落下の王国

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監督  ターセム
出演  リー・ベイス、カティンカ・ウンタルー、ジャスティン・ワデル、ダニエル・カルタジローン、レオ・ビル、ジュリアン・ブリーチ、マーカス・ウェズリー、ロビン・スミス、ジットウ・ヴェルマ、エミール・ホスティナ
予告編とチラシにトルコのガラタ・メヴィラーナ博物館で知ったセマーゼンという旋舞の映像を見た時、既に「見に行く!」と、決めていた。そのトルコ部分の映像は紡がれる物語のほんの一部分に過ぎなかったけれど、あの忘我を感じさせる映像はこの映画を象徴していたなぁという感じが見終わった今している。
映画はなんともアレキサンドリアを演じた少女が素晴らしくて、ただもう彼女の笑顔・笑い声・泣き顔・泣き声に虜になってしまった。特に最後の意識が戻ってから、悲しくなる一方のお話にただもう泣いて泣いてロイに物語の主人公を助けてと泣きつくところ・・・もう、私も泣くしかないじゃない?
それにしても骨折を直すギブスの形が何でああなの?あの不自然な形から物語のおかしな方向付けが始まるような不思議な錯覚。
それにしても絶望の底にいる青年のつむぐお話にあの色彩をつけていったのはあの少女なのよね。そう思うと幼い魂の想像力の翼の底知れない可能性を感じてしまう。ロイは思惑があって、アレキサンドリアの名前に触発されて、寝たままの絶望的な状況から物語を紡いでいるのだから、きっと彼の頭の中に広がる世界は味気ないモノクロだったのだろうな・・・でも生き生きとして弾む少女はロマンの中に夢の色彩とめくるめくシチュエーションを構築していけたのだろうな・・・なんて思いながら繰り広げられる現実と物語の二重の世界に私も包み込まれていってしまった。
これが美しい世界遺産やロケ現場のただの記録映像にならなかったのは現実のロイの絶望へと走る思いが切実だったこともあるけれど、それ以上にこの少女の生き生きとした好奇心、物語にワクワク出来る豊かな感情、そして家族を思いやるなんともいえない利発な優しさが見るものの心に迫ってくるからだろう。
そして彼女の物語へのめりこむ一生懸命さが、彼の心の中の映像に色を付けていって、それは二人の紡ぐ物語になったのだろうな。
映像の美しさは、物語の登場人物の個性に益々裏打ちされて、もう絶対私の頭のどこかのスクリーンに投射されたまま永遠にしまいこまれてしまったんじゃなかろうか?と思わせられた。
子供の頃大好きだった「黒い海賊」のあの悲しい物語が髣髴としてあの頃ぽとぽと本の上に涙を落として泣いたように泣きたい気持ちになってしまった。
黒い海賊が父からロイに変化を遂げて、最後にその境目が少女の中ではなくなっていく。彼女は成長していく・・・ということが進行形で見えて来るようで・・・それも切ない。

落語娘

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落語娘 (講談社文庫 な 73-1) 落語娘 (講談社文庫 な 73-1)
永田 俊也講談社 2008-06-13
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監督  中原俊
出演  ミムラ、津川雅彦、益岡徹、伊藤かずえ、絵沢萌子、森本亮治、春風亭昇太、なぎら健壱、金田龍之介

今年の邦画では好感度「山桜」に次ぐ位置かな?はて?今年は余り印象の強い日本映画が少ないのかな?そんなはず無いけれどなぁ・・・面白かったのは・・・「相棒」?「チーム・・・」「クライマーズ・・・」は圧倒的に本だったし・・・小品の「アフター・・・」「ジャージ・・・」「歩いて・・・」なんてのとどうよ?このまだ真夏って暑さに繰り出して年末みたいに今年の邦画を総棚ざらい?そりゃ早過ぎ!
これは津川さんの映画でしたね。「面白かったところは・・・?」って思い返すと津川さんと絵沢さんの顔ばかり浮かんでくるのですもん。
若い時はイヤミな男だと思っていたもんですが(失礼)、今じゃ男は遊ぶと味が出るもんかな?なんてついうっかり思わされてしまいそうなほど面白い俳優さんですよ。
ほんのおつまみ程度の高座だったのが、つい「惜しい!」って声をかけたいほど本物の若手の下手な落語家さんより上手い!って思っちゃいましたもの。この前見た伊東四朗さんもよかったけれど、やっぱりもう一つ上をいっていたなぁ!味だね?決め手は。
幸いほんのちょっと前に安藤鶴夫さんの本を読んでいますからね、ちょっと前の感覚だったらあの三々亭の師匠なんて寄席系奇人変人の列には入れるような代物ではございませんってくらいなんですけれど・・・三松亭の師匠が実際に現在主流なんだろうと思うと・・・落語界の将来が・・・心配でしょう・・・?いろんな変人奇人傍若無人が生きぬけてこそ名人は生まれる!
実際途中に劇中劇みたいに下手な芝居入れなくても三々亭さんでやれたんじゃないかなぁ・・・って思えたほどでした・・・って、やっぱり・・・志ん朝さんか?先代正蔵さん?
落語のオチに映画のオチがポンとついてハイけっこう毛だらけ・・・でしたが、旦那がぽつんと言いました。「女の落語はやっぱり駄目だ、大体あの声で話し終いまで聞かされるのきついよ。うるさい!」
「低音の私のおしゃべりにもうるさい!という奴ですからね。でも確かに!ミムラさん大学落ち研のスターにしてはちょっと下手すぎって、あえて言わせていただきましょう。
でも女流落語家としては声の鍛え方、話の選び方、女性立場の新作創作ってなあの手この手の手段で・・・そのうち上手い人がでてくるんじゃないでしょうか?と、ここはぜひとも期待しておきましょう!女性の上手い朗読家、アナウンサー、講釈師、漫談、弁士・・・・・・いろいろいらあな・・・でしょ。
 

ラスベガスをぶっつぶせ

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パターン

「ラスベガスをぶっつぶせ」オリジナル・サウンドトラック 「ラスベガスをぶっつぶせ」オリジナル・サウンドトラック
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監督  ロバート・ルケティック  
出演  ジム・スタージェス、ケヴィン・スペイシー、ケイト・ボスワース、ローレンス・フィッシュバーン、アーロン・ヨー、ライザ・ラピラ、ジェイコブ・ピッツ、ジョシュ・ギャッドサム・ゴルザーリ
「友人が面白かったよー」と、言ったし、私は彼女の映画鑑賞眼を高く評価している・・・というわけで行って来ました。
が、ラスベガスはぶっ飛ばされませんでした!相変わらず不滅の輝きをまとって今宵も誰かのお財布を、いな人生をぶっ潰していることでしょう!
彼女はトランプを、ブラックジャックをするのかな?そこを聞き漏らしたのが失敗の元でした。でも半分は面白かったよ!と、言っておかなくてはなりません。面白かったのよ!
唯、肝心のブラックジャックが今一解かって居なくて、彼らの必勝パターンが理解できていなかったのが痛かった。大体ポワロの「開いたトランプ」も実に私には難解だったのだ(って、本当はわかっていないのよ)。おんなじことの繰り返しだ?
さて、映画ですがこれは青年が成長する過程の物語りとして、波乱万丈。「おや?サンドラ・ディさんじゃありませんか?」というケイトさんがスペイシーさんと共演(映画「ビヨンドtheシー」)しているのでこの関係「怪しいな?」と先入感にしばし惑わされましたしね。
実話ですって。でもまァ、波乱万丈な1年間を通して彼は結局は奨学金を手に入れたのだから、ある意味って、確実に成功譚。
腹黒の?いや欲の皮の突っ張った、頭のよすぎる卑しい教授が破滅して溜飲が下がったし、因縁のガードマンも無事リタイア金(退職金)を手に入れて彼らも満足。
ベンも友情を取り戻して彼の友人らもスリルを満喫したし、カード仲間もスリルたっぷりリベンジできたし。おまけに友人等はロボコンにも優勝できたし、終ってみれば結構楽しかったよ!
デモネ、後ろで手を組み合わせる合図ね、どうしてあそこがチャンスだってわかるのか?相変わらず解かっていない私ってこの映画「楽しかったよ」って言う資格有るか大いに疑問。
でも主人公の青年は可愛かったし、ケイトは魅力的、友情の破綻も彼らのユーモア可愛かったし、内紛もパターンだけどちゃんとあるし、この面白い有り得ない?シチュエーション。やっぱりよく出来た青春映画じゃないの。最後の〆が何より気分よかったし!

ラフマニノフ ある愛の調べ

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ラフマニノフ~ある愛の調べ サウンドトラック ラフマニノフ~ある愛の調べ サウンドトラック
アラン・ウィルソン ミハイル・プレトニョフ ヴラディーミル・アシュケナージユニバーサル ミュージック クラシック 2008-05-03
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監督  パーヴェル・ルンギン
出演  エフゲニー・ツィガノフ、ビクトリア・トルガノヴァ、ヴィクトリア・イサコヴァ、ミリアム・セホン

ラフマニノフさんにさして思い入れがあるほどクラシックにもピアノにも知識も興味も無いので・・・「エディット・ピアフ 愛の賛歌」とか「レイ」とか「敬愛なるベートーベン」とかの類の映画だとしても見にいかなかったかもなぁ・・・。でも大のクラシック・ファンの友人がいて誘われた。少なくとも彼の作品は「いっぱい聞けるはずだから行きたいの」と。彼女は「音楽に酔っていた・・・ライラックの香りに酔っていた・・・」と、とても満足していた。「良かったね?ライラックがとても上手に印象的に叙情的に使われていたわね」確かに、香りが一番思い出に直結するって言うじゃない?私もあの甘い香りを嗅ぐと札幌の大通り公園を歩いているイメージにさーあーっと取り込まれるもの。
で「あの主演のラフマニノフを演じた俳優さんてずーっと誰かに似ている・・・って気になっていたのだけど・・・ねぇ、団十郎に似ていなかった?」と、言ったら「わぁいやだ、それ以上感想を言わないで。イメージが崩れる」って言われちゃった。でも私はなかなか迫力のあるいい顔だと言おうと思っただけなのに。
映画そのものは芸術家には悩み―産みの苦しみ、それを何とかしたい挙句の放蕩?恋?―が付き物で、波乱の生涯がお決まりというお決まりパターンだったような気がした。
女と酒はあったけど麻薬は無かったのね・・・その代わり亡命!
途端にミハイル・バリシニコフの「白夜」を思い出した。
「この映画は事実と違う・・・」というお断りをつけるくらいならむしろ「ホワイトナイツ・白夜」のような作品の方が「バリシニコフが解かる」みたいな。そういう見せ方の方がラフマニノフにはより親切だったんじゃないかな?少なくともあの1作で私はバリシニコフに魅せられて、彼は「忘れられない人」になったもの。
だから「ラフマニノフの作品と技術」だけを生かすストーリー?
彼の裏切った?彼が逃げ去った祖国がやっと作れた映画なのかもしれないのにね。もっともそれだからなんか彼の人生が却ってあいまいにぼやけたのかな?苦悩を映像化するのは本当に難しいとは思うのだけれど。
ロシアは亡命した沢山の芸術家に本当に複雑な思いを抱いているのだろうな?・・・ということが感じられたようだ。
 

ライラの冒険 黄金の羅針盤

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映画「ライラの冒険-黄金の羅針盤」オリジナル・サウンドトラック 映画「ライラの冒険-黄金の羅針盤」オリジナル・サウンドトラック
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黄金の羅針盤〈上〉—ライラの冒険 黄金の羅針盤〈上〉—ライラの冒険
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 監督  クリス・ワイツ
出演  ダコタ・ブルー・リチャーズ、ニコール・キッドマン、ダニエル・クレイグ、クリストファー・リー、サム・エリオット、エヴァ・グリーン、ベン・ウォーカー、チャーリー・ロウ、トム・コートニー、デレク・ジャコビ、ジャック・シェパード

原作を読んでいないファンタジーを見に行って「やっぱり!」
人気のファンタジーって絶対長い物語。これも最初の画面で三部作としっかり書かれていました。「うぉっ長い楽しみ、また首が伸びるのかぁ(首の長さでは定評がありました)!」と、思いましたけれど、現段階では次回作が作られるかどうか決まっていないんですって?「なんてこった!」でしょ?、ここまで見せておいて?
さて、映画は「お、これ、見た、知ってる、オックスフォード!」の映像から始まりました。どうでもいいけどやっぱり嬉しい。
この映画何が一番よかったか考えているのですけれど・・・
第一に、ライラがイオニク・バーニソンって名の巨大な白熊(鎧熊族の王子?)の背に載って雪原を走るところ。
ウォーター・ホースの背中に乗って湖を走り抜けるのと同じ興奮!エラゴンみたいにドラゴンライダーになるのも同じ素敵!
こんなのにこんなにワクワクして嬉しくなっちゃって暗闇をいいことに笑っちゃう私って、ほんと可愛い!こんな時には人間は赤ちゃんから始めて子供に成って赤ちゃんに還るだけなんじゃなかろうかと思う。
第二に、主役のライラの顔!あまのじゃくでわがままで意地悪で癇癪もちで嘘つきで機転がきいて頭がよくて思いっきり生き生きしている。表情が豊かだから何でも表現できるだろうね。友情というテーマが無かったら一寸危ぶない感じが・・・しないでもないけど?
第三に、鎧熊。なんとなんと!素敵!立ち上がったときの大きさ、そして声!と、思ったらガンダルフだった。それじゃぁやっぱりいい声だよね。
で、当然第四は、クリストファー・リーの声!一言聞いただけで彼だ!って分かるあの迫力の声!彼の声は魔力だなぁ・・・。それにそれをいうならやっぱり言わなくちゃ方手落ちになるかな、この手の冒険には絶対サム・エリオット(ま、他にも候補はあるでしょうが)が見せてくれたあの風貌!渋くてイナセな冒険野郎?
第五に、ライラとコールター夫人が飛行船で離れていく時に見下ろすロンドン!あっちこっちに見覚えある建物がちりばめられて作られたパラレルワールド?のロンドン(絶対!)の映像。こんな世界絶対生で俯瞰したいなぁ。
第六に、ニコールとゴールデン・モンキー!ニコールは本当に私の絶賛する美女!どんな厭な目つきと表情をしてもね。で、見事にその厭味な部分とあのサルが共鳴しているんだもの・・・おかしいったらないじゃない。で、出来すぎなのがアスリエル卿のダニエルと雪豹。
「ショーン・コネリーのボンドとの方があの雪豹は似合うかも?」なんて思いながら「豹の声のクリスティン・スコット・トーマスとグレッグの相性っていいかも!」なんてね。ダイモンのアイデアって実に魅力的なこの物語のキーになっている。ライラのダイモンがどんな変化するか今後が楽しみ。だから次作必ず作ってください。
第七に・・・ってきりがないでしょ?きりが無いほど挙げられそうなの。
「教権」?が良く分からないんだけどローマ法王庁を思い出させたりして、他の族たちとの関連も関係も。それは追々分かるのかな?「ダスト」も同じに?切り離された子供とダイモンの修復もどうやって?・・・だから次回作?!
そんなだから10日間の旅行に備えて風邪を完全に直すため念を入れて殆ど一月映画館で映画を見なかった私は大満足しました。
「映画館で映画を見られるって素敵なことね!」と改めて思いながら帰ってきました。

レンブラントの夜警

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レンブラントの夜警 レンブラントの夜警
ピーター グリーナウェイ 倉田真木ランダムハウス講談社 2008-01-18
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 監督  ピーター・グリーナウェー
出演  マーティン・フリーマン、エヴァ・バーシッスル、ジョディ・メイ、エミリー・ホームズ、ナタリー・ブレス、トビー・ジョーンズ

今月いっぱい上映しているらしいですね?ロング・ランですが、やはり「レンブラント」そのものがビッグ・ネームだからでしょうか。
私が行った日も混んでいました。絵が好きな人ならこの題名に素直に引き付けられますよね。
私も「映画そのもの」とか「レンブラントの没落事情」とかいう以前にあのレンブラントの描いた「絵」そのもの、夜警を見たいという気分が濃厚だったのです。「絵」に引かれて「絵の物語を知りたくて」映画に行ったというわけです。オランダは遠い!気軽に映画を見に行った私にはこの映画は「手ごわかったな!」です。映画を見ていたというより舞台を見ていたような臨場感がありました。舞台装置の中で当時のオランダが息づき、そこに生きる人々の人生場面が転換するといった感じです。私は昔見た映画でなんとなくレンブラントと妻サスキアは愛し合っていた夫婦で、彼女の死と共にレンブラントの没落が始まったのだと思っていました。後の二人の女性の知識もあまり無かったのでレンブラントの周りで繰り広げられる色と陰謀の陰の濃い人間模様は正直冗長で暗く長く感じられました。まるでレンブラントの光の当たっていない部分の世界だけを見せられているようで。でも実際はあの光の当たっている部分をこの映画は描いていたのでしょう。
レンブラントを演じた俳優さんはそれこそ「レンブラントの自画像」を思わせる俳優さんであったにも関わらず、段々このレンブラントの人生から逃げ出したい気分になって「もういいや、これで十分!」と思いながら見ていました。この映画が好きだとはいえませんが、画面には確かにこの時代の世相がくっきりと描きこまれていたのではないか、この世界はこのように腐敗していたのではないだろうか・・・と感じました。そういう意味では濃密な世界を構築した映画だとは思います。でもレンブラントその人はは私から遠くなった印象です。
レンブラントの肖像画と男たちの集団を描いた絵は好きなのですが宗教画とかギリシャ神話世界の絵画は余り好きではありません。
この「夜警」は「織物商組合の見本調査官たち」とか「解剖学講義」とかと比べると真ん中の微妙な?少女に奇妙な光が当たっていて不気味で、あの辺りが好きではなかったのですが・・・やっぱりこの絵は「好きになれない絵」でよかったんだ・・・でしょうか。
 

レッスン

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監督  リズ・フリードランダー
出演  アントニオ・バンデラス、ロブ・ブラウン、ヤヤ・ダコスタ、アルフレ・ウッダード、カティア・ヴァーシアス、ローラ・ベナンティ、ダンテ・バスコ、ジェナ・ディーワン

映画には色々な魅力があって、普段余り映画を見ない人をもジャンルによってはひきつける。
先日「魔笛」のために八王子からわざわざやってきた友人もコーラスとピアノをこよなく愛する人だったように、この映画に「行かない?」と電話してきた人はダンスとラテン音楽が大好きと言う人だった。
「いいわね、アントニオさん好きだし・・・もうセクシー・・・ダンスうまいしね。」
「ねえ、アントニオって本当に踊れるの?」
「あ、よくは知らないけれど、ゾロでキャサリン・ゼタ・ジョーンズさんとドキドキするようなダンス・シーンがあったわよ。」
「えー、わたしそれ知らない!今度借りて見るわ。」
彼女が先回見た映画は「ステップ・アップ」だと言う。なるほどね!
そんなわけで出かけて二人で「良かった良かった」と満足した?
うーん、実は一寸物足りない。映画には文句無い。
ウーピーを思い出さないことも無いけど、有りそう過ぎる筋立てだけど、全く文句無い!
ただ、アントニオが素敵過ぎて、アントニオのダンス・シーンがもっともっと見たかっただけなのだ。あの倍の、いや3倍のアントニオのダンスシーンを入れてくれていてもきっと物足りないのかも?
アントニオと金髪のプロのダンサーとの踊りは息が詰まりそうなほど素敵!高校生の女の子でなくとも「芯から憧れる!」高校生じゃないからこそ?あのダンスが見せる物に魅せられる。「私にあの足とお尻があったらすぐさま始めてますよ。」と、ため息をつく私に彼女のため息が重なる。彼女こそダンスが好きなのだから本当にそうだろうと思う。「ステップ・アップ」と同じ子がでていたというので「どっちが良かった?」と聞いたら、圧倒的にこっちが良かったという。今度踊るかどうかは別としても、アントニオの映画は外せなくなったと彼女の映画ジャンルがどうやら広がったらしい。
アントニオはダンスだけではなく優しい大人の大人らしい視線でも魅惑だったもの、当然。
ボール・ルーム?コンテストにしてはこじんまりとした最後のダンスシーンの濃密さが当然だが圧巻。お決まりの終わり方だが期待した事が期待以上に素敵なら言うことは無い。楽しかったの一語。
アメリカの実話でアントニオが演じた人が今実際にダンス教育の現場で活躍しているという。アメリカの南米系やアフリカ系の人には私たちよりずっと濃い音楽と踊りの血が流れているものなぁ・・・ダンスを通じてのステップアップはとてもいいアイデアだったんだと納得出来る。毎晩盆踊りの音楽が聞こえる頃だが日本だと・・・?
札幌の「よさこいソーラン」は大学生を越えて全国あらゆる層に広がった。しかし札幌でも賞を競う強豪チームにはいじめがあって下手な人がはじき出されると囁かれていた。さて、あの人種の・偏見の坩堝の国でこそ、あの高校生の子供たちのようなチームワークが広がっていてくれているといいな・・・とまだ夢を見ている。
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ラブソングができるまで

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監督  マーク・ローレンス
出演  ヒュー・グラント、ドリュー・バリモア、ブラッド・ギャレット、クリスティン・ジョンストン、ヘイリー・ベネット、キャンベル・スコット

あー、面白かった!
顔は思いっきり笑ったまま体は弾んだまま映画館から出てきて、行き会った人に照れちゃいました。だからといって笑いを納められたわけでは在りません。
80年代ねぇ・・・?私一寸ちょっといい?年だったからね、テレながらワム好きなんて白状したり、デュランデュラン、デヴィッド・ボウイ聞いたりしてたんだよねぇ・・・
ま、それはうっちゃっておいても、楽しめました!
始めて「PoP」で見て聞いて・・・って人だって絶対笑ったでしょう?あのヒューさんを見て笑わない人って・・・いないでしょ。
アレックスねぇ・・・アレックス。あの人物を映画でするとしたらヒューさんしか思いつかない・・・?ヒューさんが先に居てってこと?と思ったくらい。
80年代、時代遅れって・・・アレックスは私にとって全然違和感無いのに・・・一寸振り返れば直ぐそこにあるのに・・・彼の服装髪型今でも私の中ではそのまま通用するのに・・・誰も見ていなかったら・・・あのフリで踊るのに・・・でもやっぱり過去かぁ。
ヒュー・グラントさんて長いこと私の中では微妙。の、割には結構見ていたりして?
「モーリス」を見た後の「ラブ」もの続きだったからかな?コメディー化が好感度上昇の鍵かも。
「ブリジット・ジョーンズ」で違和感無くなってやっと好きな俳優さんの一人になったって感じかな。
年を取って顔が(もともと?)しわくちゃになってからの方がもてる男を実感させてくれるようになった。絶対憎めない駄目な男を演じたら最高だって思う。それにどこか甘いんだ。そう、絶対憎めないカワイさ。器用なのかなぁ?努力を見せないカッコ良さ?
だけど余りにも彼にぴったり過ぎる映画が続いているよ・・・って気もするなぁ。でも、別にいいじゃない、こんなにも楽しませてくれるんだから、映画ってホント楽しいなぁ・・・って思わせてくれるのだから。それにそもそもぴったりと思うってところでやっぱり俳優さんとして凄いのかもしれないなぁ・・・壷に填まるっていうの?すかさずちゃんと期待にたがわず壷にはめてくれるみたいな?
イギリス人らしい、らしさが生きている。ユーモアも諧謔も会話の妙になってとぼけた味わいが増幅する。そしてキュートになる。
彼の顔と表情が生きる。表情といえばドリューさんの笑顔もホントいいわねぇ・・・だから全部ほっかりと優しくなる。懐かしくて、昔も楽しかったって、ウン今も悪くないなって・・・全て笑って肯定できる。
今ERで見ているクリスティン・ジョンストンさんがあの通りの迫力(追っかけオバサンの迫力満点)で頼もしくも可愛いお姉ちゃんを演じていたし、マネジャーさんもいい人?で公園のイベントの一寸切ないおかし味のいいアクセント。とにかくヒューさんを100パーセント楽しませてもらったなぁ・・・彼の声、歌の優しい柔らかさ+ハードな腰振りダンス!
あとコーラ役のヘイリー・ベネットさん。私結構目を話せなかったのですが・・・新人?歌手ですか?そのまま本人のような?魅力ありましたね。今度どんなところでお目にかかれるのでしょうか?
ところでPoPのもう一人のボーカル、あれ誰?ねぇ誰?
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リトル・ミス・サンシャイン

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監督  ジョナサン・デントン、ヴァレリー・ファリス
出演  グレッグ・キニア、トニ・コレット、アラン・アーキン、アビゲイル・ブレスリン、スティーヴ・カレル、ポール・ダノ、メアリー・リン・ライスカブ

「ハートフル・ロード・ムービー」ってのは簡単ですが確実な訴えるキーワード3つを総動員しているのですから・・・「ハートフル」な「ロード」の「ムービー」なんですよ!心動かされちゃいますね。と言うわけで、濃厚極まりない「ドリームガールズ」と「デパーテッド」の後の水分補給に?出かけたわけです。
でもスルスルゴックンと飲み込める映画では無かったですね。
ちょっと小骨が咽喉にけっつまずいていますよ。
痛い小骨じゃないんですけれどね、結構味のある小骨です。
そうですねぇ、登場人物たちは、あの家族はきっと今ハートフルなハイ状態にいらっしゃるかもしれないですねぇ?
でも私はいっぱい心配していますよ。彼らはまだ・・・途上ですよぉ・・・?家族は再生?したんでしょうか?すればいいのでしょうか?しなくてもそーっとしておけばそれで何とか・・・ってこともありますよ・・・って、それはうちの問題かぁ?
いえ、ともかくキニアさんのお父さんじゃないけれど、彼らは勝ち組にも負け組みにもならないで彼ら組になりました。おじいちゃんのセンス?も叔父さんのカラー?も取り入れて娘の夢を糊にして。
おじいちゃんの埋葬あれでいいのでしょうか、サイン一つで?
お兄ちゃんは次の夢を見つけるまでがきついよねぇ・・・
おじいちゃんにあのダンス仕込まれたお嬢ちゃんにはどんな感化が?
それに伯父さんは失業中だし、お父さんもお金ないのよね?
旅はまだ半分残っているというのに・・・帰り着けるの?
お母さん、この家族を包み込むストレスは大丈夫ですか?
物質金品を馬鹿に出来ない私は本当に心配です。
でも、そう「でも」なんですねぇ・・・問題は。
あっちの角、こっちの縁で、笑ってしまって、涙を浮かべさせられて・・・気になる科白を胸に押し込まれて・・・参ったねぇ。
おじいちゃんが言いました。
「真の負け組みとは負けるのが怖くて挑戦すらしない者のことだ。」
どんな人にもこの科白は届いたと思いますね。
伯父さんは言いました。
「飛ばせてもらえないなら自分で飛べばいい。」だったかな?
お兄ちゃんは言いました。
「僕の妹を採点なんかさせないぞ。」
妹はおにいちゃんを慰めるのに・・・何も言いませんでした。
素直に可愛い場面でした。兄妹っていいなぁ・・・!
さて、コンテストに出場した妹は踊っちゃいましたね!
そして飛び込んだ家族です・・・ちゃんとおじいちゃんがそこには生きていましたし・・・いい場面でした!採点のオバサンじゃなくとも「あっ!」ですよ。
チョコレート場面のキニアさんの顔が踊る場面のキニアさんの顔になり帰りの黄色のおんぼろミニバスを押す顔になる・・・本当に魅力的な俳優さんですね。「恋愛小説家」のあの役どころが抜群に上手だったのであれ以外の役は出来ないだろうとあの時は思ったのに・・・。(凄く男らしい作品もありましたよ、念のため)
バスを押しながら一人一人走ってバスに転げ込むシーンが重なるごとに家族が家族になっていくようで・・・やっぱり家族は家族になりたいなぁ・・・と正直に言えば・・・ホントは思っている私です。
でもアメリカ、あのコンテスト、あの子供たち、(ミス・リトル・サンシャインコンテストに出場した)何年も前の美少女殺人事件を思い出しました。何度もTVニュースで流された「これが子どもかい?」っていう映像の中のような女の子がいっぱい!恐ろしいもんだ!と思いましたよ。
それにしてもこれだけ個性的で面白くて存在感のある顔の人たちばかりよくも集めたものですよ。
だからこそ?表情の変化が感情を素直に伝えてくれたのでしょうか?顔って正直な方が人って可愛いかも?コレットさんのどちらかって言う不機嫌顔が優しいお母さんの顔になるところとかね、いいなぁって。
そして不機嫌顔といえば「24」のクレアがやっぱり不景気面で居ましたね。アメリカだ!
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ラッキーナンバー7

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監督  ポール・マクギガン
出演  ジョシュ・ハートネット、ブルース・ウィリス、モーガン・フリーマン、ベン・キングスレー、ルーシー・リュー、スタンリー・トゥッチ

面白かった!
実は絶対友人が誘ってくれるだろうと思っていたので、とっておいたのに日にちが逢わないまま結局違う映画を見に行くことになって、ハッと気が付いたら近くの映画館はもう今週で終わり。私が行ける日は今日しかないことに気が付いて慌てて飛び出した。
だから思っていた以上の面白さに、見逃さなくて良かったと胸をなでおろしながら帰ってきたところである。
こういうブルースって大好き!「16ブロック」の彼と昔の彼と体をスポット入れ替えたんじゃないかと思うくらい顔も体も引き締まっていて、表情もしたがって?引き締まっていて、わーい!嬉しい!
ジョシュをはじめてみたのは「パール・ハーバー」だったと思いますがハンサムだとは思っても好きにはなれなかったんです。そしてルーシーもきつい印象が勝っていて目の険が厭でやはり好きな女優さんではなかったのです。(「アリー・マイ・ラブ」の印象悪かったし)だけど他のメンバー見てごらんなさいね。凄いでしょ?癖のある独特の何かを持っている人ばかりでしょ。楽しくないはずが無い!と、これだけで思えたのですもの。見る価値大いに有りですよね。トゥッチさんの可愛らしさって癖になりそうじゃありません?
美男も美女も若い時ってそれが肩に出るのでしょうかね?目いっぱい「いい男(女)だぞ、見ろ!」っていうのが嫌味になっていたりするのよ・・・なんて思うのは、はいはい、美貌に縁の無かった僻目です。
少し年を重ねると自然な美しさになる人が居ますよ。ジョシュもそう、男性の魅力が加わって表情が豊かになってきたのでしょうか。そしてルーシーもそう。何でこのメンバーにルーシーなんだ?って思ったのに、このルーシーはこの映画の中で始めて魅力的で可愛くてキュートだ!と思いました。だから私にとっては収穫の上乗せです。
さて、映画です。
なかなかスマートで上質の脚本だとつじつまが分かった時に思いました。後味もすっきり!想像の余地というか、こうらしいぞ・・・どうやら・・・見当も付かないような難しい謎ではないですが、おしゃれな話ですよ。
謎物が大好きなくせに謎に迷う趣味?濃厚な私にはこの納得感がお得!
俳優陣が皆上手くて表情も雰囲気も柔らかくて悪すぎるボスに見えないのに、死体はさて、幾つ?その殺人もが実にクールなので私は楽しんじゃいました。鼻ばかり折られるジョシュも可愛かったです?さて彼は何人殺したでしょう?ルーシーの殺害場面はギョットしましたけれど、ブルースの長髪は楽しめたし?最初の出だしの意表を衝かれる感じも好きでしたし、終わりのシーンも好きですねぇ・・・と言うわけで、何がどうで、何がこうだから・・・なんて理由は無しに楽しめました。
大体パンフや予告編に「ついてない男」って書きすぎ、言い過ぎですよ。最もその分の思い込みで、ちょっと煙に巻かれましたけれど・・・でも最後が実に良かったから許す!です。
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