敵こそ・わが友~戦犯クラウス・バルビーの3つの人生~

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 監督  ケヴィン・マクドナルド

ドキュメンタリー
ナチの戦犯の一人の、戦後逃げ延びて長寿をまっとう?した男の人生を丹念に様々な立場の人の証言をもとに構成した作品だった。
あらゆる戦争の度に繰り広げられる裁きと復讐の一つの典型だろうと思った。
見終わったときに最初に思ったのは「圧倒的に国って悪い!」「国は怖い!」「国は厭だ!」ということだった。
戦争が起こればその過程で勝っている方が負けている人民にすることは何時いかなる戦争でも同じだ。そのまま勝ち進んで征服してしまえば起こらないかもしれないことだが、その成り行きが覆った時には必ず復讐・報復、こういうことが起こる。しかも歴史はその繰り返しに尽きている気配。
拷問のスペシャリストで子供を含め多くのユダヤ人を死に送り出した男を、娘は「いい、やさしい父親だ」と言う。これも何時もどこでも繰り返される言葉である。
個人ではしないこと、できるはずも無い事を、戦下では出来てしまう。出来ない人間はそこでは無事に生き抜いていくもとができ無くなる。それでも迫害された人間は覆して勝ったとき今度は復讐と捌きを求める。
「殺した人間は殺されてしかるべきだ」もっともだ!
だけどそれが反対になったら?

その世界で、その時点で、よりよく生きようとすれば・・・?
戦争裁判は勝者の復讐に過ぎない。痛められた人間はその代償を求めずにはいられない・・・それももっともだ!どっちが勝ってもやることだ。
個人だったら出来ないことが国の名の下に召集された時、できるようになる。その国の名の下でしたことに個人は責任あるのか?
しなかった人間、心強くも拒否して制裁に甘んじた人間も確かにいる!そこに僅かの救いを感じるが、でもそれは僅かで、自分がそうなれる自信も無い。「・・・するってーと?」と私は考え込んでしまった。
国の名、民族の名、人種の名の下に殺された人を全部計りに乗せてつりあうように同量殺す?
教育の名の下に何時までも恨みを語り継ぎ不和を紡ぎ続けたり、また同じ教育の下にしたことにホッッカムリをする事を続けて、国というものは過去を今にする。

時には神の名の下に。
神があってもいけない!国があってもいけない!そうとしか思えなくなった私だが、特にねぇ・・・大国はもっといけない!

チャーリー・ウィルソンズ・ウォー

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監督  マイク・ニコルズ
出演  トム・ハンクス、ジュリア・ロバーツ、フィリップ・シーモア・ホフマン、エイミー・アダムス、ネッド・ビーティ、ジョン・スラッタリー、エミリー・ブラント、ジリ・アップルビー

うそーっ、アメリカって嫌いになりそう・・・って映画に騙されたから?イエイエ予告編に騙されたから?イエイエ・・・
なんていやぁいいんだ?この呆然とした気分。
トム・ハンクスだしね?予告編を見た段階ではお久しぶりに・・・でもないか、いつもどおりに?・・・でもないか、トムに笑わせてもらえそう・・・楽しんで来よ!気分で出かけたんですよ。
どっちに転んでもいい役者さん!ですもの。
それにあのプリンセス・ジゼルが普通に出るのですよ?
あの「ロズウェル」のジリちゃんが大人に成っているらしいんですよ?
でもこれブラック?いやいやそんな簡単に受け入れられないですよ。
アメリカってやっぱりひでぇ!って感じ?
あくの親玉アメリカ!こんな議員を野放しにしてやりたい放題やらせた悪玉アメリカ!テンポがよくても、お話が上手くても、ホフマン君を上手く使っても、ジュリアがすんごいオバサンやっても・・・大目に見るわけにはいきませんよ。
アフガンを終らせたからって・・・あの後ちゃんと見ている?
大目に見るわけにはいきません。
いくら最後にアメリカのやりっぱなし・・・トムにそれとなく?言わせても・・・やっぱり大目に見るわけにはいきません!
ブラックですから・・・皮肉ですから・・・シャに構えていますから・・・?なんと言われてもアメリカ嫌いにならずにいられます?
だからぁ、アメリカにはアメリカを笑うユーモアも生きられるし、アメリカをコケにする自由も十分過ぎるほどあるんですよ・・・と、言われたってね。「実話です」って言うんだからとんでもないでしょ。
世界中の武器がどんどん高性能化している理由の一端でもある?
それよりかクラスター爆弾なるもの・・・日本があんなに買い込んでいたなんて(買わされたんだよ!)・・・知ってた?(持っているだけで牽制できる?そうかぁ?)あー何という悲しい浪費・・・危険過ぎて邪悪だという製造者責任?で引き取ってもらえないものだろうか・・・半分でも返して・・・駄目?
チャーリー・ウィルソン、なんか策を弄して、専門家をかき集めてアメリカとロシアと中国の?武器製造業者とブローカーを一網打尽にする行動を起こしなさい!世界中の武器を不能にする策を練りなさい!そうすればアメリカの良心ってやつ?
少し認めてやってもいいかも?あーなんか腹が煮える!

チーム・バチスタの栄光

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監督  中村義洋

出演  竹内結子、阿部寛、吉川晃司、國村隼、佐野史郎、池内博之、玉山鉄二、田口浩正、田中直樹、井川遥、野際陽子、平泉成

 

原作が面白かった分、割を食った感じが否めません。ホント「本と映画は別モノ!」として私は普段両方を楽しみます。ところが今回は読んだのと見たのが時間的にくっ付きすぎで・・・しかも、読んだ時に田口浩正さんを白鳥さんにイメージしちゃっていたものだからもろに割を食いました。

映画は映画なんですが、順・々・々・と聞き取り調査をしているところで眠くなるまだるっこさ・・・本では全然そんな思いしませんでしたから。

大体、本そのものが映像!っていうイメージだったんですから。劇画?として頭の中に構築できるくらいコミカルな映像的な本でしたから。映画ではむしろ本ほどまで笑えなかったんです。

竹内さんがぼうっとした顔で奮戦して?いましたが・・・あれは人柄がかもす長閑さが必要なのであって・・・なんて、自分に解説しながら見ていました。いや、言い訳かな?男性を女性に変える意図が、そうして何を得たかったのかが不明で・・・私の腑は落ち着きませんでした。あんなスピードボールがバシッと投げられる設定・・・って・・・「あの人がこんなはず無いじゃない!」でしょ・・・なんて突っ込みも。

阿部さんはこの手の役をパワフルにコメディタッチで演じさせれば多分今、日本映画史上?最高にいい俳優さんですよ。でもね、何を演じてもこの頃期待されるキャラクターが同じせいか?皆同じ!じゃん!って事になってしまっているようですよ。「トリック」からこっち「バブルへGO!」まで同じ役名?って聞き返しちゃいたくなる。

折角の俳優さん、もう少し大事に使って欲しいよ!・・・って、他の作品を私が見ていないだけなのかも・・・?だからって、その役柄が・・・ハッハッハッ・・・好きなんですけど、ほんとは。

だけどやっぱりこの際白鳥さんは田口さんでお願いしたかったなぁ・・・まだその方が・・・と、ぼやき続けているところです。田口さんがカッコ付けて滑って、なおかつカッコ良いとこ?見たかったなぁ。

それにチーム・バチスタですから・・・「ER」に緊迫感で負けないで欲しかったなぁ・・・ソリャ心臓手術は緊急手術ばかりじゃなかったけれど、山になったのは「あの」緊急手術場面でしょう?医療場面がなんかぬるかったのがどうもまずいなぁ。

   

茶々 天涯の貴妃(おんな)

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監督  橋本一
出演  和央ようか、渡部篤郎、高島礼子、中村獅童、寺島しのぶ、
富田靖子、余貴美子、原田美枝子、松重豊、黄川田将也、高橋長英

 

あんぐり空いた口が閉じませんでした。今年最初に見た映画がこれか?昨年の「蒼き狼」一昨々年?の「北の零年」並の・・・いやもっとひどいかな。とりあえず歴史物と思ってはいけません。宝塚の映画版?と思った方がいいかも。大体旦那は「あの顔の茶々絶対許せない」と、年末却下した映画なのに、多分に私のために?次いで大好きな時代の物?という理由で、ン、暇すぎたためか?見に行こうという気になったのでしょうに。察するに、おっそろしく肩透かし食った気分でしょう。
豪華絢爛時代絵巻・・・という点でも(劇場に見には行きませんでしたがTVで見ました)「大奥」の方がずっとマシみたいな。
時代劇なのに、時代なんかどうでもよくて、人物なんかも適当に実在の人物名を当てはめただけ?ここまで端折られて自在に脚色されたら何のためにこの時代に舞台を設定したのか意味が判らない。
一人の華やかで劇的で宿命的な女を描きたかったのならそれに見合ったオリジナルの脚本を書けよ!なんてね。・・・心の中でぶつぶつ言いながら見ていたらなんと眠くなって二度ほど睡魔と闘うはめに。私が?映画で?ありえないことが起こった!その時閃いた!そうよ、茶々の一代記を2時間で仕上げるのだもの、歴史なんか、史実なんか、考証なんかやってる暇は無いわ。
これは宝塚ファンを呼び寄せる罠だったんだ。和央サンのファンにサービスしたんだ。・・・と、思えば間違いないけれど・・・お市の方の娘にして貴妃?もっとそれなりの品だけは欲しかったなぁ・・・せめて。
救いは好きな松重さんの老け役が見れたこと!
カッコだけで老けるのはメイクで幾らでもでしょ?でもしゃべり方だけで本当に老けるのは難しいぞぉ!

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椿三十郎

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監督  森田芳光
出演  織田裕二、豊川悦司、松山ケンイチ、佐々木蔵之介、鈴木杏、中村玉緒、小林稔侍、西岡徳馬、風間杜夫、藤田まこと

暫く映画日照りでしたから、何でも見たかったのですが・・・流石にこの映画は考え込んでしまいました。
「見るべきか、見ざるべきか」行ったり来たりの悩ましさ。ところがそれにチョンと終止符がつきました。友人が見ようと言ってくれたのです。一緒に行ってくれるならなんだって行っちゃいます!が基本の私です。二つ返事で行っちゃいました。
それで・・・今年最初の映画は 「武士の一分」でした。そして奇しくも今年最後の「邦画」が「椿三十郎」!って、奇しくもないか。
今年は結構時代劇を見たなぁ・・・って言う気がしています。これって嬉しい感じです。しかも手ごたえのある「邦画三連荘」なんてことが出来ちゃうのですから、日本映画再黄金期?再って何時からの?なんて聞かないでください。ついこの間まで黒澤さん仕事していたような気がしているのですから。
誘ってくれた彼女は面と向かって聞いたことはないけれど多分「織田君ファン」です。で、白状しちゃいますが私も「織田君好き」です。だから割り切って「織田君を見に!」行けばいいのだと腹を括りました。三船さんのあの不思議な味は彼の発声が聞き取り難くて「それが傷だよ。」と思っている私にも作用しまくっていますが、その点織田君にはそっちの方は全く心配がありません。彼のクリアで明るい声大好きです!ついでに笑顔も大好きです・・・ってわけで腹を括れば・・・凄く楽しく見ごたえある映画でした!
素直によく知っている筋書きもその会話も「昔の通り!」と思いました。だからか?
「松山君は鬘は駄目だわ!」とか、「佐々木さんの木村さんは出色だわ!」とか。最も小林さんも「出色だわ!」と思ったんだった。
団体さんだからまぁいいんだけれど、若侍群に見る楽しさがなかったなぁ!味云々以前に妙に様にならない若侍ばっかりだわとか・・・。彼らが昔の若侍さんたちのように大成するかとても疑問です。
同じ馬面が売りでもあのなんともいえない表情・雰囲気で伊藤さんに軍配!とか、比べる楽しさに流れてしまったきらいはあるけれど、それも製作する側の思惑通りかな?
じゃァ、肝心の「三船・織田」「仲代・豊悦」は?って聞かないでください。「入江・中村」は?とか「団・鈴木」は?とかなら即どっこいどっこい!と言えるんだけれど。
ただね、昔の人の方が味があったと思うのは私がむしろ昔の方の世代に近いってことかな?勿論志村さん、藤原さんの事を言っているのだけれどね。前作を研究し尽くしてリメイクして前作を凌ぎきれていないというところに黒澤さんの偉大さを見れたし。それにあの見事な椿の御所みたいな椿屋敷の色鮮やかな椿。それがあの白黒映画の方が思いっきりドキッとした記憶があるのですよね。より鮮やかな記憶になっているのです・・・その不思議!
でもこそこそっと白状すると45年も前の「椿」と今の「椿」と多分代わる代わるに見たい!どっちも好き!といえるってことは結局映画は脚本?
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厨房で逢いましょう

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監督  ミヒャエル・ホーフマン
出演  ヨーゼフ・オステンドルフ、シャルロット・ロシュ、デーヴィット・シュトリーゾフ、マックス・リュートリンガー、レオニー・シュテップ

毒を食らわば皿まで?食欲の秋だし!思いっきり厨房三昧?
で、好き嫌いはともかくじっとり中身の詰め物が濃い映画はこれでした。ここには良くも悪くも等身大?と思わせる人間が居ました。
ずうずうしすぎたり、内気すぎたり、好戦的だったり、ゴシップ好きだったり、プライドがあったり、卑屈だったり、切れやすかったり・・・実際に居そうな人々が厨房の周りに確かに居ました。でも、多分あまり好きにはなれないような?
「恋と・・・スフレ」がおかしな女たちの素っ頓狂な賑やか厨房なら「幸せのレシピ」はNYのおしゃれな料理人の幸福溢れる厨房で(最初はぎすぎす厨房だったけど)、この映画の厨房は人生が深刻に交差する天才料理人の粒だった厨房でした。
ドイツ料理って逞しい!それにこの太っちょの腕のシェフはいかにもお顔までおいしそう!料理人って感じ。
そしてそれぞれの店に食べに来ている人々を見ていて、行けるなら私はこのグレゴアの店に行きたいと思いました。
あの金持ちの老人たち?の幸せそうな顔。食べている時の恍惚!
それはエデンも、エデンの夫も十分に堪能したはずのものです。
だから料理は断然グレゴア!
グレゴアの逞しい腕でむしられるトリ、はがされる羊?大きなボールの中で力いっぱいかき回される詰め物やらなにやら・・・厨房ではあんなにも決然として繊細に力強いグレゴアが多分彼のその繊細な感情ゆえにあのエデンの、あの傍若無人な図々しいずるさ、人の土俵に土足で踏み込む図太さにどんどん譲歩していく過程がなんとも・・・肝が煮えて・・・私のフォアグラも料理されちまった!
相手の好意をこんな風に使える女の厚顔さが許せない。
ところが彼女はどんどん食べれば食べるほど可愛い表情で満足を顔・眼いっぱいにグレゴアの目の前で表現して見せるんだよね。
そんな奴居る!確かに居る!悔しいけど確かに居る。
料理人には堪えられないくすぐり!来年の2月まで予約で詰まっているといってもその客はあの老人たちばかり?
料理の虜になっていくエデンよりも彼女のペースに巻き込まれていくグレゴアの虜振りが可哀相だけどよくありそうでもあるシチュエーション?エデンはグレゴルにとって災難以外のものではないのに・・・なんで旦那を告訴するとか・・・と、アメリカナイズされた?私が思っているうちにとんでもないことになります。そんなそれじゃあんまりだ!可哀相!もっともあのエデンの夫の人生ってどうなんだろう?最近の切れる中年(老年?)の一人なだけかも。それになんだろ、あの公園の老人たち・・・あれってなんか切ない!
で、不埒なのはあの再会です。
折角あの給仕殿とシェフと幸せを予感させる再出発の場に・・・現れたのは悪魔か天使か。エデンにいるのは怪しげなりんごを持ったイブ!この場合二人の子どもを連れた女だけど・・・(唯一の救いは美味しい物を食べた時の娘の表情!)
「又逢えて嬉しい?」大いに疑問で心配な私で・・・苛々苛々・・・!
でも人生ってひょっとしたら、えてして?こんなきつーいスパイスがふりかけられているものなのかも?

題名のない子守唄

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監督  ジョゼッペ・トルナトーレ
出演  クセニャ・ラパポルト、ミケーレ・ブラチド、クラウデア・ジェリーニ、ビエラ・デッリ・エスボスティ、アレッサンドロ・ヘイベル、クララ・ドッセーナ

「今度『題名の無い子守唄』っていうの見に行かない?」と誘われたのはもう一ヶ月以上も前になる。その時は私はまだこの映画の情報を持っていなくて「面白いの?」「面白いかどうか?興味深そうな映画なのよ、読んだところでは。」「じゃぁ来たら行きましょう。」
で、始まったので行って来ました。ご主人が見たくないタイプの映画なのだそうです。見て、ご主人に見せたくない方の映画だ!と思いました。と言うより一緒に見たくない?一人で見たい!
最初から最後まで緊迫感の切れない映画でした。
彼女の過去に何があったのか?それは永遠に振り切れないものなのか?彼女の真意はどこにあるのか?そして彼女は何をしてどこへ行きたいのか?彼女の行く道にちりばめられる謎の深みに私は落ちました。挿入されるカットバック・フラッシュバックに見えてくる過去が痛々しさで彼女を彩ります。金髪を輝かせて笑う彼女が若い!このカットバックで入る映像が色鮮やかな分その瞬間がこちらの心臓の心拍数を跳ね上げて、現在の彼女の暗さを痛いものにする。多分難民でウクライナから流れてきてこの運命にとっ捕まったんだろう・・・と想像して・・・今まで見た難民を扱った映像のきつさをもこの映画に覆い被せて・・・彼女の過去が胸に迫ってきます。来た道が見えてきて、行く道も見えてくるに従って、今度は彼女の犯した過ちが取り返しの付かないものであることも見えてきて、見る方の心の中が収拾つかなくなってきます。彼女にもう救いは無いだろう!落とされてしまった先任の家政婦、殺されてしまった母親!でも彼女の突き進む意志は揺るがない。ただただ彼女とそっくりの?縮れた豊かな濃い色の髪の少女にヒタト据えられた眼差しだけは動じない。
そのために払われる彼女の智恵の限り、努力の限り!その分彼女の人生の愚かしさ、悲しさ、苦しさ、失ったもののかけがえの無さが胸に迫ってきて痛くなります。
それで?それで・・・(結末は教えないでください)の字幕がありましたね。
理解してもらっても同情されてもそれがなんになるでしょう?その上、代わりに誰かが何かが償ってあげることも出来ません、彼女の過去に。
どんな過去があっても、どんなに虐げられても、してしまった事を償わなければ穏やかな時も心も恵まれはしない・・・と。この作家・監督の語りたいことが最後の映像で見えるまで、しっかり虜にされた2時間でした。「時だけ」では何も解決しないのです。でも「時」は絶対に必要なのです。それ無しには、どこにも行けないのです。
子供の出生率がこんなに低くなっているこの国で今この時子守唄を聞いている子供はどのくらいいるんだろうなぁ・・・うちの子供たちは私の歌った子守唄を覚えているだろうか・・・なんて・・・
エンニオ・モリコーネって!!!それなのにまだクリント→マカロニウエスタン→モリコーネの私って?
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トランスフォーマー

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監督  マイケル・ベイ
出演  シャイアー・ラブーフ、ミーガン・フォックス、ジョン・ボイド、ジョン・タゥーロ、レイチエル・テイラー、ジョシュ・デュアメル、タイリース・ギブソン、アンソニー・アンダーソン

予告を見た段階で行きたい!と思った映画の一つです。
だけど行くのをうんと躊躇った映画の一つです。(そういうのはいっぱいあるのですが)だって、どこから見ても男の子の映画ですものね。だけど私の「好き!」って分野でもあるんですね・・・そここそが。
男の子って幾つになっても車(乗り物)とロボットなんだ!と改めて納得しましたよ。目が開いたか開かないうちからうちの男の子たちは交差点を行き来する車を見て喚声を上げていましたもんね。
そんなままで大人になった人たちのお楽しみでしょ?で、私のどっかにもその手の尻尾がくっ付いているってことでしょうか。
スピードを楽しみました。うふっ!わぉー!です。
欲を言えばあの変身シーン、もうちょっとユックリ映像変化をみせてくれてもいいのになぁ・・・です。スピードが楽しいのに、でも途中経過ももっと見たい!折角なんだもの。子供が超合金のロボットをシャキーンガチャーンと声を出して変身させていた時みたいに。
彼らロボットさん(金属生命体だって!)の名前がなかなか頭の中で追っついていかなくて・・・えーい!善い方の金属生命体さんはグレンダイザーでいいや!(私はトランスフォーマーというアニメは知らないんです)ってわけで、頑張れグレンダイザー!って心の中で叫んでいました。だってあの善い方の親分はグレンダイザーとちょっと色目が似ていたもの?「沼のほとりのバドルビー」みたいな名前のロボットさんとか・・・って具合。子供たちの好きなタイプの車が勢ぞろいするわ・・・戦闘機が変身するわ・・・小さな鋏だらけの手のこましゃくれた子悪党のいたずらっ子みたいな悪い方のロボットさんが面白かったわ・・・携帯の変身も面白かったわ・・・って具合に私は満腹しました。坊やが、元気者のお姉ちゃんが、心で交流できる生命と心のあるロボットさんて素敵!みたいな?
この手の映画には絶対必要な演技力のある大人!ジョン・ボイドさんが結構こき使われていた・・・というか張り切りまくっていた・・・やっぱり男の子なんだ!っていう感じがまたいいんだ。
正直あのキューブをロボットに押し込むとどうしてああなるのか今一わかっていない私ってやっぱり男の子じゃないんですかね?
隣のお兄ちゃんみたいな主人公の坊やはその昔のうちの息子等と余り変わらないようで妙に親しめてしまいましたし。だから彼と黄色の車さんの交情は、ぴったり息子と一緒にベッドで寝ていたグレンダイザーの交感場面を想起させて、妙に懐かしくもありました。
ま、子供と一緒にTVを見ていたあの頃、私はタイムボカンシリーズの方が好きだったかもな?あれは忘れられませんわん?
エンドロールを見ていたら(私は楽しませてもらった感謝を込めてスタッフさんの名前を拾い読みすることにしています)アルメイダさんとマグゴナガルさんを見つけました。どうでもいいことだけど、
わ、本当にこんな名前の人がいるんだとちょっぴり嬉しくなりましたっ。
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ダイ・ハード4

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監督  レン・ワイズマン
出演  ブルース・ウィリス、ジャステン・ロング、ティモシー・オリハント、クリフ・カーティス、マギー・Q、シリル・ラファエリ、メアリー・エリザベス・ウィンステッド、ケヴィン・スミス

「スピード」だったっけ、異常な状況下で結ばれた恋人同士は破局する」?あの目くるめく?「ダイハード」でもその後でも絆を何とかつなげたように見えたポリーもとうとう影が薄くなっちゃって、と言うか見放されて?その分お父さんの顔が前面に出てきたわけですね。娘との絆も今後が心配。なんて、娘との絆を結びなおすべく?次回次回と期待し続けるつもりの私、ブルース大好きさんです。だからこの映画も期待通り楽しみました。友人と約束して見に行く日までの遠かったこと!彼が見られればまァ何でもいいんですけれどね・・・いえ、何でもなんてとんでもない、期待通り面白かったです!
「普通の刑事さんだったら何回死んだかな?」なんて、指を折るのはとうにやめました。本人だってすっかり英雄になっていること素直に認めていましたしね。ぼやくのをすっかり諦めて諦念を語る大人のマクレーン!完全に彼は大人になりました。だから当然あらゆることが変化していいのです。過去のあの体験の凄さを全部思い出せば、彼の戦う能力の高さが進化し続けているのも頷けます。ぼやかなくとも、計算しなくとも感は確かです!消火栓の水は命中するし、車も命中するし、戦闘機からも逃げおおせるし、崩壊する高速道からも抜け出せる、マクレーンさんだもの、大丈夫大丈夫!どんなハイテクデジタル私に解からないカタカナテクノロジーにだって対処方法はぴんと来るはず。使える物は最大限に使いこなすし工夫は完璧!と言うわけで対照的なキャラの兄ちゃんを見事使いこなして?育て上げ?今回も欲の皮の突っ張った悪人を見事に撃退!彼の血をちゃんとお嬢ちゃんからも引き出し、苗字も変更させる?最高にかっこよい父親像に持っていく素敵な結末。「こんな父親持ちたかったなぁ、夫にしたくは無いけど・・・」なんて、マクレーンさんの人生すべてを通して肯定できた私であります。パソコン?の上で動く指の早さにさえ目がくらむ私でも人生にまだ諦めをつけなくてもいいんじゃないの?です。
「他にやる人が無いから・・・」そうそう!だからまだまだマクレーンさんは続く!筈!!!
彼を日本の四隅に配備して、国の軍事予算を大幅に削り、それを福祉に当てたいな!なんてうっとり考えている私です。
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大日本人

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監督  松本人志
出演  松本人志、竹内力、UA、神木隆之介、海原はるか、板尾創路

あんまり面白くなさそうな噂が耳に入ってきちゃって・・・「監督・ばんざい」はカンヌのニュースしか耳に入らないまま、私的には?すぐさま出かけたから何とか見ちゃいましたが。外野から聞こえてくるあれこれは行きたい気持ちをかきたててくれないんだもの・・・おまけに映画館が遠いとあっては、誘ってくれる人も無いとあっては、
億劫この上ないですよ。どうやら「2本とも見ようぜ!」と言った旦那は音なしの構え。・・・と、思っていたらどうやら私ほどニュースは入っていなかった?らしくて「雨だな・行くか?」「ハイ!」
だって、公平なんて言葉「監督・・・」で使っちゃったんですもの。行けてホッて感じですよ。
で、生まれて初めてでもないけれど、マジで嘘っ!って感じですが、寝ました。私が?映画で?旦那と並んで?信じられない!っと心の中で騒いでいます。
冒頭、余りにもつまらないインタビューを聴いているうちに・・・頭を並べて・・・で、一人馬鹿笑いする人が居たんですね。その人にところどころで起こしていただきました。(あいつはサクラか?なんてちょっぴり思っているんですが)
でも、どう考えても・・・寝ていても聴いてはいるんですね・・・ハッと目覚めると忘れるんですが・・・で、絶対どこがおかしかったのか私には解からなかったんです。なんかコメディアンの冴えた閃きでもあったんですか?笑の世界での将来的展望でも見えたんですか?笑を説明してもらうなんて・・・冗談じゃないって思うから訊きません!松本さんファンには面白かったんでしょうか?あの応答?う・不安だ?
私が声を出して笑ったのは「ここから実写で・・・」の後の何分間かです。でも、公平のために書いておきますが「監督・・・」では、ほんの一声二声しか声は出さなかったから、笑い声を秤に載せるとすると私の場合松本さんの方が重かった!ということになりますか。
どっちも攻略本が必要かな?と、思う点で同点?松本さんが始めに出した本は息子に借りて読んで面白かった記憶があるんだけどな。
期待がすっぽ抜けたのは年齢のせいじゃありませんよね?だってね、その日映画館内をくまなく見回しましたが、我夫婦が俄然飛びぬけて高齢、最高齢!松本さんだって40越え?はて北野さんて幾つだっけ?私あせってる?なんで?
邦画、ここんとこ私には今一喰い足りません・・・悲しい!
やっぱり「キサラギ」か「舞妓Haaan!!!」見にいかなくっちゃ駄目かな?
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