チェ 28歳の革命

映画タイトルINDEX : タ行 185 Comments »
チェ 28歳の革命 (ベニチオ・デル・トロ 主演) [DVD] チェ 28歳の革命 (ベニチオ・デル・トロ 主演) [DVD]売り上げランキング :
おすすめ平均 Amazonで詳しく見る
by G-Tools

che.jpg che1.jpg

che2.jpgche3.jpg

監督  スチーヴン・ソダーバーグ
出演  ベニチオ・デル・トロ、デミアン・ビチル、サンチアゴ・カブレラ、ロドリゴ・サントロ、ウナクス・ウガルデ、エドガー・ラミレス、エルビラ・ミンゲス、ジュリア・オーモンド

私の世代なら子供の頃にカストロやゲバラの映像を結構見ているはずです。私も髭の怖そうな悪い人・・・のイメージで見ていましたよ。
どんな人か知ろうとする努力など全くしませんでした。アメリカの敵!というだけの知識でした。
「モーターサイクル・ダイアリー」のゲバラを知ったのが初めてゲバラに興味を感じた瞬間だったかもしれません。それでもただ漠然と、こんな感受性も豊かで知識も知能も高い人がなんで武力闘争革命などに参加したのかという驚きに近いものでした。
今のキューバをある種驚きの目で見ています。教育費・医療費が無料の社会保証の行き届いている国としてです。
この映画を見て、今のあの国を見て(本の少しの知識だけですが)、
ようやくカストロとゲバラとその仲間たちが目指したものをおぼろげに掴み始めた感じです。国連で演説するゲバラの言葉からようやく読み取ろうとしているところです。
ヒョットすると今の日本に必要な人材といったら彼のような人なのではないか?今の日本の危機的状況への処方箋を書ける人といったら、彼のような人ではないのか?こんなブレインが今ここにあったら?実現する手が今ここにあったら?
戦闘の間に教育をするゲバラ、読み書きの出来ない人間は騙されるというゲバラ、分かりやすい言葉が無知な若者に染み入っていく過程・・・どこをとっても説得力のある映画でした。今のキューバにはちゃんとゲバラの意志が残っているんだ!彼が意図した理想が形を与えられているのだ!殆どドキュメンタリーのように見えました。現実のフィルムとベニチオさんが演じるゲバラとの垣根が見えないくらいでした。本当はあのベニチオさんが?人種的には違和感が無くても・・・年齢的に20代のゲバラは無理だろう・・・って思っていたのに。ベルナルさんの感性の鋭さ感受性の豊かさを感じさせた青々とした青春のゲバラ像から数年しか立っていないゲバラを演じられる?と。それなのに・・・驚きました。髭が無かったらきっと綺麗なお顔だったろうに・・・と思うゲバラさんを姿かっこよく演じていたのですものねぇ・・・

モーターサイクル・ダイアリーズ 通常版 [DVD] モーターサイクル・ダイアリーズ 通常版 [DVD]
ホセ・リベラアミューズソフトエンタテインメント 2005-05-27
売り上げランキング : 949
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る by G-Tools

禅 ZEN

映画タイトルINDEX : サ行 290 Comments »

zen.jpg  zen1.jpg
監督  高橋伴明
出演  中村勘太郎、内田有紀、藤原竜也、勝村政信、テイ龍進、
村上淳、高良健吾、安居剣一郎、高橋恵子、西村雅彦、笹野高史
 

「うちは曹洞宗だから・・・」ってだけで見にいらした方はやっぱり多いのでしょうね?うちはそうでした。有楽町シネカノン満席。1時間前にチケット買いに行ったので、なんとかいい席取れましたけれど・・・殆どの方がシニア。しかも夫婦揃って!
もっとも宗派がそうだからといって曹洞宗に詳しいかって言うと・・・「曹洞宗だ」ってことしか知らないんです。まして私など浄土真宗から移籍?しているのに違いって大して知らないんですねぇ。
ですから途中から妙に感動して見ている自分に驚いたくらいです。
それでぴんと背中を伸ばしながら見ているうちに(どうしたって背筋は伸びます)・・・このお言葉!中国語の時字幕を入れてくれたのだから、このお言葉の時も漢字で入れてくれないかしら?と、思いました。最後の道元さんのお言葉、少しは理解できたんじゃないでしょうか?理解できなくても心を動かされたのですから惜しい・・・と、思いました。
勘太郎さんです。子どもの時から見ているんですね、この方。それなのにいつの間にこんなに骨太な俳優さんになったのか!と、驚きましたね。ぴんと張った背中で深いお辞儀をする姿の腰の定まった美しさ、お辞儀、座禅、すべてのメリハリのある姿勢の美しさ。ひたすら歩くシーンの安定感。表情の引き締まっていること。
西村さんのお坊さんはいかにも徳の無いお坊さんの感じが出ていますが(あはは)反対に何時ものように笑顔に引かれる笹野さんの役も・・・どうせなら中国人俳優さんで良かったのに、妙過ぎる!(完全日本人と分かっている人の中国僧って?)とか、内田さんの好演にもかかわらずあのエピソードの濃さとか(俊了さんの生き方、感動しました)、いろいろあっても、見終わっていい映画になっているなぁ・・・という感じでした。
少なくとも今後も正法眼蔵など読む気の無い私にも、道元様の教えの一端はちゃんと勘太郎君を通して伝わったような気がしました。
あの若さで道元さんは師を求めて遠く命を懸けて旅をしたんですね。師というと学校の先生しか思い浮かばず、それもかなり厭な先生に当たったりしたにもかかわらず、師を求めるという心に行き着くことの無かった自分を省みました。求道者というのは志を立てたらそこへ導いてくれる師をまず捜し求めるのだ・・・という基本の事をこの年で考えても・・・と、思いながら・・・考えちゃいました。
人は師を見出だして、とことん学び尽くすべきなのだと。そしてそこから出発すべきなのだと。
寂円さんが気になっています。道元さんは何故彼に永平寺を託さなかったのか?託していたら?「街道を行く」に少し寂円さんのその後が書かれているのを読んだので。

zen3.jpg

PARIS(パリ)

映画タイトルINDEX : ハ行 159 Comments »

paris.jpg paris1.jpg

paris3.jpg
監督  セドリック・クラビッシュ
出演  ジュリエット・ビノシュ、ロマン・デュリス、ファブリス・ルキーニ、アルベール・デュポンテル、フランソワ・クリュゼ、カリン・ヴィアール、ジル・ルルーシュ、メラニー・ロラン
 

ヒョットすると、住むように?パリが見られるかもしれない映画だ!と、思ったので、ワクワクしながら出かけました。
主人公のピエールを演じたロマン・デュリスさんが私には問題でした。あのルパンをした人なんです。どう名前を確かめても・・・間違いない!(最も私はあのルパンはイメージ違いでしたけど)
なのに、死が近づいてくるその時を佇むベランダでの横顔にはルパンの面影の欠片も無いのです。いやもっと、あの真っ赤なシャツでギンギラギンのジャケットで踊る姿は・・・もっと面影は無い。いくら俳優さんとはいえこのギャップはなんなんだ?と、暫くはそこに囚われてしまいましたよ。
それはともかく彼の目から見下ろすパリの街角は、私が住んでみたいなと思うパリの街角でした、間違いなく。マルシェに人が集い、賑やかな挨拶が交わされる下町の風情。国際劇場で踊るダンサーや色物の師匠が住んでいて妙にごちゃごちゃしていた子供の頃の浅草の風情。ま、確かに建物はずーっと問題にならないくらいアッチの方がおしゃれなんだけれどね。人の匂いが濃密であるという意味では変わらない。どこか肉を感じさせる分あっちの方が濃密かな?死が近づいているときにこのような日常を見るということ、だから日常が愛しく見えるという気持ち。それがパリをパリ以上にしていたのかもしれない。実際そのときが来たらそんな風に見えるかどうかということは別として。
「生きているのだから楽しむ」の「楽しむ」部分にかなりの相違はありそうだけれど・・・まぁ、気持ちは共有できるし・・・
確かになぁ・・・年は取ったけれども、あちこち痛んでもいるけれども・・・でも、楽しめる間は積極的に楽しもうかなぁ・・・なんてしっかり思い込んで帰路に付いた事は確か。
ビノシュさんは疲れた、だけど何処か危うくかわいい母親を好演しているし・・・と、思ったら、吃驚するほど恋?にうかれてしまって・・・やっぱりパリジャンは永遠に男か女なんだ?だから私の目にはパリは永遠に魅力的に見えるのかな?この映画の中には溺れたくなるような美男美女も余りいないし、おしゃれな恋も手管も無い、だけど人が住んでいる息遣いはちゃんとあるんだな・・・って思ってみていた。映画的には海の向こうの話ははしょってもいいかもねと思うけれど、とにかくパリを縦横に歩いてみたくなったことは確か。
 

そして、私たちは愛に帰る

映画タイトルINDEX : サ行 40 Comments »

ainikaeru.jpg ainikaeru1.jpg

監督  ファテイ・アキン
出演  ハンナ・シグラ、バーキ・ダヴラク、トゥンジェル・クルティズ、ヌルギュル・イェシルチャイ、ヌルセル・キョセ、パトリシア・ジオクロースカ

もうなんとも素晴らしい映画を見てしまいました。正直この間からのパレスチナの戦闘をなんと気の毒な・・・と言う目線で見ていました。実際そうなのですが、「イギリスの二枚舌め!」なんていっても今更・・・どうしようもない泥沼です。宗教民族人種などが絡み合って長い長い複雑な歴史を経てきたものを・・・と思うと、手をこまねいてただただ「子どもたちが生きて行けて憎しみを持たないですむ世の中を」と願うだけしか出来ない感じです。
そこにこの映画です。トルコへは昨年観光に行きました。トルコのリゾート地の最大のお客様はドイツ人だと聞きました。どういう経緯でトルコとドイツに絆が出来たのかわかりませんが、ドイツにトルコ移民がこんなにも多いという事をこの映画で知りました。
トルコ人はドイツの産業の底辺を支えドイツ人はトルコにユーロを落とすという関係でしょうか?この作品にでてくる3組の親子、ドイツへ移住してある意味成功して年金を貰っているトルコ人父と大学教授にまでなっているその息子、ドイツで娼婦をしながら国にいる娘の大学費用を仕送りしている母と体制にはむかう活動家として生きるその娘、国外逃亡してドイツへ不法入国したその娘に同情し恋をしたドイツ人の娘とその母。ブレーメンとイスタンブールの間で紡がれる3組の親子の運命の交差。二つの都市を訪れる観光客の知ることの無いその土地の描写に、この親子たちだけではなくこの2国の人々の間に多くのドラマが現実にも様々に入り乱れてあるのだろうということが想像される現実感がありました。そしてその上に人の心の素晴らしい面がなんのてらいも無く構築されていました。娘の教育のために身を削る母、父の罪の償いを身に引き受けたかのような息子の生き方、娘の愛情を受け継いで手を差し伸べる母の生き方。非常に難しい事を、つらい事を・・・背負って、と。母がイスタンブールのホテルで泣きつくす姿に涙し、幼い頃の父の言葉をかみ締めて浜辺で待ち続ける息子の後姿に涙し・・・めぐり合うことも、すれ違うことも、どちらも運命。それをを受け入れることが生きることなんだと思いながら涙を拭いたのです。無関心に転がることも、憎しみに傾くことも出来たのに・・・そうあっても無理からぬ成り行きだったのに、二人の選んだ道が心を素直に明るくしてくれました。母の、母以外の誰にもなりようも無い母そのもののすばらしさに打たれてしまいました。

ウォーリー WALL・E

映画タイトルINDEX : ア行 154 Comments »

walle.jpg walle1.jpg

WALL・E/ウォーリー [DVD] WALL・E/ウォーリー [DVD]売り上げランキング :Amazonで詳しく見る by G-Tools

監督  アンドリュー・スタントン
出演  声・ベン・バート、エリサ・ナイト、ジェフ・ガーリン、シガニー・ウィーバー

「何見に行こうか?」「うーん、252?ウォーリー?青い鳥?」なんて相談の末の選択がこれでした。「252」は「TVの前哨戦?見て判断しよう」ってことでしたが・・・「TVで十分じゃない?」ってことに。
で、ウォーリーでしたが、もうこれは「可愛い!」に尽きました。
で、さらに、もう一回見に行きたい!なんて。旦那に「行かない?」即却下でした。子供のアニメと思っているんだろうな?でも、全然違うんだけどな。説明するのは面倒だし、説得は無駄に終るのも見えている・・・なら、反芻していよう。それにしても「可愛かったなぁ・・・」もう二人が(ほら二人よ)ロボットに見えなくなっていくの。この映画、メッセージは受け取ろうと思えばいくらでも受け取れる。まさに現代の縮図?人類の未来への警鐘、何でも考え付く。って言うか考えようとして見ればいくらでも考えられる。でも私は特に考えようとしないで楽しんだ。だって可愛くてそれどころではないんだもの。
表情も感情も人間以上にピュアに見えるの。語らなくても行動が、目が。ねぇ特にイヴのあの卵形の体にくっ付いている青い点々の目。あれで感情を全部表現してしまって・・・過不足ないのだもの、凄い!
前半部分見ているだけで楽しかった。それにしてもあの地球にあのゴミ処理ロボット1台。忘れられたのは地球で、そしてウォーリーで。地球のあのゴミを処理するのに、圧縮して固めるだけって?人間の知能はそこで止まってしまったの?それなのに宇宙に飛び立った人間は足の下に土が無くても充足して生きていたの?それで情けなくなって、ただ宇宙を飛んでいくウォーリーの映像を繰り返し繰り返し頭の中で見つめているのよ。美しかったなぁ・・・夢がきらめいていたなぁ・・・って。
そして小さな緑に祈りを託して?そうあちこちの砂漠化している土地に住む人々の気持ちが分かるよう。地球緑化運動に出来ることをマンションに、中空に、土無く暮らす私が思いを致す不幸せ?
この1本の映画が見せてくれた物を暫く掌で転がしていよう、忘れないように。

ウォーリー ウォーリー
サントラウォルト・ディズニー・レコード 2008-12-03
売り上げランキング : 2772

Amazonで詳しく見る by G-Tools

WALL・Eウォーリー (ディズニーアニメ小説版) WALL・Eウォーリー (ディズニーアニメ小説版)
Irene Trimble しぶや まさこ偕成社 2008-10
売り上げランキング : 75955

Amazonで詳しく見る by G-Tools

WALL.E ウォーリー (ディズニー・ゴールデン・コレクション 48) WALL.E ウォーリー (ディズニー・ゴールデン・コレクション 48)
うさぎ出版永岡書店 2008-11-10
売り上げランキング : 47867

Amazonで詳しく見る by G-Tools

アラトリステ

映画タイトルINDEX : ア行 11 Comments »

artorist.jpg artorist1.jpg

監督  アグスティン・ディアス・ヤネス
出演  ヴィゴ・モーテンセン、エドウアルド・ノリエガ、ウナクス・ウガルデ、ハビエル・カマラ、エレナ・アナヤ、アリアドナ・ヒル

「アラゴルンのヴィゴさんが帰ってきた!」予告編を見たときそう思いました。ツバ広の帽子をヒヨウと投げた時、スペインの騎士の物語だと早とちりしちゃったようです。結果的には王でも騎士でもなかったのですが、でも冒険譚の勇者ではありました。
冒頭の腕に火縄が巻かれているところで、「あぁ、騎士の時代より身近な時代だったのね・・・」と不安に思うほどヴィゴさんのアラゴルンは私の中の王の王、騎士の騎士でしたからね。「イースタン・プロミス」のヴィゴさんにイカレた後でさえも。
この人の立ち姿はどんな服装の場合でも優雅な?魅力があるんだなぁ・・・と、惚れ惚れしたのですが、それは姿勢がいいとか姿かたちが美しく‘すっくっ’と立っているからでもないんですね。壁に寄りかかっている時、前かがみにお辞儀しそうな時体が描くそこはかとないカーブに見入っちゃうのです。
とにかく頑固で彼でしかありえなかったという男を今度もまた見せてくれました。しかもロシア語に(もっとも私はロシア語なんて全く知らないのだけれど)違和感が無かった?ように、スペイン語を話す彼も違和感が無くて・・・それはひょっとしたら人語も、ホビット語も、エルフの言葉までも話す彼を知っていたからかもしれませんね。あー、また「指輪物語」が読みたくなった!この映画の原作がある事を知りましたが(しかもかなり長編)、それを読むよりはやはり・・・ということは・・・
17世紀初頭のスペイン、ベラスケスの絵のような世界(だと言っても良いのか?)と思うほど宮廷の貴族たちの姿・衣装は美々しく、それに対して、アラトリステたち傭兵の貧しさと生活の厳しさが浮きぼりにされ、社会の不均衡・階層社会の厳しさが浮き上がっていた。
既にこの時代のスペイン兵士には凋落して行くスペインの末路が伺え、傭兵への支払いも滞り、きらびやかな装束・戦闘用甲冑も無く、戦に負け続けていく様がリアルに映し出されていた。CGの「レッドクリフ」の戦闘場面を見た後の目には兵士の息遣いの聞こえてくる、地の嘆きが満ちてくるような戦闘場面のリアルさがつらいくらいだった。
イニゴ(この坊や「コレラの時代の愛」より大人に成っていた!けれどあの可愛らしさは失われていたなぁ)が生き延びて、アラトリステの話が後世に伝わるということに歓びを感じるほどヴィゴのアラトリステに魅せられたのは、映画が上手に脚本が書かれていたとか、物語が整理されていたからとかではなく、土着の力・傭兵たちの姿を描けていたからかもしれない。道や建物や荒涼とした野戦場・渡河場面などの映像の嘘の無い力だったんではないかな・・・なんて思っているが、ただ単に死を乗り越えていく男の力強い生きる執念に敬服してしまったのかもしれない。カルタヘナかぁ・・・いつか行ってみたいけどなぁ・・・あの後ろに見えていた城は本当にあるのかなぁ・・・本当にそこで撮影されたんだという感じがするのだけれど・・・

アラトリステ (1) アラトリステ (1)
アルトゥーロ・ペレス・レベルテイン・ロック 2006-06-30
売り上げランキング : 6070
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る by G-Tools

Design by j david macor.com.Original WP Theme & Icons by N.Design Studio
Entries RSS Comments RSS ログイン