重力ピエロ

映画タイトルINDEX : カ行 177 Comments »
重力ピエロ (加瀬亮、岡田将生 出演) [DVD] 重力ピエロ (加瀬亮、岡田将生 出演) [DVD]売り上げランキング :
おすすめ平均 Amazonで詳しく見る
by G-Tools

jyuryokupiero2.jpg jyuryokupiero3.jpg

jyuryokupiero.jpg jyuryokupiero1.jpg

監督  森淳一
出演  加瀬亮、岡田将生、小日向文世、鈴木京香、渡部篤郎、古高由里子、岡田義徳

余りにステキな映画だったので・・・本を予約しちゃいました。
原作の伊坂さん、お名前は知っていますが読んだことは無かったので・・・ヒョットすると物凄くいい作品書いているのかも・・・と、期待大です。ついでに図書館で待ちが物凄く多くなっている「ゴールデンスランバー」ってのもついでに予約!
映画の方がいい!という可能性もありますかっ?
何が良かったって・・・とにかく小日向さん、ぴかイチ!
何がピエロかって、題の事を考えていたのですけれど、この家族全員ちょっと地上から浮いているんですね。重力って・・・そこかな?なんて思ったのですが?
あの夫を選んだあの母がまず浮世常識離れている感じ。最もその選択はステキな大正解なんですけれど。兄と弟の関係も同じく、父と息子たちの感じもこれまた同じく!私の「あってほしいなぁ・・・ワールド」の住人たち。
ここには、実にいい空気が流れていて、暖かくてほんのり色。で、大正解って言葉おかしいんですけれど、この家族大いにありでしょう?ありですよ!
でもとりわけこのお父さん。凄いんです!ピエロ、一番似合うの彼ですが(失礼)、小日向さんの顔って色々なものが張り付きやすい顔なんですか?悪も善も。これって演技力って言ってもいいのでしょうね。 生きていくのに色々なものを重ねて重ねて・・・丁度ピエロの化粧のように、塗り重ねて。たまねぎみたいになっているの、重層に。で、たまねぎを一枚むくと涙が流れるでしょう?目がジーンとして。このお父さんの心はジーンとするごとに皮を一枚一枚重ねていって、こういう顔に成ったんだ!っていう納得?説得されちゃったような。
生きていくってこういう顔になることだわ!みたいに。親だったらこういう顔になって見事子供を育てたいな。いえ、こういう顔で見守れたらいいなかな。
兄弟の言葉もお父さんの言葉もとても良かった。いい言葉沢山あったな。
渡部さんの演じた男の存在が絶対悪みたいに重く垂れ込めるのに対して、この家族の結束が心に浮き上がってリアルになる不思議さ。優しさが祈りみたい。
厭な物語を抱えているのに、いい雰囲気をたっぷり味わわせてくれた映画だった。加瀬さん好きという友人と見に行ったのだけど、二人とも益々好きになったと思うし、岡田君?いいな。
でも小日向さんが最高かも。
この映画ここで終ってくれてよかったぁと思っているのだけれど、果たして原作はどうなんだろう?SOSの出し方、出された時の向き合い方、色々感じさせられた。問題は出し方を知らない人、出す相手・方向を持たない人かも・・・

重力ピエロ (新潮文庫) 重力ピエロ (新潮文庫)
伊坂 幸太郎新潮社 2006-06
売り上げランキング : 266
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る by G-Tools

グラン・トリノ

映画タイトルINDEX : カ行 No Comments »
グラン・トリノ (クリント・イーストウッド 監督・主演) [DVD] グラン・トリノ (クリント・イーストウッド 監督・主演) [DVD]売り上げランキング :
おすすめ平均 Amazonで詳しく見る
by G-Tools

grantorino1.jpg  grantorino2.jpg

監督  クリント・イーストウッド
出演  クリント・イーストウッド、ビー・ヴァン、アーニー・ハー、クリストファー・カーリー、ブライアン・ヘイリー、ブライアン・ホウ、ジェラルディン・ヒューズ

もうなんとも言う言葉も要らない永遠に心に残る映画だった。
この映画を父と見に行ったということがなんともおかしなシチュエーションになっていたが・・・それだけに忘れられないだろう。
朝鮮戦争などはとっくに忘れたような顔をし、ベトナム戦争などはなんだったっけ?みたいな顔をしたい、そして原爆のことはなんかの間違いでしょう・・・パール・ハーバーだけ覚えておけばいいのさ・・・・・みたいなのがアメリカ人だ・・・っていう気がしているのだけれど、普段。
硫黄島二作でおや?と目をこすり・・・まだ知ろうとしていてくれるんだ・・・と言う感動を覚えたのだったけれど、今度はモン族(ベトナム戦争)と朝鮮戦争だった。
クリントはアメリカの過去をちゃんと見ようと努力する目を、または意識を持っているんだ。
カトリックの神父がまた秀逸でウオルトと向き合う姿勢にこの若い神父の秘める宗教の力と彼の柔軟な人間性をも感じさせられたが、結局ウオルトは懺悔では許されるはずも無いものがある事を知っていた。そこがまたこの人物を陰影の深いもの、潔いものにしていたのだと思う。
モン族の事を姉娘がクリントのウオルトに説明する件があった。
ベトナム戦争の時、アメリカに肩入れして故郷に居られなくなった少数民族だと。彼らの生活は何に依存していたのだろう?
あのデトロイト郊外の住宅地にかなり大量に?移住してきており、タオもその従兄たちのチンピラもどうやら仕事も無い日々を送っているらしいのに・・・彼らの親世代の生活はさほど困窮しているように見えなかった。アメリカの何らかの保障を受ける世代なのだろうか?
タオのしたことに対しての謝罪の、ウオルトへの感謝の民族の表現、贈り物攻勢が素朴で愛らしかった。
ベトナム戦争の傷跡もまだこういった意外な形でも残っている。朝鮮戦争で戦った世代の心の痛み、PTSDを抱える人々もまだ残っている。その事実にも目を向けて。その上に立脚してこの物語は成立している。
その上に白人であり、人種差別も含めて、頑固一徹に自分であり続けてきた男の人間としての誠実さが見事に表現されていたのだ。
人間としての・・・などと大上段に書くのはおかしい。彼はウオルトで、ウオルトらしく生き抜いたということの確かさが胸を打ったのだから。
むしろ厭な隣人だったからこそ彼の心は動かされたのだろうし、家族は家族だったからこそ努力は得られなかったのだろうと思う。家族は居て当たり前で努力して、言葉を尽くして理解しあうものでは本来無いからだ。
家族から距離があったからこそウオルトは自分の生き方を自分ひとりで選び取れたのだと思うし、それがこの男の見事さになって見るものの心を打ったのだ。
彼に心を開いていく少年は見ている私でもあって、彼に言葉を尽くす姉もまた私でもあって・・・物事は言葉を尽くすことから始まるのかもしれない・・・と、改めて思った。
「何でこんなものを見るんだよ、女の癖に」と、言われながらもダーティ・ハリーにさえ見る物を見た思いの私にはこの映画の中に散りばめられたハリーの残像に懐かしい日々を思い起こし、彼の眉間の皺、細められた瞳、彼が銃を構え、ツバをはき、ののしり言葉を吐くたびに過去の膨大な作品群がフラッシュバックをするといった記憶の重層的な厚みをも感じさせる‘大作’に成っていた。
クリントの映画人生を濃縮して味わったような素晴らしい時間だった!
タオがグラン・トリノにディジーを乗せて海岸線を走っていく横顔、そしてその後車が長く連なっていくエンディングの長い光のある道路の光景は未来に連綿として続いていくだろう人間を象徴しているようで暖かさを感じていた。被さる曲がまたいい!古き、善き、アメリカよ、確かに有ったんだ?

かけひきは、恋のはじまり

映画タイトルINDEX : カ行 285 Comments »
オリジナル・サウンドトラック「かけひきは、恋のはじまり」 オリジナル・サウンドトラック「かけひきは、恋のはじまり」
サントラジェネオン エンタテインメント 2008-10-29
売り上げランキング : 205643

Amazonで詳しく見る by G-Tools

監督  ジョージ・クルーニー
出演  レニー・ゼルウィガー、ジョージ・クルーニー、ジョン・クラシンスキ、ジョナサン・プライス、スティーヴン・ルート、ランディ・ニューマン

この二人の組み合わせ、きっとロング・ランになると油断していたら5日で終り?アラララどうしよう・・・と迷っていて結局最終日に飛び込みました。それで私としては見といてよかった!と、満足したところです。ロマンチック・コメディーは好きなのです。
全く「こう」言われて、「ああ」と、返す言葉を見つけた時は「返す時間を失った後!」というパターンが多い私には、何でこんなに言葉の応酬が的確にに、すばやく、息も付かせず、小粋に、コミカルに!出来るんだろうとそれが驚異ですが・・・できる回転の早い種族が世の中には居るんだね?そういう種族のちょっと笑える恋模様。
キャリアのレクシーの足を引っぱる業界の、または異業種の、またはただのおっさんがいっぱい世間には居るには居る!のに、彼女がそういう男どもを歯牙にもかけないせいか?「やり込める」応答、それがユーモアに見えたのは見事でした。
本当だったらイヤミな部分にもなりかねないのに・・・上手く処理してそれもレクシーの頭のよさと度胸と開き直りの見事さになりました。「頭もいいけど、美人だけど、足も綺麗なのよ、I know!」言って見たいもんだわさ!
レニーを美人だと思ってみたことは無いけれど、そういっても「うん、そうね」って頷けちゃう可愛さがあるのが曲者だよねぇ・・・とため息をついちゃうのです。
それにドッジ、このお馬鹿さんがまたかわいいんだわさ。「あたまのいいお馬鹿さんで・・・ハンサムでいい迷惑だ!」と気が付くとにんまりしていた私でした。
カーターの告白を受けて・・・の後の泥試合はいただけないけど。
「レクシーってあれはやらないんじゃないの?」って私には思えるのだけど。キャリアのためにでもしないで欲しいわっていうのがコッチの勝手な希望かな?ま、上手く?ハッピーエンドらしい?のがいいのかも。で、そこが限界でほどのいい?ロマンチック・コメディ!
フットボールも面白く見れたし。今のアメフトよりずーっと面白かった。1920年代風がとてもよかったし、列車が行ったり来たりするあの長閑さもその景色も楽しめたし音楽も。

ゲット・スマート

映画タイトルINDEX : カ行 371 Comments »

getsmart.jpg getsmart1.jpg

オリジナル・サウンドトラック『ゲット・スマート』 オリジナル・サウンドトラック『ゲット・スマート』
サントラGeneon =music= 2008-09-24
売り上げランキング : 12230Amazonで詳しく見る
by G-Tools

監督  ピーター・シーガル
出演  スティーヴ・カレル、アン・ハサウェイ、アラン・アーキン、テレンス・スタンプ、ドウェイン・ジョンソン、ケン・ダヴィティアン、マシ・オカ、ジェームズ・カーン、ビル・マーレイ
予告編で見たときに「わ、懐かしい。それゆけスマート!だ」と思った。「俺、これ知ってる?」と旦那があいまいな顔で聞くから「それゆけスマート」見ていた?といったら「ああ、それか!」
というわけでまた二人で見に行った。本当に映画好きではない旦那が今年はよく映画を見たなぁ・・・とまた年末モード。
しかし見終わってまず辛口コメントが出なかった映画はこれが初めてじゃないかなぁ?必ず文句から言う奴なのに。
実際特別大笑いする映画ではなかったけれど、実に気持ちよくクスっと出来た。「本当にスマートだよねぇ」って、見た大多数の人が言ったと思うな。
この絶妙さはなんだろう?
演技が上手いとか、実に話がよく出来ているとか、そういう段階じゃないんだねぇと思う。笑が気持ちいい、笑の質がいい、でもそういう問題でもないかなぁ。
持ち味といったらそれっきりになるんだけれど・・・スティーヴ・カレルさんが実に面白い!
その上何しろ懐かしい昔馴染みみたいなアラン・アーキンやテレンス・スタンプさんたちがまじめーな顔で存在しているんだし。絶対笑っちゃえるマシ・オカさんらのキャラクターも分量が丁度いいし、カーンさんやマーレーさんのあの顔がこれまたぴたっと適量振りかけられた調味料感覚?
それに何よりアン・ハサウェーさん!彼女の可愛ぶらない演技始めて見た様な。しかもそれが実に上手かった!あのキャラが生きなくちゃカレルさんも半死半生。お姫様(せいぜい女の子どまり?)しか出来ないんだろうと思っていたのに・・・素敵!
シリーズで見たいな。無条件で体の(心もかな?)凝りをほぐしてくれるもの。乾いている分、寅さんより楽だよ、きっと。

この自由な世界で

映画タイトルINDEX : カ行 210 Comments »

「この自由な世界で」

監督  ケン・ローチ
出演  カーストン・ウェアリング、ジュリエット・エリス、レズワス・ジュリック、ジョー・シフリート、コリン・コフリン、レイモンド・マーンズ

この監督の「麦の穂をゆらす風」という映画が私に忘れられない印象を植え付けたので、その時も何もできない自分を再確認しただけだったのだけど、なんと不遜なことに!やっぱりたまには目を開かせていただかないとただただ怠惰に流れる自分を知っていますし・・・考えるだけしか出来なくとも、でもそれは必要なことではないか?という気もするし・・・。というわけで出かけました。
そしてまたあの時と同じように、私は自分の住む安易な時と場所に何もできない自分を見出して忸怩としています。
だって、この安全である程度満ち足りている生活は、絶対何処かで何かを踏んずけていることは意識できますもの。
隅田川を下ればブルーテントの膨大な居住者、ニュースを見れば金日成の死亡如何ではの緊迫した北朝鮮の難民の話題、アメリカの底知れなくなりそうな世界中を巻き込む恐慌、その社会でとりあえず安穏としていられる者は搾取している側でないと言い切れますか?
というより、この映画を見た後では自由社会は搾取自由社会ということですと思いしらされます。「何をしても自由」という世界があっていいはずはないのに、弱い者も、もっと弱いものから搾取する自由。それに気が付いてしまった、その泥沼のうまみを知ってしまった主人公が怖かったです。
付いていけなくなって袂を分かった友人も、掴んだ金は手放さなかったですものね。人は手に入れた、それも自分の才覚で手に入れた物はなかなか離せるものではありません。こんな怖い思いをしても、彼女はまだ何とか自分の才覚を頼ってやっていける、搾取できる弱者はそれこそ世界中に山のようにいると言う事を知ってしまっていますから。父母のようにつましく生きる生活にはうんざりしている。自分を生かしてくれなかった男会社には目に物を見せてやりたい。
自分は踏みつけられたのだから今度は踏みつけるものがあればそれを土台に・・・金!金!金!に縛られていることにはもう気が付くことはなくて。この哀れな連鎖、彼女から取り返した男たちもその上にそびえる社会には何もできない。出来る範囲は自分の力で抑えられる範囲。巨大な社会の仕組みの前には彼らの力は無力過ぎる。どうしてもこの連鎖は切れない、ここで彼女がつぶれても、また何処かで彼女と同じ人が生まれる・・・それが重なり合ってその仕組みの上に無意識の人々が乗って複雑怪奇に世界は回っている。自分はどこのどんな駒なのかもう分からない・・・でもそこに生きている、その上に安穏をむさぼっている。なんとおぞましい!と思いながら同情も共感も哀れみもさげすみも何の意味もないと思いつつ、それでも彼女の生きる強さ、逞しさに圧倒されて、「凄い!}と思い、ただただ感歎する私も確かにいる。

二作見ただけだけれど、この監督は演技者を選び出す才能が凄い!

麦の穂をゆらす風 プレミアム・エディション 麦の穂をゆらす風 プレミアム・エディション
ポール・ラヴァティジェネオン エンタテインメント 2007-04-25
売り上げランキング : 13106
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る by G-Tools

カンフーパンダ

映画タイトルINDEX : カ行 565 Comments »

kanfu-panda.jpg  kanfu-panda1.jpg

カンフーパンダ完全ガイドブック カンフーパンダ完全ガイドブック
もき かずこフレーベル館 2008-07
売り上げランキング : 156359Amazonで詳しく見る
by G-Tools

監督  マーク・オズボーン、ジョン・スティーヴンソン
出演(声・日本バージョン)山口達也、笹野高史、木村佳乃、石丸博也、MEGUMI、中尾彬
予告編でちょっと面白そうとは思ったものの、アニメで中国ものしかもハリウッド?なんかなぁ、「ポニョ」もまだ迷っているのに・・・夏休みで子供で混む類の映画・・・ま、やめとこ・・・って思ったのに、ただ券を頂けば、行きマース!というわけで飲み会に出かける前の旦那と時間設定もグッド!というわけで出撃。開場前に劇場入り口に並んだ列を見て、やっぱり「しまった!」かな、と、思いました。
待っている間の子供たちの賑やかさ!っていうか、うるささ!子供連れでないのは我等のみ?ま、とにかく騒ぎでした。見始めても泣く奴、退屈してぐずぐず言う奴・・・やだねぇ・・・ところがですねぇ・・・1時間半?聞こえたのはクスクスからアハハまで、笑い声だけでしたし、その時は私も笑っていました。つまり大いに笑ってきました。食い意地だけでここまで話ができるかねぇ・・・恐るべし食い意地。これだけは私も自信がある。うん、ある!と、力みかえってしまいましたよ。箸バトル、面白かったー!
大上段の勧善懲悪、パンダの想像つく範囲の性格付け、お師匠様の亀仙人?の型、高弟たちの姿勢(ジャッキー・チェンの○○拳シリーズ?全部見てんだねぇ私・・・これが!で、思い出すじゃないのね?)、皆お約束通りの安定感!いやな感じ全く無しの大人も子供も堪え得る極上さ!
ところでジャッキーが吹き替えしてるんですってねぇ・・・なのに新聞社主催の夏休み子供劇場?日本語吹き替え版だったんで・・・それがちょっと残念。
「パンダの顔が今一可愛くなかったのが難だ!」と、旦那は言っていましたが、それこそがトレンド!です。「タレパンダ、可愛い!」
って、お譲ちゃんたちは言いましたが、あれは可愛いから可愛いといったのではありませぬ。ということが分かるかなぁー?
とにかく肩もこらず、和やかに、にっこり飲み会に行く旦那を見送れましたよ!
見る予定していなかったのでパンフの取りおきが無くてちょっと残念。

コレラの時代の愛

映画タイトルINDEX : カ行 130 Comments »

korera1.jpg  korera2.jpg

korera3.jpg  korera4.jpg

コレラの時代の愛 (Obra de Garc〓a M〓rquez (1985)) コレラの時代の愛 (Obra de Garc〓a M〓rquez (1985))
木村 榮一新潮社 2006-10-28
売り上げランキング : 5747
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る by G-Tools

「コレラの時代の愛」

監督  マイク・ニューウェル
出演  ハビエル・バルデム、ジョヴァンナ・メッツォジョルノ、ベンジャミン・ブラッド、ウナクス・ウガルデ、カタリーナ・サンディノ・モレル、ヘクター・エリゾンド、リーヴ・シュレイバー、ジョン・レグイザモ、フェルナンダ・モンテネグロ
「あの日の指輪を待つきみへ」を見に行った時、その友人と「次回はこれね。」と決めていました。でも、気持ちの中では「予告編を見る限り、限りなく主人公の行為はストーカーに近い感じじゃない?いやな映画になるかも?」って危惧していました。
ところが見終わってみたら・・・「良かったじゃない、いい映画だったわ」でした。わからないものですねぇ。期待していた「アウエィー・フロム・ハー」は厭な気分の残る映画だったし、「シャーリー・マクレーンとクリストファー・プラマーが顔を揃えて悪い映画になるはずは無いじゃない?」と思って見に行った映画は何とか若い俳優さんたちに助けられた感じ?でしたし、見てみないと分からないもんだなぁ!「駄目かも」と思いながら行った映画、それも寝坊助の私が9時の早起き映画をですもん、これが「良かった!」となったら凄い得した感じ、1日ウキウキもんです。
もっともアッチコッチ違和感というか、「?」っていうか、微妙に・・・なんかなぁ・・・というか・・・なんかぴたっとしない部分はあるのですが。
「LOVE」というものの遺伝子がそもそも違う!って部分があるのかもしれませんし、コロンビアを舞台の映画っていうのも初めてだし、フェルミナとフロレンティーノって紛らわしくてイタリア喜劇みたいだし?
でも何より主人公の女性を演じたジョヴァンナさんの美しさは予告編を見たときから衝撃的で、なんて美しいのでしょう!ってつくづく見入ってしまいました。年を重ねてもやはり美しくて・・・一生恋わたる男の気持ちが分かるようでしたもの。それはこの映画の場合大事な因子です。ここが弱くてははなっからお話になりません。
手紙で恋に落ち、会って現実に目覚め、大人になって普通に確実な伴侶と結婚し、それなりに添い遂げて・・・51年余り?それが普通の幸せでしょう?その人に影のように纏わり付いて、現とは思われないような人生を揺らめいて過ごした変な男の哀れさ。
時が来たと思い、またそのときに拒絶されてもまだ諦めない思い込みはある意味どうにも理解不能だし、だいたいあの時に出かけていく凄さって・・・なんだろう?って思いますよね。それなのに見終えてよかったと思えたのはやっぱりあの一途さにかなう物はないと思ってしまったからでしょうね。熱に浮かされ続けた53年の歳月の重みにね。
そしてまた手紙で繋いで2年・・・53年目の恋の成就って?その粘り、粘着性は肉食人種じゃなければ無いだろうなっていう気もしますが・・・「もう負けた!」としかね、思えないです。それにしても何処も恋の始めは普遍的、可愛いのですね。
フェルミナの73年間は普通の女性の歩んだ年月、異常なのはフロレンティーノの歩いた53年の軌跡。背中が曲がり髪が白くなり老いていくほどに私には彼の生き様が不気味に思えましたけれど、母が息子の恋を理解し共に苦しみ助けようとする様には妙に心打たれるものがありましたね。愛というものの概念と、愛に対する寛容さの違いにある国民的気質?に気押されてしまった感じでしょうか。
恋なのか妄執なのか・・・恋が成就するのに要した年月は・・・日本だったら、日本のあの頃だったら、骸骨にさらさらと風が渡っている頃ですねぇ・・・
彼女のお父さんを演じたジョン・レグイザモという俳優さんERのヘリ事故で亡くなったドクターですよね?コロンビア出身なんですね。後、印象に残ったのはフロレンティーノの少年期を演じた俳優さんの目の生き生きした若さでした。
 

帰らない日々

映画タイトルINDEX : カ行 No Comments »

kaeranai.jpg  kaeranai1.jpg

帰らない日々 (ハヤカワ文庫 NV シ 26-1) 帰らない日々 (ハヤカワ文庫 NV シ 26-1)
高瀬 素子早川書房 2008-06
売り上げランキング : 191003
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る by G-Tools

監督    テリー・ジョージ
出演  ホアキン・フェニックス、ジェニファー・コネリー、マーク・ラファロ、ミラ・ソルヴィーノ、エル・ファニング、ルーカス・アルノー、ジョン・スラッテリー

交通事故で子供を死なせてしまったのは事故か殺人か?どういう裁きが妥当なのでしょう?どう裁くべきなのでしょう?事故で人を殺した場合の罰の軽さに驚いた人は多いでしょう?
余りに身近に、誰にでも起こりうる状況を描いていて実に辛い映画でした。そう、誰でもどちらかの家族に思い入れして見たのではないでしょうか?運転する人なら誰でも、家族の車に乗せてもらう人なら誰でも。車の無い社会なんて考えられない社会で!
加害者と被害者の生活と思いをこれだけ並べて丁寧に描いていくと・・・もうどちらも悪人ではないのが解かるだけやりきれなくなってきます。
それにしても人を殺しておいて逃げる輩は許されるべきではない・・・と、思いつつ、その場になれば恐怖の余りその場から離れることしか頭に無くなるだろうとも思います。人はそんなに強くばかりもありません。実際裁判で争う飲酒運転の子供を殺した犯人なぞの記事を読むと、裁判で争うな!出来る限りの謝罪と補償に残りの人生を使い尽くせ!とか、いたいけな子供が何人も死んだ余りに悲しい事故なんかは殺したのだから死罪で償なうべき!他に遺族の悲しみをあがなう方法があるかとすら思うことがあります。
先日読んだ東野圭吾さんの「ダイイング・アイ」などを思い出すまでも無く、償って、償って、償って、それでも許しはあるか?と。
しかしこの映画で一番衝撃的に感じたのは子供を失った後の夫と妻のその後でした。最初は自分のせいと自分を責め夫の保護の下、外にも出られず自分の悲しみだけに引きこもっていた妻が、もう一人の自分を必要とする子供の存在に気が付いて徐々に日常に復帰するのと対照的に、妻と残された子供をひたすら守ろうとして理性を保っているかに見えた夫がどんどん悲しみと自責の淵に飲み込まれ引きずり込まれて復讐しか眼中に無くなっていく。男と女の違いはこの場合普遍的なものではなく、この映画の設定にすぎないと思っても、何故か女の現実的な強さに圧倒されて・・・果たして自分もだろうか?と自分を覗き込むような気持ちで見ていました。一番健気だったのは娘でしたしね。
そして償わなければ償わなければと思いつつも、自分と息子との心惹かれる生活に決別を告げられぬまま日々に流されて、償いの日を一日延ばしに延ばしているうちにのっぴきならない時が訪れてしまう犯人の心情も人事ではなくて・・・。
この場合犯人の側に正常な人間らしさがあったからこう結末が来たけれど・・・もし?と思う。もっと恐ろしい結末もありえた状況にまで追い込まれて。「もし?」の方が現実には圧倒的に多いのではないか?逃げ切る犯人の方が多いのではないか?と。検挙率の事を考えてしまう。実際、検挙率を上げることは、犯人の心の救いになる場合もあるのではないか?と。
あちらこちらで絶えることなく続いている現実を目の辺りにした気がして、切なくも悲しい映画でした。
ホアキンさんはずーっと悪人面だと思っていたけれど「ウォーク・ザ・ライン」で彼の演技力の前にひれ伏したのでした。この映画でも犯人を追い求める憑かれた父も見事でした!

近距離恋愛

映画タイトルINDEX : カ行 10 Comments »

kinkyori.jpg  kinkyori1.jpg
監督  ポール・ウェイランド
出演  パトリック・デンプシー、ミシェル・モナハン、ケヴィン・マクギット、シドニー・ポラック

決して見に行く予定は無かった映画です。「魔法にかけられて」でも印象に残ったのは私の場合「ジェームズ・マースディン」の方。
予告編の段階ではありふれていすぎるハリウッド・ロマンチック・コメディーの域を一歩も出ていないでしょう!ッて印象でしたしね。題からしてダサイ!
パトリックさんはでもコメディーのセンスはありそうな・・・あくまでありそうなお顔していらっしゃいますが・・・だったのですが。マァ、間違いなくコメディーでしたが。
でもこう毎晩?旦那様は飲み会だとすると・・・することないし(本当はいっぱいあるよ)じゃぁ、彼の飲んでいる間映画でも見ているか、ロマンスにでもどっぷり、風呂が変わりに?ポイントもあるし・・・みたいな。
で、本日映画館独り占め。全くの独り占め!だーれも居ないんだよ・・・ウ・嬉しい!ひょっとして猛烈マニアック映画だったりして?
そんな期待は直ぐ吹っ飛びました!
日本じゃ自分の容貌に自身を持っていない男の子がいっぱいいるんだなぁ・・・なんて、秋葉原事件で思いませんでしたか?なんでこんなに皆自信をもてないでいるのでしょうか?パトリックが・・・あのパトリックがあんなに自信たっぷりでNYを闊歩していられるのに?ちょっぴり可愛いそばかすハンナもそのお友達も皆あんなに自信たっぷりでいられるのに?
ハンナは恋をして帰ってきたらちゃんと魅力的に成っていましたよ・・・凄い!ほら、時が来たら誰だって魅力的になれるんだよ!
日本の今の子たちは私の目から見れば・・・「なんて日本の子供たちはきれいに可愛くなったものか!」と、驚異なのに。
本当ですよ、私たちの子供の頃から見ると見た目は本当に良くなっていますよ・・・ねぇ?なのに自信の無い子の多いこと。この映画見て
自信たっぷりに振舞うことのメリットを知りなさい!といいたいところですが・・・「?」なのは映画の中の彼らに全く生活感の無いところ。バスケに集まる彼らも、式準備に集まる彼女等もなんで食っているの?職業は持っているらしいのに・・・なんであんなに時間があるの?みたいな・・・結局夢のための夢物語、野暮は無し。大体このての映画では・・・やっぱり私は残された人の方を考えちゃう組なんだけど、青春だったから音楽に押されて?ダスティンさんにエールを送っちゃった苦い経験はあれど(その時だってこれでいいわきゃないよって思ってた)この場合は絶対コリンでしょ!スコットランドでしょ(あの領地でしょ?)!伯爵でしょ!思いっきりガーンとやれて良かったよ、おばあちゃん、よっしゃ!って感じでしょうか。それでも許せるものか!ネ?
モットモネ「ニュヨーカーがあのスコットランド高地で長続きするはずは無いんだから・・・放って置いても帰ってきたよ。」と、あほらしく一人淋しくすねまくってきた私です。
 

クライマーズ・ハイ

映画タイトルINDEX : カ行 463 Comments »

climber.jpg  climber1.jpg

climber2.jpg

climber3.jpg

クライマーズ・ハイ オリジナル・サウンドトラック クライマーズ・ハイ オリジナル・サウンドトラック
サントラ JABBERLOOPコロムビアミュージックエンタテインメント 2008-07-02
売り上げランキング : 4853
おすすめ平均 Amazonで詳しく見る
by G-Tools

クライマーズ・ハイ (文春文庫) クライマーズ・ハイ (文春文庫)
横山 秀夫文藝春秋 2006-06
売り上げランキング : 71
おすすめ平均 Amazonで詳しく見る
by G-Tools

監督 原田真人
出演 堤真一、堺雅人、遠藤憲一、尾野真千子、山崎努、田口トモロヲ、堀部圭亮、マギー、でんでん、高島政宏、小沢征悦、蛍雪次朗

我が家では見終えた後、意見が分かれました。
多分にこの映画は原作を読んで見たか、読まないで見たかでかなりの評価が分かれると思います。155分の長い映画でしたが、あの本を読み終える手ごたえの事を考えればよくこれだけに圧縮したなぁ・・・というのも評価の一つにはなりえます。どうせなら映画の文句ばかり言っていないで「原作を読んで、読んでよ!」というのが私のお願いですが・・・旦那は記者物を長々読むのはいやだと言う見解らしいです。本「クライマーズ・ハイ」はとてもお薦めできる素晴らしい本なんです。映画だけで決めないで・・・と願います。大体彼は鼻っから記者と言う職種に反感を抱いている方ですからねぇ。実際この映画でも記者たちの紙面作りは権力闘争、イデオロギー闘争、私利私欲の色彩を非常に帯びているんだなぁ・・・と、思わされます。こいつ等は本当に報道者か、捏造者か、扇動者か、一体何なんだ?といった疑問符がクローズアップされたような気がします。若手の佐山さん(堺さんがいい!)たちを除けば、と言うより若い彼らのスクープ、特種争いの方が真実をいち早くと言う報道のあり方の正しいあり方といえましょうか。記者たちに誠意とか誠実とかいう言葉は無いのか?とも思えます。ベルトとサスペンダーの人。記者さんには何も知るすべのない衆愚はそうあってもらいたいものと願っています。たとえ、スクープを逃がしたとしても、それがなんなんです?私たちは本当を知りたいだけです。(本当に本当を知りたいのかというような形而上の問題は無しですよ。)
原作はそれを人間・社会の縮図として緻密に描きこんでいく力量と構成力で、登場人物の魅力で、多方向からのアプローチで、読者を飲み込んでいく迫力がありましたが、その点映画はかなり頑張っているとはいえそこまで描ききる時間もありませんでした。
取捨選択されたエピソードによる脚本は私的にはかなりの異議がありますが、それなりにまとめて納得がいくものだったと思います。
本を思い出しながら入れ替えたり説明をしたり無意識にしていましたから、なかなか予想以上の出来だったと、見ることに躊躇した後ではほっとしたのですが。それの出来なかった旦那には社主とのやりとりも等々力部長とのやりとりもなんか妙に中途半端で馴れ合いに映ったようです。親子関係も安西とその息子との情感も邪魔な挿話に過ぎなかったようです。でもあれを全くカットしては題が意味を失いますしね。と言ってもあの映画であの題の意味が見る人に本当に通じたのかなぁと言う疑問は残りますけれど。難しいところです。谷川岳の一ノ倉沢・衝立岩の緑と岩の映像は目や心には優しかったですけれど。それにしても最後のニュージーランドはなんでしょうね?
このような現実の事件を扱った小説というものは、時の流れを否応なく実感させて、年を取ったなぁ・・・という感慨を抱かせます。私たちの上を等しく流れ去った日々の速さを思いました。

クライマーズ・ハイ クライマーズ・ハイ
横山秀夫アスミック 2006-05-12
売り上げランキング : 124
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る by G-Tools

Design by j david macor.com.Original WP Theme & Icons by N.Design Studio
Entries RSS Comments RSS ログイン