レンブラントの夜警

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レンブラントの夜警 レンブラントの夜警
ピーター グリーナウェイ 倉田真木ランダムハウス講談社 2008-01-18
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 監督  ピーター・グリーナウェー
出演  マーティン・フリーマン、エヴァ・バーシッスル、ジョディ・メイ、エミリー・ホームズ、ナタリー・ブレス、トビー・ジョーンズ

今月いっぱい上映しているらしいですね?ロング・ランですが、やはり「レンブラント」そのものがビッグ・ネームだからでしょうか。
私が行った日も混んでいました。絵が好きな人ならこの題名に素直に引き付けられますよね。
私も「映画そのもの」とか「レンブラントの没落事情」とかいう以前にあのレンブラントの描いた「絵」そのもの、夜警を見たいという気分が濃厚だったのです。「絵」に引かれて「絵の物語を知りたくて」映画に行ったというわけです。オランダは遠い!気軽に映画を見に行った私にはこの映画は「手ごわかったな!」です。映画を見ていたというより舞台を見ていたような臨場感がありました。舞台装置の中で当時のオランダが息づき、そこに生きる人々の人生場面が転換するといった感じです。私は昔見た映画でなんとなくレンブラントと妻サスキアは愛し合っていた夫婦で、彼女の死と共にレンブラントの没落が始まったのだと思っていました。後の二人の女性の知識もあまり無かったのでレンブラントの周りで繰り広げられる色と陰謀の陰の濃い人間模様は正直冗長で暗く長く感じられました。まるでレンブラントの光の当たっていない部分の世界だけを見せられているようで。でも実際はあの光の当たっている部分をこの映画は描いていたのでしょう。
レンブラントを演じた俳優さんはそれこそ「レンブラントの自画像」を思わせる俳優さんであったにも関わらず、段々このレンブラントの人生から逃げ出したい気分になって「もういいや、これで十分!」と思いながら見ていました。この映画が好きだとはいえませんが、画面には確かにこの時代の世相がくっきりと描きこまれていたのではないか、この世界はこのように腐敗していたのではないだろうか・・・と感じました。そういう意味では濃密な世界を構築した映画だとは思います。でもレンブラントその人はは私から遠くなった印象です。
レンブラントの肖像画と男たちの集団を描いた絵は好きなのですが宗教画とかギリシャ神話世界の絵画は余り好きではありません。
この「夜警」は「織物商組合の見本調査官たち」とか「解剖学講義」とかと比べると真ん中の微妙な?少女に奇妙な光が当たっていて不気味で、あの辺りが好きではなかったのですが・・・やっぱりこの絵は「好きになれない絵」でよかったんだ・・・でしょうか。
 

スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師

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監督  ティム・バートン
出演  ジョニー・ディップ、ヘレナ・ボナム=カーター、アラン・リックマン、ティモシー・スポール、サシャ・バロン・コーエン、エドワード・サンダース、ジェイミー・キャンベル・バウアー、ローラ・ミッシェル・ケリー

「ジョニーから眼を離せない!」という二人連れで見に行きました。
でもジョニーを見るより首を押えて横向いている時間の方が多かったようだなぁ・・・と、ぐったりして帰ってきました。でも映画そのものはよかったんですよ。念を押しておきますけれど、濃い時間を過ごせます。
これは確かに音楽劇!かもしれないけれどミュージカルって響きは無かったなって思いました。だってあれ聞いていたら一緒に歌いたいって思える歌は一つも無かったのですもの。ミュージカルを見たなら、時に口ずさめるような気分も欲しいじゃないのって。
歌として聞いていた物は無かったんです。あれは独白が捩れたものだという気がしたのです。ジョニーが歌うとそれは心の思いが吹き出る・・・念がよじれて立ち上ってくるっていう感がありました。
復讐の念が凝り固まってもう他の何も見えなくなった男の心の暗黒が口から捩れながらこぼれてきたものだという感じが。
それはヘレナ演ずるミセス・ラペットも同じでした。何を歌っても貧しさと報われない思いと閉塞感にしかならない、哀れ。
それが、19世紀、暗黒の世相、霧のロンドン、モノトーンの世界と相まって二人が二人共に狂気に流れ込んでいく様がドーンと見るものに、聞くものに、重苦しく、(しかし不思議にスムースに)のしかかってくる感じでしょうか。
息苦しい映画でした。若者の恋にも明かりは全く射さないし。過去過去過去・・・ここには未来は無いのです。
スゥイーニーにはもう娘も判るはずが無い。消息を聞いてももう娘は彼の心の中でリアルにはならない。恨みで凝り固まっているうちに彼の心の中で娘は成長をやめてしまっていた。妻とともにもう失われ去った者になっている。彼はもう未来は見えない。娘の未来を思いやる感情も無い。心の中にはもうひとかけらの潤いも残っていないのだ。何も明らかにならずこの出来事はロンドンの塵芥の中に紛れて消えていくのだろう・・・と・・・首を押えたまま思っている自分に気が付いて「ジョニーはやはり凄い俳優だ。」と、改めて思った。
終りまでとうとう首から手が離せなかったのです。
何時まで経っても顔が一つにならない不思議な面白い俳優だと。
今度はどんなものをどんな風に見せてくれるのかという期待を常に抱かせる俳優だわ・・・と。
で、しっかりマフラーを首に巻いて映画館を出ました。
 

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