ナイト・ミュージアム

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監督  ショーン・レヴィ
出演  ベン・スティラー、ロビン・ウィリアムス、ディック・バン・ダイク、ミッキー・ルーニー、ビル・コッブス、オーウェン・ウィルソン、ジェイク・チェリー、キム・レイヴァー、

顔合わせがユニークでしょ?で、自然史博物館?アメリカのこの手の映画は絶対大丈夫!笑わせてくれて幸せな気持ちにしてくれるに違いない!・・・って、見に行きました。
この手の映画でロビン・ウィリアムスが出ているんですよ!(ロビンの映画は外しません!ジュマンジ思い出すじゃぁありませんか?)
ディック・バン・ダイクにミッキー・ルーニーですよ?
絶対何か仕掛け有りますよね・・・それに対するのがベンですから・・・?
大当たりでした!
もう文句無く笑いました!楽しみました!やったね!と、思いました・・・その上に?やっぱりね!っとガッツポーズ付です。
ディックとミッキーのダンスまで見れちゃったんですから、豪華おまけ付き?
「メリー・ポピンズ」とか「チキチキバンバン」大好きでしたねぇ。
やっぱりロビン!あの表情の全て・・・といって絶対やりすぎじゃなかったでしょう?この映画のテディは文句ありません。素敵な大統領で、大人になりきれなかったベンお父さんをちゃんと成長させるいい物語のいい要になっていましたもの・・・物語的にもグッドグッド!!
博物館の夜の出来事の楽しさはもう最高の上にドラマ的にも素直な父子物がいい感じで填まりました。
一つ一つの展示物の人物・動物のやりとりが全部上出来!
ベンをガリバーにした西部劇ヒーローとローマのオクタヴィアヌス(生きて?戻ってきた時の二人にはもう・・・!)、テディとインディアン娘、アッチラ大王とベン父さん、ネアンデルタール人と火と消火器、モアイとガム、T―Rexと骨を引っ張るラジコンカー、その間を駆け巡る動物たちとあのノドジロオマキザルのデクスター対ベン、食えない爺さんたちはそのうち博物館行き?
エジプトのミイラと石版の中の金の紋章の謎!
こどもと来た親たちは「歴史知っているともっと面白かったよね。」なんて言えそう・・・でも言っちゃぁお終い・・・言わなくたってベンおとうさんの頑張りを見ればね!
でもね、展示物の取り合わせ、選び方、展示方・・・かなり?いい加減なマニアック過ぎ!博物館でしたよ、あの建物で・・・有り得ない!
でも、終りよければ・・・?展示物たちも幸せ?主人公親子も幸せ!ミイラもあれでよかったのかな?これからも夜な夜な?細かいことなんか言う必要も無い。お客さんも増えて全部なにもかもOK!
私はいやもうホント楽しかった!!!
カッコのいい終わり方でしたね。
私も帰りに暗闇で指パッチンをやっちゃいました。スカッ!
この映画でベンは大人に、私は子供に?
誰か誘ってくれたら、二回見ちゃうのに・・・大手を振って?
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サン・ジャックへの道

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監督  コリーヌ・セロー
出演  ミュリエル・ロバン、アルチェス・ドゥ・バンゲルン、ジャン=ピエール・ダルッサン、マリー・ビュネル、バスカル・レジテミュス、エメン・サイディ

何時かは四国のお遍路さん!それもちゃんと歩いてのお遍路さん!と、思っていた私ですから・・・ぴったりの映画でした。
やっぱりね、そうよね、今すぐ・・・的?気分です。
心が温かくなって、肩の荷物を一緒に落としてきちゃった気分です!
ただひたすらでいいんだね、目的は何でもいいんだね、ただただ前へ進めばいいんだね。
結末がどうであれ、ロードムービーっていうのは前へ進むから感動するのかも・・・?
「ロード・オブ・ザ・リング」は別枠にして「リトル・ミス・サンシャイン」「ストレイト・ストーリー」「幸福の黄色いハンカチ」パット浮かぶこれらの作品から受けた感動・・・「レインマン」とか「テルマ&ルイーズ」「マイ・プライベート・アイダホ」とかも入れてもいいかな・・・心に与える何かが有る、それも豊かに有る映画。
サン・ジャックはスペインのサンチャゴ・デル・コンポステーラのことでキリスト教の巡礼地、フランスのル・ピュイから1500kmピレネー山脈を越える遠い困難な巡礼地だ。
たまたま同じ先導者の下に出発した総勢9人の旅の物語だが、宗教的な意味合いを強く打ち出した旅を描こうとしてはいない。主役の三兄弟(これが又えらく似ていないんだ!)は無神論者に近いし、癌患者らしい女性には神の救済の必要があったのかもしれないけれど、それも別に強く訴えようともしていない、アラブ系の二人男の子の一人が病弱な母のためにメッカへ行くと信じている(友人に思い込まされている)けれど、それもイスラム教を押し出してはいない。何より途中立ち寄る教会すらもただ建物、美しい雰囲気のある建物だというのに過ぎない。巡礼に慣れている司教?たちのあり方さえも特に慈愛に溢れて・・・ということも無い・・・だから私も素直に彼らと歩を進めることが出来たといった感じだ。
共通しているのは何かしら何かを抱えているということで、それが順次現れてくるがそれも長い道中で順次収まりが付いてきかかる・・・という道中記だ。道が険しくなると鬱屈がこぼれ出て、道が優しくなると癒されて・・・でもその一つ一つの1日1日が普通なのに愛しくおかしくほほえましく心に響いてくる・・・というより私の心からそういうものが出てくるようなのだ、そして景色の美しさに気が付くようになってくる。
特に妹のクララの顔と声の変化に私は共感してしまった。棘々と主張してばかりだった彼女が自分の「教える」という職業の原点を取り戻せたこと、又彼女の傍で「学ぶ」事の楽しさを知った少年の笑顔!が1番の私の収穫。見る人それぞれにそういう収穫もきっと有りそうな素晴らしい映画だった。
面白かったのは途中に挟まる夢の中の?映像。チョトいい!シュールなイマジネーションの中でアバンチュールした後の静謐風絵画で?それともあれは渇望かな?
でね、兄のピエールと比べて弟のクロードの無一物の長い旅がなんとも象徴的でおかしくて、うーん、考えさせられちゃった、生き上手ってこういうことかって!とにかく楽しかったし嬉しくなった。最後が本当に良かった!
大掃除して不用品片付けたくなっちゃったけれど、実際は心の中の方が不用品が多いのかもね?
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蒼き狼 地果て海尽きるまで

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監督  澤井信一郎
出演  反町隆、若村麻由美、菊川怜、保坂尚希、袴田吉彦、松山ケンイチ、松方弘樹、平山祐介、Ara、

井上靖さんの「蒼き狼」の映画化かと思っていたら森村誠一さんにも「蒼き狼」があったのですね。知りませんでしたが、日本映画のスペクタクル大作?・・・私は古いのよ、認める!・・・と思ったので出かけていきました。
え、今頃なんで「ジンギス・ハーン?」とは思いましたけれど。
森村さんジンギス・ハーンどのように描いているのかなぁ?・・・そう思ったのなら読むべきでした!
あのジンギス・ハーンの生涯を2時間少々で見られるわけはないのでどのくらい絞った?又はどこにスポットを当てた?が興味の半分(脚本次第では楽しめるぞー!)、残り半分は司馬さんが愛したモンゴルロケを堪能させて頂こう・・・でしたから・・・でも、あぁ、なんと言ったらいいのでしょう?見終わって呆然としてしまいましたね。
だって、当然見てきたからにはここに書こうという意欲満々でしたからね。
「うわぁ、何も書けないぞー!」しか最初頭に浮かばなかったんです。
せめてテムジンの持っていたカリスマ性の具体的な断片でも沁み出てくればねぇ・・・「なんでテムジンのところにばかり人が集まるのだ?」を目に見せてくれればねぇ・・・
でも収穫はちゃんとありましたよ。
実際モンゴルの広さは、あの本当に凄い人海作戦でも埋め尽くせないほど広大だって言うことが分かりました。あれだけの人や馬があの戦闘が惨めに見えましたものね。「ロード・オブ・ザ・リング」の戦闘シーンの方が面白かったなぁ・・・なんて思っちゃいました。
馬の地鳴りの音が響いてきて、敵はまだ1日の所に居るなんて?
監督は時間も土地も余りに広大すぎて飲み込まれちゃって量りそこなっちゃったんじゃないかなぁ・・・とちまちました日本で暮している私は同情してしまいました。
そういえばちょっと、いや大分以前?聞かれたことがありますよ。
「あなた竹之内君?反町君?」「どっちかって言えば反町君!」なんて。それなのに反町君てなんか可哀相。当たっているのに当たらない?いい役来ることは来るのに今一その作品に結果恵まれそこなったような?微妙さ。信長も大和もねぇ。皆同じ顔と同じ声と・・・って当たり前か・・・んーどうしたらいいんだろうねぇ?演技力を超えた魅力を目指す!ん?三船敏郎さんと同じ?大きな目標だよね?でも相手にとって不足なし!
その点若村麻由美さん。「夜桜お染」で時代物の押しも押されもせぬ女性トップ!美貌も粋も絶頂!と思ったのに・・・心配しておりましたが・・・ここでは良い役柄に恵まれて彼女一人気を吐いた!って気がして、若村さんの朗読劇に巨大な紙芝居背景が付いた作品って印象も?
反町さんと若村さん以外は土地の人を使う方法って無かったのかなぁ・・・モンゴル語・日本語字幕付き?特に松方さん・津川さん(てっきりお兄さんの方だと思いましたが)の演じた役なんかはモンゴルの人(日本語吹き替え?)の方がまだマシの様な。
なんかなぁ・・・どこをどうって・・・私の手に余る?・・・ってソリャそうなんだけど・・・なんかどうにかって、思うじゃないのねぇ・・・
Araさん?大きなお目々が凛として綺麗でしたねぇ、クランという女性を全く描きそこなった映画でデビューですか?勿体無い。
で、作品の感想は遠慮します?遠慮している?
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今宵、フィッツジェラルド劇場で

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監督  ロバート・アルトマン
出演  メリル・ストリープ、ギャリソン・キーラー、ケヴィン・クライン、リリー・トムリン、リンジー・ローハン、ヴァージニア・マドセン、ウディ・ハレルソン、ジョン・C・ライリー、トミー・リー・ジョーンズ

さて、なぜか私は[Red river valley]を英語で唄えます。
はて?何故でしょう?自分でも覚えていませんが、なぜかしっかり覚えこんでいます。
ですから、当然この映画を見てきてから一日中「From this valley they say you are going・・・」と鼻が言っています。
西部劇で聞いたんですよ・・・多分・・・だから映画の主題歌だと思い込んでいましたが、アメリカの民謡?カントリー・ソングって言う奴ですか?うぁぁ、音楽の教科書に載っていたかも?
だからかなぁ、聞いたことがあるのかないのか分からないくらいなのに・・・この作品の中で歌われた歌は皆妙に懐かしかったです。
だから映画そのものもその色合いで私は土壷に填まりました。
がっちり内輪物って感じでしたから、填まらない人には面白くないかもなぁ・・・と、全然笑わない隣のお嬢ちゃんが気になりながら笑ってちょっと「ウウッ・・・」でした。
この年になれば?ライリー&ハレルソンも思いっきり笑えます。ライリーさんは「シカゴ」でも歌っていましたから、今更驚きません!って言ったってやっぱり驚きます!
それに始めて見ましたけれど、司会をしていたギャリソン・キーラーって言うおじちゃま!「凄いタレント!」じゃぁありませんか。
進行・司会・広告・歌手、全部自前でそつなく巧みに時間通りにこなしていく腕前?積み重ねてなんぼ!っていうキャリアの凄さを見せ付けてくれました。キャリアと言えばこの劇場の住人といってもいいこの番組の常連歌手たちの手馴れた凄さ!です。
だから私も茶の間にいてラジオをつけてお気に入りの番組を聴きながらキルトなんか縫っているおばちゃんのような気分で臨場?していましたね・・・終ってみれば。
メリル・ストリープさんの映画は「ソフィーの選択」(なんでDVDが出ていないの?)以来なるべく落とさないようにしている私ですけれども、この1年の彼女!「プラダ・・・」の編集長とこのカントリー歌手の落差!やはり見落としていい女優さんではありません!
メリルさんの声は好きな声だと思っていましたが、こんな風に歌われちゃうと・・・私は彼女に恋をしそうです。もっともこの映画の彼女の甘えん坊っぷり?の上手い女のキャラクターは嫌いですけどね。お姉ちゃんのリリーさんの姉御っぽい乾いた感じの(でも気を使っていましたねぇ?)方が好きだなぁ・・・なんて。ついでに言うとライリー&ハレルソンではより悪い子っぷりのいいハレルソンさんの方が好きだしぃーなんて追っかけオバサン風になっていました。
ケヴィン・クラインのマーローを気取った探偵っぽさが売りのキャラクターも好きですし、マドセンさんの白いトレンチの死神のお使い?が見えるなんて何で?彼女の優しい科白「(よく生きた?)老人の死は悲しいものじゃないのよ」うーん、ありがとう!かな。ついでに何も変わらなかったけれど、トミー・リー・ジョーンズさんも連れて行ってくれてありがとう!って気分です。
効果マンのおじいちゃん。やっぱりね、昔はこういう達者がどこにも居たんだなぁ・・・なんて、「ラヂオの時間」で藤村俊二さんがやった効果マンさんを思い出しました。どちらもカッコイイよねぇ・・・。「古き良き時代でした」ニュアンスわーい!!

アルトマン監督が亡くなられました。名前だけはしっかり有名監督として頭に入っていたのに、この作品以外では「ゴスフォード・パーク」「Dr・Tと女たち」「プレタポルテ」しか見ていないんですね。「ゴスフォード・パーク」と「今宵、フィッツジェラルド劇場で」は好きです。
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手紙

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監督  生野慈朗
出演  山田孝男、玉山鉄二、沢尻エリカ、尾上寛之、吹石一恵、杉浦直樹、田中要次、石井苗子、吹越満

予告編では何回も見ながら、泣かせ映画っぽくて?見る気は全然なかったのに「紙屋悦子の青春」とニ本立てだったのでつい?見てしまいました。そして予想以上の収穫で、驚き、儲け物をしました。
登場人物が全員非常にバランスよい落ち着いたハーモニーを奏でているような映画でした。
正直な構成で整った姿の映画という感じですか。
勿論これは映画を見てからの総合的な感想です。
物語はハーモニーなんていうような物では全くなくて、過酷な青春の物語でしたから。
主人公の苦闘の歴史と言っていいでしょう。それだけに山田さんの好演が光ってたように思いますが、勝手な私は玉山さんは佐多啓二を思わせる久しぶりの二枚目登場?かとちょっとわくわく。もっともそういう私は玉木何とかという俳優さんと区別が付いていなかった若手音痴なのですが。
彼が兄の殺人と言う事件のあおりを食って投ぜられた状況は、いかにその犯罪が弟のために切羽詰った兄の弟ゆえの犯罪だとしても過酷なものでした。
実際社会と言うのはそんなものなのではないかな・・・と思いますし、私自身婚約した女性のお父さんのような行動を取らないという自信はありませんもの。
殺人を犯してしまった、それがどんなに気の毒な思いがけない成り行きからのではあっても、その兄が服役を終えて帰ってきてからの事を考えないわけにはいきませんものね。その点は実際杉浦さんが言った通りです。大人の説得力のある人格者が言うとやっぱり心にしみこみ方が違う・・・なんて素直に感心してしまった私です。
だからそれが彼の心にも穏やかに浸透したのでしょうね、諦念と共に。それまでに萌していた無念な諦念にここで始めて彼は向き合ったのですけれど・・・受け入れたと言うことが又気の毒で・・・可哀相で。
兄はどんなに後悔しても、それが胸を噛んで、弟を思いやっていてもたっても居られない気持ちに追いかけられていたとしても、社会の仕業は兄の所へはやってこないのですね。
兄はやるせなく座しているのですが、その姿は哀れで・・・罪を犯してはならないとつくづく思わせられる姿勢ですが、生活して、自力で生きていかなければならない弟に容赦なく社会の荒波が襲い掛かります。アパートの落書き、職場への垂れ込み・・・不条理です。不条理極まりないのです・・・犯罪者の兄弟を受け入れられるかと問われれば二の足を踏む私でも積極的にあんなことは出来ません。
被害者そのものもそんな事をするゆとりはないでしょう?それをする人たちが居ると言う事実も胸を噛みますが、でもあり得ることだと一方では納得もします。それが社会かも知れませんと。
だからこそこの映画の沢尻さん演じる彼女には驚かされますね。本当にこんなに強い可愛い女性が居る確率って、巡り会う確率ってどのくらいだろう・・・なんてつい考えたりしてしまって。
「君ってホント人間と言う者を信じていないんだね?」なんて自分に突っ込んだり。
だから彼女の存在が出来すぎだよ・・・って思っていたのに、なんと最後で泣けました。
吹き越しさんの演じる被害者の息子の言葉あたりからもう駄目でした。
「ほら、一生懸命の何かって何かにはなるんだから!」なんて自分に訳の分からない事を突っ込んだりして。
それにしても手紙書かなくなったよねぇ・・・心のこもった手紙って本当に書かなくなったよ・・・
「手紙」って言葉自体がもうセピア色していて懐かしくて愛しくて、構えちゃうんだなぁ・・・
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紙屋悦子の青春

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監督  黒木和雄
出演  原田知世、小林薫、本上まなみ、永瀬正敏、松岡俊介

つつましい映画を見ました。
つつましさが端正な美しさにまで昇華していたようです。
そう、監督が亡くなったから、なお更そう思えたのでしょうか?
いいえ、あそこにはつつましい庶民の生活が戦争の陰を帯びていっそうつつましさを強いられている日常が本当に淡々と描かれて、しかもそれが美しいのに心を衝かれました。
日常を圧迫されていても、つつましい庶民の生活には優しさも、明るさも、思いやりも、逞しさも残されていて・・・。
あの懐かしいちゃぶ台のある茶の間、そして玄関脇の桜が望める客間が舞台の殆どでしたが、その佇まいの清潔な質素、簡素さが懐かしいくらいでした。
戦後、あの茶の間が居間になって、色々な電化製品やら家具やらが増えていって豊かになっていったのですが・・・果たしてそれは幸せに直結したのだろうか?と考えてしまいました。
そう、やっとこの映画を見てきました。
昨年岩波ホールでしている時に「行こう行こう」と言いながら、あそこは長くしているからと油断しているうちに終ってしまって、がっかりしていましたが、ようやくです。
あの茶の間での夕飯、兄夫婦と妹3人の夕飯を食べる光景が今も胸に迫ってきます。まだ桜の咲く前の季節なのに、おかずの芋が臭っていて・・・私の母が「芋は足が速いから気を付けて、残ったら必ず冷蔵庫に入れなさい。」と言っていたなぁ・・・姑が「臭った物も大事にお腹に片付けるのは嫁の務めだよ。」と言っていたなぁ・・・などと思い出していました。あれは戦争の時に染み付いた「食べ物は大事!」の名残だったのでしょうね。それにしても愛らしいお嫁さんと綺麗なお嫁さん候補でした。今ならまだ子供といってもいい?年頃なのに、困難な時代には人は早く年を取りますね、健気に。
映画の中の淡々とした生活描写にしびれましたけれど、「彼女と彼たちの?」恋模様は少々納得がいきませんでした。
あの頃色々な生き方を若い人たちは選びました・・・ってそれは今もそうか!
戦争に行く前の一夜でもと恋を貫いて添い遂げて若い未亡人になったり、父の居ない子を産んだり・・・もっともそれは物語の中のことで、大多数の人はそんなことはなかったんでしょうね。
紙屋悦子さんの選んだ青春は明石少尉が出撃を告げに来た夜一人で号泣するだけで終ったのですね。つつましい道徳観の凛とした情緒の安定した成熟した女性がそこに居たのだと思いました。そして素直に彼が彼女の幸せのために選んだ青年と添い遂げたわけです。彼女は彼がそうすることで安心して死にゆけるからそうしたのでしょうか?でも恋を譲られて夫になった永与少尉は素直になれるものでしょうか?親友の明石少尉が彼女に恋をしていたのを知っていたのに。親友が愛した人を幸せにしてあげたかったのでしょうか?生き残る者の務めだと?でもそれでよかったのでしょうね。それが映画の冒頭にちゃんと語られていましたものね。彼らは幸せにこどもを育て上げ人生の終わりに入って静かでしたものね。
「人は強いんだ!」と思う反面、青春ってそれでよかったんだ?ってちょっと侘しい気持ちでもありました。時代がそれを強いたのだと思えば反戦の気分はいや増します。この時に至って、監督の心がにじみ出てくるようでした。
ひどい時代だったのに、その日常が静かに述べられると、あの時代がセピア色に包まれて美しく思ってしまうなんて・・・私も十分?感傷的に年を取ったってことなんだろうなぁ・・・
黒木監督は日本の節度ある日常を本当に愛していらしたのでしょうね。
それにしても原田さんって、随分長く見ているような気がするのに、変わらないのねぇ・・・驚きです。
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パフューム/ある人殺しの物語

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監督  トム・ティクヴァ
出演  ベン・ウィンショー、ダスティン・ホフマン、アラン・リックマン、レイチェル・ハード=ウッド、アンドレス・エレーラ、サイモン・チャンドラー

厭なものを見ちゃいました、生理的に相容れないという感じです。
猟奇、倒錯、怪奇、醜悪・・・
その対極の奇妙な美と誘惑・・・も!
ですから、勿論見てよかったところも有りましたよ・・・映画はどんな映画でもそうです。楽しめるところは必ずありますから。
その意味では良くも悪くも映像の力には圧倒されました、最初から最後まで。
でも私はこの映画を好きとか良かったわとか素直な言葉ではお薦めできないと思いました。
楽しみたいというだけでなく、美醜・善悪を超えて映像・音楽・配役・演技に、映画という総合芸術に、浸りたいというのなら勿論話は別ですが。
やはり好悪という点では後者になってしまいます。
同じ監督の「ヘヴン」の終章の映像の美しさを思うならこれはまさに「ヘル」で始まりました。
導入部のパリの悪臭までもが確かに漂ってくるような描写は圧巻で、18世紀のパリ、その不潔感、パリ市民の生活環境の悪さと貧困はその後のフランス革命の必然さえも伺えるような確かさでした。
物語的にはこの主人公に感情移入、共感出来ませんでした。ある種同情の気持ちはあったのですが、多分彼はそんな気持ちははなっから理解できないでしょうし?必要もありませんね?
彼の育った環境は、又はそれから生ずる不潔さの中では彼を無臭の人だったとはとても思えなくて、このシチュエーションはただパフュームというものがパリで何故絶対的な必要があったかを理解させるために無理やりこじつけられたような気がしてしまいました。
無垢なら染まりやすいのじゃないかしら?むしろ悪臭を嗅いで育ったのですから彼自身悪臭に染まってしまいそうです。あらゆるものの匂いをかぎ分けるときのグルヌィユを見ているとなんかぞーぉーっとします。私も得たいの知れない動物に嗅がれている様な気がして。
あの時代、あの環境、あの生育状況、パヒュームの力を借りなければ、まともな鼻を持っていたら生きてはいけなかっただろう・・・って。
大多数の人、下層階級の人には悪臭の中こそが世界だったのでしょう?だからこそこの時代にはパヒュームは力であり魅惑そのものだったのでしょう?そして何も持たない彼はそれに恋焦がれたのでは?
正反対の体臭を持ったもの同志が恋に落ちると言うでは有りませんか?それならばこの体臭の無い青年を愛する者にはこの世では巡り会えないと言うことでしょう。だから彼が究極に求めた物はただ恋をした?体臭に焦がれた?女性の単なる匂いだけではなく、彼女の放つフェロモンだったのではないでしょうか。
男でもいい!女でもいい!年齢も立場も何も無い全ての人間に働きかけるフェロモン!それが彼の究極に欲したものだったのだと私は思いました。
不気味でしたが、死体の美しさ、最後の司教までも巻き込んでの集団場面のおぞましさ、は私には目を背けたい以外の何者でもありませんでしたし、特にリックマンさんの演じる父親の最後の表情は地獄の業のようで怖気を奮いました。それは最愛の娘の純粋な香りの中での恍惚の様でもありましたが。でもだからこそ彼が生まれ来たところへ塵芥の様に帰っていったのは禊ぎのようで、これしか救いは無かったと妙な納得をしました。
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リトル・ミス・サンシャイン

映画タイトルINDEX : ラ行 240 Comments »

監督  ジョナサン・デントン、ヴァレリー・ファリス
出演  グレッグ・キニア、トニ・コレット、アラン・アーキン、アビゲイル・ブレスリン、スティーヴ・カレル、ポール・ダノ、メアリー・リン・ライスカブ

「ハートフル・ロード・ムービー」ってのは簡単ですが確実な訴えるキーワード3つを総動員しているのですから・・・「ハートフル」な「ロード」の「ムービー」なんですよ!心動かされちゃいますね。と言うわけで、濃厚極まりない「ドリームガールズ」と「デパーテッド」の後の水分補給に?出かけたわけです。
でもスルスルゴックンと飲み込める映画では無かったですね。
ちょっと小骨が咽喉にけっつまずいていますよ。
痛い小骨じゃないんですけれどね、結構味のある小骨です。
そうですねぇ、登場人物たちは、あの家族はきっと今ハートフルなハイ状態にいらっしゃるかもしれないですねぇ?
でも私はいっぱい心配していますよ。彼らはまだ・・・途上ですよぉ・・・?家族は再生?したんでしょうか?すればいいのでしょうか?しなくてもそーっとしておけばそれで何とか・・・ってこともありますよ・・・って、それはうちの問題かぁ?
いえ、ともかくキニアさんのお父さんじゃないけれど、彼らは勝ち組にも負け組みにもならないで彼ら組になりました。おじいちゃんのセンス?も叔父さんのカラー?も取り入れて娘の夢を糊にして。
おじいちゃんの埋葬あれでいいのでしょうか、サイン一つで?
お兄ちゃんは次の夢を見つけるまでがきついよねぇ・・・
おじいちゃんにあのダンス仕込まれたお嬢ちゃんにはどんな感化が?
それに伯父さんは失業中だし、お父さんもお金ないのよね?
旅はまだ半分残っているというのに・・・帰り着けるの?
お母さん、この家族を包み込むストレスは大丈夫ですか?
物質金品を馬鹿に出来ない私は本当に心配です。
でも、そう「でも」なんですねぇ・・・問題は。
あっちの角、こっちの縁で、笑ってしまって、涙を浮かべさせられて・・・気になる科白を胸に押し込まれて・・・参ったねぇ。
おじいちゃんが言いました。
「真の負け組みとは負けるのが怖くて挑戦すらしない者のことだ。」
どんな人にもこの科白は届いたと思いますね。
伯父さんは言いました。
「飛ばせてもらえないなら自分で飛べばいい。」だったかな?
お兄ちゃんは言いました。
「僕の妹を採点なんかさせないぞ。」
妹はおにいちゃんを慰めるのに・・・何も言いませんでした。
素直に可愛い場面でした。兄妹っていいなぁ・・・!
さて、コンテストに出場した妹は踊っちゃいましたね!
そして飛び込んだ家族です・・・ちゃんとおじいちゃんがそこには生きていましたし・・・いい場面でした!採点のオバサンじゃなくとも「あっ!」ですよ。
チョコレート場面のキニアさんの顔が踊る場面のキニアさんの顔になり帰りの黄色のおんぼろミニバスを押す顔になる・・・本当に魅力的な俳優さんですね。「恋愛小説家」のあの役どころが抜群に上手だったのであれ以外の役は出来ないだろうとあの時は思ったのに・・・。(凄く男らしい作品もありましたよ、念のため)
バスを押しながら一人一人走ってバスに転げ込むシーンが重なるごとに家族が家族になっていくようで・・・やっぱり家族は家族になりたいなぁ・・・と正直に言えば・・・ホントは思っている私です。
でもアメリカ、あのコンテスト、あの子供たち、(ミス・リトル・サンシャインコンテストに出場した)何年も前の美少女殺人事件を思い出しました。何度もTVニュースで流された「これが子どもかい?」っていう映像の中のような女の子がいっぱい!恐ろしいもんだ!と思いましたよ。
それにしてもこれだけ個性的で面白くて存在感のある顔の人たちばかりよくも集めたものですよ。
だからこそ?表情の変化が感情を素直に伝えてくれたのでしょうか?顔って正直な方が人って可愛いかも?コレットさんのどちらかって言う不機嫌顔が優しいお母さんの顔になるところとかね、いいなぁって。
そして不機嫌顔といえば「24」のクレアがやっぱり不景気面で居ましたね。アメリカだ!
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ディパーテッド

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監督  マーティン・スコセッシ
出演  レオナルド・デカプリオ、マット・デイモン、ジャック・ニコルソン、マーク・ウォールバーグ、マーティン・シーン、ヴェラ・ファーミガ、アレック・ボールドゥイン

「インファナル・アフェア」は何年か前試写会が当たって見たし、面白かったので覚えている。けれどこれがハリウッドでリメークされるとこんなにも面白さが際立つのかと・・・配役にも溺れた私は思ってしまった。アンディ・ラウさんとトニー・レオンさんのコンビは魅力だったけれど、脇の俳優陣を知っているだけにハリウッド版の嬉しさが勝っちゃったね、私には。するってーと、日本の恐怖映画もハリウッドでリメークされるとこんなにも面白くなっていたのかな?いや、配役が今一だったよ。「シャル・ウイ・ダンス?」があったじゃないの?まぁね。しかしこれは又なんと豪華な配役になったものだ!監督も!
ここのところ「ギャング・オブ・ニューヨーク」「アビエーター」と続けて見ている感じだが、この3作とも甲乙つけがたく映画を満腹させてもらったという感じ。昔の作品はいいと思っても監督の名を意識したことは無かったが、この3作はいい。
ダニエル・ディ=ルイスが良かったし(好きなんです)、ハワード・ヒューズはその人自体に磁力があったし、レオナルドは三作通して成長しているって感じだし!
全部お金がかかっているから?といってしまっては実も蓋も無い。
でも私はそういう映画が、贅沢な映画が好きなんだと思う。
異世界を堪能するにはこれくらいやってもらわなくちゃ?
「ギャング・・・」のNYは面白かった。若い国なりに歴史は作られてゆく。時代物は洋の東西を問わず面白い。アイリッシュ+イタリアン+ユダヤ+インディアン+アフリカン+チャイニーズ+ヒスパニック・・・人種の坩堝が形成されてゆく時代は戦国時代思わせるエネルギーだった。
今度はボストンが舞台。アメリカのいわば古都だが、この映画の舞台になるビル群は荒廃しつくしているこの国を思わせて象徴的だった。裏切りと欺瞞との渦巻く国。1日生き延びるのが大変な国。
誰を信じて?誰を騙して?頭脳をフル回転させても、出会い頭の死が穴を開けて待っている。そんな非常な男の世界を垣間見るスリルとサスペンス・・・こんなのを楽しむ機会はざらには無いよ・・・と、私は座りなおす。映画の中のリアルを楽しむ。
それにしてもなんと汚い世界だろう。使われる言葉の数々、テクニックの数々・・・全部汚い!
ニコルソンとウォルバーグの汚さは最高だ・・・その意味では大統領さんは存在感が薄くてしどころが無い感じ・・・可愛そうに・・・
なら主役二人はどうかというと?これが困った!何を演じても好感度抜群のマットが方向性を表現しそこなっている?いやそうじゃないのかな?正義という権力付きの魔力に填まっていった男を演じているのだ・・・いや?と私はどうやらこの彼の演じるコリンに感情移入をしそこなったらしい。なぜなら唯一の紅一点である精神分析医の彼女に対する立場も含めてデカプリオ演じるビリーの方がより危険でより哀れで可愛いから・・・というわけで・・・なんだかんだとこの裏切り世界にどっぷり魅せられた私でした。
二人とも見事に?殺されて私は座席で二度いや三度飛び上がりました。
見終わって感傷的になっている私ってまだ可愛いかも???「物語好き」過ぎて簡単にどっぷりはまる!しかしこんな風にリアルにどっぷりさせてくれる監督・俳優陣が嬉しい。
女医さんにはもう少し魅力・知性が欲しかったのは気のせい?ジェラシー?ここが弱いな!
精神科医(分析医)がでてこないアメリカ映画って最近あるかな?
近頃のアレックさんはなぜか宝田明を思い出させる。脂ぎっていて自信満々そうで色男で・・・でもこの作品では絞っていたのかな?俳優さんだ!細くなったからか?「ヤングライダーズ」に出ていたのは弟さんだったと思うけれど、全然似ていないと思っていたが目が同じだと今回初めて気が付いた。
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ドリームガールズ

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監督  ビル・コンドン
出演 ビヨンセ・ノウルズ、ジェニファー・ハドソン、ジェイミー・フォックス、エディ・マーフィー、ダニー・グローバー、キース・ロビンソン、アニカ・ノニ・ローズ、シャロン・リール

ありがたいことに?ブロードウェーでミュージカルは見ていない私ですから(あ、1回だけNYで「スモーキー・ジョーズ・カフェ」って言うのを見てます)、ハリウッドのミュージカル映画は私には最高の娯楽です。
あの世?へ行っちゃえます。
「ウエストサイド・ストリー」から最近では「シカゴ」「オペラ座の怪人」「レント」「プロデューサーズ」・・・と「ウォーク・ザ・ライン」も含めてもいいかな。もっと言えばアステアの作品もジーン・ケリーも「メアリ・ポピンズ」「チキチキバンバン」「サウンド・オブ・ミュージック」「マイ・フェア・レディ」「フット・ルース」・・・限が無いか・・・?
だから、当然これも見ます。で、全く文句無く楽しんで来ました。
見るたびに何時もですが、あらゆることに感嘆!です。
ショービジネス裏話物語もありふれていそうでも面白かったです。
久しぶりのスーパーマンではないエディさんも楽しめたし(疲れなかったし?)。だって、彼の映画は随分見ましたが、彼の演技力なんて考えたことも無かったし、ましてや歌なんて思いもしませんでしたから・・・驚きでした。本物の芸人さんは凄い!
それに新人ですって?嘘でしょぅ?のジェニファーさんは圧倒的に迫力満点魅力的!だったし、アメリカにはどれだけこんな新人がいるのでしょう?ってまた思いました。アメリカで作られて送り出されるミュージカルが面白いわけだ!
バービー人形みたいなスタイルの後期?ドリームガールズのスタイル&ダンス・ミュージックは大好きだし(ダイアナ・ロスもシュープリームスも覚えてますよ、だからあのポスター群なんとなく懐かしくて)・・・ビヨンセさんの美貌は確かに好き嫌いはともかく「!」ものですし・・・超を千倍して羨ましい!!!
途中まで「これってエフィーが主人公じゃない!」と思って、「なんで助演女優賞なんだろう?」って思っていましたけれど、後半・特に最後のビヨンセさんのソロと行動で「ああ助演でもいいんだ?」と思いました。でもビヨンセさん歌のほうでこんなにスターなのによくここまで抑えた?演技で終始できたものだと、これはこれで凄い!かも。
エフィーの「ワン・ナイト・オンリー」で大感動して聞きほれたのに、劇場から出てきて私から出た鼻歌は「ドリームガールズ」の「ワン・ナイト・オンリー」でした。やっぱりね?私はあの当時の大衆なんです。そうしてみるとあのマネージャーの手腕は確かに「たいしたものだよ屋根やのふんどし・・・」これも私の鼻歌でした。

難点?は二つ
ジェイミー・フオックスはどうも好きになれないので、だから我慢して「レイ」も見なかったんだ。他の人じゃいけなかったのかなぁ・・・と、ぼやく私。
そして、キース・ロビンソンさん、このタイプは好きです(テヘッ)。なのに、「ホワイト・ハウス」のデュレ・ヒルさんと「華麗なるペテン師たち」のエイドリアン・レスターさんとこの3人見分けが付かないよーと、ぼやく私。

ついでのボヤキ
この頃年のせいか決断力が鈍くなっている!「レント」はサウンドトラック躊躇わず購入したのに「オン・ナイト・オンリー」の鼻歌が怪しくなっている今、なんで買って来なかったんだろう?アマゾンがあるさ?
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