いとしい人

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監督  ヘレン・ハント
出演  ヘレン・ハント、コリン・ファレル、ベット・ミドラー、マシュー・ブロデリック、ベン・シェンクマン、ジョン・ベンジャミン・ヒッキー

コリンとヘレンという好きな二人の俳優さんの名に引かれて見に行きました。それで・・・物語や感想を記す前にこれはお話しに必然性を感じる以前の問題。設定に無理があると強く感じてしまった事を書かなくては。アラ・フォーとか言うのですってね?39歳の女性。ところがヘレンがどう見てもその年に見えない。ぎりぎりセーフの出産で悩む女性の焦りが会わないのです。どう見ても彼女はもっと年上の酸いも甘いもかみ分けちゃった後の人のように・・・分別付きまくった大人のように見えてしまうのですもの、みかけは。
大まけにまけて、言ったりしたりすることでまぁ、39歳としてみるとしてでも・・・なんでフランクさんが彼女に恋するか・・・「?」が止まらない。ヘレンさんのファンの私が言うのですよ?この先生に保護者の立場で見たら魅力を感じない。職場での服装もだらしが無いし、感情的で不安定だし・・・もっともフランクの方も事情は切羽詰っていたというお互い様度が同じだったから?
うーん、そんなでも、時々結構笑えたのはあのお母さん、ベット・ミドラーさんのエネルギーのお陰です。一緒に見に行った友人が生涯一の俳優はマックィーンという人だったから・・・笑っちゃいました。
それにマシューさんのきょとんとした「とっちゃん坊や」度!これも秀逸でした。こりゃ確かに憎めないわね・・・大人の男に惹かれるのもむべなるかな・・・と腕をこまねいたのでした。
どうせなら相手はコリンさん、もっとロマンチックに夢を見させてほしいものだとため息です。
唯一心に残ったのは「養子」にこだわり続ける姉に弟の言った「実子には実子の辛さ・・・遠慮があった」っていう科白。自分を省みて、ここで彼女もなんか感じいってもらいたいものです。それなのに・・・あんなことして・・・まァ、結局は養子?あそこまでこだわる必要というか必然が理解できません。養母にも弟にも愛されてきた娘だったようなのに。
そして、フランクさんの可愛い二人の子どものお母さんになったのに・・・それ以上何を望むの?とやっぱり理解できない女性ですが、そんな彼女でも幸せを手に入れましたね。
川辺の可愛いお家での新しい生活が実母も弟も彼女の養子も入れて大家族賑やかに楽しそうでとにかくまぁ良かった!

ダウト~あるカトリック学校で~

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監督  ジョン・パトリック・シャンリー
出演  メリル・ストリープ、フィリップ・シーモア・ホフマン、エイミー・アダムス、ヴィオラ・デイビス

「対決」の映画を続けて二本見ました。
どっちが面白いかと言われれば分かり易い分だけ「ニクソン」のほうでしょうが、良きにつけ悪しきにつけ後味が残るのは「ダウト」の方だろうけれど。
「ニクソン」では結末が叩き付けられますが、「ダウト」は永遠に終りません。
「どっちだろう?どっちだろう?」尻尾を噛もうとしてぐるぐる回る犬になってしまいます。何時まで回ってるんだ?
見てきたと言う友人が「あなたも見てきたら是非話合いたいわ」と言っていましたが・・・何を話し合いたいか分かりました。が、話し合うのは無駄な気がします。
結局ある意味どっちでもいいのだと思います。つまり「フリン神父が果たして?」ということは。
メリルさんのシスター・アロイシアスが膨らましていった疑惑とそれに伴う行動がすべてで、その結果対決する事になる両者の会話が圧巻で魅力的だと言うことに尽きるように感じたからです。
会話の面白さはいたるところにありました。シリアスなのは彼女と黒人の母親との会話。この母親のはっきりとした目的とそのために示す揺るぎ無い一貫した態度に私は感歎させられました。
それと対照的なのがシスター・ジェイムスで、彼女の終始揺れ動き、ときに揺れ過ぎる振幅の大きさに若さ以上の内面的な危うさを感じました。この二人を踏まえた対決はそもそも寄って立つ地そのものが揺らいでいるのですから・・・自分の信念を貫くためには嘘をつき罠にかけ教えに背く強さは頑迷固陋と言われてもそれこそが宗教のような気がしますし。その意味では宗教感の無い私にはそもそものところでの理解は不能と思われました。慈愛と開かれた教会を旗印にする神父には時代を魅了する明るさがあって、それが彼の栄転に繋がったのだとすると・・・やっぱり教会の組織そのものが眉唾に思われて・・・。自分の信じる事を叩きつける会話の迫力に圧倒されるけれど、その信じる土台を信じられなくて、会話もただの不毛に聞こえました。
面白かったのは神父たちの食事時間と修道女たちの食事時間の対比です。
疑惑という物は化け物のように膨れ上がるもの・・・膨れ上がったらもう暴走するしか道は無いこと・・・それだけ知って自分を戒めれば・・・それでいいか?
 

フロスト×ニクソン

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監督  ロン・ハワード
出演  フランク・ランジェラ、マイケル・シーン、ケビン・ベーコン、オリヴァー・プラット、サム・ロックウェル、スイフティー・リザール、マシュー・マクファディン、キャロライン・クッシング

ニクソンももう歴史の彼方かぁ・・・と指を折ってその後のアメリカ大統領を数え、目を宙に泳がす私ですが・・・
映画館は圧倒的に男性一人客でした。
全く男と言うのは歴史好きというより政治好き、あるいは戦闘好きなんですよね?舌戦も戦闘のひとつ?公開討論はそのままひとつの闘争です。この映画はその怖さを教えてくれます。
私にとってはフランクさんの名演技を見られるのが楽しみの一つでした。「ドラキュラ」の項目を読んでいただければ、少なからず私の記憶の中の一部をちゃんと占めている人だということが判って頂けるでしょう。おまけにケヴィンというステキなおまけが付いていたのですから。だからこんな事を書くのは映画の感想とはいえませんよね?やった事はやった事として、でも完全に私はニクソン側に付いちゃいましたものね。功罪の功をも見てあげたいな・・・みたいな?
実際よほど大きな器の人で無い限り勝利者というのはおごりが垣間見えた段階で品が落ちます・・・様な気がします。(この点ではフロストさんって結構気配りの人ですよ、たいしたものだ!)
特に外野席にいて負けたほうの表情を見てしまった場合なんぞ!
呆然として、その人のそれまでつけていた仮面がはがれ落ちて素顔がバッチリ現れてしまったのを見てしまったりすれば。
その意味ではニクソンさんにフロストさんのに妙にチンケ(本当にゴメンナサイ、この手の童顔誠に苦手です)な「ぶりっ子風な風貌に騙されちゃったらダメよ!」って囁いてあげたくなるくらいですもの。
あんなに余裕を持ってあしらえていたニクソンにどんな魔が差したんでしょう。あの電話一本。甘く見させるるのがフロストの最初からの手だったとしても・・・。あれで彼の本当のというか芸能人に過ぎなかった(かもしれない)魂にインタヴュアーの魂が生まれちゃったんですか。ゴングが鳴っちゃったんでしょうか?折角ブレインを揃えながら役に立てていなかったフロストが最後の日に賭けて出た心理。このインタヴューで政治にも強い事をアッピールし、経済的成功をも目論む?こういうタイプの記者というかTVマン?こういう存在そのものが有り得ない様な不思議な職業。日本にはいないでしょう?スポンサーをかき集めて自分で作って自分で売りに行く?
両者の思惑がぴたっと合わさって始まり終息した戦いの結末は・・・やはり見ごたえ十分でした。
インタヴューの最後に見せた表情、あのワンカットが全ての映画で、それが永遠に残る映像になりました。
最後のニクソンの衰えた姿も印象的でした。70歳のフランクさんまだまだ頑張ってね!しかしいい声ですねぇ。
 

シリアの花嫁

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監督  エラン・リクリス 
出演  ヒアム・アッバス、クララ・フーリ、マクラム・J.フーリ、アシュラフ・バルフム、ウーリー・ガヴリエル
お遊びの映画を楽しんでいた後に、このような映画を見ると下を向いて忸怩とする思いです。映画を本当の表現手段にして、訴えたい物を真摯に表現しようとしている作品の前では何ものもどんなに工夫したお金を掛けた映画も、色を失うという事を再発見してしまいます。
映画というものの持っている「手段としての機能」を改めて見つめ、これでひとつの世界を表現しようとしている人々のまじめさに頭が下がってしまうのです。
この映画も声高ではないのに、人が生きていくというただそのために費やされる覚悟の嵩を訴えて余りありました。
ここで私がぼやっと生きているその裏側では、幸せを掴み、自分らしく生きていくために非常な覚悟を求められている人々がいると言う現実に目覚めさせられました。
結婚式の一日を描いて、家族の中にある葛藤も生きているその場所が生み出す葛藤も政治が生み出す葛藤も人種が生み出す葛藤も・・・どれも解決する手段はあるのじゃないか?という希望までもこの映画は見せてくれました。大きな映画でした。
モナも姉のアマルも自分の人生に向って踏み出していくのですけれど、そこにどれだけの必死の思いがあるのかと思うとき、心が思いっきり震えます。特にやつれ果てた表情を見せながら家族思いの行動を決然として取る姉の姿には打たれてしまいました。
女性が自分の人生を選び取ることにこれだけの大きな犠牲と決意を要求する社会があってはならないのに・・・でもそれだけのものを支払う価値が本当は人生にはあるんじゃないか?と思えたことも確かです。忘れていたことでした。
戦争の悲惨は女と子供に重くのしかかってくる・・・とはいつも思われることだけれど、本当の所は戦争好きな男たちを野放しにしているツケがいつも女に降りかかってくるんだよ・・・と、思えるのだけれど?信仰と人種を手段に権力と所有の欲のために頑固と執念を糧に争いを始めたがるどうしようもない男たちにも、個人としては可愛げがあったりするのが・・・いつも女の泣き所なんです。

パッセンジャーズ

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 監督  ロドリゴ・ガルシア
出演  アン・ハサウェイ、パトリック・ウィルソン、デヴィッド・モース、アンドレ・ブラウァー、クレア・ディバル、ダイアン・ウィースト

見ている途中でなぜか「シックスセンス」を思い出しました。
何がそう思わせたのかな?・・・主人公が精神科医で患者の周りで何か妙な出来事が相次ぎ・・・謎が深まり・・・映画のトーンもどことなく似ているし・・・と考えて・・・これってそういうこと?なんて予期したのですが。
実際は全員死者だったわけで、飛行機事故が起きて、乗員全員死ぬ間の数分の出来事だった!という落ちを書くのはいけないよね・・・と、思いながら、この映画の感想を書く場合これを書かないで書くほうが難しすぎるんだもの・・・と言い訳。
死を教える・・・納得すれば死が訪れる・・・ってことは死を納得しなければ三途の川で永遠にさ迷って漂うの?それってどういう死生観?それってどういう宗教観?ってその不思議さに気をとられました。キリスト教の教義でそんな事を読んだことは無い・・・と、思う。
死ぬ時、死ぬ人を導きに、彼らの生前を知っていた死者たちが迎えに来るって・・・それは純粋に原作者の乃至脚本家の想像の世界からだけの生産物なのだろうか?彼らの死生観だって言うだけなのだろうか?アメリカ人には共通の理念?なのだろうか?と変な疑問で膨れ上がってしまいました。
いずれにしろ、実らなかった、でも生まれたには違いない恋が死の前の数秒の?間に成就できるものなら、これも悪くないかも?なんてご都合主義をのさばらせたい私ですが。
アンさんの美貌には文句のつけようがありません。隣にいたのがパトリック君で良かったね?私の好みじゃないけれど・・・いいほうねと慰めてあげたい感じです。だからこんなトリック話でも許せるか!コリンかジョニデかブラピならもっと許せたけどなぁ・・・と思うのですが、広告のあおり方は間違っているとも思うのです。常識は覆らなかった!です。
 

ジェネラル・ルージュの凱旋

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監督  中村義洋
出演  阿部寛、竹内結子、堺雅人、羽田美智子、山本太郎、高嶋政伸、尾美としのり、貴地谷しほり、中林大樹、林泰文、國村隼、野際陽子

面白かったです!と、書いてちょっと意外に思っています。
前回の「チーム・バチスタ」の時に書いちゃって入るように、田口君を女にする意味が判らん(本当は分かっているのよ、でもそう言いたい)し、原作そのものが絵を感じさせるんだから・・・あえて映画にしなくても・・・(ここも判っているけど、そう言いたいのよ)って、思いながら「映画にうってつけの原作だよねー(本音)」と見に行ったのです。
で、思った以上に上手にまとめて、しかも中だるみもせず、終りまで面白く見せられちゃいました。
私的にはグダグダ言いたいのだけれど、結果は堺さんと阿部さんと竹内さんのアンサンブルが見事だったのです。竹内さんに慣れたせいか(可愛かったしね)? 堺さんが自由自在に速水を楽しそうに生き生きと演じていたのが好感!三人のめまぐるしい表情の動きに対して、沼田先生役の高嶋さんの無表情に徹した悪役?が原作のイメージを補完していましたね。それに尾美さんの事務長も。キャストが成功の原因かもな?と思っているのですけれど・・・(と、書いたところで凄文章見つけちゃいました。伊丹万作さんの「百の演技指導も、1つの打ってつけな配役にはかなわない」)
とはいっても?実際は脚本でしょうね。テーマを見事にくっきりさせました。
テーマについては私に出来ることは無駄に救急車を呼ばない!無駄に救急に駆け込まない!だけなんですけれど、厚生省のお役人とか病院経営者とかに見てもらって・・・「ああ、彼らはとっくにご存知のことなんですよね」と皮肉ることだけかな?黒のタグをつける決断をする方にはただ頭を下げるしかないでしょうし・・・
本の方に感想を書いているのがそのままなのでここはこれまで。
とにかく映画は映画として面白かった!

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マンマ・ミーア!

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監督  フィリダ・ロイド
出演  メリル・ストリープ、アマンダ・セイフライド、コリン・ファース、ピアース・ブロスナン、ステラン・スカルスガルド、ジュリー・ウォルターズ、クリスティーン・バランスキー
 

このミュージカルの大雑把な知識はあるじゃないですか?そこにコリン・ファースが出演する意味があるのかな?という興味半分あとはうんと楽しみたくて、出かけました。
で、確かに乗り乗り!
景色は美しいし、物語というよりお伽噺にでてきそうなホテルは可愛いし、それに当然音楽は最高に楽しい。一緒に出かけたのが81歳の奥様だというのに、隣で跳ねていました!
彼女も上気した顔で「楽しかったわねぇ・・・」  ですから、もうこれは全世代共通の音楽になっていますね。最後のおまけのステージがもう嬉しくて嬉しくて・・・途中の‘ムッ’も完全帳消し!
何が‘ムッ’かって言うとコリンのキャラクター(彼、歌は上手いんですよ!前にも書きましたね)と、これは‘ご愛嬌かも’のピアースの歌、そして一番はこれで十分じゃない?何もこの期に及んで結婚なんかしなくたって、メリルさんもうじき60じゃない?今までのように気楽にやっていきましょうよ・・・なんてね。ピアースさんが好きじゃないっていう多分に個人的意見の結果なんですけれど。
目にも耳にも心にも楽しい、本当に楽しい一時でした。
メリルさんにまたもや脱帽!

トウキョウソナタ

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監督  黒沢清
出演  香川照之、小泉今日子、小柳友、井之脇海、井川遥、津田寛治、児島一哉、役所広司
 

「見たい見たい」と思いながら、映画が多過ぎるし、私は忙し過ぎる?見逃した!と思っていたら「アンコール上映」とか、1週間上映されたので飛んでいきました。
それでこの一家から今のTOKYOが見えるといわれれば「確かに!」と一応答えられます。
妙に乾いたタッチで切り取られた現実のように見えますが、実際には東京ならずとも「ありえないだろう?」という部分で大方は構成されているような気がしました。
いかにも淡々と現実にありそうに、話は「毎日」を積み上げているように見えながら、有り得ると有り得ないを螺旋凛坊のように捩り合わせて不思議なパラレルワールドを見せてくれているような感じです。共感とか同感とか作品に自分を綯い交ぜにすることは出来なくて妙に傍観してしまいました。
お父さんの現実には上司やハローワークや面接人の「で、君は会社に何をしてくれるの?」がまさしく年功序列が崩れた今の社会に対応しています。ホームレスさんへの炊き出しに並ぶサラリーマン‘風’の列って、物凄く今年!しかも帰っていく家のシチュエーションは絶妙。「偉いわね、一戸建て買ったのね?」ってねぎらってあげたい風情。
が、お母さんの現実は掃除とドーナツ?泥棒さんとの挿話はいつの時代?と思わされる(のどかでばかげて)意味不明のしらけた無機質さ。それがTOKYO的なのか?小泉さんのポカーンは自然体だけど、果たしてこれは今かな?
長男のアメリカ傭兵が一番素直かな?アメリカの傘を捨てられない国に住んでいるのに・・・うんそうだよねみたいな?弟の挿話は飴玉的希望。本当に天才、はい天才!って、えーあの先生で?
で、そのピアノの先生と小学校の先生が紛れも無く今を思わせました。今、先生というものが生徒というものを見なくなっているような気がしているのです。この二人が体現するものが日本没落の根源!だと思います!ここで映画の温度より熱くなった私です。
この映画を通算すると?外国の方には東京が見えたのかしら?

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ベンジャミン・バトン 数奇な人生

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監督  デヴィッド・フインチャー
出演  ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット、タラジ・P・ヘンソン、ティルダ・スウィントン、ジェイソン・フレミング、ジャレッド・ハリス、ジュリア・オーモンド

正直、ブラピさんを見たくて行きました。この方、思うに、こんなにハンサムなのに、素直なハンサムを演じることが本当に無いんです。何でかなぁ・・・?ロバート・レッドフォードとよく似ているなぁ・・・と、昔思いましたが、ロバートさんは素直にハンサムの役を演じてきたのに・・・やっぱり今時の子?なのかなぁ・・・ただのハンサムはおもしろくないでしょうかね?笑いを取ってナンボ、壊してナンボ、捻った役をやってナンボ?関西人じゃないんだから・・・なんて。ファンにしてみたら(私だけか?)旬は短いのだし(失礼)思いっきりハンサムな彼をロマンチックに堪能したいのに。
だから私にとっての彼の最高の作品は「ジョー・ブラックをよろしく」です。ピーナッツバターのスプーンを嘗める彼の目の泳ぎ・・・あーぁというため息は措いておいて。といっても・・・この映画であの時の彼をちょっとだけど見れたんです!どんな技術を駆使して?十数年前の彼を復元させたのでしょう?老いた彼を作る技術はどうでも良いんです。今の技術では何だって出来るでしょうから。昔の彼を取り戻した技術を知りたい!(その割には難しいと思えないケイトさんの若造りに難あり)
特殊メークを施した彼はわかりますが・・・あの身体、あんなふうに小さく出来たのは何で?ま、とにかく技術的には驚きはしないものの不思議は不思議です!
そこで物語です。人生はぐるりと回って元のところに帰っていくと言う事を改めて感じました。還暦と言いますが実際は40歳くらいで元に帰っていくんじゃないか?子供で始まり子供に帰る。見た目があどけなく始まって、年取って汚くなって終わっていくという普通との違いがあるだけで、その点、年寄りは損だけれど、身体能力も精神的な成長もピークを迎えたらあとは衰えていくということでは「始めをどっちに置いても同じなんだ。」って思いでしょうか。だからそのピークの前後にベンジャミンとディジーの人生は無理なくマッチしたって事でしょうね。そして最初と最後も。
まさしく数奇な人生を描きだしていますけれど、老人からはじめた利点がありますね。父との関係、年頃だけでいったら実際は凄くこじれる子捨てを彼は受け入れる知恵か落ち着きを持っていました。それはでも枝葉のことで、死にいたる道をまじめに考えさせられた映画でした。
私が一番心を打たれたのはエリザベスとの夜の逢瀬でした。なんともいえない情感があって示唆を受けた気がしました。人生のいいエピソードでした。哲学的なファンタジーのような映画だったなぁ・・・と、思っています。

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ラ・ボエーム

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監督  ロバート・ドーンヘルム
出演  アンナ・ネトレプコ、ローランド・ビリャソン、ニコル・キャベル、ジョージ・フォン・ベルゲン、イオアン・ホーランダー

オペラの映画化は難しいものだろうと思います。舞台なら遠目に見て許せるものも、映画だったら許せない!って事にもなりかねません。舞台を忠実に画面に移すだけのオペラ映画は願い下げにしたいと思う所以です。オペラ歌手による映画はイメージが合わなくてつらいことが多いし、演技の種類も違うような気がします。吹き替えの方が許せる場合も多いようです。ハイビジョンシアターっていうのでオペラを見たときにこんなアップで歌手さん見たくないけど・・・なんて思ったことも。
ところがこの映画、オペラ気違いと言っても過言でない友人に誘われました。「う~ん」しばし考えてから行くよと返事をしたのは、この映画で起用される歌手に「当代一のソプラノ」とあったのを思い出したからです。そんな歌手なら舞台は高いでしょうから絶対聞く機会は来ないと踏んだからです。つましい話でしょ?
薄幸な美女をかなりお太り目の歌手が歌った事があります。隣にいた友人が「目をつぶって聞きな」と言ったので噴出しそうになりましたっけ。ウィーンのオペラ座で。いざとなったらその手があるさ?
実際ミミを歌ったアンナさんはちょっと健康的に過ぎました、が美女でした。ミミかぁ?という気配は濃厚だったものの、流石に歌は素晴らしい声でした。同じ伝で、貧乏な芸術家の青年たちは皆恰幅のいい中年でした。これも?が最初付きました。
ところがやっぱり音が、声が良いんです。それこそ目もつぶらずに聞きほれました。聞いて、聞いて、この私が眠くもならずに聞いて、聞きました。
そしてロドルフォを最初詩人と言うより気の弱い山賊崩れみたいだと思ったことなど忘れ果てました。
そしてムゼッタがミミを連れ帰ったところから涙が止まらなくなりました。映画館でここまで泣いたのは・・・いったい何時以来だろうと今考えているのですけれど・・・
あの涙は完全に歌声にしてやられたのだと思います。これが歌の力だ!と感服して、暫し席を立てなかった私です。

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