夏時間の庭

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監督  オリヴィエ・アサイヤス
出演  ジュリエット・ビノシュ、シャルル・ベルリング、ジェレミー・レニエ、エディット・スコブ、ドミニク・レイモン、ヴァレリー・ボネトン、カイル・イーストウッド

どこの国でも持てる人にとっては相続税は大変なんですね?
その点では余り共感はもてない裕福で美的なセンスを楽しめる優雅な人たちの映画でしたね。
そして同じようにどこの国でも親世代と子世代の感傷の溝はあるんだなぁ・・・と、いう感じでしょうか。親の気持ち、長男のように受け止めたいと思っても、母親が覚悟していたように子供が数人いればその人数分だけの意見も希望も事情もあるようで。
美しい家、美しい調度品、美しい人々・・・ある意味では夢の生活の宴の後の侘しさが、非常に生活実感のある子供らの相続問題の向うに漂っていました。世はどんどん世知辛くなるようで・・・?それでもこういう庭で、こういう家で、こういう美しいものたちに囲まれた少女時代を過ごせたら・・・そういう記憶だけでも持っていられるのだったら・・・という羨望はありました。もっともそういうものが有れば長男のような心の痛みも多く付いてくる・・・って事でしょうね。
こうして素晴らしい絵や家具が美術館に納められ様々な人が見られるようになるということはいいことですが・・・
私はオルセー美術館の家具のコーナーを走り抜けた覚えがあります。オルセーは楽しみにして、時間をいっぱい取ったつもりでゆっくり見ていたのです。で、家具の場所に行った時も最初は丁寧に見はじめたのです。丁度長男夫婦が母の遺品の展示状況を見に来ていたように?ところが途中で嫌気が差したのです。だって使えない家具をただ眺めて「こんなの使ってみたいわ。」とか「この上にこの花器を措いて向日葵ね・・・」なんて言ってるのって、ただただ無いものねだりをしているようである意味つまらなかったんですものね。こういうものって使われてナンボだもんね?何も置いてない机なんて間が抜けてる。何も飾られていない飾り棚なんてねぇ?だからこの映画は美術館がきっと本当はこう展示したいっていう気持ちで作った舞台なのかもね。きっと家具の展示が美術館の学芸員さんたちも物足りなかったのよ・・・なんて話しながら帰ってきたのです。
絵はどっちにしろどこに置いても壁にかけて鑑賞すればいいものですけれど、生活用品はどんなに美しくても使わなくてはね?
だって「あのお手伝いさんに持って行かれたあの花器が一番幸せ、花瓶冥利に尽きたわよね?」でした。
あの家を買った人もその子の世代にはあの屋敷を手放すことになり、あの庭は・・・と、考えるのは厭でした。孫たちが騒いでいる最後の日の庭もそんなに喜んでいるようには見えなかったんです。
祖母がいて子供たちがいて孫たちの可愛い声が響いている・・・冒頭の庭が一番幸せそうで・・・そこに一番の眼福のあった映画でした。古き良き日々を家族サイズにしたらこの庭になるんだって、感じでしょうか。

重力ピエロ

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監督  森淳一
出演  加瀬亮、岡田将生、小日向文世、鈴木京香、渡部篤郎、古高由里子、岡田義徳

余りにステキな映画だったので・・・本を予約しちゃいました。
原作の伊坂さん、お名前は知っていますが読んだことは無かったので・・・ヒョットすると物凄くいい作品書いているのかも・・・と、期待大です。ついでに図書館で待ちが物凄く多くなっている「ゴールデンスランバー」ってのもついでに予約!
映画の方がいい!という可能性もありますかっ?
何が良かったって・・・とにかく小日向さん、ぴかイチ!
何がピエロかって、題の事を考えていたのですけれど、この家族全員ちょっと地上から浮いているんですね。重力って・・・そこかな?なんて思ったのですが?
あの夫を選んだあの母がまず浮世常識離れている感じ。最もその選択はステキな大正解なんですけれど。兄と弟の関係も同じく、父と息子たちの感じもこれまた同じく!私の「あってほしいなぁ・・・ワールド」の住人たち。
ここには、実にいい空気が流れていて、暖かくてほんのり色。で、大正解って言葉おかしいんですけれど、この家族大いにありでしょう?ありですよ!
でもとりわけこのお父さん。凄いんです!ピエロ、一番似合うの彼ですが(失礼)、小日向さんの顔って色々なものが張り付きやすい顔なんですか?悪も善も。これって演技力って言ってもいいのでしょうね。 生きていくのに色々なものを重ねて重ねて・・・丁度ピエロの化粧のように、塗り重ねて。たまねぎみたいになっているの、重層に。で、たまねぎを一枚むくと涙が流れるでしょう?目がジーンとして。このお父さんの心はジーンとするごとに皮を一枚一枚重ねていって、こういう顔に成ったんだ!っていう納得?説得されちゃったような。
生きていくってこういう顔になることだわ!みたいに。親だったらこういう顔になって見事子供を育てたいな。いえ、こういう顔で見守れたらいいなかな。
兄弟の言葉もお父さんの言葉もとても良かった。いい言葉沢山あったな。
渡部さんの演じた男の存在が絶対悪みたいに重く垂れ込めるのに対して、この家族の結束が心に浮き上がってリアルになる不思議さ。優しさが祈りみたい。
厭な物語を抱えているのに、いい雰囲気をたっぷり味わわせてくれた映画だった。加瀬さん好きという友人と見に行ったのだけど、二人とも益々好きになったと思うし、岡田君?いいな。
でも小日向さんが最高かも。
この映画ここで終ってくれてよかったぁと思っているのだけれど、果たして原作はどうなんだろう?SOSの出し方、出された時の向き合い方、色々感じさせられた。問題は出し方を知らない人、出す相手・方向を持たない人かも・・・

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監督  ロン・ハワード
出演  トム・ハンクス、ユアン・マクレガー、アイェレット・ゾラー、ステラン・スカルスガルド、ビエルフランチェスコ・フアヴィーノ、アーミン・ミューラー=スタール

「原作読んで、面白かったから行かない?」「え、私も読んだよ、行こう!」即決。って、ダ・ヴィンチ・コードも彼女たちと行ったんだった。本の内容、凡そのことは覚えているけれど・・・完全には覚えていない・・・って言うくらいの記憶のあいまいさで映画を見るのは危ない!映像の方がどうしても主張が強くなる、っていうか目から能に滲み込むからあいまいな記憶は映像に乗っ取られてしまう。
だから最後に彼女が「本では彼も乗っていたよね?落ちたのティベレ川・・・良くあんな狭いところにぴったりと降りれるもんだっておかしかったね」って聞いてきた時・・・「エッ、あー、そうだった?」と語尾があいまいになってしまって・・・コリャこの「題」で思い出すのは映画の方になっちまう!と、諦めた。本でだと、とても長い時間のことのように行動の量・濃さに疲れ果てた印象がある。
それが、実際ほぼ1日の出来事を、映像は確かにフルスピードで描いているのだから記憶へのしみこみ方が圧倒的なのは当然といえば当然!
ローマの観光名所を駆け抜けた満足感は物凄くあった!
「ナヴォナ広場の噴水の池、絶対あんなに深くなかった!」
「うん、絶対。あたしあそこでお茶飲んだもん!」
「でしょ?そうよね、私もお気に入りの広場よ。」
と満足げな私たちはお互い2度のローマ滞在経験アリ!そして見終わった後、「今年4人でローマまた行けないかな?」です。
観光映画といわれているそうですが・・・見た後は誰だってローマ・バチカン行きたくなります。ダ・ヴィンチ・コードのロスリン絶対行きたいと、まだ思っているのですから。
宗教と化学の葛藤については宗教の基礎も無く、化学には漠然と敬意を抱いているだけの私には結局興味は美術的、文化的なもの、好奇心を刺激するものだけというわけです。
結局映画としてはそれが一番、日本のご婦人たちに効果のあったところではないでしょうか。物語はそれなりに順序良くスピーディに展開して、一緒にローマ中を駆け巡った満足感はたっぷりあるのですから。しかもコンクラーベなんかの手順や雰囲気もしっかり学べて文化的にも色彩的な美しさにも・・・お得!感あり。
何が復讐になり、何が過去の因縁であり、何を何から阻止しようと走り回ったのか・・・終ってみても?
トムのラングドンさんは前回より少しシャープになって、許せる状態?で、ユアンさんのカメルレンゴは真剣さがあっていい感じだったし。でも一番良かったのはスタールさんの演じたシュトラウス枢機卿、あの「イースタン・プロミス」のロシアン・マフィアのボス、怖かったですものねぇ・・・だから、悪人のイメージがしっかり残っていたし、やられましたねぇ。大体胡散臭いお顔ですよ、とても聖人君主には・・・ねぇ。それにステランさんの演じたリヒターも、絶対ひと癖あって・・・うまい配役でしたね。これが映画の強みっちゃ強みなので。こうこられると面白くなっちゃって・・・
 

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バンク・ジョブ

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監督  ロジャー・ドナルドソン
出演  ジェイソン・ステイサム、サフロン・バロウズ、リチャード・リンターン、デヴィッド・スーシェ、スティーヴン・キャンベル・ムア、ダニエル・メイズ、キーリー・ボーズ、マイルズ・アークハート

「その土曜日、・・・」を見たくてギンレイへ行ったので二本立て。この映画の知識は全く無く、ステイサムさんが主演だと分かった時点でアクション映画・・・B級?・・・なんだぁ・・・みたいな・・・
ところがなんとこの映画にデヴィッド・スーシェさんが出ていたんですね。ポワロ以外の役で見たいと思っているわけではないのですが・・・今まで映画で見た彼はなんか思わせぶりな役柄ばかりで輝く場面が無いような・・・酷薄なテロリストとか出てきただけで役にたたない刑事とか・・・がっかりでしたから。そして今度も余りやって欲しくない役柄でしたけれど、ポワロ目じゃないこの人の目は結構怖いんです。だから・・・仕方ない?
ところが映画そのものは思ったよりズーッと楽しめたんです。
実際随分頼りない寄せ集めのメンバーでよく出来たよね、こんな銀行強盗!都合のいい棚ボタで・・・ところが後でなんとこれは実話ですと!
赤毛連盟絶対思い出すわよね?それで現代の実話だって言うんだから結構嬉しくなっちゃう。私にはもうわけの分からないハイテク過ぎる強盗じゃなくて・・・素人っぽくてハラハラよ。これならワクワク出来るじゃないの!って感じです。
しかも、なんと、英国王女スキャンダルですと?・・・っていっても驚きません。英国王室はスキャンダラスだらけで開かれすぎた王室って感じがしていますし・・・確かに手に負えないマーガレット王女っていたような?
スーシェさんの組織の親分さん?きっちり警察官への賄賂記帳して、またこれを銀行の貸し金庫に預けてあるという丁寧さ&売春宿のオカミサン?政府高官の危ない写真も貸し金庫!王室スキャンダル写真も貸し金庫。貸し金庫って覗けたら・・・実に面白そうですね?
危機対策?が裏目ってわけで・・・結局政府筋?にも、M16?筋にも、かなり棚ボタ的解決で犯人側も痛みわけ・・・って感じですが、裏の裏が全部分かりやすくて乗れました。あっちこっちの思惑がカラコロ入れ替わって七転八転。しかし警察腐敗は目も当てられないから頼れないし、裏社会にも落とし穴があるし・・・。それでも情けない強盗の親分と思われたテリーの最後の機転・・・スリルあった!し、後味も良かったですね。
これはこれで楽しめるもんだなぁ!・・・って感想。私にも棚ボタ!

ベルサイユの子

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監督  ピエール・ショレール
出演  ギョーム・ドパルデュー、マックス・ベセット・ドゥ・マルグレーヴ、ジュディット・シュムラ、パトリック・デカン、オーレ・アッティカ

一緒に行った友人は「彼の削げた横顔にかっ攫われちゃった!」そうなんですが・・・実際私は彼の顔が分からなかったようなんです。そう書くのはおかしいのですが・・・私は昨年「ランジェ公爵夫人」を見ているんです。あの映画も実に映像が暗くて・・・一体見せる気があるのか?見る努力を強いるのが芸術だと思っているんじゃないでしょうね?」みたいに思わせぶりな、あまり目に優しくない映画でした。で結局物語が物語で、主人公たちの人間性が明確にならなくて、私は彼の顔を掴み損ねたようでした。そこに持ってきてこの映画です。
この映画も「フランス映画って!」と嘆かせる曲者でした。特に前半は目を凝らすのに一生懸命ってところがありました。静かで・・・暗い!でお隣のお隣の大きな奥様は鼾を書く有様。
ランジェ公爵夫人のギョームとこの映画のギョームとの間には大きな広い川が流れているようですが(確かに両極端の男性像です)、どっちの作品からも漂ってきて感じさせられたのは横顔のはっきりしない難しいあいまいな男です。個性は強いのに・・・固定できない影の中です。
さてこの映画ですが・・・どこの国にもホームレスの住みやすいところってあるのでしょうね。この場合あのベルサイユ、観光客で賑わい・・・実際私も明るい部分だけはしゃいで輝きに目を奪われて廻ってきましたが・・・あのベルサイユのあの美しい庭園の向うに広がる広大な森林にあんなに人々が住んでいるとは思いもかけませんでした。
ダミアンは否応無く子供を押し付けられ・・・多分長い間考える事を放棄していた「生きること」を考えたのでしょう。いたいけな子供が戸籍もしたがってなんの権利も無く世の中に放り出されたということの結果を考えたのでしょうね。病気を助けられて・・・なお更真摯になったのでしょう。でも自分ひとりの力では出来なかったのです。そして・・・子供に家庭と戸籍と権利を与えて・・・つまり自分の実の父親に責任を丸投げして・・・素の自分に戻って行きます。役所で自分の(詐称した)経歴を語るとき・・・麻薬や病歴は本当の事を語ったのでしょうね・・・で、私は彼はあの森で今度は助ける人も無く亡くなってしまう道を選んだのかも・・・と、思ってしまいました。
それはどうしても?役者本人の影とどうしてもダブってしまったからでしょうか。働こうとしても働ける身体を彼はもう持っていなかったのですし、自分を回復させる・・・そこまでは父に頼りたくも無かったから・・・っていう気がしてならなかったのです。
私にもう一つ頷けないのはエンゾの母です。子供連れて避難し、働く機会も施設もあったのに・・・彼女が選んだあの新聞の彼女はどんな主張を新聞に載せていたのでしょう?そこがもう一つ分からなくて、この母の言い訳が素直に滲みてきませんでした。
エンゾがとりあえず母を受け入れてもその後は?とどうしても思ってしまうのです。
それでもダミアンからエンゾが受け継いだもの・・・今一あいまいな形ではあっても「勇気」は・・・心に残ったのでしょう。
 

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