ブレイブ・ストーリー

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監督   千明孝一
出演(声)松たかこ、大泉洋、ウェンツ・瑛士、常盤貴子、伊東四
郎、樹木きりん、今井美樹

宮部みゆきさんの原作だから誘われたら直ぐ「うん」と言った。
最初に言ってしまうけど、原作は読んでいないから「本」の方はなんとも言えない。
しかし「映画」は・・・がっかりしちゃった。
見所も、意図もはっきりあるし、分かるんだけど・・・
大体このコラムはお薦めしたいものについて書こうというコンセプト?があったんだけど。
このコラム書き始めたら見たり読んだりしたものについて直ぐ書きたくなってきちゃって・・・ちょっと意図を外れかけているな。
今見終わったり、読み終わったものって私にとって「時事ネタ!」、だからこれもありかな?

この映画お薦めはしません。大人には。
でも、小学生の子どもが居たら連れて行きます。
少なくともこの映画には素直に「現実は避けて通れないし、人はそれと向き合って生きるしかないし、正面切って勇気を出せば道は開けるし、友も出来る!」と言っているのが分かりますし、それこそが大抵の親が子に伝えたくても現実の生活にどっぷり浸かっていると嘘っぽくて?奇麗事過ぎて?気恥ずかしくて?まぁ色々な理由で正面切って言えなかったりする事を、大上段に言ってくれているからです。
「全く!」と私は頷けるのですが、この映画が大人の心に本当に何かを訴えてくれるかというと力足らずの気がします。
非常に物足りないです!絵的にも、物語的(脚本にも)にも。
二人の子ども(ワタルとミツル)は描けていますが、他の登場人物の体現するもの・意味が分かりません。
本当を言うと新聞の見開きで大沢事務所(名前が変わったんだったっけ?)の大広告・大沢在昌、宮部みゆき、京極夏彦氏たちの座談「大人も楽しめて・・・松さんの素晴らしい声優振りも・・・」というのを読んでいたので期待しすぎたのです。
宮部さん本当に「満足」したのかなぁ?
声優さんはホント満足ですよ。松さんは上手です。樹木さんは好きだし、ウェンツ君は期待以上。
でもねぇ、それが意図でそれが狙いと言われると一言も無いけれど、もう少しいい絵で見たかったなぁ・・・というのが本音です、私の。
多分アニメのある意味マニアファンにはこの良さが「分かる・受ける」のかもしれませんが、ちょっと薄めで大雑把?絵での説得力が弱いような気がしました。宮崎アニメの緻密な美しさに慣れてしまったのでかなぁ?
またしても言うけれど、「本」と「映像」は全くの別物。
「ヴィジョン」の世界が消化不良だったから、これだけで「ブレイブ・ストーリー」というものを私の中で終らせるわけにはいかないよ!という感じで図書館に本を予約。約50人待ちだから、来年には読めるかな?
そしたらまた報告します・・・って、その頃には時事じゃないって?
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初恋

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監督 塙幸成
出演 宮崎あおい 小出恵介 宮崎将 小嶺麗奈 藤村俊二

この映画は前もって知識が全く無かったので、チケットを頂かなければ、見損なうところでした。
かの「3億円事件」を土台に据えているところ、つまりあの時代は私の青春期だったので、様々に挿入されるあの時代の映像を懐かしく見ました。
だいたいあの事件は随分沢山様々なメディアで取り上げられていますから、解決されなかった事件だけに許されて?色々な解釈が可能ですが、この脚本には意表を衝かれました。
作家になれる人の想像力の翼って本当に凄いですね?

話は変わりますが、先だって父が「NHKの朝ドラ見ているかい?」
「その時間はドラマ見る暇無いので朝ドラってあんまり見ること無いんだわ。」
「そうかい、別にどうっということは無いんだが、今度主演している女の子なぁ、宮崎あおいとかいう名だったと思うが、久しぶりに本当に可愛い子でね、気持ちよく見ているんだ。いい女優さんに成長してくれればいいなぁと思ったんでね。」と言ったのです。
その宮崎さんが主演でした。
いい女優さんになるんじゃないかなぁと私は思いました。
彼女の孤独感、所在の無い切なさがよおく分かりました。
ジャズ喫茶の入り口に佇む姿に乾いたいじらしさがありました。
乾いたと書いたのはじーんと来る涙を誘うような感じとは一線を画すようなむなしさがあったからです。

あの時代の空気は知っているつもりですが、私は蚊帳の外でしたから・・・何も行動しなかったからで、クラスでクラスメートと安保で激論を交し合ったりはしましたから・・・ただあの映画の中の青年たちが醸すような空気は縁が無かったと言うことですが、
それだからかこの物語には「ありだなぁ」と言う部分・理解できる部分を持てないままに見終わってしまいました。
ただ、みすずの初恋の情緒は普遍的な悲しみが漂っていてあの頃の私の心のあった場所を思い起こされました。
しかし殆どの出演者がよく言えば初々しいからでしょうか、せりふが聞き取り難いので困りました。
口跡がいいとか悪いとか言いますが、それ以前かもしれません。
会話の中身が中身ですからあれは「狙い」なんでしょうか?
でも作品としては不親切です。
どんなボソッとした一言も聞くものの耳に届かなくては、意味が無いでしょう。
囁くような一言、つぶやくような一言を客の耳に届けて役者は「何ぼ!」と思うのですが、皆さんまだ途上ですからね?
唯一藤村俊二さんが助け!でしたよ。あの小柄な方の声がしっかり耳にも心にも気持ちよく届くんですからね。
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花よりもなほ

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監督  是枝裕和
出演  岡田准一 宮沢りえ 古田新太 浅野忠信 香川照之
田畑智子 原田芳雄 加瀬亮

実に充実した濃い映画を見ちゃった!
満足!満足!と、心の中でつぶやきながら席を立った。
これだけの映画見せていただけば十二分に元が取れた?いやそれ以上ですよ。有り難や!
出演の項に長屋の全員の名を連ねて書くべきですよ。ええ、そうですとも!

本当言うと途中長い映画に思えたんです。
って、中だるみしたと言うことではないんですよ。
余りに長屋の住人がしっかり書き込まれていたんです。
一人一人の個性や匂いまで伝わってくるような。
長屋しぐさとでもいいますか、狭くて汚くて思いっきり肩寄せあっている住人たちが、それぞれを馴れ合いながらも底の方でそれぞれの抱えるその阿呆さ加減も悲しさ加減も辛さ加減も尊重して受け入れあっている、認め合っているとでも言いますかね?
その描きようが余りに見事で、反対に途中で心配になってきちゃったんです。
監督はこれを一体どう収めるんだろう?
すべてのこの愛すべき人たちをどうしてくれるんだ?って、本気で
心配になっちゃって。

仇の金沢十兵衛親子どうする気よ?
一年に一回腹切る香川さんの浪人の人生って何を抱えているの?
やくざの袖吉には何があるの?
おさえ親子の仇は?
その日暮らしの面白いけれど見てると悲しくなる住人たちは長屋を追われたら・・・?
第一この情けない長屋の隅で膝を抱えてる主人公どうしてくれるのよ・・・?何とかしてやってよ、お願い!みたいな。
赤穂浪人さんの方は想像が付いていたから・・・まぁね。
っていう具合に完全感情移入。

だから濃くって重くって、時々くすくす笑いながらも、彼らの逞しさも愛しく・・・結末が出るまでが長~く感じられたと言うわけです。
でも素晴らしかったのがここからでした。
実に見事な畳み込み方でした。
収束に向かっていく収斂のスピード感と省略の上手さ!
この省略って手抜きの省略ではありません。
科白と絵面のコラボレーションとでも言いますか?
上手に見る人の想像力をフル活用する仕方とでもいいますか!
その上に赤穂浪士の討ち入りの見事な常識の裏切り方のおまけ付き。
これ、ありですよ!
書きませんけれどね、浪士の討ち入りに急ぐ場面に懸かる「一言」!
貞四郎の討ち入りの感想!
意表を突かれましたけど、頷いちゃいますもんね。
(そして寺坂吉衛門さん、息子にわらじ作り教えられるのねぇ。)

この映画の「主題」がくっきりと浮かび上がって、宗佐さんの大写しの笑顔と共に満足の吐息!となったわけであります。
出演していたすべての俳優さんがこれだけ一人一人が見事に思えた映画ってそうそうは無いですよ。
業突く張りの大家でさえもね?
いやぁ、実に秀逸な長屋セット付きの極・極上等な落語でした!
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プロデューサーズ

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監督  スーザン・ストローマン
出演  ネイサン・レイン、マシュー・ブロデリック、
ユマ・サーマン、ウィル・フェレル、ロジャー・バート
ゲイリー・ビーチ

公開されて最初のレディス・デーに見に行っていいのだろうか?と、ちょっと不安に思いながら朝1番の回に出撃した。
「プライドと偏見」に同じ条件で出かけたら映画館の前に道路まで行列が続いていて、ギョットしたのを思い出したので。
前評判からすると当然これも・・・!の筈が肩透かし。
開演5分前になってようやく真ん中辺がふさがってきたけれど、真ん中から前の方は殆どがら空き状態。
女性の人気、出足は今ひとつだったようだ。
しかし、笑った。
確かに自分でもここで大口開けて笑っていいのかな?という場面がかなりあったにもかかわらず、とにかく笑った。
殆どが女性の観客たちのあちこちから憚ることなく高笑いが響く。
おおよそが芸ならぬゲイネタ&シモネタなのにも関わらず、あらゆる世代の女性たちがげらげら笑いだもの、女も変わった!
自由自在だ!
なんて、変なところに感心しながら、笑った!
まずネイサン・レインには「バードケージ」でこの手の演技力には脱帽していたから今更驚かないけれど、・・・「あぁ、舞台でご活躍だったのね!やっぱ上手いわ!!」
でも、マシュー・ブロデリックは「ファミリィ・ビジネス」と「グローリー」しか見ていなくて、「グローリー」の印象が強くて、本当に可愛い誠実な素直に育った勇敢な思想に殉じる正義漢そのものの若者、小柄な童顔坊やだったのだから・・・「おー!!!」だった。
この二人の組み合わせも秀逸ならもう一組も秀逸!
ロジャー・バートとゲイリー・ビーチの演出家とその秘書。
登場時から既にもう廻りは笑いの渦。
いやーブロードウェイにはこんな達者がどれだけいるんだろう?
ハイテンションがズーット続くのに見ていてくたびれないし!
それにもう一組といっていいのかな?
ヒトラーを舞台で演じる二人!
つまり舞台でヒトラーを演ずるはずだったウィル・フェレルの脚本家と彼が骨折して交代した演出家との二人。
ヒトラーの演じ方の丸っきりの大違い!
テンションの高さは負けず劣らず、でも対照的な演技。
舞台の幕が上がって演出家のヒトラーが現れたときのひときわ高い悲鳴のような笑い!忘れられません。
蛇足だけれど演出家のチームのインド人?(ターバン巻いていた)の美貌!舞台でナチ・ヒトラーの親衛隊役をした金髪のちょっと不気味な俳優さんの流し目と美貌!
なぜかこれも忘れられそうに無いんです!

 ヒストリー・オブ・バイオレンス

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監督  デヴィッド・クローネンバーク
出演  ヴィゴ・モーテンセン マリア・ベロ エド・ハリス
ウィリアム・ハート

散々悩んだ末?とうとう見に行きました。
結局見ないと結論は出ないと言うことで・・・。
その結論から言ってしまうと、「ロード・オブ・リング」のアラゴルンのヴィゴ・モーテンセンは
「ローマの休日」のオードリー・ヘプバーンや「アラビアのロレンス」のピーター・オトゥルや「風と共に去りぬ」のビビアン・リーとクラーク・ゲーブルや「大脱走」のスティブ・マックイーンや「ジャイアンツ」のジェームズ・ディーンや「ウエスト・サイド・ストーリー」のジョージ・チャキリスや・・・
並べると結構限が無いわ・・・と同じに、私の中のムービーヒーローに奉るということで一線を画す事にして、「他の映画の中の彼は彼でまた良し!」ということになりました。
題名が題名で[R15]が付いているので、誰も付き合ってくれる人がいなかった割には地味だけれど、
なかなかいけていたじゃないの・・・と思って出てきました。
だって、それこそ地味だけど素敵な俳優さんが出ていたんですから。
エド・ハリスなんて私大好き!
「アポロ13」で、何で最優秀助演男優賞取れなかったんでしょう?
「ポロック」なんで受賞できなかったんでしょう?
「ビューティフル・マインド」の妄想の中の人物なんて存在感ありすぎの幻!
(ポール・べタニーもだけど)助演男優賞ものでしょうに。
だいたいこの映画でウィリアム・ハートがノミネートされてエド・ハリスがノミネートされないのはなんで???
って、これは余計な話。
ヴィゴ・モーテンセンはジョーイになった時のアクションのスピード感のある動きと表情、トムの時のマスターの、また父、夫の時の表情と、最後に帰ってきて家族に見せるなんとも自信無げな表情とが皆良かったですよ。
でも、何がどうあってジョーイがトムになったのか?
こんな大きな変化を遂げさせた何かが分からなくて、ちょっと私の中ではドラマ的には消化不良です。
等身大の普通の男を彼は演じることが出来ると言うことがわかってよかったなぁ、っていうより、この映画の中で完全にそこらにいる男の人でした。
ま、この映画の場合私は映画を楽しみに見に行ったというよりは、映画の中のヴィゴ・モーテンセンを確かめに行ったということで、その意味ではなかなか収穫があったと言えるでしょう。
それにしてもエド・ハリスとウィリアム・ハート(ブロード・キャストの彼は嫌な奴だったなぁ!)ってやっぱり凄い俳優さんだなぁ・・・!ってところに戻るところに問題があるような・・・でもこの映画の場合それでいいような?
いいのよ!
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「への字の口」を持つ女優

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ジャンヌ・モロー(フランス)
シャーロット・ランプリング(イギリス)

ジャンヌ・モローが1928年の生まれ、シャーロット・ランプリングが1946年の生まれといいますから、キャリアの本当に長い大女優といってもいいでしょう。
かなりの?年の私でさえお二人の若い頃の作品は見た覚えがありません。
それでも名前と顔だけはしっかり知っていたということは、コンスタントにお二人が映画界で活躍続けていたということでしょうね。
多分色々な映画でチョコット出ているのを見ているのでしょう。
この二人の印象が私の中にしっかり出来たのはほんの最近のことです。
ジャンヌ・モローは「デュラス 愛の最終章」2001年、今年公開の映画「ぼくを葬る」があるようです。
シャーロット・ランプリングは「まぼろし」2001年、「スイミングプール」2003年、今年は「家の鍵」が公開されるようです。
だからまだまだ彼女たちの映画見られそうです。嬉しいですね。
「デュラス」も「まぼろし」も「スイミングプール」もフランス映画です。
フランス人のジャンヌ・モローはともかくシャーロット・ランプリングはちょっとユニークです。
この2本のフランス映画で輝きを放ち、というより「存在感を示しました。」という言葉を使った方がいいかもしれません。
私はフランス人だと思っちゃいました。
「デュラス」のジャンヌも「まぼろし」と「スイミングプール」のシャーロットも、にこりともしない不機嫌そうな「への字の口」のままで「女」を描ききりました。
小気味が良かったですね。
年を取ると顔の筋力が衰えると見えて、老人には圧倒的に「への字」口の人が増えますよね。
それがいやで、日ごろ口の端を持ち上げて笑顔口を作るように努力していませんか?
特に女の子は、笑顔笑顔笑顔と押し付けられていませんか?
私はよく両親に「女の子なんだから口の端をきりっと上げていつも笑顔が身につくように努力しなさい。女の子に不機嫌なへの字口は似合わない。」といわれたものですが。
この年になると結構きついです。
自然にしていてふと鏡を見ると口の端は自然に?垂れています。
それが人にいやな印象を与えるのではないかと、自戒して唇を上げ笑顔をつくります。
するとまるで年にこびているようでちょっといやな感じです。
だから、にこりともしないで、しかも老年なのに、ずーっと若い崇拝者に向かって居丈高に「私は魅力的だ!」と言い放つデュラスに驚きましたね。
そしてシャーロットも60歳の女のまだまだ生きている感情と体の生き生きとした魅力をへの字口のまま見事に表現しましたね。
時々頬に浮かぶ笑みはその笑みで人を魅了しようと言う意図は全く持っていませんでした。
ほんの少し自分を、自分の立場を、横目に見ているようなちょっと醒めた皮肉な揶揄する笑みでしたね。
年を経た魅力・年輪の持つ魅力を彼女たちは自信を持って表現していました。
「若い者が絶対見せられない、太刀打ちできない魅力と言うものを私は持っているのよ!
伊達に生きてきたんじゃないのよ。」とその口は雄弁に語っていました。
ほんとあの自信にうっとりしましたよ。
こんな風に立てるように私も生きなくっちゃ!?
でもこれってフランスならではの・・・フランス人しか認めない魅力かも・・・と・・・心配?
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プライドと偏見

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監督 ジョー・ライト
主演 キーラ・ナイトレイ、マシュー・マクファデン、ドナルド・サザーランド、ブレンダ・ブレシン、ロザムンド・バイク

さて、先日「コリン・ファース」のところで、イギリスTVドラマの「高慢と偏見」について触れたから、この映画にも触れないわけにはいかないですね。
ジェーン・オースティンの原作は私の高校の頃からの愛読書ですが、TVドラマになった作品と映画を、どちらが原作に忠実だとかイメージがあっているとかいう問題を論じても意味がないと思っています。
それぞれにどのくらい楽しめたかということがまず第一に大事なことでしょう。
その点ではどちらも楽しめたという事をまず最初に書いておきたい。
原作は何回もの読書に耐える素晴らしさを持っています。
余りにも現代とはかけ離れてしまった世界に思えますが、人の心の動き、感情の波、家族の有り様、恋の駆け引き・・・色々な点で今、どんな時代に読んでもきっと十分魅力的な作品で、私など読んだ年代によってその度何か嬉しいものを感じさせられています。
恋の成り行きにも、いじらしい姉の恋にも、出来の悪い放任された妹たちのこれからの人生にも、勿論リジーの生活にもわくわくさせられるです。
姉妹・母親・その友人たちの織り成す物語のそれぞれの心の動きに頷かされてしまうのでしょうね。
これだけ魅力を持った小説は反対に言えば読むものに、読む人毎に、色々なイマジネーションを与えてくれるのでしょうから、色々な脚本が現れても不思議は無いわけです。
だからこの原作からどんなTVドラマ、映画、舞台が生まれたとしてもそれはそれぞれに比べるのではなく、それ一個のものとして鑑賞され論じられるべきだと思います。
「コリン・ファース」で激賞したように私の中ではあのミスター・ダーシーは最高に魅力的な男でした。
たった二時間のドラマにされてしまった映画においてはダーシーのしどころは短くて、その魅力を十分に発揮することは出来なかったろうという点でマシュー・マクファデンははなっから分が悪いですね。
プライドを前面に押し出すには轟然と頭をあげて、見下す視線を送るしか手が無かったでしょうから。
彼の人間性の隠れた人みしりするような繊細さ、真に誠実な性格まで表現する時間も無いままにあのいきなりの恋の告白に行かなければならなかったのだから、ちょっと辛いですよ。
結局女としての私は主人公に同化してしまって、恋の対象であるダーシーを論ずることにのみ興味を示してしまいます。
ダーシーが表面的にしか描かれなかった分、映画ではあの告白が呼び起こした猛烈なリジーの反発・拒絶は反対に素直に受け取れましたね。理解できました。
だってアンナ表情しか見せなかった男の告白ですよ?
コリンのダーシーには彼の性格の奥行きを表現する時間があったので告白がああなるという必然をちゃんと見るものに納得させるので、かえってリジーのあの激烈は拒絶はダーシーに同情を起こさせてしまうようでした。
悩める男の内心のせめぎあいの表現が見事でしたよねェ!
というわけで、私はどちらのダーシーをも楽しめたといえるでしょう。
映画のあの時代考証は綿密なものだと思いますが、彼女の家とダーシー家の階級の差は映画の方がかなり際立って表現されていました。あれならダーシーがこの縁組を心底ためらった理由が分かりやすかったと思います。
イギリスの貴族階級の館と庭園の見事なこと!
田舎が本当に美しかったですね。これはTVでも映画でも!
それにしても女性のドレス、映画のはちょっとおとなしくなりすぎていませんですかねぇ?あの時代女性は女性をモット強調していたのではないでしょうか?
キーラのリジーは繊細で機転が利き当意即妙な元気さと美しさが良いとおもいましたが、TVで演じた女優さんの理知的で勝気なしっかり者の雰囲気もよかったなぁと思いますし。そんなわけでどちらも面白く楽しんだというわけです。
ジュディ・デンチという女優さん凄いですね?
ツイこの間の「ラベンダーの咲く庭で」見ました?
あの可憐なおばちゃまですよ。
いやこっちの方が大方の彼女のイメージですよね。
ビクトリア女王とか、はまり役でしたが、「ラベンダー」で可愛いのに驚いたのでした。
お父さん役がドナルドだと知った時にも、あの田舎紳士、「彼でいいのかなぁ?」と思ったのに、ちゃんとイギリス親父になっていました。
俳優さんてだから素敵!と思うのです。
それにしても何で「プライド&プレジャデス」か「高慢と偏見」じゃなくて「プライドと偏見」なんですか?

パリの恋人

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今日の映画紹介は大分古くなりますが、
「パリの恋人」です。
先回オードリーの事を書きましたしので何か一つオードリーの映画をと思ったのです。
当然「ローマの休日」?
いえ、「マイ・フェア・レディ」でしょう?
でも001ではフレッド・アステァの事も書きましたからね。
だからこの二人の映画にいたしましょう。
オードリーには「パリで一緒に」という映画もありますから、混同しそうになるのですが。

「パリの恋人」
1957年
監督 スタンリー・ドーネン
主演 オードリー・ヘップバーン フレッド・アステァ

あの頃フレッド・アステァは何歳だったんでしょうね?
1899年生まれですって?
では58歳ですか!
花開き始めたオードリーの相手としては確かに大分お年上。
そうかやっぱり今考えると我が友人ではないけれど「貧相なおじさん」ってねぇ・・・言ってもいいのかな???
イエイエ、とんでもありません。
スリムで、ソフトで、エレガンスで!
彼の動きと顔の表情の変化はエレガンスとしか言いようがありません。ちょっと愉快でね。
まさに銀幕の中、スラリ、スレンダーな二人が踊りまわるのですから・・・夢心地世界です。
背景にエッフェル塔なんかありましたねぇ。
恋に気が付く二人、愛を歌い上げる二人、書割の舞台のような背景、
古き良き優しき世界。
人を好きになるってこんなに軟らかい柔らかいものなのですよ。
陶然とした眼差し、誘う流し目!
反る背中、流れる指先!
「やぁー恋っていいもんなんですねぇ!」って、言ってみたくもなるじゃありませんか?誰かさんみたいに?

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