はクィーンだ。
私の年末はつまりマンネリ!
もっと音楽を「様々なジャンル好きになりたかったな!」・・・と、思って「そうよ、私の音楽の先生があの先生みたいだったらどんなにか良かったのに・・・!」
勿論ご存知ですよね。理想の音楽教師といったら

「陽のあたる教室」1995年アメリカ
監督  スティーヴン・ヘレク
出演  リチャード・ドレファス、グレン・ヘドリー、ジェイ・トーマス、オリビア・デュカキス、W・H・メイシー、アリシア・ウィット、テレンス・ハワード
の、グレン・ホランド先生。

「ミュージック。オブ・ハート」1999年アメリカ
監督  ウェス・クレイヴン
出演  メリル・ストリープ、アンジェラ・バセット、グロリア・エステフアン、エイダン・クィン、クロリス・チーマン、キーラン・カルキン
のロベルタ・ガスパーリ先生。

この二人、音楽への情熱と教師としての資質が共通している上に、教育予算のカットが情操教育である音楽を直撃するという現実。そこにホランド先生の場合は息子の難聴、ガスパーリ先生の場合はスラムの学校という難問が背負わされる。
音楽の素晴らしさを信じ(音楽を愛し)、教育の理念を信じ、育てるという情熱を失わず、困難に立ち向かったという点で共通点を感じさせる二つの映画でした。
そして感動の質という点でも共通していました。
教職者という人への尊敬の念!音楽という情操教育の尊さ素晴らしさ!に目覚めますよね。
最後の感動!!!
素晴らしいどんな芸術家を描いた多くの映画をも完璧に凌いで、ここには地に足の付いた誠実な努力が生み出す感動が有りました。
一人の教育者の出来ること!その素晴らしい情熱の力!音楽が生み出す力と希望!
音楽や美術の教育に手を抜いては絶対いけません!と思いましたね。
子供を本当に育てるのはこういうものなんだって。
私にも一人忘れられない音楽の先生がいます。中学の時の音楽の先生です。
声楽科出の先生は豊かなボリュームと豊かな声量で私たちをいつも陽気に圧倒しましたが、東京都の合唱コンクールの参加チームを選抜する時なぜかその先生は私も選抜したのですよね。
自他共に認める音痴の私を。メゾソプラノに組み込まれて当惑しまくりましたっけ。
そのチームは台東区で優勝して都の大会へまで出場しちゃいましたが、私は殆ど口パク状態でしたよ、白状すると。でもそのおおらかな先生は後で「可愛いいあなたを前においておくといい効果が期待できたのよ。おほほ!」ですと?確かに私は学校1のチビでした!
先生は私に合唱の楽しさを教えてあげたいと、音楽に臆病な私のために一考してくれたのかも知れませんね・・・と恥ずかしさを乗り越えた時になってやっと思いましたっけ。
おかげさまで音痴は治りませんでしたが、あの時練習した歌ニ曲はかなり?上手く?歌えるんですよー、おほほ!今では「はずかしたのし」思い出です。
音楽はホントいいなぁ!
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敬愛なるベートーヴェン

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監督  アニエスカ・ホランド
出演  エド・ハリス、ダイアン・クルーガー、マシュー・グード、

芸術家を主題にした映画はかなり厄介!
いつも色々思い惑うのです。
「アマデウス」然り、「ポラック」然り、つい最近では「クリムト」然り!でしょ?
ああ、「レンブラント」を描いたいい映画があったけど・・・
でも、年末に第九を中心に据えたベートーヴェン映画と来ればやっぱり引き寄せられる。
この年末第9を聞く予定も無いし、映画の中の第9は圧巻という噂も聞くし?
日本人が何故「年末には第九!なのか?」という命題はさておき。
ところがピアノ教師をしている知人が試写会へ行ってきたというので「いかがでした?」
「ベートーヴェンの尊厳を傷つけられたようで腹がたったわ。あんな女性に指揮されたり動かされたり・・・そんなはず無いわ。」
でもある音楽家が新聞広告で「感動的だっ!」て長口舌振るってたし・・・やはり芸術家物は難しい。
なら自分でとりあえず見るさ!
ベートーヴェンの難聴が進んだ晩年4年間の物語でした。
ベートーヴェンはその音楽以外の人生については難聴の話しか知らない私ですから、物語としては多分一番に彼の人生の劇的なところを切り取ったのだろうなぁと思いますが、エド・ハリスの熱演にも関わらずこれは写譜師アンナの物語でした。
「師弟愛」という素直なものが主題なのだとすると、ベートーヴェンの物語にしないでも良かったのに・・・という気がしてしまいました。
難聴でも、外の不自由でも、とにかく助けが必要になった老芸術家を尊敬し、敬愛する弟子、しかも未だ女性の能力を振るう場の無かった時代に女性の弟子が献身的に尽くし、その結果芸術家はその才能を生かしきった・・・という話として。
それならベートーヴェンへの思いの強い人にも納得が行ったでしょう?そう思ったのはダイアン・クルーガーの美しさがこの映画では生きていた気がしたからです。
この人の「トロイ」のヘレンはちょっと違うという気がしましたが、この映画で天命を生かそうとする毅然とした凛とした女性の美しさを表現していたという点で感動したからです。
だからあの指揮の場に行く時のベートーヴェンの「色っぽいな」と言うせりふはなくともがな!でしたと思います。
ただ23歳のあの時代の女性にあの自信はどうでしょうね。
必然性を薄めるような気がしてしまいましたが。
もう少し人生と苦闘しながら音楽の道を志している女性なら、あのエド・ハリスが造形したような野卑な手ごわいベートーヴェンを理解できるのじゃないかと思ってしまうのですが。
でも、確かにやっぱり年末は第9だ!
全部ちゃんと聞くぞ!ベートーヴェン聞かなくっちゃ、久しぶりで・・・なんて、追い立てられるような気持ちで帰ってきちゃったのです。
エド・ハリスさんて「ポラック」「めぐりあう時間たち」今回の「ベートーヴェン」みたいな芸術家役は確実に印象に残って凄い!のですが、でも私が好きなのは「アポロ13号」「ニードフル・シングス」は別格として、「目撃」「スターリングラード」「ザ・ロック」「ビューティフル・マインド」のような作品に出てきた時の男の魅力みたいだわ。
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エラゴン

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監督  シュテフェン・ファンマイアー
出演  エド・スペリーアス、ジェレミー・アイアンズ、シエンナ・ギロリー、ジョン・マルコヴィッチ、ロバート・カーライル、シャイモン・フンスー、

早い話ファンタジー大好き人間としては見ないわけには行きませんよね。
だから勿論、ドラゴンとジョン・マルコヴィッチとジェレミー・アイアンズを見に出かけてゆきました。
ジョンとジェレミーでは全く違うタイプの顔なのに好きだなんて、我ながらおかしい!でも2人とも好きなんですからしょうがない。
しかし悲しいかな、ジョンの出番はほんの少々・・・でもまぁ、次回作「エラゴン2?」には出番は大幅に増えそうという感触があったから許せる!でもジェレミーはさっさと殺されてしまって・・・「なんだこれでは大人の鑑賞に耐えるところが無くなっちゃうじゃないのさ!」と私は膨れっ面です。ジェレミーさんもちゃんと年は取っていますがいいお顔ですよねー、なのに勿体無い!
エルマーの竜から金龍山浅草寺の金竜の踊りの竜に至るまで、竜とかドラゴンとか聞くと素通りできない私ですから後はもう竜だけが頼みの綱!
青色発光ダイオード以来?クリスマスの電飾も青が主体の昨今、竜も青色が主流なんでしょうか?
面白い竜を楽しんできました。青い卵から孵った青い竜!
しかも完璧におばさん顔していました。驚いた!
ゴジラもキングコングも表情が豊かになって楽しみは増えましたが、オバサン表情の竜はこれまたなかなかいい感じ!なかなかのレディって感じです。
ファンタジーとはいっても私はこの物語は全く知りませんでしたが、「ドワーフやエルフの国の隣」にあるアラゲイシアという国の話として始まったこの話そのものにはちょっとがっかりでした。
「ロード・オブ・ザ・リング」や「ゲド戦記」の2番煎じの予感でした。実際「行かない?」「行かない!」の遣り取りの友人には「残念でした。ロード・オブ・ザ・リングを見直した方がずっと楽しいと思いました。」と簡単な感想を送ったくらいです。
新味に乏しいという感じです。物語・映像あらゆる点で薄いって感じでしょうか。
魔法使いやその操る者のイメージも「指輪物語」のオークやウルクの安物みたいでしたし、言霊のイメージも古い民話などからの借り物の感じが否めませんでした。つい最近「ゲド戦記」で同じイメージ読んだばかりです。
でもね、私はやっぱり物語物語した冒険ものが大好きなんですね。全くどうしてでしょうね?だからちゃんと「続き」も見に行きますよ、何時来るのかな?
主人公のいかにも農民出のエラゴンを演じた坊やは化けるかもしれませんし、早々消えた従弟のお兄ちゃんも再登場アリカモ?だし、あのお姫様日本の女優さんに良く似た人がいますよね(それが思い出せなくて気になってるし)、何よりジョンのガルバトリックス王の竜も出てくるはずなんですよね?竜が鎧兜を付けるんですよ・・・王の竜の戦闘服見ようじゃありませんか?
そう、ドラゴンライダーの世が又首尾よく戻るなら?ドラゴンがもっと生まれてくるはずですよ・・・何匹の竜が見られるかな?・・・なんて、思っているんですが・・・。
新しい本のようですからとりあえず?帰りに図書館で予約してきました。
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硫黄島からの手紙

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監督  クリント・イーストウッド
出演  渡辺謙、二宮和也、伊原剛、中村獅童、加瀬亮

「父親たちの星条旗」に次いでこの映画!
前作以上に感動した!
一緒に見た旦那は「始めから終いまで重かったなぁ!」
戦争の悲しさ、むなしさ、やりきれなさ・・・余すところなく表現されていた。
「ラストサムライ」でやっと外人による日本人を扱った映画が見られるものになってきたな・・・と思っていたが、この映画はその枠を超えていた。
知らなければオール日本人スタッフで取られた映画だと思うところだ、細部に至るまで。
何で日本の映画人はこのような映画を今まで作り得なかったのだろうか?ちょっと無念な感じ。
あの戦争の無謀さ無知さがやりきれないほど胸に迫ってくる。
栗林中将、西中佐・・・これほどの知性や人格もが飲み込まれていった戦争へ傾斜して行く世論、時流!こんな恐ろしい物は無い。
そこが戦争のやりきれないところだ。
彼らの知識を戦闘でしか生かせなかったことがやりきれない。
「5日で終る戦いを36日間凌いだ」というコピー。
一日でも長引かせればそれだけ本土への空襲を遅れさせられる・・・そのために尽くされた人智の悲しいこと。
こんなにさらりと戦争をしている当事者たちの異常を淡々とさらして見せてくれた映画は無いかもしれない。
靖国の事だって何で靖国が問題になるのか若い人たちに考えさせるかもしれない、下手な論調の新聞なんかよりこんな映画の方が。
どっちかが悪者だったり、どっちかに英雄が居たり、どっちかの立場にしっかりたっていたり・・・して描かれた戦争物は幾らでもあったが、この映画二部作では実に公平にどちらの側にも立脚していない。だからこそ戦争はむなしいだけのものだと納得できる。
日本人の投降者があっさり銃殺されるところ、日本人に捕まった米兵が虐殺されるところ、米兵を看護させるところ、否応無く自爆させられるところ、日本人の負傷者が米兵と並んで並べられているところ・・・変に力も入らず同じトーンで見せている。これが人間なんだと納得させられる。
西中佐の南方での戦死は知っていたが、それが硫黄島だったとは・・・。
この映画の視点となった元パン屋の兵士の熱くなり過ぎない視線が淡々と事実を突きつけて、この映画を普遍的な戦争否定映画に昇華するのではないかと思った。
彼の持つ庶民の明るさ逞しさがかすかに匂っていい感じ。
私の今年の洋画3本を選ぶとすればまず第一の指・・・と、思って、はて?これは洋画なのかなぁ?と思う。凄い人だなぁクリント・イーストウッドという人は。「ミリオンダラー・ベィビー」もそう思ったけれどこの人の立っているところは好きだなぁ。好感が持てる。
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椿山課長の7日間

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監督 河野圭太
出演 西田敏行、伊東美咲、成宮寛貴、和久井映見、須賀健太、志田未来、桂小金治、余貴美子、綿引勝彦、沢村一樹、渡辺典子

朝日新聞の連載で読んだ。確か面白く?だから見に行かないでいいな・・・俳優の顔ぶれでなんとなく映画の出来の感じも想像できそう・・・って。
でも鑑賞券頂いたので見に行っちゃいました。
で、良かったです!
私の今年の5本には入りませんけれど。
上手に整理されて素直に表現されて・・・結果素直に笑えて最後ちょっぴり涙ぐんで。浅田さんのいいほうの世界だなとちゃんと思わされて。
西田さんは想像通りで、伊東さんも想像通りで、子供たちが上手で、だけど物語を喰ってもいない程の良さで、小金治さん、余さん、綿引さん、市毛さん出ている皆さんほどがいいのです。
ほどって何さ?といわれそうですが、誰かが特に目立ったり印象が強かったりとかいうことが無くてアンサンブルがいいって感じでしょうか。物語の笑えるところを協調しすぎてもいないし、お涙のところもやりすぎていないし。まるで当たり前の出来事のように?
で、出色なのが和久井さんの中陰役所の世話役さん?これは役得も有るけれど、役と顔と声がグッドマッチ!って感じでしたから笑えもしたし、有り得そうでもあり?
よくあるとりかえばや物語をユニークな物にしている浅田次郎さんのこのひらめきを彼女が生かした!って気がしました。
また、伊東さんの演技は下手なのかもしれませんが下手なのが丁度これまた見事に監督の意図を生かした!という感じです。
上手すぎる女優さんだったら背後の西田さんが死んじゃったかもしれない?でもヒョットするとそれこそが演技の真髄?
殆どが中年以上のこの日の観客、映画館の中に時々広がる笑いも実にほどが良くて気持ちよい。
ある意味可もなく不可もないのかも知れないけれど、最後に思わず眼の中にぽわっとにじんだもののほどが又気持ちよかったなぁ!
しかし人生本当に色々あるねぇ、大変だったわねぇ、それでも椿山さんも皆さんも無事成仏できてよかったねぇ!やっぱり人生棄てたもんじゃないわねぇ・・・私って素直?
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