かもめ食堂

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監督  荻上直子
出演  小林聡美 片桐はいり もたいまさこ

なんとも程のよいセンス、気持ちのいい間、柔らかなユーモア、優しい静けさ・・・見て本当に幸せな感じになりました。
ホワイトナイトの優しい夜みたいな!
女が3人も集まってあんなに静かな信頼の空気をかもし出せるものでしょうか?
「知っていました?スナフキンとニィは父親違いの兄弟なんですって。」とか、「知っていました・・・?」というような話題のためのフリに小林聡美の見せる「ポ?」っとした表情、いいですね。
おしゃべりに弾んでいってしまいそうなところで煩くならない。
こんな優しさ持てたらいいですけれど、友情なり信頼なりを示すために、または確認するために普段必要以上にしゃべりまくっている自分が画面の向こうにちょっと情けなく透けて見えるようでしたけれど・・・でもそんなことどうでも良くなって、あの食堂のサッパリした空間みたいに気持ちのいい殺風景さの中で安らいで微笑みながらのひと時を過ごしていました。
実にシンプルセンス食堂でしたね!
あの3人どんな人生を送ってきて、あの程のよさを見につけたんでしょうね。
ヘルシンキにいたるまでのそれぞれの道筋はほんの少し垣間見られた(いや、聞いた)だけでしたけれど、きっとここへいたるまでの過程があってこその彼女たちなんですよね?
でも監督が切り取ったところは本当に心地よい時間と空間でした。
その切り取り方にえもいわれぬセンスを感じていました。
この出演のお3人がまた絶妙なハーモニーを奏でていました。
持ち味そのままに見えるのですけれど、いいなぁ!
朝ごはんしっかり食べていったのに、映画は正午12時前に終ったのに物凄くお腹のすいている自分に気が付きました。
殆どがいつも私が作ってきたメニューですよ。
でも人に作ってもらったものを食べるって最高に幸せなことですね。
鮭に塩振って・・・「うーんもう少し時間を置いてから焼いた方がいいな!」とか、「サクサクっと切る音がとてもよくて、このとんかつ上手いこと揚がっているな!」とか、「このしょうが焼きの照りの程が実にいいな!」とか、「おにぎりのご飯が実にたっぷりと・・・アァ、私だったら明太子も是非メニューに入れたい!」とか・・・
お腹がすいたときにおいしいものを食べられる幸せをつくづく噛み締めて・・・それにしても「あー気持ちの良い映画だったぁ・・・」と、お昼を食べに行きました!
そうそう、かもめ食堂の前身のコーヒー店の経営者だった男性、何かで見ているような気がするんですけれど・・・ン・・・ん・・・のどに刺さった小骨?

映画館でかもめ食堂のメニュー売っていました。
イメージぴったり!ウ~ン、プロだ!って?
はいりさんがチョコチョコって書いたみたいにみえるんだわぁ。
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アンソニー・ホプキンス

俳優についてのコラム 1 Comment »

サァ、この俳優さんの何を語れるというのでしょう? 私に?
世の中にセクシーと言える男優さんは山のようにいます。
しぐさや表情や、つまり立ち居振る舞いや科白の表情でセクシーさを漂わせる人は山のように。
ジェームズ・ディーンは勿論あの表情で、アントニオ・バンデラスはその姿で、アル・パチーノはその目で、ガブリエル・バーンはそのスタイルで・・・あげれば限が無いというより、印象に残ったすべての俳優さんが、作品のどこかでふっと表現する魅力こそが「セクシー」だという気がしています。
ところがアンソニー・ホプキンスは全身がセクシーの塊なんです。私に言わせれば!
どこにいてもどんな役をしていてもそこに彼がいるとその場が匂いたつのです。
そんな気がする俳優さんです。
「日の名残」のひっそりとした執事役をしていても、「ジョー・ブラックをよろしく」の老いた愛情深い父親役をしていても、「アミスタッド」の老成したしたたかな元大統領?を演じていても、「アレキサンダー」の脇で地味にプトレマイオスを演じていても、一人の男性がセクシーにそこで輝きを放っているようなのです。
ですから「羊たちの沈黙」や「ハンニバル」のような彼のエモーショナルな力量全開作品となると、もうめちゃめちゃに魅力的です。
すべての表情、すべての動作が完璧に引き寄せビームを発しているようで、怖いのに映画に没頭させられてしまいます。
知らずに彼が動いている世界に引き寄せられて臨場してしまう感じです。
私はつまり難破!という有様です。
おかしなことに彼の作品に吸い寄せられるくせに彼がセクシーだということに気が付いたのは、なんと・やっと「マスク・オブ・ゾロ」でした。
この作品を見て、剣を構えてたつ後姿・その背中の線に「あぁ、そうだったんだ。彼は真にセクシーなんだ!」と感嘆したのです。
セクシーさでアントニオを完璧に凌いでいたのです。
この方はどんなに老いても、銀幕に立ちさえすれば、それこそ「銀色に輝くセクシー!」を見せてくれるのではないかと思っています。
でも、まだ見ていない彼の沢山の作品があるので、私にとっては「これからが楽しみな!」俳優さんでもあるのです。
それに「高慢と偏見」の後でふとアンソニー・ホプキンスの寝てばかりいるのんきなエマの父親とコリン・ファースのナイトリーで「エマ」が実現しないかなぁ・・・と、思いました。
あんなのどかな老父役でもセクシーに出来るものか?って挑戦?
出来たりして・・・いや、出来ますって!
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ナニー・マクフィーの魔法のステッキ

映画タイトルINDEX : ナ行 6 Comments »

監督 カーク・ジョーンズ
出演 エマ・トンプソン コリン・ファース ケリー・マクドナルド
アンジェラ・ランズベリ トーマス・サングスター

ヤッホー、ファンタジーだよぉ!
と、飛んで行きました。
コリン・ファーズだしぃ!
字幕版、夕方の日比谷みゆき座とあって?「プロデューサーズ」より込んでいたのはちょっとした驚きでした。
子どもなんか一人も居ないのよ。
で、隣は大学生くらいの男の子だし、もう片方は結構いいお姉さん。
後ろはおばあ様お二人といった感じで大人ばっかのファンタジー鑑賞。
息子たちが小学生だったら、絶対連れて行っているのに!
「大人一人で行っていいのかなぁ?」的映画のはずなのに。
イギリスの田園の余りにも濃い緑のオープニングからもう、「うんうん、私でもこんな風に始める!」
?エッ?私と同じでいいの?それって・・・?
という感じでしたが、色鮮やか過ぎのちょっとケバケバ風でした。
魔法使いってそんな風土じゃないと合わないのかなぁ?
私だったらもう少し自然な色か、パステルかけちゃうかも・・・。
とにかく、大人たちはもう目いっぱいという感じで久しぶりのジェシカおばさんも、真っ赤なほっぺのコックさんも、再婚相手?の恐怖おばさんも異常気圧。
その中で子どもたちの思いっきり可愛いこと!上手いこと!自然なこと!悪いこと!
長男のサイモン君と眼が合った途端、物語に引きずり込まれちゃいました。
眼がね!生きていたのよ!
悪戯っぽくてね!もう本当に手ごわいぞ、こいつ!って感じ。
この子キットそのまんま「地」なんだわ!って思ったくらい悪くてめちゃめちゃチャーミングで手ごわすぎて私だったら願い下げ。
当然マクフィーさんの杖が無ければ太刀打ちできません!
でもねぇ、綺麗で優しくって若いお母さんが出来ちゃうんだぁ↓
この子達の亡くなったお母さん忘れられちゃって・・・いくのかなぁ・・・って、天国から見守るのってヤッパリ割に合わないなぁ・・・でも子どもの幸せを考えると・・・天国にいたらこれが出来る最善だよねぇ・・・マクフィーさんを送って・・・子どもたちにいいお母さんを見つくろって?・・・あーつらいなぁ・・・って、どっぷり物語の中に入り込んだお母さんになってしまっていました!
で、コリン君は?
ああ、そうそう、奮闘していましたよ、しっかり喰われちゃって、情けない!
ヤッパリよく出来た妻を見繕ってあげなくっちゃしょうが無いかぁ!

映画を見に行く

映画についてのコラム 339 Comments »

頭が痛くなる母は行けなかったが、子供の頃は映画は家族の誰かと行くものだった。
ディズニー映画、記録物やファンタジーなどは父と二人の弟と揃って。
しかし父にはこだわりがあって、「ゴジラ」とかSF物等は男の子の見るもので、私は留守番。
(なぜか?いつの間にか?今じゃ!モスラの歌も歌えるのですが・・・)
ミュージカルはどうやら女の子の見るものらしくて父と二人で、弟は留守番。
(当然?トナイト歌えますぅ・・・)
健さんファンの父は健さんのものは任侠物も含めてこれは自分ひとりで。
父が子どもたちの見る映画をすべて決めて采配していた。
中学3年の頃からやっと友人と映画に行く許可が下りるようになって、それからは殆ど友人と見に行った。
だから私はあの暗がりでどんなにわくわくするか分かっていながらずうっと一人では映画館へ行けなかった。
誰かを誘うか、誰かに誘われるか。
だから誘われると行きたいと思っていなかった映画でも絶対に断らなかった。
映画を見るチャンスは一つでも多く得たかったから。
そして見た映画の事を誰かと直ぐ話し合いたかったから。
その私がやっと昨年ごろから一人で映画館へ出没できるようになった。
思えば長い道のりだったねぇ・・・と、自分であきれている。
レディスデーが出来て行きやすくなった事もあるけれど、父のように年とともに字幕に追いつかなくなることもあるという事を知ったせいもあるけれど(何時まで洋画見られるかな?)、自分が一つ頑固になったせいもあるかもしれないと、密かに思っている。
見たい映画にこだわる気持ちが強くなっていて、譲らなくなっている?のかも。
それに、誘って、見たい映画を探り合って、時間を打ち合わせて、という事を積み重ねるのが面倒になったのかもしれない。
一人で座席に腰を沈めて、上映を待つ間の時間をひっそり楽しむとか、終ったあとユックリ背中を伸ばしながら噛みしめる時間を喜ぶとか、・・・時間の貴重さの質が変わったのかもしれない。
いずれにしてもいい年をしてやっと私は一人で歩き始めた?映画に関しては。
これが他の事にも波及して行けばいいな!と、思い始めている。
年々色々な意味で映画も変わってきたけれど、見る人も年々歳々変わっていくのが当たり前?
人は年毎に成長もし?衰えもする!のだから、全部ひっくるめて自分の変化をも楽しまなくっちゃね!
・・・って、そんなオオゴトじゃないか!
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プロデューサーズ

映画タイトルINDEX : ハ行 124 Comments »

監督  スーザン・ストローマン
出演  ネイサン・レイン、マシュー・ブロデリック、
ユマ・サーマン、ウィル・フェレル、ロジャー・バート
ゲイリー・ビーチ

公開されて最初のレディス・デーに見に行っていいのだろうか?と、ちょっと不安に思いながら朝1番の回に出撃した。
「プライドと偏見」に同じ条件で出かけたら映画館の前に道路まで行列が続いていて、ギョットしたのを思い出したので。
前評判からすると当然これも・・・!の筈が肩透かし。
開演5分前になってようやく真ん中辺がふさがってきたけれど、真ん中から前の方は殆どがら空き状態。
女性の人気、出足は今ひとつだったようだ。
しかし、笑った。
確かに自分でもここで大口開けて笑っていいのかな?という場面がかなりあったにもかかわらず、とにかく笑った。
殆どが女性の観客たちのあちこちから憚ることなく高笑いが響く。
おおよそが芸ならぬゲイネタ&シモネタなのにも関わらず、あらゆる世代の女性たちがげらげら笑いだもの、女も変わった!
自由自在だ!
なんて、変なところに感心しながら、笑った!
まずネイサン・レインには「バードケージ」でこの手の演技力には脱帽していたから今更驚かないけれど、・・・「あぁ、舞台でご活躍だったのね!やっぱ上手いわ!!」
でも、マシュー・ブロデリックは「ファミリィ・ビジネス」と「グローリー」しか見ていなくて、「グローリー」の印象が強くて、本当に可愛い誠実な素直に育った勇敢な思想に殉じる正義漢そのものの若者、小柄な童顔坊やだったのだから・・・「おー!!!」だった。
この二人の組み合わせも秀逸ならもう一組も秀逸!
ロジャー・バートとゲイリー・ビーチの演出家とその秘書。
登場時から既にもう廻りは笑いの渦。
いやーブロードウェイにはこんな達者がどれだけいるんだろう?
ハイテンションがズーット続くのに見ていてくたびれないし!
それにもう一組といっていいのかな?
ヒトラーを舞台で演じる二人!
つまり舞台でヒトラーを演ずるはずだったウィル・フェレルの脚本家と彼が骨折して交代した演出家との二人。
ヒトラーの演じ方の丸っきりの大違い!
テンションの高さは負けず劣らず、でも対照的な演技。
舞台の幕が上がって演出家のヒトラーが現れたときのひときわ高い悲鳴のような笑い!忘れられません。
蛇足だけれど演出家のチームのインド人?(ターバン巻いていた)の美貌!舞台でナチ・ヒトラーの親衛隊役をした金髪のちょっと不気味な俳優さんの流し目と美貌!
なぜかこれも忘れられそうに無いんです!

 「ドラキュラ」映画

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忘れた頃にTVで放映したりすると、つい見ちゃうのが「ドラキュラ」「ヴアンパイア」映画。

1957年「吸血鬼ドラキュラ」テレンス・フィッシャー監督
1979年「ドラキュラ」ジョン・バダム監督
1992年「ドラキュラ」フランシス・フォード・コッポラ監督
1994年「インタヴュー・ウィズ・ヴァンパイア」ニール・ジョーダン監督

私の記憶に残っているのはこんなところですが、
「フランケンシュタイン」とか「狼男」とか、この手の映画なら、私は断然「ドラキュラ」
だって、ドラキュラ伯爵の物語と吸血鬼一族には、怖さの中に永遠のロマンと深い悲哀があるじゃないですか。
その意味では萩尾望都さんの「ポーの一族」って素晴らしい漫画がありましたよ。
他の怪物物はおぞましいだけみたいな?
でも「吸血鬼」は「怪物」ではなくて「運命」なんです。
殆どの「ドラキュラ」映画はプラム・ストーカーの原作を踏まえているようですが、私が「一番いいな!」と思ったのは1979年ジョン・ハダム監督、フランク・ランジェラのドラキュラにローレンス・オリビエのヴァン・ヘルシング教授という作品です。
「なんだ!」って言う向きも多いでしょうが、このオーソドックスさ!いいじゃないですか?
原作に忠実だというだけではなくて。
だって、結末は原作よりずっといい感じですもの。
そう、絶対にドラキュラは永遠じゃなくてはね。
それに何ていったって、フランク・ランジェラがドラキュラ役にぴったりはまっているんですもの。
彼が出ているのに気が付いた作品はそう多くは無くて、「ナインス・ゲート」と「ジュニア」位かしら?
彼はちょっとハンサムだけれど、どこか正統派のハンサムではなくて、どこか不気味な謎の紳士って感じかしら。
「ドラキュラはフランク・ランジェラで決まり!」って、この映画で勝手に私は決めました!
ゲーリー・オールドマンのドラキュラや、トム・クルーズの変に綺麗?なヴァンパイアや、折角のブラピが可哀相にと思えるヴァンパイアや、まぁ許せるアントニオ・バンデラスのヴァンパイアや、1957年からシリーズ8作以上?を数えるらしいクリストファー・リーのドラキュラ伯爵もあるけれど、なんと言ってもフランクでしょう。
(クリストファー・リーといえば「ロード・オブ・リング」のサルマンですよ。)
原作に忠実ということなら、また大作ということなら、多分1992年のフランシス・フォード・コッポラ監督、ゲーリー・オールドマンの「ドラキュラ」を挙げなくてはならないんだろうなとは思います。
なんていったってこの作品は物語の語り手はキアヌ・リーブスだし、ドラキュラの虜になるのはウィノナ・ライダーだしね。
配役に魅力があります。
ゲーリー・オールドマンは面白い俳優さんだと常々感心して見ている私だけれど(「フィフス・エレメント」や「レオン」の彼なんか忘れようったって忘れられないもの)、ドラキュラに関してはフランクに一歩譲らねばならないと思っています。
「ドラキュラ」には不気味さが必要ではあっても、それ以上に高貴な血筋を後ろに背負った美しさが無くてはならないのですから。
その点で圧倒的にフランクに分があります。
ブラピでヴァンパイアに目覚めた人、トム・クルーズで興味を持った人、まだフランクの吸血鬼を見ていない人に、一度彼のドラキュラを見てもらいたいなぁと思います。
そうしたら「きもかわいい!」なんて言葉吹っ飛んで消えると思うんだけどな。
フランクは「きも美しい!」んですよ?
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