ホテル・ルワンダ

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監督  テリー・ジョージ
出演  ドン・チードル、ソフィー・オコネド、ニック・ノルティ、ホアキン・フェニックス、カーラ・セイモア、デズモンド・デュベ、ジャン・レノ

札幌から東京に転勤してきた頃ですから、もう6・7年前になりますか、久しぶりに朝日新聞を採り始めた時に連載していたのが曽野綾子さんのツチ族とフツ族の物語でした。
途中から読んだので全体像はわからなかったもののルワンダの惨状に読んでいてひるみました。
途中から読んでしまったので、普通なら本になったら読むところですが、この小説はどうやら「辛すぎる」という部類に入りそうだから読むのはやめよう・・・と、思ったのです。
大体それは私らしくない行き方です。読み始めた物はつまらなくても読みきる、何かで途中を知ってしまった物は必ず読みきると言うのが私の仕方です。
でも、この主人公の行き先は新聞では完結しませんでしたから、読んだとしても・・・読んだだけのところから想像しても・・・辛さが勝つだけのような気がして・・・悪い夢に落ちるだけのような気がしたのです。
それでもルワンダの虐殺の歴史は事実として私の頭の中に残って滓のようにあったようです。だからこの映画も躊躇いました。曽野さんの小説を読みきらなかったのだから、これも見るのはちょっと?という気持ちでしたろうか?
それでも気持ちに残っていると情報はやってくるものです。
ルワンダのことは何もできないと思いつつも知らないで済ませるよりは知って何もできない自分を確認した方がいいのかもしれない・・・と言う気持ちでした。そこにこのアンコール上映でした。他にもルワンダの映画が来るようですね。
日本もアジアの侵略者だった過去があるのですから言えた義理じゃありませんが、ヨーロッパの国々ってなんて事をしたんでしょうね?そしてしているのでしょうね?です!
日本が開国させられた時、イギリスはアヘン戦争で中国を侵していた頃でしたよ。あれが日本が世界に生きることのお手本になったんだ・・・なんてほんの言い訳に過ぎませんが・・・でも、そういい訳したくなりますよ。恥ずかしいことだから。でも恥ずかしいことに言い訳を重ねるほど恥ずかしいことはありません。
でも、でも、でも・・・です・・・
ヨーロッパがアフリカにしたことは人類史上最悪に近いことじゃありませんか?
ツチとフツという分類も、アフリカの直線を多用した国境線も、世界中に散らばった黒人も、アフリカに蔓延する病気も貧困も皆ヨーロッパ列強の仕業です。アフターケアは義務でしょう!と座席で情けない気持ちで憤然としながら、一方でそんな世界を上手に生きていく知性があることに感嘆もしていました。
主人公の機転、といっていいのですかね?は凄いですよ。生きていく理性に満ち満ちてしたたかで逞しくて!人ってなんて素晴らしい賜物をも一方で付与されているのでしょう!
家族を守りきることに徹したその理性と機転が結局多くの人を救ったわけですが。
紛争のある世界の中で穏健派で暮すことの怖さも知りました。
私たちは普通に穏健な政治理念を持って暮せているというだけで、なんと恵まれた社会に暮せているのかって事です。
怒りと憎悪の中で暮していると爆発した時にまず血祭りに上げられるのはどっちのグループでも穏健派です。それだけそれまで怒りや憎悪から逃れて暮せていたということなのでしょう。それだけに、虐げられた人またはその憎悪に便乗する人にとってはけ口になってしまうのでしょう。
現場から逃げ出した人々やカメラマン(ホアキン・フェニックス演じた)でなくとも、紛争地以外で安穏に暮している全ての人が「恥ずかしい」と思うでしょう。ホテルマンのポールが成し遂げたことに感嘆し賞賛する前に、国連平和維持軍(ニック・ノルティが演じて代表した)の現状に絶望する前に、本当にただ生きていることが恥ずかしいと思う映画でした。
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ヘンダーソン夫人の贈り物

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監督  スティーヴン・フリアーズ
出演  ジュディ・デンチ、ボブ・ホスキンス、ケリー・ライリー、ウィル・ヤング、クリストファー・ゲスト、セルマ・バーロウ

心がほぐれるような映画でした。
シリアスな部分を抱えているにもかかわらず、大方は笑って見ていました。ヘンダーソン夫人が余りにも生き生きしていて逞しくて、こうありたいものだと強く思いました。
念のため言いますけれど、未亡人になりたいわけじゃありませんよ。彼女ほど財産に恵まれていませんからね?
至極?常識派の友人と見に行きましたが、彼女の最初の科白も同じでした。
「あれだけの財産持って未亡人になるのって素敵じゃない?」
大方の女性はそう思ってしまうかもしれませんね。
でも忘れないでください。彼女は人知れず泣いていましたね。夫を偲び、息子を痛んで。
悲しみがあったからこそ強く生きた女性なんです。
だからもう一度念の為?私はこんな悲しみを知らない幸せの中に居ますから?彼女のように強くはなれないですよ、きっと!でもね・・・
何か一生懸命していないと生きていけないような悲しさ、寂しさ、孤独感の中に居たのでしょうから。
この映画の素晴らしい最高の魅力はヘンダーソン夫人と劇場支配人のヴァンダムさんとの間に繰り広げられる丁々発止の遣り取りです。
ヴァンダムさんの手腕はさておき、ヘンダーソン夫人のありとあらゆる口出しを封じ込める遣り取りと何とかして彼を出し抜こうとする彼女のあの手この手のおかしかったこと。
最後にヴァンダムさんも認めましたね。手に負えないけれど、憎めないって。そこですよ。本当に憎めないんですもの!
その丁々発止で彼女は悲しみを忘れたんですね、一時。そう一時夢見たんですね。そこが切ないですし、可愛いですし・・・ね。(「ラヴェンダーの咲く庭で」の彼女も可愛かったですけどねぇ、あのMですよ。)
そうその彼女にある種アイデア?ひらめき?を与えた未亡人先輩のレディ・コンウェー、彼女の未亡人歴から来る智恵?いいですよ。
この二人のレディのやり取りもユニークな面白さを、ユーモアを添えていました、この映画に。ある種品位でもありますよ。
そしてもう一人クロマー卿トミー・・・いい年の貴族なのに、ヘンダーソン夫人にかかったら?
そう、私もこんなご夫人になりたいですなぁ。憧れですよ、彼女は。
実際遣り取りをする羽目になったら、ヴァンダムさんと違って私なぞは100戦100敗でしょうが(当たり前田のクラッカー)、でも遣り取りしてみたいですよ、こんな可愛いしたたかな頑固なおば様と。長生きのお手本かも?
中国人のメーキャップで小ダンスの上に乗せられたジュディ・デンチさん!可愛くておかしくて・・・白熊のぬいぐるみの中に実際彼女が入って演じたとは思わないけれど、想像はしちゃいましたね。あの着ぐるみの中のデンチさん!だからおなかの皮がよじれちゃいました。
物語は悲しみのニュアンスをまぶして感動的で素晴らしかったですが、それに輪をかけて素敵だったのは、勿論デンチさんとホスキンスさんの申し分の無い上質の演技のほかに、舞台で歌われた歌たち、そしてレヴューそのものの楽しさ、わけてもウィル・ヤングさんの歌!魅力的でした。それにケリー・ライリーさんて素敵な雰囲気の魅力がありますね。「リバティーン」の彼女も魅力的だったけれど、ここではもっと印象的かな。
だから感動も笑いもある物語と舞台で演じられるミュージカルそのもの楽しさ面白さ美しさと俳優さんの魅力に酔えるという3つを堪能できた・・・お得感?
第二次世界大戦の戦時下のお話、しかも実話なんですよ。
日本で・・・考えられますか?
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ブロークバック・マウンテン

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監督  アン・リー
出演  ヒース・レジャー、ジェイク・ギレンホール、ミシェル・ウィリアムス、アン・ハサウェー、

時代を背負った悲しい恋物語でした。深ぁーいため息が漏れます。
この映画は見損なった事をとても悔やんでいた映画の一つです。
友達は誰もうんと言わなかったし、「ゲイ」のイメージが先行したので一人で行くのをためらったのです。
見終わって何もためらうことなど無かったのだと思いました。
素晴らしい映画でした。
先日豊洲ユナイテッド・シネマの「2006年心に残った映画アンコール上映」という広告を見つけました。ラインアップを見ると、まさに私が見落として残念!という映画と見て良かった!と思った映画が・・・。だから?今月は忙しい!「クラッシュ」も「ホテル・ルワンダ」も「間宮兄弟」も見たいしね。
それはさておき、素晴らしい映画でした。アンコール?アンコールです、心から。
美しい映画でした。勿論景色もですが愛もです。
ブロークバック・マウンテンという山が本当にあるのかどうか知りませんが、心を充たしたのはあの美しさも、厳しさも背負った大自然でした。彼らの心の充足はあの自然の中を置いて他には無かったのです。彼らの愛を象徴したのがあの厳しい自然です。
あの愛情は確かに愛情でしたから、切なくて可哀相でいとおしくて・・・なんていう恥ずかしいような言葉をためらわずに費やしたいと思います。
あの夏、彼らが見せていたのは子供のような素直で可愛いじゃれあいでしたよ。孤独だった心が通じ合って、通じ合った人を愛するのは自然のことですもの。
何時までも大人に成れない子供どうしの愛着のような始まりだったのに、地上に、世間に降りると本当の普通の愛情だと言えなくなる悲しさ。
イニスの心を縛ったものは父親が埋め込んだ偏見と元々決めていた自分の決断(結婚して、家庭を築く)を貫き通すのが男だと言う信念、時代の常識だったのでしょうか?
そしてジャックを縛ったのは愛するイニスの決断を尊重する愛そのものだったのでしょうね?長い距離を飛び越えてイニスの元に急ぐジャックの素直さが可愛くてたまりません。
だからイニスは耐え忍び、ジャックはそのイニスにじれて・・・心模様がこんなにも静かに表現されれば、見る私にも否応も無く静かにこの愛情の沈潜していく悲しみが迫ってきます。
ジャックが語る夢が切ないですね。本当にそうできたらどんなにか良かったのに・・・と思い続けています。
4年ぶりに会った瞬間の彼らの姿を涙無しでは見られなかったのです。どんな恋人たちがめぐり逢う場面より感動的でした。耐え忍んでいた愛情のほとばしるその深さに押し流されてしまいました。
山々の美しい景色の下、アメリカの貧しい田舎の風景の下、二人の日常は流れて歳月がめぐっても決して隠してきた愛情は薄らがず、辛さ寂しさばかり募り来るのです・・・そしてあのラストです。悲しみより他に何か感じられますか?生きている間に一生の愛を誓い合える時がくればどんなにか・・・と思い、可哀相でなりません。ジャックを失った後もイニスは行き続けなければならない・・・愛する人が居る人には必ず来る時ですが・・・のですもの、あの土地で。二人の灰を合わせてブロークバック・マウンテンに撒いてあげたい。
けれど、一方で彼らと結婚した女性たちの事をも思わずにはいられません。彼女たちの愛もどうにもならず悲しいのですから。
一つの宿命の恋があると周りの恋もドミノ倒しのように倒れていって悲しさだけが降り積もる・・・そう思うと厳しい映画でもありました。
若々しかった彼らには初々しい魅力の味わいが、20年を苦しんだ彼らにも魅力的な人としての味わいがありました。
ジェイクではありませんからねと自分に断って、私はジャックの切ない瞳の美しさに、きっと暫くおぼれこむことでしょう。
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武士の一分

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監督  山田洋次
出演  木村拓哉、壇れい、笹野高史、坂東三津五郎、緒方拳、赤塚真人、桃井かおり、小林稔侍

本当だったら、年末「今年最後の映画・・・」と言って書いているところでした!
それが「今年最初の映画・・・」になりました。それもこれも映画が好きでないのに「俺も行く。」と言い出した旦那のせいです。「笠間城址でロケに遭遇したから。」とか「山田洋次監督の時代劇は前の2作も見たろう?だから行くよ。」とか言うんですよ。
でも結局は映画好きじゃないんですね。「今週末行こうか?」「いいわね。」を何度も繰り返した挙句・・・その週末には牡蠣になったみたいに口を閉ざして・・・。
「行く」なんて言ってくれなければ行っちゃえたものを・・・と。「まぁ、映画好きな私に付き合ってやろうっていう気はあるんだから?」と我慢の日が続きましたが、さてようやくその日が来たというわけです。
今回は原作も短編1本に絞ってあるし、原作はきりりと絞った無駄の無い秀作だし、きっちり作れば映画もそうなる!
前の2作は短編をつなぎ合わせたもので単品では有りませんでしたから、じっくり「あの」話を見せてくれるのを期待していました。
それに個人的に「八目神社」の場面どんなになるのか楽しみでしたしね。ほら、佐志能神社のロケ現場に居合わせた話です。
その話を先にしちゃうと・・・「映画」って面白いわねぇ!です。
あの目の前で見てきた小さな古びたお社が別物になっていました。
「八目神社」の額のせいですよ!
確かに小(大)道具さんたち?苦労していましたよ。生木をいっぱい運んでね。その甲斐がありました!ほんの僅かなシーンでしたから、あのためだけに・・・!という感動?
旦那の最初の感想も「あれだけのためにか?運び上げた生木の意味がほとんど無かったじゃないか?」でした。
「監督はきっともっといっぱい撮ったけれど、編集でああなったということじゃない?」
お百度を踏む足場の悪さと壇さんの素足の痛々しさと汗とで健気も極まった!ようでしたね。それで十分!
映画は丁寧に作られていました。だから見るほうもじっくり彼らの生活が見えますよね?
それで却って妙なところが気になっちゃいました。城から下げられた夫に薬を飲ませる前に「まずその汗拭いてあげて!」とか、お茶碗に白湯を貰って沢庵でゆすいで・・・っていうところは「箱膳に戻すのだからもっと丁寧に。清兵衛さん上手かったよ。」とか言うようなほんの瑣末が。30石の生活ってアンナ感じでしょうか?
でも主役?3人とも良かったですね。
ただ、妻と夫の時代感がちょっとずれているような気(二人の生きている時代が違うような感じ?)がしないでもなかったのは多分演技の質のせいでしょうね。そこを笹野さん、赤塚さん、桃井さんが多様なそれぞれの上手さで膠のようにくっつけてくれたという感じでしょうか。
壇さんが写真で見ていたのよりふっくらと美しくて初々しくて魅力的でした。キムタクさんはあの映画に合っていたのかちょっと微妙な気はするのですが、難しい盲目の演技も上手かったと思いました。目のメイクさんの御蔭もあるかも?
三津五郎さんが歌舞伎の板の上の舞いと全く違って、妙にリアルに色悪になっていてちょっとおかしかったといったら、失礼?いい悪役になりそうですね、映画やドラマで。
全体として原作のイメージを損なわない品の良い作品に仕上がっていたと思いホットしました。
今年最初の映画が楽しめてよかった!
藤沢周平原作映画3本、心の中でああだこうだと順番をつけてみているのですが・・・まだ決められない。主演俳優に好き嫌いがあるし、主演女優に好きな順があるしっていう・・・のが邪魔をしちゃうんですね。
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プラダを着た悪魔

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監督  デヴィッド・フランケル
出演  メリル・ストリープ、アン・ハサウェイ、エミリー・ブラント、スタンリー・トゥッチ、エイドリアン・グレニアー、トレイシー・トムズ、サイモン・ベイカー

いやいやいや・・・満席でした。まだ早かったか!40分も前に行ったのにそのあおりでかなり前方の席になっってしまって疲れたぁ!
それにしてもほぼ90パーセントは女性、それもちょっと年齢アベレージは低め?私も誘ってくれたのは8歳も年下の友人、ブランド情報通(私よりはね)の彼女は入ってくる女性たちのバックの解説をしてくれました。
映画の中もゴージャスだったなら、会場もかなり?ゴージャス?
「ひょっとしてあなたのそれプラダ?」
「そうだよ。」
「あれ、ヴィトン。あれは分かるよね?あの人のあれシャネル、あっちほらあれエルメス、あれ三越にやたらとあったでしょガッバーナ。」「みんな本物?」「?」
と、まぁ、始まる前から賑やかでした?が、銀座スカラ座の私の隣の超ミニのもこもこショートジャケット・シャネルバックのお姉ちゃんはこっそり紙袋から取り出したカップヌードルを映画が始まってからもすすっていました。
注意する肝、元へ、気も!失った私でしたが、間もなくその残り香?も気にならなくなってゴージャスでハードな世界に引き込まれた私でもありました。
何もかもひっくるめてピンクのオブラートに包んでベルベット・シュガー(そんなものがあるならね?)をたっぷり振りかけてシャボン玉で包んで差し出された世界!
確かに映画が終った時点で弾けて消え去りました!
実話だそうですが・・・とっかえひっかえ出てくるブランド名と衣装・バック・靴のオンパレードはそれだけで圧巻。美しくて魅力的で豪華で・・・後何ていえばいい?
鬼上司と成長する若者譚なんてお話はもうどうでもいいの・・・になっちゃいます。
で、目くるめくその世界は実話らしさの欠片も吹っ飛ばしてしまう迫力!
ターコイズ色のセーターを着てきた主人公に全く無頓着にその色のセーターを選んだ彼女にミランダが「背景」を簡単に辛らつに説明した短いくだりは眼からうろこ!
ウォー!私のワイン色のセーターもそんな流れの結果だったりするわけ?
アホに見えた隣のお姉ちゃんたちのブランド信仰?もいじらしく思えましたよ。
ミランダが言っていたじゃありませんか「この本に憧れ読みふけってこの世界に憧れて、やってきて直ぐ首になっていく娘たちは馬鹿が多い」っていうようなことを、アンディを採用した理由としてね。
それでもそういう子供たちに(女性も男性もひっくるめて)夢を見させる力って凄いじゃないですか。踊らされているのを承知で踊ってみたいっていう気にもなりますよ。
最もアンディ、サイズが幾つだろうとあのお眼々を持っていたら・・・男なら?皆溺れちゃいますけどね。
私もサイズは4なんだけど・・・手と足と長さを詰めると・・・サイズ8どころか・・・に、見えちゃうんだもの、鼻ッから論外。まずは、ピンヒールで走り回れなくちゃね?
でも別の次元に存在している私はああかも知れないし?黒を着こなせる?へへッ!
メリル・ストリープがその非の打ち所のない若いアン・ハサウェイを向こうに回して魅力で一歩も退けを取らないの。凄くない?
「ソフィの選択」のメリルは一生忘れられない存在だけれど、こんなメリルはメリルでいいなぁ・・・ウットリでした。ただの鬼じゃないの。あくまで実力をがっしり発揮している素晴らしい人間なのが分かるのよ。
シャボン玉が飛んでいる間思いっきり楽しみました!
でもそれより映画の世界から覚めたら「11ヶ月でサイズ2つもダウンさせる方法を教えてもらいたかったな!」・・・と。これは切実!!!
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フラガール

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監督  李相日
出演  松雪泰子、蒼井優、豊川悦司、富司純子、山崎静代、岸部一徳、寺島進、池津祥子、徳永えり、高橋克己

今年はまだ終ったわけではないから、まだまだこれから見る邦画は有るかもしれないけれど(「地下鉄に乗って」とか「木更津・・・」とか「涙そうそう」とか?)、この映画は今年の私の邦画3本指に入るかもしれないなぁ・・・。
3本指の候補って何?ナニ?「かもめ食堂」「花よりもなほ」「ゆれる」とこれの中から・・・今んとこね。
楽しいいい映画だったと満足して帰ってきた。
友人とお昼を食べていておしゃべりに夢中になって予告編上映中に劇場に滑り込んだが・・・「殆ど満席です。一番前か前の端の方をお探しください。」と言われた。かなり前から上映しているはずなのにね?
しかし見終わってなるほど!面白いんだもの!
実話を素直な心で映像に焼き付けるとこうなるのだろうなぁ!
「人間って善」と思えるのはこんな映画を見た後だ!って、素直に思っちゃう。笑って感動して・・・いい午後だったなぁ・・・って。
それに実話ってねぇ・・・私はちょっと横道で妙な感動しちゃったんだ。
「平山まどか」先生・・・松雪さんが「エイトピーチェスって知らないよね・・・」って言うところ。「知ってるよ!何度も見たよ!SKDの花形だったよ!下町の女の子の憧れだったよ!」って言ってあげたくて・・・。
メンバー交代があったし・・・ダンサーの名前全部覚えるほどのめりこんだわけでもないけれど、「エイトピーチェス!」って声がかかるとワクワクして踊りに見ほれたっけ!
「あの舞台にいたんですね?」ってまどかさんの松雪さんに言いたくなっちゃって。
「常磐でしっかり生きて、しっかりした素敵な足跡を残されたんですね。」って言ってあげたくて。
松雪さんあの頃見ていた素敵なお姉さんたちのようで、懐かしかったなぁ。
富司さんのしっかりしたお母さんもあの頃いたよ、こんな頑固なお母さんが下町にもいっぱい!って。
がっちりしっかり子供を信念で叱れてね。そして娘の生き方も「あり!だ。」って、ちゃんと娘を見て肯定する富司さんのお母さん本当に素敵で!
あの椰子の木を守る真摯さも、豊悦さんも見せ場があって、岸部さんがいつも通りにちゃんとその人に成っていて、フラガールの踊りが本当に素敵で・・・特に最後の。圧巻!
懐かしさと感動とが見事に一体化して盛り上がってもう・・・すっごく満足!
素晴らしいチームができていたんですもの。
いやー褒め言葉しか書くこと無いんだもの・・・極上でしょ?指は5本あることだし・・・
それにしても蒼井さん、スターね。素晴らしい踊りでしたよ、松雪さんも!
化粧が薄くなっていくごとにいい女性になっていくなぁ・・・って魅せてくれる松雪さんでした。
確かにいいお仕事にめぐり合う幸運も女優の実力の一つだわ。
私たちはハワイアンの洗礼を受けてる世代だし、今また?ハワイアンダンスのブーム中?だし・・・いい企画だったという感じも。
夕張の今を思うと常磐のこの行き方はより一層光るんですねぇ。
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ヘヴン

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監督 トム・ティクヴァ
出演 ケイト・ブランシェット、ジョバンニ・リピシ、レモ・ジローネ、スティファニア・ロッカ、アレッサンドロ・スベルドウーティ

先だって、BSで不思議な映画を見ました。
「ヘブン」です。
何が不思議って・・・色々です。
何で「ヘヴン」なんだろうって思いながら見ていたのですけれど・・・「ヘヴン」って私が最初に思っていた「天国」って解釈だけでは填まらなかったようです。
こじつければですが、二人の間に芽生えたものが「至高」の愛に昇華したということ?
または、命を懸ける愛が生じたこと自体が「最高」?
または、逃げて二人の愛の時間が持てて、その時間こそが「天国」?
最後の上へ上へと登っていく最後の瞬間が「ヘヴン」?
昇っていって、登っていって、上っていくと・・・何時かは壊れて死が訪れる・・・天国の門が開く?え、本当に?
さて、他に見た人はどう感じたのでしょう?
気持ちを不安にされてしまいました。
だって、どうみても彼女の方は最初夫の敵を討つための方便として彼の計画に乗ったように思えたのですもの。
発端がどうであっても、何から生まれたにしても、生まれたものが愛ならその愛は「ヘヴン」に繋がる?
さて、さて・・・色々考えながら見ていたのに、後半ポロッと考えることを止めてしまいました。
と言うよりか半分ぽかんと口を開けて景色の美しさに見とれてしまったという方が正しいです。
本当に美しかったです、イタリアの田園の風景が。秋の景色が!
豊かな色合い!稔りを予感させる豊かさ溢れる色彩!
空の色、木々の色、畑の色、なだらかな丘の色、点在する家の色、そして田舎の結婚式!
押さえられていながら豊かに溢れる色彩がもう私の目を押し流す勢いで・・・静かに美しかったです!
「イタリアの田園がヘヴンなのだ!」と、言われたら、素直に「本当に!」と、頷いていたでしょう。
それほど美しく、それは最後の集約していく空の1点の美しさに至るまで「ヘヴン」でした。
ため息をついて、でも思いました。
何で、二人とも坊主なの?巻き添えを食って死んだ人を弔う気持ちを表したの?
お坊さんのように俗世を離れたってこと?
あの愛情たっぷりのお父さんは息子を理解していたにしても、あれでいいの?親はああできると思う?特に女親の私には・・・どう?
考え出すと謎にまかれちゃうけれど・・・まぁいいわ・・・ヘヴンみたいな映像が見れたんだもの・・・と無理やり納得したのですけれど・・・?
親なら理不尽だ!あんな出会いを用意する神なんて!と思うでしょう?普通!

ケイト・ブランシェットという女優さん好きです。
でもいつも迷うんです。彼女は果たして美人か?否か?
美しいなぁ!と、思い、美しくないなぁ・・・と、思う。
滑らかな肌、金色の髪、青い目、醒めた表情・・・それらが作り上げる魅力!
丁度、ガラドリエル「ロード・オブ・ザ・リング」みたいに・・・不思議で魅惑的。
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パイレーツ・オブ・カリビアン・デッドマンズ・チェスト

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監督 ゴア・ヴァービンスキー
出演 ジョニー・デップ、オーランド・ブルーム、キーラ・ナイトレー、ステラン・スカルスガルド、ナオミ・ハリス

「呪われた海賊たち」を見た時は正直ジョニー・ディップが「あんなんやるんだ!」式びっくりで、それまでの作品のジョニーファンとしてはチョビット居心地が悪かったんですけれどね。
それもほんのしょっぱなだけで、後はもう楽しむだけ楽しんだ!って感じでした!
「面白かった!」
ただただそれだけでした。
元々海賊物は好きです。
子供の頃読んだ「黒い海賊」大好きでしたもの。ワクワク・ドキドキの宝庫で、黒い海賊の生涯に涙を振り絞ったものでした。
総督なんて名の付く者はあの時も「怪傑ゾロ」でも悪智恵の回る強欲な卑怯者に決まっていましたよね?
日本のやくざみたいに?海賊も二つ名があるんですよ。
バスク者とかオローシャ者なんてカッコがいいなぁと思いました。が、私小学生でしたね確か。
だからバスク地方が何処だかまだ知りもしない頃でした。
イタリアの山岳地帯が山賊の故郷だとすれば海賊の産地?はバスク地方ですよ・・・ということは確か「モンテ・クリスト伯」で知ったのだと思いますが・・・?
ジブラルタルからカリブ海、南米のスペイン領辺り、マラカイボまで「黒い海賊」は黒い海賊旗を掲げて海賊船で走りまわったのでした。
彼はスペイン人?だったと思いますが、ジャック・スパロウ船長はどこの出身ですかね?
この南海カリブに出没する海賊はバイキングとは違ったもう少し突き抜けた明るい野蛮さがあるような気がして、結構気に行って何度も読んだものでしたが、あの本もう探しても無いのですよ。
とにかくジョニーのジャック・スパロウ船長は秀逸でした。
ますますジョニーのファン度がうなぎ登りに上がったような気がしました。
ユニークで可愛くて危なくて怪しくて目の話せない海賊だったじゃありませんか。
一挙手一投足おかしくておかしくて、なんて達者なんでしょうね?
一寸やってみましたけれど?あんな格好で歩いたり走ったり簡単に出来るもんじゃありませんでしたよ。(君はアホか?)
絶対本人も楽しんでいなくてはあそこまで出来ないですよね?
だから二作目楽しみにしていました。それッ!と出掛けたんです。
それで前作よりもっと夢中で笑って笑って面白くて楽しくて娯楽大作ってこれ以上の物はないでしょう!って気分で帰ってきました。
どうやって撮ったんでしょうね?っていうところばかりなのに・・・まぁそんなことどうでもいいや、楽しかったんだもの!です。
思い出しても楽しい。寝る前も映像をズーッと思い出していたらなんか笑って寝ていたような・・・笑顔が顔に張り付いたまま目が覚めたような?
でも、あんなところで終らないでよー!と叫びだしたいと思いませんでした?
最後に出てきたのジェフリー・ラッシュでしたよね?バルボッサ船長?で、ジャック・スパロウ船長はクラーケンの口の中?
まさか次回のパイレーツ・オブ・カリビアンは最後に助けられるまでジョニーは出てこないなんていうことは無いでしょうね?
そういえばジャック・スパロウ船長、一寸いい事を考えている時とか思いついた時とか・・・いい人になっている時って、目の下の隈薄くなっていませんんでした?そんな気がしたんだけど。
あー、早く見たい!!!
頑張っているのにオーリー君、割り食っちゃっていますよね。一寸可哀相な気が・・・

秘密のかけら

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監督  アトム・エゴヤン
出演  ケビン・ベーコンコリン・ファース、アリソン・ローマン、ソニヤ・ベネット、レイチェル・ブランチャード、デヴィッド・ヘイマン、キルスティン・アダムス

遅くなりましたが、やっとこの映画を見てきました。しかも恐るべき劇場で・・・ま、それはどうでもいいことですが、この二人の組み合わせの映画を今まで見落としていたことが許せませんよっ!
エゴヤンという監督の作品は初めてでしたが、このコリンとケビンのコンビが出来たこと、そのことが私にとって収穫でした。
二人ともなんとしなやかだったことでしょう!
でも今日劇場に女性は私一人でした。いやだったなぁ!
二人の、コリンとケビンの個性が際立っていました。
だからサスペンスもよりサスペンスフル(こんな言葉あるかしら?)に感じました。
ただ、秘密を拾い上げようとするジャーナリスト役のアリソンが私には填まらないように思えました。彼女のまあるい驚いているような目(一寸狸目?)が、サスペンスを引き算していくような気がしたんです。
誰なら・・・と考えているのですが・・・もう少し翳りを見せる目、表情の多い目、知的でもある目、そんな目で迫って欲しかったです。
ケビンの歌声にかぶさるコリンの声、全く正反対の声が奏でるコントラストの妙がコンビの在り様を象徴的に表現していることといったら!
コリンのあの一寸高めでクリアで明瞭な声が私の耳をするすると滑っていくんです。本当に特徴的な声の人だと、改めて聞き知りました。
二人が代わる代わる話していくとその声だけで物語のトーンが切り替わるようで、心臓の鼓動を司どられてしまったような気がしました。
あの声の遣り取り・交代が意味は分からないながら画面を二つのサイドに引きちぎって謎をより謎に、嘘を真実っぽく、真実を嘘っぽく重層にしていく効果があったような気がします。
二人の声で二人の気分を、言い分を?も、私の耳が飲み込んでいるうちに段々この二人が俳優本人のように思えてきてしまって、不思議なことに私はモーリーンを殺したのがこの二人ではありませんように!と殆ど祈りながら見てしまいました。
コリンじゃありませんように!
ケビンじゃありませんように!
二人は二人ともお互いが殺したと「知っていて!」その秘密をお互いに死ぬまで秘密のままに持っていこうとしていたんだ!
ということに気が付いた時、彼ら、「ラニーとヴィンスのコンビ」というコンビのありようがパァッと頭に閃いて、同時に時代の空気も閃きました。
秘密の後ろにあったものは、彼らコンビの間にかって存在した夫婦愛に近い友情の名残りだったのかなという印象も閃いて、そして(どっと!)ほっとしました。
どんなものにしろコンビって難しくてミステリアスなものなんですね。すべての連れ合いさん、心しましょう。
1950年代と今との彼我の隔たりを強く意識しました。
現代だったら起きなくて済んだかもしれない事件でしたよね?
一番変化の大きかった1世紀って何時でしょうね?
今を生きている私には歴史がはっきりしてきてからの人類にとって「20世紀こそが一番!」と思えるのですが、21世紀に生きる人たちは「21世紀だった!」と思うのかもしれません。

「映画」ハイジ

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監督 ポール・マーカス
出演 エマ・ボルジャー、マックス・フォン・シドー、ジェラルデン・チャプリン、ダイアナ・リグ、ポーリン・マクリン

ヨハンナ・スピリ原作の「アルプスの少女」を少年少女世界文学全集で読んでから50年近くの月日が流れ去った。
年齢的なタイミングの悪さ?か、TVアニメで「ハイジ」をしているのは知っていたがそれは見損なった。
とはいっても一人歩き?しているような「ハイジ」のアニメキャラクターは勿論よく知っている。だがあのほっぺの赤いハイジは私にとっての「アルプスの少女」とは全くの別者に過ぎなかった。
TVのそれは随分長く放映されていたのではないだろうか?それともしょっちゅう再放送されていたのだろうか?
私の頭の中にある物語はそんなに長いものではなかったのだが、それでも、アルプスの四季が移り変わり、おじいさんとの間に愛情の絆がしっかりと結ばれてゆく過程のなんともいえない美しさは子供心にも感動を持って読んだ記憶があった。
だから懐かしさ半分、アルプスの景色とフランクフルトの当時の風景見たさが半分で「ハイジ」を見に行った。
ハイジもクララも私のイメージとはちょっと違ったが、アルムおじいさんだけは不思議なことにぴったりな感じがした。
マックス・フォン・シドーという俳優さんは不思議な俳優さんで、忘れた頃にぽかっと何かしらで見るようだ。
三国連太郎さんをちょっと思い出す風貌がなんとも個性的で、忘れられない作品にスティーヴン・キングの「ニードフル・シングス」の悪魔のような役がある。
その印象が強かったので、恐いだけのおじいさんになるかと心配したのだが、孤独なおじいさんの頑固さと寂しさが、後半の帰ってきたハイジを迎え入れてからの嬉しさとともによく表現されていて、経歴の長さと力まないその巧みさ上手さの力でこの映画を支配していたようだった。
この映画のハイジは可愛らしさや人懐っこさよりは利口さが一寸勝っているかな?という気はしないでもなかったけれど、素朴でセバスチャンとのやり取りに昔本で読んだ時の懐かしさを思い出させてもらった。
子どもの頃にもとても素敵で羨ましく思えたおばあさまが(私は祖母を知らないので)この映画でも本当に素晴らしかったので、あの頃同じく優しくていいなぁと思っていたお医者様の出番が一寸少なかったのが淋しいような・・・
けれども、この映画は上手にあの原作が持っていたような品のある優しさ素朴さをきれいに纏め上げていて「見に行ってよかったなぁ・・・!」と嬉しく帰って来た。
お互いへの愛情がお互いを成長させてゆく素晴らしさが映画から素直に汲み取れた。
ハイジは大好きな人たちのために一生懸命によかれと思う事を行動に移し、おじいさんはそのハイジのために心を開いて、村人ともお医者様とも心を通じ合わせてゆく・・・
懐かしさにどっぷり浸った嬉しいひと時だった。
欲を言えばもっとアルプスの四季の景色を見たかったことと、フランクフルトを見たかったことくらい。
ロッテンマイヤーがジェラルデン・チャプリンだったのも「お久しぶり!」という感じで・・・しかもぴったりなのでなんか楽しくて満足だった。
お医者様を演じた俳優さんもセバスチャンを演じた人も時々お目にかかる人でしたが・・・脇を固めた俳優さんたちが素敵で意外な贅沢をさせてもらった感じ!
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