「映画」ハイジ

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監督 ポール・マーカス
出演 エマ・ボルジャー、マックス・フォン・シドー、ジェラルデン・チャプリン、ダイアナ・リグ、ポーリン・マクリン

ヨハンナ・スピリ原作の「アルプスの少女」を少年少女世界文学全集で読んでから50年近くの月日が流れ去った。
年齢的なタイミングの悪さ?か、TVアニメで「ハイジ」をしているのは知っていたがそれは見損なった。
とはいっても一人歩き?しているような「ハイジ」のアニメキャラクターは勿論よく知っている。だがあのほっぺの赤いハイジは私にとっての「アルプスの少女」とは全くの別者に過ぎなかった。
TVのそれは随分長く放映されていたのではないだろうか?それともしょっちゅう再放送されていたのだろうか?
私の頭の中にある物語はそんなに長いものではなかったのだが、それでも、アルプスの四季が移り変わり、おじいさんとの間に愛情の絆がしっかりと結ばれてゆく過程のなんともいえない美しさは子供心にも感動を持って読んだ記憶があった。
だから懐かしさ半分、アルプスの景色とフランクフルトの当時の風景見たさが半分で「ハイジ」を見に行った。
ハイジもクララも私のイメージとはちょっと違ったが、アルムおじいさんだけは不思議なことにぴったりな感じがした。
マックス・フォン・シドーという俳優さんは不思議な俳優さんで、忘れた頃にぽかっと何かしらで見るようだ。
三国連太郎さんをちょっと思い出す風貌がなんとも個性的で、忘れられない作品にスティーヴン・キングの「ニードフル・シングス」の悪魔のような役がある。
その印象が強かったので、恐いだけのおじいさんになるかと心配したのだが、孤独なおじいさんの頑固さと寂しさが、後半の帰ってきたハイジを迎え入れてからの嬉しさとともによく表現されていて、経歴の長さと力まないその巧みさ上手さの力でこの映画を支配していたようだった。
この映画のハイジは可愛らしさや人懐っこさよりは利口さが一寸勝っているかな?という気はしないでもなかったけれど、素朴でセバスチャンとのやり取りに昔本で読んだ時の懐かしさを思い出させてもらった。
子どもの頃にもとても素敵で羨ましく思えたおばあさまが(私は祖母を知らないので)この映画でも本当に素晴らしかったので、あの頃同じく優しくていいなぁと思っていたお医者様の出番が一寸少なかったのが淋しいような・・・
けれども、この映画は上手にあの原作が持っていたような品のある優しさ素朴さをきれいに纏め上げていて「見に行ってよかったなぁ・・・!」と嬉しく帰って来た。
お互いへの愛情がお互いを成長させてゆく素晴らしさが映画から素直に汲み取れた。
ハイジは大好きな人たちのために一生懸命によかれと思う事を行動に移し、おじいさんはそのハイジのために心を開いて、村人ともお医者様とも心を通じ合わせてゆく・・・
懐かしさにどっぷり浸った嬉しいひと時だった。
欲を言えばもっとアルプスの四季の景色を見たかったことと、フランクフルトを見たかったことくらい。
ロッテンマイヤーがジェラルデン・チャプリンだったのも「お久しぶり!」という感じで・・・しかもぴったりなのでなんか楽しくて満足だった。
お医者様を演じた俳優さんもセバスチャンを演じた人も時々お目にかかる人でしたが・・・脇を固めた俳優さんたちが素敵で意外な贅沢をさせてもらった感じ!
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雨に唄えば

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監督 スタンリー・ドーネン・ジーン・ケリー
出演 ジーン・ケリー、デビー・レイノルズ、ドナルド・オコナー、
シド・チャリシー、ジーン・ヘイゲン、リタ・モレノ

このミュージカル、知らない人はいないでしょう?
あー、少なくとも私の世代以上では・・・と、付け加えなければならないかしら?
1952年のミュージカル映画ですから。
このミュージカルのナンバー「雨に唄えば」は不滅の名曲です・・・ええ、私は「絶対に!」と、頷きます。大好きな曲です。それと、「グッド・モーニング」っていう歌もです。本当に楽しいんです!
でも、正直もう何度も見て、すっかりおなじみですから・・・ここ数年、いや十数年見たことはありませんでした。
だからBSでまた放送した時にも見る気は全然無かったのです。
でも、好きだし、DVD持っているわけでもありませんし、ただ無視するのもなんだわ・・・って言う感じでしょうか?何時か暇な時に見たくなるかもしれないし・・・と、「とりあえず録画」したのです。
好きな曲はいっぱいあるし・・・デビーは可愛いし、ドナルドって達者だし・・・でもジーン・ケリーの顔って何故だか好きになれなくて、という私にとって微妙な位置にこのミュージカルはあったのです。
それに、「バンド・ワゴン」ではあんなに美しい(と、私は思っているのですけれど。「バンド・ワゴン」の方が1年後の映画なのです。)シド・チャリシーが素敵な肢体とダンスを見せてくれてはいるのですけれど、この映画ではちょっと恐い顔なんですね。それも引っかかるしというところなのです。
おまけに私はジーン・ケリーよりフレッド・アステァのファンですしね。
ところが明日の土曜日はまた雨の予報だし(出かけないよね、寝坊しようっと)、飲んでいるらしい旦那は12時を回ってもシンデレラのように急いで帰ってくる気配はないし・・・楽しいものをなんか見ようかな!
それで「雨に唄えば」の出番だったというわけです。
見始めちゃったら、よぉ~く知っているはずなのに、またしっかり嬉しくなっちゃって、鼻歌交じりの歌の追っかけをしながら顔はいつの間にか笑っちゃってて・・・ジーンと同じまのびした「幸せでぇすぅぅ」顔をしちゃってる私がいたというわけです。
ドナルドの「ラフ(笑う)」のソロの所なんて「大好き!」と、確認をし、「グッド・モーニング」では私も脂肪を揺らすというわけで、「雨に唄えば」のダンスシーンでは「あーこの顔が苦手なんだよぉ!」とまた確認しながら、素敵!ワンダフル!スプレンデッド!エクセレント!(私のスキーの先生の口癖ですが)をめまぐるしく頭の中で回転させていました。
結局、途中で止めて「続きは明日」には到底出来なかったのです。
こんなに昔のミュージカルが未だにこんなに素敵に思えるって、こんなに楽しめるなんて、私はちっとも成長していないのかも知れませんね?
でも映画がこんなにも素直にエンターテインメントだったなんて、最近の映画は忘れていることが多いんじゃないかな?とふと思いました。
映画はヤッパリ楽しめてナンボ!楽しい夜中の2時でした。
改めてこの頃のミュージカルコメディーは何も考えずに気持ちよく楽しめるという点で最高だという事を再発見した夜でした。
付け加えるなら、これもなぜか自分でも分からないのですけれど、フレッド・アステアのダンスの方が好きなのですが、ジーン・ケリーは色々多彩な楽しいダンスを見せてくれて、とても楽しませてくれることは確かです。フレッド・アステアだってかなり間延びをした顔を見せているのに、好きなタイプって、本当におかしいくらい?時には厄介ですよね。
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ニコール・キッドマン

俳優についてのコラム 351 Comments »

銀幕で美女といったら文句無く私にとっては「オードリー・ヘップバーン」「イングリッド・バーグマン」「マリリン・モンロー」に続いて最近「ニコール・キッドマン」です。

勿論美女はあまた居ます。
「バンド・ワゴン」のシド・チャリシー、「風とともに去りぬ」のビビアン・リー、「ウエストサイド・ストーリー」のナタリー・ウッド、「裏窓」のグレース・ケリー、「ジャイアンツ」のエリザベス・テーラー、「ロード・オブ・ザ・リング」のリブ・タイラー「ジョー・ブラックをよろしく」のクレア・フォーラニ、それに・・・と、ぱっとでもこれだけすぐ出ますから限も無いですね。
あの映画での「誰々」美しかったなぁ!ということはざらですよね。
オードリー・ヘップバーンは優しく愛らしい美女でしたし、イングリッド・バーグマンは上品な美女でした、マリリン・モンローはもう何も言うことが無いチャーミングが歩いているという美女でした・・・というようなイメージが私にはあります。

そういう言い方をすれば「ニコール・キッドマン」は険があるけどプッツンと壊れてしまいそうな繊細な美女です。
なぜかきりりと眉をひそめた神経質そうなちょっと意地の悪そうな?美女です。
だから「めぐりあう時間たち」のニコールにはちょっと驚きましたけれど。
この作品の彼女はお世辞にも美しいとはいえませんでしたけれど、見ているだけで痛々しい感じは、美しく撮れている映画で受ける感じと同じでした。
神経質に見えるのも、時に意地悪そうに見えるのも、多分彼女の繊細な美しさの上にある目の異様なくらいの力強さのせいかもしれないなぁと感じます。
力強いのにもうきりきりのところまで来ていて、後は砕けるだけだぞっていう感じといえばいいのでしょうか。時々それが棘々みたいな?
どんな役をしていてもどこかにきりきりしていて精神が病む寸前みたいな壊れやすいぎりぎりの美しさが垣間見えるようです。痛々しいと感じさせる何かです。
例えば「遥かなる大地」みたいな強情っぱりの行動的な鼻っ柱の強い役をしていても、「ムーラン・ルージュ」の結核で倒れる役をしていても(全く違う役でしょう?)、それが透けて見えるような気がするのですよね。
実際のご本人はこれだけの仕事をする強い人なのでしょうに「誘う女」や「ステップフォード・ワイフ」や「奥様は魔女」のような様々な役をこなしていても、根っこのところに「アザーズ」で見せた一押しすると砕け散るぞ!というようなぴりぴり感が漂っていて、どこかにもろさが隠れているような印象があります。
それがミステリアスな雰囲気もかもし出していて、彼女の美しさを特徴付けているような気がします。
男じゃなくてもどきどきさせられますよね、こういう美しさって。
しかしこの女優さんは美しいだけではないんですね。素晴らしい演技力に裏打ちされていることもよく分かります。年を取るとどうなるのかなぁ・・・どういう役柄を選び取っていくのかなぁ・・・どういう役をさせたいと周りは思うのだろうかなぁ・・・などと勝手に心配しています。
もしも、もしも、彼女の細い絹の糸のような美しさが・・・と、思っただけでもう・・・
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ブレイブ・ストーリー

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監督   千明孝一
出演(声)松たかこ、大泉洋、ウェンツ・瑛士、常盤貴子、伊東四
郎、樹木きりん、今井美樹

宮部みゆきさんの原作だから誘われたら直ぐ「うん」と言った。
最初に言ってしまうけど、原作は読んでいないから「本」の方はなんとも言えない。
しかし「映画」は・・・がっかりしちゃった。
見所も、意図もはっきりあるし、分かるんだけど・・・
大体このコラムはお薦めしたいものについて書こうというコンセプト?があったんだけど。
このコラム書き始めたら見たり読んだりしたものについて直ぐ書きたくなってきちゃって・・・ちょっと意図を外れかけているな。
今見終わったり、読み終わったものって私にとって「時事ネタ!」、だからこれもありかな?

この映画お薦めはしません。大人には。
でも、小学生の子どもが居たら連れて行きます。
少なくともこの映画には素直に「現実は避けて通れないし、人はそれと向き合って生きるしかないし、正面切って勇気を出せば道は開けるし、友も出来る!」と言っているのが分かりますし、それこそが大抵の親が子に伝えたくても現実の生活にどっぷり浸かっていると嘘っぽくて?奇麗事過ぎて?気恥ずかしくて?まぁ色々な理由で正面切って言えなかったりする事を、大上段に言ってくれているからです。
「全く!」と私は頷けるのですが、この映画が大人の心に本当に何かを訴えてくれるかというと力足らずの気がします。
非常に物足りないです!絵的にも、物語的(脚本にも)にも。
二人の子ども(ワタルとミツル)は描けていますが、他の登場人物の体現するもの・意味が分かりません。
本当を言うと新聞の見開きで大沢事務所(名前が変わったんだったっけ?)の大広告・大沢在昌、宮部みゆき、京極夏彦氏たちの座談「大人も楽しめて・・・松さんの素晴らしい声優振りも・・・」というのを読んでいたので期待しすぎたのです。
宮部さん本当に「満足」したのかなぁ?
声優さんはホント満足ですよ。松さんは上手です。樹木さんは好きだし、ウェンツ君は期待以上。
でもねぇ、それが意図でそれが狙いと言われると一言も無いけれど、もう少しいい絵で見たかったなぁ・・・というのが本音です、私の。
多分アニメのある意味マニアファンにはこの良さが「分かる・受ける」のかもしれませんが、ちょっと薄めで大雑把?絵での説得力が弱いような気がしました。宮崎アニメの緻密な美しさに慣れてしまったのでかなぁ?
またしても言うけれど、「本」と「映像」は全くの別物。
「ヴィジョン」の世界が消化不良だったから、これだけで「ブレイブ・ストーリー」というものを私の中で終らせるわけにはいかないよ!という感じで図書館に本を予約。約50人待ちだから、来年には読めるかな?
そしたらまた報告します・・・って、その頃には時事じゃないって?
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サハラに舞う羽根

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監督  シャカール・カプール
出演  ヒース・レジャー、ウェス・ベントリー、ケート・ハドソン、ジャイモン・フンスー、マイケル・シーン、ルパート・ヘンリー・ジョーンズ

ヒース・レジャーといえばゴールデングローブ賞受賞作品「ブローク
バック・マウンテン」に主演していた俳優さんで、今「カサノバ」が
公開されている。
「カサノバ」当時のヴェネチアには物凄く興味があるけれど「カサ
ノバ」さんはどうかなぁ?
「ドン・ファン」と「カサノバ」の違いについて聞いた事がある。
ドンファンは次から次へと新しい女性に恋をするけれど、只飽きて
次の花に移るので、女たちは捨てられても余り憎まない。
けれどカサノバは真に素晴らしい理想の女性を求めているので「こ
れは違う、理想の女では無い!」と思って捨てるので捨てられた女
は彼を本当に憎む・・・っていうんだったかな?
それとも、その反対だったかな?
見ようか見るまいか?見ればどっちか分かるかも?
そのヒース・レジャーで思い出したのがこの作品。
正直「カサノバ」を演じられるほどの男前とは思えない。
でもこの作品なら。
冒頭がとても生き生きとした青春群像で良かったという記憶がある。
戦争前と戦争後のヒースの容姿にはメイクによるものだけではない変化
が如実に現れていて、多分これは彼の演技力によるものなのだう。
演技力でいい男になれる人だという気がした。
舞台的には男の友情を描くには持ってこいの設定だ。スポーツから入って軍隊だなんてね。
協調と一体感が何より大事な所だ。
しかもその中に名花が1輪ともなれば?
否応も無く友情は試練に逢う。
しかし、男の友情を書きたいためだけの設定には少々無理があるようだ。
なぜなら、戦争がいやだから除隊したと臆病を認めている男が行け
る場所ではないからだ、あの当時のスーダンは。
このあたりで主人公の精神設定の理解に苦しむ。
「そこへ行けるなら、友人たちと一緒に戦うだろう?」と思うのは
私が男ではないから?
あの土地で、スーダンの人々の間で、言葉も分からなく、イギリス
人である事を隠して入り込めるはずも無い。
そして、あの黒人(土人)の登場だ。
まるでヒース演じるハリーの守護天使?みたいな。
妙に都合いい設定をしたとしか言いようが無い。
ハリーを守りきって彼は「神の与える道を行く。」なんて、格好よく去っていく。
それでも背景がとてもリアルに描かれているので納得させられる。
サハラの砂はそれだけで圧倒的にリアルになる。
現実離れがしているくらい現実だって言う気がする。
圧倒的な砂の物量に気圧されるのだろう。
それとその砂にまみれた戦闘場面。
緻密で丁寧なシーンが積み上げられていると感心してしまった。
主人公の思考回路にはちょっと首をかしげた私だが、ケート・ハド
ソンが美しく堅実なしかもいかにも女性らしい揺らぎを見せていて
よく描かれていた。
「あの頃ペニー・レインと」の印象的だった女優さんだ。
こんなに成熟した優しい笑顔を見せる女優さんになったんだなぁと思った。
ウェス・ベントリーの演じたジャックの「運命」に同情を惜しまない!損だ!
邦題がちょっとロマンチックだったので見たいと思ったのだった。
題名は大事!

レント

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監督  クリス・コロンバス
出演  ロザリオ・ドーソン テイ・ディグス ジェシー・L・マーティン イディナ・メンゼル アダム・パスカル

予告編を見て絶対行くぞ!と決めていたのが、ようやく実行できた。
冒頭から首根っこを引っつかまれて引きずり込まれたような感じだ
った。
多分字幕が無くて筋道が分からなくても、音楽の、そうね歌い手の
迫力・声の魅力、そして映像の面白さで夢中になって見られたので
はないかな?
7人の個性的な爆発的な歌唱力が素晴らしい説得力になって、否応
無く彼らの世界に巻き込まれてしまった。
その感じはととても気持ちが良くて、まさにミュージカルを堪能し
た満足感がある。
しかしその一方で、頭の片隅にはアメリカの、ニューヨークの片隅
の暮らしの恐ろしさも息づいていて、それが次第に私の心を蝕んで
くるような重苦しさも受けていた。
麻薬とアルコールに取り巻かれた、エイズに追い討ちをかけられる
暮らし。
でももう最初に眼鏡の彼が言ったじゃない?「こんな暮らしでも親
といるよりまし。」って。
本当にそうなの?
どう見ても(字幕)普通の親からの電話の後にね。
それって結構親としては衝撃的。
もっと強烈だったのは(親として)、モーリーンと弁護士の彼女の結
婚式。女性同士の結婚式に両方の親が「いい相手とめぐり合えて・・・」
って、コメントしていたね。
ああ、そうなんだ!もう、そうなんだ!日本もこうなっていくんだ!
否もうそうなんじゃないだろうか?私が周りでまだ見ていないだけ
で?数字的にはもうかなりの数字が出ているわけで・・・なんて思い
ながら。
少なくとも「ウエストサイド・ストーリー」のNYよりも複雑で闇の増した
NYを目の前に見ているようでした。
それでも夢がある!魂は売り渡さない!
だけど明日は無い!死んでいくんだから!直ぐに?
彼らは若いけれど、老いている。
今日があるだけ!
それでいいはず無いじゃないの!
「こんなにパワーがあるんだから・・・!」と、歌の力に引き込まれて
いたら、映画館の向こうから変な声が「ヒェック!」と聞こえた。
のめりこんでいるのに水を差すなと思ったら、また!また!また!
「なんだ?」と本気で腹がたちかけたら・・・泣き声だと気が付いた。
私の反対側で、声も忍ばず、手放しで泣いている人が居る。
まぁ、確かに、この映画にはそれだけの力がありました。
力を振り絞って今日1日を生きようとしている、美しい夢を物にしようと
している若者が実際居るんだ!ということが変な説得よりもすんなり胸に
落ちました。
何よりも「全曲聴かせたなぁ!」と心は満タンになりました。
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ダンサー・イン・ザ・ダーク

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監督  ラース・フォン・トリアー
出演  ビョーク、デヴィッド・モース、カトリーヌ・ドヌーブ

デヴィッド・モースの事を書いたからというだけではなく、「何時かこの映画のことは書きたいな。」とは思っていたのです。
ただこの映画の事を語る言葉が見付からなかったのです。
書き始めたからといって、言葉が見付かったわけでもありません。
モースを書いたついでの勢いです!
この映画がモースの映画の仕事での代表作の一つになるかも知れないと思っていますから。

見終わって重く深いため息をついたことは事実ですし、正直直ぐには二度みたいとは思いませんでした。
でも、ミュージカルシーンを思い出すと、見たくて見たくてたまらなくなります。
不思議な撮り方なのです。
絶対自然じゃないと頭の一部は囁くのですが、心は自然に受け入れて陶酔しています。
工場の場面でも、線路の場面でも、そこだけを取り出して見たいくらいに魅力的です。
でも取り出したら途端に意味の無いものになりそうです。
監督がこの映画にこめたものを考えたくない頭もビョークの歌声の前にはしびれました。
ビョークの歌声の力で、モースの演じる独善的な?アメリカ人警察官の心情の情けなさに比べて、移民のビョーク演じるセルマの心根のなんと言えばいいのでしょう、純情とも違うんですね、すれていない一途さとでも言いますか、その心がじっとりとネットリと張り付いてくる感じです。
筋立ての根底になっている眼病、なんでしょう?
設定のための設定で、これは余り深く何の病気で・・・なんていう解説はいらないのでしょうね、多分。
事を明らかにしないセルマの無知な頑固さに、私はいらつきながらも最後の最後に彼女の無知が一途さゆえに美しく思えてしまいました。
殆どビョークの圧倒的な歌の力と彼女自身の持つ味わいのなせる業だと思います。
母性を描くとこういうことって起こりがちです。
同情とか共感とかし易いのです。
私も無知な子どもが唯々可愛い一人の母親だからかもしれません。
科白と音楽と踊りが渾然として織り成した不思議さが物凄く魅力的でしたし、長く重く「記憶に残る映画だ!」と、とにかく「凄い!」と思いましたが、単純に好きかと聞かれると「好き」というのをためらってしまいます。
とにかくソファにひっくり返って気楽には見れないような気がします。
それなりに、「今日は見るぞ!」の覚悟をして・・・やっとでしょうか。
何しろ線路の場面をもう一度見たくてDVDを用意してあるのにもう何年も「そうっと」してあるのですから・・・。

カトリーヌ・ドヌーブが美しかったです。
彼女を見たのは久しぶりでしたから。
でもその後彼女を見たのは「8人の女たち」でしたから、ずっこけてしまいました。
ヤッパリ凄い素敵な女優さんでした!
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デヴィッド・モース

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マシュマロ、好きですか?
ジャガイモ好きですか?
マシュマロを好きなように、ジャガイモを好きなように、なんか分からないけれど好きな俳優さんがこの人です。
マシュマロとかシュークリームとか柔らかくて形が悪いけれど愛嬌があるものとか連想してしまうのは、この人が多分ちんまりと垂れた目とふっくらした赤い頬とかなり大柄に見える雰囲気からかしらねぇ?
うーん、頭の中を絞って思い出す・・・としても、見た映画は多分「ザ・ロック」「交渉人」「グリーン・マイル」「ダンサー・イン・ザ・ダーク」これくらいです。
しかも「グリーン・マイル」を除けば別に好感が持てるというような役をしていたわけではありません。
「ダンサー・イン・ザ・ダーク」なんてどう考えても好きになれない役を演じていました。
なのに、なんとなく
「どうしているのかな?」
「どんなお仕事してるかな?」
「今度、どんな映画で見られるかな?」なんて思ってしまいます。
なんで私の意識下に忍び込んだのかわからないんですよねぇ。
「ザ・ロック」のエド・ハリスの後ろに立つ姿は(エド・ハリスもよかったけれど)「忠誠とはこんなもんだ!」を絵に描いたようじゃありませんでしたか?
「交渉人」のスワット、「何かあるぞ、こいつ」怪しい匂いぷんぷんでしたよね?
[グリーン・マイル]の看守、こんな感じで見回りしてくれたら死刑台への道だって暫し忘れて癒されますよねぇ?
こじつけて理由を考えると、ごく自然に彼はそこを自然にさせて「居る」んだという感じで私の中にも小さいけれど居場所を作ってしまったということでしょうかねぇ。
でも俳優さんだったら、これは当たり前。
それに+αがあったから印象に残ったんですよね。
それは、その+αってなんだろう・・・?・・・ただ私のタイプだっただけだって?
えー、あのジャガイモさんが?
そういえば吉永小百合さんもジャガイモがタイプだって言っていましたよね。
ジャガイモって「いい女!」の「タイプ!」なんだ、きっと。

今、「夢駆ける馬ドリーマー」に悪役で出ているらしいですね。
幾ら彼でも天才子役さんと馬が敵では・・・勝ち目は見えていますよね。
だから見に行かないんだ!ホント?

先日書いたエドモン・ロスタンの「シラノ・ド・ベルジュラック」、
意外に島田正吾さんの向こうを張れるんじゃないかなぁ。
翻案物、所はアメリカ、南北戦争期、南軍のグレーの制服で・・・なんて、今時流行らない恋物語ですが。
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