沈まぬ太陽

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監督  若松節朗
出演  渡辺謙、鈴木京香、三浦友和、松雪泰子、石坂浩二、香川照之、木村多江、西村雅彦、大杉漣、加藤剛、宇津井健、清水美沙、鶴田真由、柏原崇、戸田恵梨香、

ほぼ三時間。見る前は「大変だぞ、お腹空くぞ、お尻痛くなるぞ、いや今は席が上等だから耐えられる」みたいな?
休憩が入る映画なんて超久しぶりだもの。超大作!
ところが見ていると・・・全然時間を感じなかった!すっかり映画の世界の住人になって、見入ってしまった。良く出来てたねぇ・・・が素直な感想。俳優たちの顔ぶれが素直に重みになっていて邪魔しなかったねぇ。そして謙さんがこういう人居たんだろうなぁ・・・と言う存在感で生きていたねぇ。
こんな会社があったのは御存じのとおり。その会社の中身はこんなだったのか・・・的興味津々。やっぱりねぇ・・・?多分に際もの的に見られてしまって・・・俳優さんたちには気の毒。
丁度OBさんたちが年金を下げることに文句を言っているのを見たところでしたしね。どこまでのほほんと税金食い続けるのかなぁ・・・あの老人達は食い逃げだね、逃げ切ったね、責任取らずに・・・みたいで。こういう風にこの映画が見られるのは想定済みだろうね。香川さんの演じた社員があの当時だったら臭いものに蓋をする、会社を守り抜くために秘密は抱えたまま死ぬ役どころだったんじゃないか?と思えて、どちらかといえば内部告発は最近のあり方だな・・・。それでも彼の一矢の報い方は日本的な何かを感じさせて哀れだった。それに対する恩地の生き方!そして同じくあの当時だったら出世出世は男の普遍的な生き方。多少いやかなり汚くても・・・その行天に対する恩地の生き方!
政治家と官僚と日の丸企業・・・政権交代して・・・変わるか?
この映画を見た後では国会答弁が一層面白くなるだろうな。この質問はどこから手に入れたのかな?そう思わせてくれる鋭い?質問が楽しみだけどな・・・裏を考える楽しみ。
色々な方に興味が引っぱられた・・・見ごたえがあったといえるだろう。たいした邦画だ!という言葉に値するだろうな。 
友人に山崎さんの信者が居る。本の話になると、本好きの癖にいまだに山崎さんを読まない私に必ず言う
「嘘言わないって、騙されたと思って読んでみなさい。どれでもいいのよ。どれも本当に面白いから」
そう言われ続けているのにいまだに手を出せない理由はなんだろう?自分の事ながら不思議。でも映像化された物は結構見ている。そしてその濃厚な世界に少々圧倒される。多分松本清張さんと同じ印象があるんだろうな?
ここのところのご両所の作品の映像化に心は確かに傾きかけているのだけれど・・・結局は取られる時間の長大さに恐れをなしているというところだろうか・・・                                                    
 

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幸せはシャンソニア劇場から

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監督  クリストフ・バラティエ
出演  ジェラール・ジュニョ、クロヴィス・コルニアック、カド・メラッド、ノラ・アルネゼデール、ピエール・リヒャール、ベルナール・ピエール・ドナデュー、マクサンス・ペラン、フランソワ・モレル

予告編の書割のような劇場と町並み、浅草のレヴューの裏方みたいな人々と音楽に引かれて見に行きました。
それはある意味当りでした!
それにしてもこんな劇場のある風景ってどこの国にも共通の哀歓があるのでしょうか?
夕日色に輝く浅草国際劇場を思い出してしまいました。(子供の頃家の裏に国際劇場に出ている腹話術師のおじさんが住んでいましたっけ)
タイトルからしてその劇場に幸せが来るんだと・・・楽しみに見に行きました。
でも思っていた以上に振り回され大団円になるまでの道の意外なくらい遠かったこと!こんなに疲れるとは!
もっと簡単な筋と人情で押し切っていくセンチメンタル満点の映画のような気がしていたのですが・・・一筋縄ではいかないのが人生でした。ごもっとも!
全編を通じて音楽はもう オゥ、フランスゥ!パァリィ!って感じでした。
特に「リトル・ジョジョ」アコーディオンと共に「ジョジョには未来があるっ!」って歌い踊るところ。
ドゥースが歌う歌全部!彼女を見たとき「プロデューサーズ」のユマ・サーマンを思い出しました。似てない?
そして復活が成り、ラジオ男が復活した後の劇場のレヴュー!
特にビゴワルや許された?物まね男やミルーまで「なんで俺が・・・」と歌い踊るところ。私の顔中が笑み崩れていました。
それにしてもよくこんなにジェットコースターに乗ったみたいに陰謀や裏切りや友情や同士愛や不倫や主筋の父子の離別や最後の事件、入獄まで・・・世のあらゆる浮き沈みをこれでもかと詰め込んでくれましたよ。でも・・・まぁ・・・終りよければ!
町のかもし出す懐かしさが東京の下町の懐かしさにそのまま通じて、かなり心に来ました。楽しくてほろっとしてこの感情もなんか懐かしい。
 

サブウェイ123激突

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監督  トニー・スコット
出演  デンゼル・ワシントン、ジョン・トラボルタ、ジョン・タトゥーロ、ジェームズ・ガンドルフィーニ、マイケル・リスボリ、ルイス・ガスマン

「ザブウェイ・パニック」覚えています。っていっても覚えているのはウォルター・マッソーだけかな。犯人と二人の対決って記憶ではなかったのですが、こんどの「サブウェイ」はトラボルタさんとワシントンさんというはずしたくない二人の映画のようです・・・予告編では。
で、なんかなぁ・・・と、思ったのですけれど、結局見ちゃいました。
私って結構男二人のドラマって好きなのかもなぁ・・・対決するにしろ、友情ものにしろ。
ルパンは大好きだけど一位をホームズに譲るのはワトソンが居ないから・・・なんでしょうから。
実際見たらタトゥーロさんの警部がうろうろしていたけれど、殆ど二人だけが印象に残る映画でした。犯人グループは影を潜めました・・・こうだったっけ?と、思っているのですが・・・これはこれでと言うよりこの方がサスペンスフルでした。二人の会話の緊迫感がなんとも言えず心地よくて・・・って、おかしいですね。でも、会話が凄く面白かったです。特にライダーの科白、かっこよかったですね。
注意して会話をすると人って色々な事を知ることが出来るんだって。いつもぼんやり適当に話して聞いている私には目新しい・・・いや目覚しいことでした。
相手を知るために使う言葉の数々。言葉は人を騙すためにある?いえ、お互いに相手の実像を言葉だけで掴んでいくスリル。これだけ言葉を駆使しあうと・・・ラジオドラマで聞いて見たいような気がしてきました。舞台でもいけそうです。
あちらとこちらには大きな大きな越えられない溝が淵が大きく口を開けているのに、二人が同じ水平線上に見えてきました。
犯人ライダーの意図がほどけてくる時間の緊張感。
やっぱり外せない映画でした。
しかし、それにしても、お二人とも相変わらず魅力的ながらやっぱり年取ったんだなぁ・・・と、思ったわけですが、私の方がずーっと年取っているくせにねとおかしくもあり・・・。
比べる必要は全然ないながらそれでも昔のマッソーさんの映画をまた見たくなりました。彼を最後に見たのは「電話で抱きしめて」でした。この映画「サブウェイ・パニック」のことはすっかり忘れていたのに、この「サブウェイ・・・」という題を聞いた途端思い出したのですからやっぱり面白い映画だったのでしょう・・・と思い返しています。こうして思い出すと、私の好きだったり気になったりした俳優さんたちの大半が既に鬼籍に入られたんだなぁ・・・と、妙に寂しくなりました。
 

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サンシャイン・クリーニング

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監督 クリスティン・ジェフス
出演 エイミー・アダムス、エミリー・ブラント、アラン・アーキン、ジェイソン・スベヴァック、クリフトン・コリンズ・Jr、エリック・クリスチャン・オルセン、スティーブ・ザーン

エイミーさん4作目。って、本当は「ナイト・ミュージアム2」も見ちゃってるから5作見てるんですけれど。わざわざ「エイミーさんの映画よ」って、書きたいほど彼女は凄い!女優さんだと思いましたね。女優さんにこんなこと言うと叱られそうだけど、全部の彼女が別物で全部の人格が魅力的に思える!うまい!
この作品では等身大の普通の女性を演じたわけですけれど、本当に身近な女の人の温もりを感じました。ローズ、彼女の今の閉塞状態もあせりも何とかしようという意志もとても身近に感じられました。そして当然応援したくなる気持ちも掻き立てられました。
この家族すべてがはみ出していて、足りなくて・・・しょうがなくて、じれったくて・・・。
手伝ってあげられるものなら・・・と、思わせる何かをもっていました。
その何かを描けたところがこの映画の魅力のすべてでした。困ったねぇ・・・と、思いながらも父親の射幸心にも、息子の悪戯にも気持ちが通うのです。
こういう映画を見るひと時ってかけがえの無いものになりえます。
小さい灯火、養分の一滴。
一生懸命が引き起こす失敗って、そのいじらしさったら無いですよね。妹のノラの行動。自分の人生で欠けているものを気がつかないで求めているんだね・・・って、その優しさや弱さが愛しいですよ。自分でも気が付かないうちに貧乏くじ引いてあげちゃっている・・・みたいな生き方になるんです。リンに引き寄せられていく時の彼女のおずおずとした眼差し、そっと相手の心を労わっている彼女なりの思いやり・・・そして彼女も何か得たんだとほっとする彼女のラスト。
こういう家族みんなを何とか面倒見ていこうと奮闘する姉ローズ!過去の柵、捨てきれない絆、負け犬と自分を思いながら、でも自らを鼓舞する心意気。よっ、ねぇちゃん!頑張れ!
片腕の印象的な優しさを見せるウィンストン・・・カポーティで見た人でした。いい感じ出してましたね。
掃除っていいですよね。本当はいつも不精しているくせにたまにピカット掃除したくなるんです。そうすると気分良くて、何でいつもそうじゃないのか不思議に思うんです。心も掃除で片付くといいね。
心のどこかにシンクロするものをじんわり湛えてうるさくないいい映画でした。

それでも恋するバルセロナ

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監督  ウディ・アレン
出演  スカーレット・ヨハンソン、ペネロペ・クルス、ハビエル・バルデム、レベッカ・ホール、パトリシア・クラークソン
外人の夢に見るスペイン、バルセロナってこんな感じだよね?
って、思いながらバルセロナ&その近郊?を見ていました。
最初から音楽とあっけらかんとばらしてしまう簡易な安直なナレーションとで、見る私も完全に観光客の乗り。
それもバルセロナに憧れている・・・観光客?今年春スペイン旅行をしてきて、バルセロナの印象はまだ新しい。けれどそれだけに取り落としてきたバルセロナの見所を一生懸命捜し見ようという気分が勝った。
登場してくるはずの三人三様の美女たちは女性の私が見ても申し分が無いし、いい案内人になるだろう。
バルデムさんは「海を飛ぶ夢」「コレラの時代の愛」に次いでの3本目だが、どうにも好きになれないタイプのお顔なので、彼女らが彼に引かれる理由が見つからない、というのが唯一の難点か?それとも魅力というものはただただ危険性と芸術と豊かさの中にあるのか?
「あんな人生送っていて、よく生きていけるよね?それがスペイン?」と思った時点で映画の世界から墜落するんだろうな・・・と思えて、ここで踏みとどまることにした。つまり何も考えないことに。こういう3角だったり4角だったりする?人間関係まじめに考えられそうに無いのだもの。ここは一夏の観光客の夢と甘い揺れを楽しませていただこうじゃないの?傍観者!
スカーレットさんはいつものイメージでそのマンマな気がするけれど、ヴィッキーの惑いはレベッカさんの繊細な美貌と普通の女性らしさで感情移入できますし・・・なんて、ロマンチック・コメディ(に成っているのかなぁ?)楽しむ体勢を整えて。何より彼女の叔母さん?のジュディの一生懸命の後押しがおかしいし!ジュディの気持ちが一番わかる年なんだぁ・・・私。コッチに近い年なんだぁ・・・なんかめげる。
ところがそこにマリア・エレーナの劇的な登場。
もうすっかりさらわれました。いやもう・・・本当に美しいんだもの!彼女のスペイン語でまくし立てるところなんか、なんか陶然としてしまいます。信じられない生き方、いや行き方?
頭と心のどんなすき間にも、髪の毛一筋も、こんな女性の欠片、普通の女性にはありませんもの。世の全ての男性の憧れるというかイメージするスペイン女を完全に具現化したシンボルですかね?魅力的だ!ひたすら魅力的だ!やってられないけれど!とアメリカ女はすとんと影になりました!
夏は冒険が似合う!スペインも冒険が似合う!どう生きても自分の人生、そう思うと犬に食わせたい我人生?チェッ、ツマンナイ。

人生に乾杯

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監督  ガーボル・ロホニ
出演  エミル・ケレシュ、テリ・フェルディ、ユーディット・シェル、ゾルターン・シュミエド

ハンガリー映画
ハンガリー→ブタペスト→パール街→ボカ・ヤーノシュ&ネメチェック・エルネーだけの私の頭にようやく新しい固有名詞が登録されました。エミルとヘディ!
遠い遠い、多分私には初めてのハンガリー映画です。

ブタペシュトには一度行っているのですが、映画で見た景色は全く違う田舎の町で、ヨーロッパの本当に田舎町でした。
でも、映画のストーリーは、なんか妙に馴染みました。だって私たちの老後こうならない保証は全く無い今の政府の無策振りですもの。政権交代しても多分・・・駄目だろうなぁ・・・と思っていながら・・・せめて少しでも変えてみるか?・・・しか、選択の余地の無い今の私たち・・・通帳の残り少ない金額と入金される年金の数字と否応無く差っ引かれる数字の数々・・・?
そう、私もそこまで行ったらエミルに成る!(私の方が生き残ってしまったら、絶対に!)
それはともかく、あんなドラマチックに始まった恋だったのに、今の空気より薄い夫婦の日常・・・これも笑えるリアルでしたね。
ここでも「私たちもそうだ、ウン!」って。
そしてあの強盗道行き!これが楽しめましたね!特に奪ったお金で買物をしおしゃれをした二人!こんな田舎のおじちゃんおばあちゃんなのにドレスやスーツが決まるのです。やっぱりーヨーロッパ人種のために洋服はあるんだよ・・・って、感じ?
「ずーっとお互いを見てきた夫&妻」伊達じゃないんです。それに絡む刑事たちの様!その成り行きの面白くて、温かくて、のんびりしていること。町の人々の反応も。
そして最終章・・・えー、そうなっちゃうの、そんな、そこはリアルにしないで!えーーーーで、あれ?
そう、若い頃も機転の利いたエミルでしたっけ!
そしてこの映画は私の忘れられない気持ちいい溜飲も下がる、心も笑える映画のお仲間入り!
ボカもネメチェックも生きていたらやっぱり年金の乏しさに苦労しているんだろうか?ハンガリーのあの時代をどう生き抜いたのだろうか?
エミルはちゃんと無事に困難な時代を生き抜いた方だと思うのにそれでもあの生活です。心配です。
 

その土曜日、7時58分

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監督  シドニー・ルメット
出演  フィリップ・シーモア・ホフマン、イーサン・ホーク、アルバート・フィニー、マリサ・トメイ、ローズマリー・ハリス、ブライアン・F・オバーン、エイミー・ライアン、サラ・リビングストン

昨年の秋に公開、しかし気になりながらとうとういけなかった。こういう時はギンレイでしてくれないかな?と、待つことになる。
そんなわけでようやく見られた映画である。そして待った甲斐があったと満足して帰ってきたところである。でも楽しい映画を見たいと思う人には薦められないことは確か!
全く役柄にぴったりの俳優さんが配されればこんなに見事な見応えのある映画が出来る!の、お手本みたいだった。男のドラマという気がしたのはフィリップの演じるアンディの妻の不倫もその相手への驚きも、夫の生活の醜さと比べればさして驚くようなものでもなく、ダメ振りに嫌気がさして離婚したハンクの妻が夫に関心があるのは養育費の支払い状況だけだろうから、ステレオタイプで金々としか言わない乾き振りも目新しくないからで、いかにも現実的。最もそれが気弱なハンクを追いつめるのだが。
そこへ持ってきて自分の人生に開いた大きな穴を塞ごうとする情けない小悪党の兄弟二人の開き直りとゆれ振りが実に際立って見事に描かれていくので、この心理と行動の帰結するところがリアルにうなずけてしまう。強盗失敗から始まって過去へ遡るほど厭な映画だなぁ・・・という気配なのだが緊張感が見事でのめりこんでしまう。アメリカはどこに銃があるか分からないから、強盗なんか絶対に簡単にはいかないよ、ウンウン。
最初に原題を見たときには「ふうん?」だったものが最後に父のした行動で納得がいった。そうかそれも父の心だ!と思えたのである。しかしこんな二人の息子を持ってしまったことに気付かず逝ってしまえた母の方が父(最も故買屋での父親を見れば彼も十分悪党?)よりナンボか幸せだったろう・・・と思わされてしまうくらい二人は上手い!
この家族の崩壊は一体何時始まったんだろう?どこから何時ヒビが生じたのだろう?それを知りたい!と、思ったけれど、ヒビは入るときにはどんなところにも入るんだろう?悪魔はどんな小さな隙にも顔を突っ込んでくる!誰も気が付かないうちに?それが一番怖いかなぁ。兄の幼い頃からの弟への嫉妬?とか・・・終盤のアンディと父の会話は・・・
悪巧みをしているアンディはどうしようもなく醜い兄で(ホフマンさんが本当にぴったり!)、それに乗せられていく弟は最後になっても逃げを売ってる卑怯者で(これまたこの手の弱虫を演じたらイーサンの右に出る者はいないっていうくらい?ぴったり!)・・・あああ、こんな悲しい家族ってあるだろうか・・・とまだ思っているのだ。ポスターの映像が映画そのもの。
 

スラムドッグ$ミリオネア

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監督  ダニー・ボイル
出演  デヴ・バテル、マドゥル・ミッタル、フリーダ・ピント、アニル・カブール、アーユッシュ・マヘーシュ・ケーデカル、アズルディン・モハメッド・イスマイル、ルビーナ・アリ、イルファン・カーン

ムンバイが舞台。って、ムンバイって最近聞くけれどインドのどの辺りだ?と、思っていたらボンベイだって?ならそう言ってよって思いますけれど、最近この手の「これって?・・・なぁんだ!」ってことが多いのです。古くはエドベリとエドバーグって言えば分かりますかね?英語読みと現地の人の当然の呼び方?昨今は現地読みが当然!の流れのようです。ムンバイは地名そのものが変わったんでしょうか。セイロンがスリランカ?みたいな。ビルマがミャンマー?ええとムンバイは現地マラティ語にもとづく表記だそうです。
ま、それはさておき凄いエネルギーをムンバイの景観から受け取りました。煮えたぎっているパワーですかね。彼らのスラムがビル街に瞬く間に変わっていく様!新興の真ん中にスラム。インドは凄い!と感じました。
何より子役が可愛かったですね。それに生きが本当に良かった!
クイズ番組の問題が実に見事に彼の生い立ちと絡まっているという出来すぎはこの映画を見ている間は全く考えもしなかったですね。見終わって数日経ってからやっと「そういえば・・・全く・・・上手に作ったもんだなぁ・・・。」
本当に実に良く出来た映画でした!感歎しています。映画の中に見事に取り込まれました。そして彼の一途な生き方に魅せられました。凄い青年だ!なんて利口なんだろう!なんて記憶力の素晴らしい青年なんだろう!なんと見事に生き抜いてきたんだろう!なんと無垢で純粋で一念を貫く真の強さを持っていて・・・もう言うことは無い!みたいな。でも実際はあの人生を生き抜いてきた子です。無垢でもピュアでももう無いのですけれど・・・結局は一念に打たれてそう思ってしまうんでしょうか。
最初の出だしから息を呑みましたから・・・畳み込まれて・・・物語の世界に突入しちゃったわけです。一つ一つの出題に一つ一つの彼の過去の出来事が見事にシンクロして・・・出来すぎなのにそれを感じさせない。
感動に持ち込む技は力技ではない緻密さの力です。構築力です。
でも多分感動に持ち込めたのはインドそのものが今見せている混沌なのではないかと思います。コンピューター産業の今の旗手はインドって感じがありますね。業界で働く人口が一番多いのはインド人ですよ。違いますかね?インドの持つ多面性、様々な進歩の段階。貧困と富裕の混沌。それが世界中に蔓延しているTVのゲーム番組の上にエンターテインメントと成る不思議。スラムを生き延びる子供たちの生命力が見事に描かれているから・・・警察の有り様も、司会者の性格も納得できる。そういえばジャマールが便所に飛び込む究極の選択をしますが・・・家の旦那が子供の頃野壷に填まった逸話を思い出しました。今「のつぼ」といって分かる日本人の子供って居ますかね?思えば・・・日本、トイレがなんともきれいになりました!
でもやっぱり踊らずにはいられないのね?お約束なの?他のインド映画ではおかしいと笑って見ていたのにこの映画では私は余り見たくなかったな。あのジャマールとラティカが踊るか?いくら大金手にしてめぐり会えて言うこと無くてもさ!って、どぼっと日本にたち戻りました。

シリアの花嫁

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監督  エラン・リクリス 
出演  ヒアム・アッバス、クララ・フーリ、マクラム・J.フーリ、アシュラフ・バルフム、ウーリー・ガヴリエル
お遊びの映画を楽しんでいた後に、このような映画を見ると下を向いて忸怩とする思いです。映画を本当の表現手段にして、訴えたい物を真摯に表現しようとしている作品の前では何ものもどんなに工夫したお金を掛けた映画も、色を失うという事を再発見してしまいます。
映画というものの持っている「手段としての機能」を改めて見つめ、これでひとつの世界を表現しようとしている人々のまじめさに頭が下がってしまうのです。
この映画も声高ではないのに、人が生きていくというただそのために費やされる覚悟の嵩を訴えて余りありました。
ここで私がぼやっと生きているその裏側では、幸せを掴み、自分らしく生きていくために非常な覚悟を求められている人々がいると言う現実に目覚めさせられました。
結婚式の一日を描いて、家族の中にある葛藤も生きているその場所が生み出す葛藤も政治が生み出す葛藤も人種が生み出す葛藤も・・・どれも解決する手段はあるのじゃないか?という希望までもこの映画は見せてくれました。大きな映画でした。
モナも姉のアマルも自分の人生に向って踏み出していくのですけれど、そこにどれだけの必死の思いがあるのかと思うとき、心が思いっきり震えます。特にやつれ果てた表情を見せながら家族思いの行動を決然として取る姉の姿には打たれてしまいました。
女性が自分の人生を選び取ることにこれだけの大きな犠牲と決意を要求する社会があってはならないのに・・・でもそれだけのものを支払う価値が本当は人生にはあるんじゃないか?と思えたことも確かです。忘れていたことでした。
戦争の悲惨は女と子供に重くのしかかってくる・・・とはいつも思われることだけれど、本当の所は戦争好きな男たちを野放しにしているツケがいつも女に降りかかってくるんだよ・・・と、思えるのだけれど?信仰と人種を手段に権力と所有の欲のために頑固と執念を糧に争いを始めたがるどうしようもない男たちにも、個人としては可愛げがあったりするのが・・・いつも女の泣き所なんです。

ジェネラル・ルージュの凱旋

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監督  中村義洋
出演  阿部寛、竹内結子、堺雅人、羽田美智子、山本太郎、高嶋政伸、尾美としのり、貴地谷しほり、中林大樹、林泰文、國村隼、野際陽子

面白かったです!と、書いてちょっと意外に思っています。
前回の「チーム・バチスタ」の時に書いちゃって入るように、田口君を女にする意味が判らん(本当は分かっているのよ、でもそう言いたい)し、原作そのものが絵を感じさせるんだから・・・あえて映画にしなくても・・・(ここも判っているけど、そう言いたいのよ)って、思いながら「映画にうってつけの原作だよねー(本音)」と見に行ったのです。
で、思った以上に上手にまとめて、しかも中だるみもせず、終りまで面白く見せられちゃいました。
私的にはグダグダ言いたいのだけれど、結果は堺さんと阿部さんと竹内さんのアンサンブルが見事だったのです。竹内さんに慣れたせいか(可愛かったしね)? 堺さんが自由自在に速水を楽しそうに生き生きと演じていたのが好感!三人のめまぐるしい表情の動きに対して、沼田先生役の高嶋さんの無表情に徹した悪役?が原作のイメージを補完していましたね。それに尾美さんの事務長も。キャストが成功の原因かもな?と思っているのですけれど・・・(と、書いたところで凄文章見つけちゃいました。伊丹万作さんの「百の演技指導も、1つの打ってつけな配役にはかなわない」)
とはいっても?実際は脚本でしょうね。テーマを見事にくっきりさせました。
テーマについては私に出来ることは無駄に救急車を呼ばない!無駄に救急に駆け込まない!だけなんですけれど、厚生省のお役人とか病院経営者とかに見てもらって・・・「ああ、彼らはとっくにご存知のことなんですよね」と皮肉ることだけかな?黒のタグをつける決断をする方にはただ頭を下げるしかないでしょうし・・・
本の方に感想を書いているのがそのままなのでここはこれまで。
とにかく映画は映画として面白かった!

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