狩人と犬 最後の旅

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監督 ニコラス・ヴァニエ
出演 ノーマン・ウィンター、アレックス・ヴァン・ビビエ

予告編で何度も雄大な自然の風景を見ていました。
だから疲れたら、きっと見に行きたくなるだろうなぁ・・・という気がしていました。
ご多分に漏れずチラッと見た犬の表情はそれに輪をかけて魅力的だったからです。
だから雨の静かな日に一人静かに出かけて見てきました。
思っていた通りの映画でした。
狩人の日常が美しい大自然の中で淡々と描かれます。
音楽とこの景色をただ見ているだけでも肩の力が抜けていく感じでしたが、実際には非常に厳しい生活が語られていました。
「大自然の中で生きるということ」は「一瞬一瞬が命と向かい合う日常を生きる」ということだということです。
その厳しい日常が犬とのふれあいのある生活、その潤いの御蔭で美しくなっているようでした。
近所で見るハスキー犬は好きではありません。
でもあのカナディアンロッキーの厳冬の中で見るその犬は本当に見事でした。凛として美しくて。
犬も生きるべきところがあるんだなぁ・・・と、思いました。
愛らしさと共に、自然の中で真に必要とされ、よき相棒として共に生きている尊厳までこの犬たちから感じられました。
犬もですが、私の全く想像の付かない厳しさの中で生きているからか、主人公・[himself]を演じたノーマン・ウィンターの顔がそぎ落としたように精悍で魅力的で、つい惚れ惚れと見とれてしまいました。
メタボリック・シンドローム?とは無縁の生活の贅肉を極限までにそぎ落とした男の顔ってこんなにも魅力的なんですね?
でもその彼も、町へ行くとちょっとした息抜きが待っていましたね。
もう一人魅力的に描かれていた彼の「ネブラスカ(でしたっけ?)」のたたずまいも、これまた見事でした。でも彼女にはどんな休みがあるのでしょう?
どんなにか孤独なと思われる日常を淡々と受け入れて楽しんでいるかのように見えました、愛情に溢れて。
孤独にいられるということはそれだけで力なのでしょうか。
それに二人とも犬によく声を掛けていましたね。
人も動物もこうして育てるのだと深く納得しました!
「マイボーイ!グッド・ボーイ」そして名前を何度も呼びかけ、愛撫です。いつくしむ気持ちさえあれば育つのですね。
首の線がほんわりと優しくなった気がして、雨の中帰り道につきました。

アガサ・クリスティの奥様は名探偵

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監督  パスカル・トマ
出演  カトリーヌ・フロ、アンドレ・デュソリエ、ジェヌビエーヴ・ビジョルド、ヴァレリー・カプリスキー

そうねぇ・・・うーん・・・そうだなぁ・・・えぇ・・・ちょっと、そうねぇ・・・
って感じとしか・・・。
イギリスの田園も非常に美しいのだけれど・・・舞台をフランスに移して、うーん、フランスもやっぱり田園がきれい!
トミーの叔母さんが残した、物語の発端になる「絵」。
大体この「絵」からして私が本「親指のうずき」の「絵」の描写から頭の中に浮かべていた絵とまるで違ったところから、私には妙な戸惑いが生まれてしまいました。
物語の背景になるイギリスの田舎って、どうも気が付かないうちに私の中で「ミス・マープル」のTVドラマで見る背景を勝手に流用していたらしい・・・ということに気が付きました。
だから美しいということでは同程度に美しいフランスの田園がやっぱりちょっと違和感でしたねぇ。
でも、むしろこのフランス人になったトミーとタペンスは本の中のイギリス人のトミーとタペンスより会話は面白くて楽しかったです。
フランス風エスプリと言うんですかね?効いていましたし・・・何よりやっぱりフランス人は色っぽい?
トミーとタペンスはからっとした機知のあるサバサバした会話って印象が有ったので、ちょっとここでも違和感でした。
物語の謎も原作以上にしっかり解決されていましたし・・・?
トミーとタペンスを演じた俳優さんはでもとても魅力的でした。
スタイルもおしゃれもセンスも素敵でしたし・・・正直予告編で見たときトミーのふけ方にちょっと俳優さんに魅力がなさ過ぎ・・・って、思っていたんです。
ところが!なんて素敵なシルバーグレイ氏!でした、時々。
この映画、「アガサ・クリスティの」っていうの外してくれた方が良かったなぁ・・・そうすればフランスのおしゃれな私たちの年代が楽しめる素敵な映画ってことで満足できたでしょう。
でも「アガサ・・・」って、つけたばかりに推理物としては「安易でしょう?」って感じが否めなくて・・・惜しい!って気がしました。
もっとも「アガサ・クリスティの」って付いていなかったらこんなに客が来なかったかも?私も行かなかったでしょうしね。
カトリーヌ・フロさんて何気ないブラウスとスカートで素敵な魅力を見せてくれましたね・・・流石フランスの女優さん!羨ましい!って?無理無理!
でもこの映画の御蔭で本も5冊甦ったし?私としては全体にお得!でした。

ここでも音楽は「耳に残るは君の歌声」と「マッチポイント」で耳慣れちゃっていて、あららでした。
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マッチポイント

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監督  ウディ・アレン
出演  ジョナサン・リス・マイヤーズ、スカーレット・ヨハンセン、エミリー・モーティマー、マシュー・グード、ブライアン・コックス

この映画は魅力的でした。私にとっては、ロンドンとジョナサンの2大魅力の威力です。
ロンドンが楽しめました。これが一番の収穫!
二番は「俳優を見出す人の眼力」、敬服しちゃいましたよ。
あの目と唇だけのやせこけた少年(「ベッカムに恋して」では)がこんなに陰のある魅力的な目を活用?するうーん、なんと言えばいいのかなぁ・・・古い言葉で「色悪?」を素敵に演じる俳優さんになるのですから。
音楽も上流階級の雰囲気を盛り上げるのにとても効果的だったと思いますが、「耳に残るは君の歌声」の印象が強い曲の多用で、私のイメージが分断されたのが一寸きつかったです。途中でジョニーとクリスティーナ・リッチの顔が唐突に浮かんできてしまうんですもの、参ったなぁ。
前半はジョナサン演じるクリスが欲と色の二股を一目散に追い求めるエネルギーと、スカーレット演じるノラの魅力でどうなるのだろうと息をつめて展開を追っていました。ジョナサン魅力的になったなぁ・・・でしたし、自分の魅力への自信たっぷりのノラの存在が見事だったし。
実際スカーレットにはそれだけの魅力があったので、私はテニスボールが「色」の方に落ちるのかと思っていました。どんな風に?
ところが妻が折角?女の魅力を失っていくという展開なのに、(妻の実家の)家庭生活にはどっぷり縛り付けられるし、当然・・・でしょう?
ところが愛人になってからのノラは男にとっては結婚をせっつくただの口汚い「猛烈手に負えない女」の見本になってしまって・・・このあたりでなんだ!って感じでしょうか。
よくあるパターン、よくありすぎるパターンになってしまって「こりゃー全く、しょうがないねぇ」・・・っと、ノラの死を予感してしまいました。
ノラはせっせと墓穴を掘っていましたよね?
自分の魅力に自信のある「男を翻弄できる徹底的に利巧な悪女」になれる素質満点なのに・・・惜しい!?
これじゃぁよくある男の「結婚したい女・愛人にしたい女」という週刊誌バージョンじゃないのって感じでした。
だからこのあたりで一寸期待が薄れたのですが・・・それで終らないで「いやいや面白かったね!」、になってくれて、早く行って並んだ価値があったとほっとしました。
「運」?
「結局真の悪人は男しかなれないんだ!」・・・と、思いましたね・・・?
彼にとって「罪」は生活の手段に過ぎなかった?
「罰」が控えていても?ボールがあっちに落ちる可能性はいつもあるわけでね。
それに一寸感服!クリスは言葉を知っていましたね。誰にでも的確な言葉を掛け、確実に好意を物にしていました。警察でもね。試合を組み立ててましたよ。
「罪と罰」愛読している頭脳的攻撃的テニスプレイヤーには「罪も罰も運次第」のはずは無いってことでしょうか。
結婚指輪の使い方で上手くドンデン返されちゃって・・・結構濃密に物語を楽しめました。絵ができてましたねぇという感じ!でした。
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出口のない海

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監督  佐々部清
出演  市川海老蔵、伊勢谷夕介、塩谷瞬、柏原収史、伊崎充則、
香川照之、上野樹里

7・8月体調を崩して家にこもっていた父が墓参りに上京してきた。
好きな映画も見ず、買物も散歩も極力控えていたからか、涼しくなったからか、体力を取り戻したと・・・それでも一回り小さくなって。
何もせずに家でおとなしくしていた間、横山秀夫さんの「クライマーズ・ハイ」と「出口のない海」を読んでいたからと、墓参りがすんでからこの映画を見に行った。
私の苦手のジャンルはオカルトとリアル日本戦争映画。
史実に基づいた・・・というヤツだ。これは辛い!
しかしこの映画は不思議なことに今まで日本の戦争映画で抱かされたいやらしさが全く無かった。
陸軍を描いた映画では無かったからかもしれない。
いじめの為のいじめ、卑劣なだけの卑劣、そんな物は皆無だったからだ。
海軍は同船同夢・一蓮托生の家族的?世界だからか?
でもしかし・・・それだけにこれでは戦争の悲劇がヒーロー化しないだろうか?と不安にも思ってしまった。
何しろここに出てくる青年たちはさわやかで好感が持てて、親だったらこんな、息子を持ちたいと思う青年ばっかりだったのだから。
一寸ひねたランナー北君ですら真摯な青年であるし。
主人公の並木君はもとより、塩谷君(この人の顔本当にいい感じ!)演じる整備工君や伊崎君演じる童顔君、母似の鏡青年君、「心配したぞ!」と言って唯一鉄拳を振るった高橋君演じる教官にいたるまで、皆共感の持てる日本が誇れる?青年たちだったのだから。
こんな戦争映画作ってしまっていいんだろうかという私の不安、分かってください。
彼らは本当に死を恐れているのに、誰一人戦争への疑問・反発・憤りを表現しない、悲しみはあるけれどね。
並木君の父に至っては・・・あの諦観と平常心とあの科白「イギリス人?の何とかさん、いい人だったなぁ・・・。」はどうでしょう。
その科白が並木君の最後を左右したんでしょう・・・と、思うと、やっぱりおちおち親は出来ません。ある意味凄い親ですよ、行動で示せないことは言わないんですね。
時代に素直に育った青年たちというのは考え物だ・・・不味いんじゃないかなぁ・・・困ったもんだ・・・いい子たちだなぁ・・・の堂々巡りに落ちた私です。
やっぱりあんな子供たちをむざむざ殺す国なんて・・・自分の子の事を思うに付け安倍さんでいいのかなぁ・・・きな臭いなぁ・・・あの人本当は戦争どう思っているんでしょうね?・・・鵺みたいな答弁だし・・・と、不安が募る私でもありました。
美しい国は美しい青年たちが居てこそなんだからね!と、釘を刺したい私でもあります。
美しい青年って、素直なだけの青年ではないですからね!
とにかく、この立派に育った青年たちを生かせる国にしたい!
彼らがしたい事をして生きてゆける国であって欲しい!
という意味で、この映画も反戦・非戦の気持ちを一層強くしてくれましたし、目指せ八方美人の国?外交が全てよ!と、思いました。
ま、それはともかく、見終わって何か違和感が・・・と、ズーット考えていたのですが、分かりましたよ。
海老蔵さんです。一生懸命に演じていて、演技力にも不足は無いのになんかそぐわないって感じ・・・他の青年群と並ばないのです。
「主人公だからだろ。」って?うーん?
いえいえ、単に彼の大きすぎる立派な顔と目のせいじゃないかなぁ・・・っていう気がするのですけれど。
反対に彼だけがあの時代の顔をしていて、他の青年たちが現代の顔過ぎるのかも・・・。
海老蔵さん、別に「睨んで」くれたわけでもないのですけれどね。
香川さん、ここでも存在感有りましたね。無くてはならない俳優さんになりそうです。
でも、便利に使える何でも出来る一寸出る俳優さんにはならないでね・・・。
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ゆれる

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監督  西川美和
出演  香川照之、オダギリジョー、伊武雅刀、蟹江敬三、真木よう子、新井浩文

この映画不思議なんです。
確かにオダギリジョー演ずる弟の真っ赤なパンツ、赤い革ジャン見ているんです。
そしてちゃんとその色が焼きついているのに、思い出そうとすると映像は白黒なんです。
白黒映画を見てきたような印象が残りました。
確かに実に押さえた色合いの映画でしたが、多分白黒がこの映画のモチーフだと思ったから、映画の印象も白黒になってしまったのかも知れないなぁ・・・
兄の香川さんの顔が凄く黒くて、髭面ぼさぼさ髪で余りはっきり見えない弟の顔が凄く白くて・・・を皮切りに?今の日本で考えられるあらゆる対照が描かれたように思います。
田舎と都会、素朴と洗練、才能と平凡、女にもてるもてない、生き上手下手(要領の良さ悪さ)、お金の有る無し、親付き親無し・・・といった具合に。
その対照がご丁寧に兄弟、二代に渡って繰り返されて。
昔は長男に生まれることが全てだったのに、現代で長男に生まれることののっぴきならない重さ。
最もそれは今は都会ではもう死にかけている意識・・・でも田舎は・・・まだだろうな。
でもやはり消えかけている意識だから、伊武・蟹江兄弟では顕在化しなかったものが香川・オダギリ兄弟では顕在化してくる・・・ということだったのかなぁ。
でもどうしようもないなぁ・・・という重たい感じ?
だから映画を見終わってもしんと音なしの構え・・・劇場中が・・・と、思ったのは私の意識の問題だろうか?
男だけだったらお互いに仕方ないよな、分かっているさ・・・式に言わなくてやり過ごせたものを、良くも悪くも真木さん演じる「今の女の子(田舎はいやで、お金は必要で、だけど家族(親も子も)を作る覚悟は無い?・・・あらら、今の男の子もか!)」が挟まることで全部が見えてしまって・・・。
我慢していない者にとってはなんてことも無いことが、我慢してきた者にはここで我慢の糸が切れるって言う飽和の時が来るものだということかしら?
糸を切っておいて、奪えるものを奪っておいて、「僕の知っていた本当のお兄ちゃんになって欲しい・・・」なんてほざく弟、柵を柵と感じない無神経な都会人に、自分を投影してしまってがっくり私自身が重くなってしまった。
それにしてもお兄ちゃんの服役中の弟のこざっぱり感が解せないなぁ。正直に言っちゃったからすっきりした?正直なら何言ってもいいってことはないでしょ!
そして最後の弟の呼びかけに気が付いていたんだよね?お兄ちゃん。
あのかすかな笑みは・・・全部を見切ったと言う感じ?過去も人生も家族も故郷も・・・全ての抑制を・・・切った?
香川さんて表現する人だなぁ・・・って、凄いわ。
私まじめだから、恨んじゃうわ。一生懸命解釈しようとしちゃうじゃないの、香川さん。
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ヘヴン

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監督 トム・ティクヴァ
出演 ケイト・ブランシェット、ジョバンニ・リピシ、レモ・ジローネ、スティファニア・ロッカ、アレッサンドロ・スベルドウーティ

先だって、BSで不思議な映画を見ました。
「ヘブン」です。
何が不思議って・・・色々です。
何で「ヘヴン」なんだろうって思いながら見ていたのですけれど・・・「ヘヴン」って私が最初に思っていた「天国」って解釈だけでは填まらなかったようです。
こじつければですが、二人の間に芽生えたものが「至高」の愛に昇華したということ?
または、命を懸ける愛が生じたこと自体が「最高」?
または、逃げて二人の愛の時間が持てて、その時間こそが「天国」?
最後の上へ上へと登っていく最後の瞬間が「ヘヴン」?
昇っていって、登っていって、上っていくと・・・何時かは壊れて死が訪れる・・・天国の門が開く?え、本当に?
さて、他に見た人はどう感じたのでしょう?
気持ちを不安にされてしまいました。
だって、どうみても彼女の方は最初夫の敵を討つための方便として彼の計画に乗ったように思えたのですもの。
発端がどうであっても、何から生まれたにしても、生まれたものが愛ならその愛は「ヘヴン」に繋がる?
さて、さて・・・色々考えながら見ていたのに、後半ポロッと考えることを止めてしまいました。
と言うよりか半分ぽかんと口を開けて景色の美しさに見とれてしまったという方が正しいです。
本当に美しかったです、イタリアの田園の風景が。秋の景色が!
豊かな色合い!稔りを予感させる豊かさ溢れる色彩!
空の色、木々の色、畑の色、なだらかな丘の色、点在する家の色、そして田舎の結婚式!
押さえられていながら豊かに溢れる色彩がもう私の目を押し流す勢いで・・・静かに美しかったです!
「イタリアの田園がヘヴンなのだ!」と、言われたら、素直に「本当に!」と、頷いていたでしょう。
それほど美しく、それは最後の集約していく空の1点の美しさに至るまで「ヘヴン」でした。
ため息をついて、でも思いました。
何で、二人とも坊主なの?巻き添えを食って死んだ人を弔う気持ちを表したの?
お坊さんのように俗世を離れたってこと?
あの愛情たっぷりのお父さんは息子を理解していたにしても、あれでいいの?親はああできると思う?特に女親の私には・・・どう?
考え出すと謎にまかれちゃうけれど・・・まぁいいわ・・・ヘヴンみたいな映像が見れたんだもの・・・と無理やり納得したのですけれど・・・?
親なら理不尽だ!あんな出会いを用意する神なんて!と思うでしょう?普通!

ケイト・ブランシェットという女優さん好きです。
でもいつも迷うんです。彼女は果たして美人か?否か?
美しいなぁ!と、思い、美しくないなぁ・・・と、思う。
滑らかな肌、金色の髪、青い目、醒めた表情・・・それらが作り上げる魅力!
丁度、ガラドリエル「ロード・オブ・ザ・リング」みたいに・・・不思議で魅惑的。
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スーパーマン・リターンズ

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監督 ブライアン・シンガー
出演 ブランドン・ラウス、ケヴィン・スペイシー、ケイト・ボスワース、フランク・ランジェラ、ジェームス・マースデン、エバ・マリー・セイント

こういう映画誘ってくれる友達がいて、最高!
なんか一人で行き難い映画なんだ・・・って、思うのは何ででしょう?・・・もう子供じゃないから?
でも、好きな物は好きだよー。
子供の頃に見ていたからかな?あの時、骨の髄に書き込まれちゃったんだ「ワクワク・スーパーマン大好き因子」があの音楽と共に。
クリストファ・リーブのスーパーマン最初に見た時は違和感あったのに、気が付けばスーパーマンは「彼!」になっていたから、彼の事故の時は本当にお気の毒で、残念で。もう二度とスーパーマンは見られないと思っていたから・・・新スーパーマンの予告を映画館で見た時はショックでした。
しかも驚くほど二人は似ていたし・・・いいのかな?新スーパーマン見に行くのってクリストファーを裏切ることにならないかしら?なんて、まじ!思っちゃいました。
でも、やっぱりスーパーマンは見たかった!
そして見てよかった!
スーパーマンはそれこそ不滅にその時代時代にヒーローであり続けるということが目に見えるように納得できちゃいました。
この映画、本当に素直に感動できました。感動しちゃったんです!
物語そのものがいい感じでしたし・・・!
「クリストファーの子供」に受け継がれたような気がしてしまうくらい、ブランドンが自然にスーパーマンを感じさせてくれましたし・・・!
ロイスと飛ぶところだけでなく飛行するところ全てが・・・何というか静寂を感じさせるんですよねー・・・「静けさへの飛行」とでもいいますか。美しかったですねー。技術の勝利!進化していましたし。その飛行時の映像、昼のも夜のもどこのも・・・全部本当にきれいでしたよねー!
他の映像もCGっていうんですかねぇ?とても楽しめました!
いつもどおりのレックス・ルーサー、ジーン・ハックマンに替わってケヴィン・スペイシー、言っちゃァなんだけど・・・一寸は利口に?もっと悪く?なんて予告編では思わされたのだけれど、何のことは無くやっぱり・・・アハハ・・・お約束通り?恐くなったのは頭だけ?
私的にはフランク・ランジェラの編集長が嬉しい!
恰幅のいい、いいおじ様?になって、しかも相変わらずの大きな印象的なお目々の目力!
で、もう一つ私的には永遠の謎。 「なんでロイスなの?よりによってなんでロイスなの?」子供の時からずーっと、こう思いっぱなしなのよ・・・なのに、今回のロイスは今までで一番キレイ。それに、こうなっちゃ「なんで?」なんて思っていてももうしょうがない?すっぱりと諦めます、許す!
今度は父子の飛行が見られるのかなぁ・・・そうすると「スーパーマン新世紀」だね。見たいなぁ・・・!
それにルーサーがキャサリンだっけ?あの女に又裏切られても(彼女のおたおたしている感じ好きだな)、彼女とズーット一緒なのがなぜか嬉しい。ルーサーらしく?暴力を振るったりせずに、あの美しい無人島で仲良くのんびり足を洗われているところなんか・・・なんか良かった!しなぁー。
あと、お願い、クラーク。回復したらとりあえずお母さんに顔見せてあげて・・・。
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父と暮せば

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監督  黒木一雄
出演  宮沢りえ、原田芳雄、浅野忠信

ここ数年体調を保っていた父が今年の夏は元気が無く、ここ2月も上京していません。あの映画好きが、映画も「「ゆれる」見に行こうかなぁ。「回天」(出口のない海)見に行こうかなぁ・・・」と言ったきり、行っていないようです。香川照之さんファンなのに、横山秀夫さんの本のファンなのにね。
その父が月初めに「お彼岸に(母の)墓参には何とか上京するよ。」と電話をかけてきました。
「これで少しは安心?」と、思っていたら、又「その折には「紙屋悦子の青春」を、又岩波ホールに見に行こうな。」と、一昨日又電話してきました。
自分で予定を立てて気力を振り絞っているのかなぁ・・・?
岩波ホールと言えば、前回は・・・「父と暮せば」でしたっけ。
黒木監督といえば私はまだ「TOMORROW明日」と「父と暮せば」の2作品しか見ていないというのに、残念なことでした。ご冥福をお祈りします。
ですから「紙屋・・・」を見れば3作目ということになります。
この「父と暮せば」を思い出しましたので書いてみます。
父と娘が見に行く作品としては妙にぴったりのようで?なんとなくそこはかとなく照れました。
父の情愛と娘の父への思いが日常的な楽しげな何気ない会話の中に浮かび上がって来ましたっけ。
広島弁は全くといっていいほど初めてでしたので、上手いかどうかということはともかく、りえさんの優しく透明な声で可愛らしく語られると、なんとも言えず娘の心根の慎ましさが匂いたつようでした。
目のくるくるした動きと声の弾み方が連動して心の波のさざめきや、この娘が元々持っていたに違いない明るさまでもが、いじらしく表現されているようでした。
被爆した挙句に、こんなにも悲しくいじらしく慎ましく自分を責め自分を戒めて幸せに背を向けているなんて・・・声高にアメリカの仕打ちをなじるよりどんなにかあの原爆が引き起こした無残さが心に迫ってきたことか。
土壇場で父を見捨てて逃げた事で自分を責める時の、娘と父との遣り取りにやりきれない涙を浮かべずには居られなかったでしょう?
「TOMORROW」もそうでした。
小さくささやかに日常を描写して重ねていって、そのいじらしく生きていた人たちにどんな明日が来たことか!胸を鷲づかみにされた感じでしたものね。
父が原爆の日の事を舞台で見栄を切るように話す一人芝居風の語りがありましたが、その中で「母のお乳を飲んでいた赤子・・・」のところで「TOMORROW」の桃井かおりさんが演じた若い母親、ちょうど赤ちゃんを産んだばかりの・・・を、思い出しました。
こうして黒木監督は見るものの心に一枚一枚の薄紙を重ねるように反戦の意志を強くさせてくれるんだなぁ・・・凄いなぁ!と、思ったことでした。
映像が出来る限りの最高のメッセージをしっかり見る人に送り届けたなぁ・・・と、思ったものでした。
その監督の遺作です。「紙屋悦子の青春」また父と見に行くことが出来るのもありがたいことですし・・・「楽しみにしている」と言うのも変な映画の様ですが、どんな事をおっしゃりたかったのかなぁ・・・と。
そして監督に「私の見たこの2作ほど、原爆について考えさせたものはありません。」と言いたいと思いました。
そうそう「父と暮せば」は原作は井上ひさしさんで舞台もあるのですね?父と娘誰が演じたのでしょう?
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クリント・イーストウッド

俳優についてのコラム 239 Comments »

こんなに書くことがいっぱいある俳優さんて他に居るでしょうか?
私にとってピーター・オトゥルが見果てぬ夢だとすればクリント・イーストウッドは身近な夢です。
何しろ作品がいっぱいあって、「見たいなぁ!」と思う前に何かしらTVで放映されます。
新作もちゃんと程よいピッチで来ますしね。
ピーターはなかなか見られませんからいつも彼の作品に飢えている状態ですが、クリントは多彩に活動していて何度でも見ることが出来るという安心感があります。
大体子供の時から彼は私の憧れで、しかも身近に居るという感じです。
「ローハイド」なんて、もう死ぬまでお目にかかれないと諦めていたのにどうです?
衛星第二の再放送で見れちゃった!なんて嬉しいことでしょう。
子供の頃の茶の間とTVを懐かしく思い出しました。
クリントのなんと若くて颯爽としていて真面目で初々しかったことか!
その後もマカロニウエスタン・ダーティ・ハリーシリーズと、彼が演じれば見られる物はたいていは見ました。
「荒野の用心棒」など、マカロニウエスタンの音楽のなんと胸をときめかしたことか!
ゾクゾクしながら見ましたよねぇ。細めた目、口の端の葉巻、ぼそっと一言、思い出してもカッコイイ。
カウボーイ物とハリー・キャラハン以外では、ざっと思いつくだけでも「ミリオンダラー・ベイビー」「許されざるもの」「スペース・カウボーイ」「アルカトラズからの脱出」「目撃」「ザ・シークレット・サービス」「トルゥ・クライム」「マディソン郡の橋」「パーフェクト・ワールド」「ルーキー」「タイト・ロープ」「ガントレッド」「白い肌の異常な夜」・・・
何で惹かれたんだろうなぁー・・・子供の頃には「背が高くて、金髪で、ハンサム」なんて人そう見ることは無かったからかもなぁ・・・珍しかったのかも。
見た全部の作品について書くなんて大それたことはできないから、それに「ダーティ・ハリー」が何で好きなのか自分でも分からないから(だって、友人で好きな人誰も居ないのよ。皆人殺しで暴力的で、何であんなの見るのさっていう人ばかり)、書けない気がするし。
「ローハイド」で「フェーバーさん」なんて言っていた穏やかな彼よりも、彼には歯を食いしばったような苦い顔が良く似合って、その顔がなんとも好きなんだなぁ!
大本はハリーの顔よ。
こっちも年を取ったからかもね?
年を取っていくのを見てもそれが全然悲しくない人だわって思っています。
ロバート・レッドフォードなんかは最近見るのが辛いような気がしてしまうのに。
で、そういう顔が生きている彼の作品がやっぱり好きなんです!
だからそういう意味で好きなのを挙げろって言われたら(勿論、ハリーは抜いて)、まずは
「スペース・カウボーイ」あの顔と会話がなんともいえない!もう笑えて笑えて、ホント全く、どうしようもなくしょうがないんだから・・・と言いながら「可愛いおじいちゃんたちだなぁ!」って、マーシャ・ゲイ・ハーデンのように顔を振りながら暖かく見つめちゃう。
この作品は彼だけが好きというよりあの4人のおじいちゃんのハーモニーが好きなんだとは思いますけれどね。トミー・リー・ジョーンズとの遣り取り秀逸でしょ?素敵なお伽噺だわ!
この作品でも、「許されざる者」でも、「ミリオンダラー・べイビー」でも私だったら男優賞あげちゃうのに!って、思っています。ええ本気で!絶対!
「ザ・シークレット・サービス」も好きだなぁ。この映画の場合もジョン・マルコビッチとの競演の面白さが際立っていたように思うのよね。年齢に鞭打っているところ・・・そういう時の彼の顔・・・いやぁなんとも格好いいんです。
ほら、車について走っていくときの辛そうな顔!
顔が年と共に鶴のようにそそけてゆくのに体格が際立っていて、スックと立っているところ(一寸背中に年が出ている感じ)が又なんとも言えず哀愁を感じていいんです。
しわだってしみだって全部ひっくるめて渋さがいいのですよ。
う~ん・・・なんか一緒に歩いてきたような懐かしさを感じちゃうんでしょうねぇ。
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ユナイテッド93

映画タイトルINDEX : ヤ行 4 Comments »

監督 ポール・グリーングラス
出演

「9・11」のテロそのものにも色々な意見・見方があるようですが、
ここは素直に「9・11で亡くなられたすべての人に捧げる」映画と受け止めて見に行きました。
あの時の恐ろしい映像は今でも未だ脳裏に鮮やかです。
そして見終えた今、
あのテロで亡くなられた全ての人々と、その報復を果たすために派遣されて亡くなられた全ての人と、あのテロのことなど全く知らなかったにもかかわらず、アメリカの報復のために殺されたすべての人々、あの事件の余波で苦しむ全ての人に心からの冥福をお祈りし、お悔やみを申し上げたいと思います。
何にもならないことは承知で心から悲しく思います。
この憎しみの連鎖を断ち切る術など思いもつきませんし、その根を正す方法も全く分かりません。
ただただ悲しい世界だと思います。
たとえこの事件の裏がどんなものだったとしても、現実に人が沢山亡くなり、互いが互いへの報復が正当化され今も続いているのですから。
「ユナイテッド93」に乗り合わせた人々、状況をつかみきれないまま右往左往する人々の表情を見ているうちに、本当に一人一人は普通の人々なのに・・・犯人も含めて・・・ということが迫ってきて、私が生きているこの世界は一体どうなっているのだろうと、私は座席で手をこまねいて、何も見ずに暮らしている自分を感じていました。
何時何に巻き込まれてもおかしくない時代に生きているのですよね?
家族への最後の電話にすがりつき「愛している!」と必死に伝える人々を見て、有事の際の最後の伝言に涙を流すのはこれが最初では無いことに気が付きました。今も!いつまでも?人は同じ事を繰り返し続けているのです。
私だったら・・・「ありがとう。」しか出てこないだろうなぁ・・・と。
それでも繋がっている向こうの誰かに必死で何かを伝えようとするのだろうなぁと。
「この映画見に行かない?」と誘ったら、「行かない、恐いもの。男って戦争が好きで人を殺すのが好きなんだよ、結局。そんなもん一人でどうぞ。」って、言われちゃった。
女護ヶ島に暮らす気はないんで・・・思っちゃったのだけれど。
「家族を守るためだ!」ってそれぞれの男たちが武器を手にした時に「守らなくていいから、誰も殺さないで、一緒に死のう(殺されよう)!」って女たち皆が言えれば・・・そういう家族が増えれば争いは何時かこの世から無くなると思う?
女が「あなたって強そうで守ってくれそう。素敵だわ・・・」なんて男を鼓舞したり、夫の、または子供の「敵を取って!」って男にすがりついたりしなければ、戦いの連鎖はそこで終る?
それにしても、アメリカは自分の国でテロが起きた時に、ああなす術が無かった・・・、またはすべきことが決定できなかった・・・、またはやっぱり後処理(それも間違った!)しか出来なかった・・・って事を思うと日本に向かってくるテポドンに、間に合うように何か出来るとは思えないな。
テポドンを打ち込みたくないと向こうが思えるような「いい関係」が築けないなら・・・日本は政策を誤ったと言うことかも知れないけれど(最も私はあの国は得体がしれなくて、恐い)、それならそれで自分の失敗は自分であがなう気でいなくちゃならないのかもしれない。他人の妻子のために命を懸けるか?っていう問題。
どこかよその国に守ってもらおうとか、誰かがどうにかしてくれるとか思っていると、武器を手にした「自分の男?」に勢い任せに誤って?殴り殺されるかも!
やっぱり武器が一番悪い!いえ、一番悪いのはやっぱり自分しか見えない人間。
果てしない堂々巡りをしている私です。
映画のエンディングの音楽が、又非常に印象的で、私の堂々巡りを促すようでした。
内省を促すような、喪に服してと訴えているような。
心が木魚を叩きながら祈っているような・・・
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