ジェイン・オースティンの読書会

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ジェイン・オースティンの読書会 ジェイン・オースティンの読書会
Karen Joy Fowler 矢倉 尚子白水社 2006-01
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監督  ロビン・スウィコード
出演  キャシー・ベイカー、マリア・ベロ、エミリー・ブラント、エイミー・ブレネマン、ヒュー・ダンシー、マギー・グレイス、リン・レッドグレープ、ジミー・スミッシ、マーク・ブルカス
この映画を見に行くってことは・・・当然!私「オースティンのファンです!」って言っても私の読んだのは「エマ」「高慢と偏見」「分別と多感」の3作だけです。もっとも予告編で見て「行こう!」と誘ってくれた友人はオースティンは読んだことは無いそうですが「本を知らなくても映画は楽しく見られた!」と言っていました。
オースティンの6作品と映画の主人公たち6人とが何らかの関係をうかがわせることは確かですが、かといって本の中の人物そのままの設定でもなかったのですからそうでしょうね。
ジョスリンとエマが一番似ている部分があったかな?とは思いますがそれも「他人の縁結びが好き」という点ぐらいでしょうか。
三作読んだだけで言うのはおこがましいのですが私は特に「高慢と偏見」が好きで、この作品は落ち込んだときに読む定番作品の一つです。「人生って捨てたものじゃない!」感に満たされるのです、多分。それとロマンス?その感じがこの映画にもありました。主人公たちはそれぞれに悩みや問題を抱えていたのですが読書会を重ねる日々の中で変化があります。それも明るい方向への変化が。その点でこの映画も落ち込んだ人への応援になる因子を持っていて好感が持てました。
どの人物もとてもよく分かる感じがするのですもの。身近にいる普通の人?だから変な感想なのだけれど、グレッグを演じたヒュー・ダンシーは丁度少し前に見た映画「いつか眠りにつく前に」では恋に苦しんで事故死する哀れな役だったので「今度は実ってよかったね。」なんて言ってあげたくなっちゃうほど近くにいる青年?になってしまって・・・同じことがエミリー・ブラントの演じるプルーディにも言えて・・・。もっとバーナディッドの6回の結婚生活は日本では一寸お目にかかれないタイプかも?ま、そんなわけで身近にいる似た感じの人の事を思い出してしまうような部分があって、それはそれで面白かったな。読書会に限らず、いきずまった時は誰かに話すだけでも道が開けることが・・・!意見をはばからず言える場があればさらに申し分なし?

それに確かにオースティンのまだ読んでいない本、読んでみよう!という気になったのが収穫。それにしてもナンデ今まで読まなかったんだろう?

図書館で検索する時はジェインとジェーンの両方でするべし。出てくる本の数が違うのね。
 

分別と多感 (ちくま文庫 お 42-6) 分別と多感 (ちくま文庫 お 42-6)
中野 康司筑摩書房 2007-02
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マンスフィールド・パーク (中公文庫) マンスフィールド・パーク (中公文庫)
Jane Austen 大島 一彦中央公論新社 2005-11
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高慢と偏見 上   ちくま文庫 お 42-1 高慢と偏見 上 ちくま文庫 お 42-1
Jane Austen 中野 康司筑摩書房 2003-08
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高慢と偏見 下   ちくま文庫 お 42-2 高慢と偏見 下 ちくま文庫 お 42-2
Jane Austen 中野 康司筑摩書房 2003-08
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エマ (中公文庫) エマ (中公文庫)
Jaine Austen 阿部 知二中央公論新社 2006-02
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最高の人生の見つけ方

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オリジナル・サウンドトラック「最高の人生の見つけ方」 オリジナル・サウンドトラック「最高の人生の見つけ方」
サントラジェネオン エンタテインメント 2008-04-23
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監督  ロブ・ライナー
出演  ジャック・ニコルソン、モーガン・フリーマン、ショーン・ヘイズ、ビヴァリー・トッド、ロブ・モロー

題がいけてません。でも「アウェー・フロム・ハー」式芸のなさよりはましかもしれませんね。少なくともどんな映画なのか想像はつきますし・・・そしてとりあえず外れてはいませんから。
既に見てしまった人、何人もの人から「良かった!」と聞いていてお尻がむずむずしていたのですが、「行く!」という旦那が「もう一つ気分が乗らない」なんて先延ばしにするのでやっきり(何語?)しちゃいました。「人間の死を扱ったものって厭な感じがするじゃないか」と彼は言いましたが、男の人の方が老後を見つめるのが苦手なのかな?大抵のご主人は妻より先に死ねるという(妻に介護してもらえるという?)幻想を抱いているようですものね。そう上手くいくかな?
それにしてもこのお二人、ジャックとモーガンの演じる主人公たち、見事でしたね。モーガンさんはいつもどおりの理知的な穏やかな役柄を手馴れて?演じていた感がありますが・・・それを言うならジャックさんもですか?彼のキャラクター「憎めないのよね!」を最大限に見せてくれていました。全く、ゴッサムシティの悪人演じたって可愛い所を垣間見せちゃうのだからもうお手上げよね。
本当に彼は、彼の演じたエドワードは可愛い人でしたが、中々特異な人格でもあります?本当だったらかなり同室になるのは厭な人のはずですよね?でも一人であそこまで成功したってことは・・・やっぱり伊達ではないのですね。同室のカーターに対する言葉の端々に心遣いとユーモアと稚気を感じさせましたものね。それを言うなら秘書さんですか!彼は秀逸でした。エドワードと彼のやりとり、楽しかったですねぇ・・・私も下手な夫だったら?彼の方にそばにいて欲しいかも!・・・あぁ私も(彼を雇えるほどの)富豪だったらねぇ・・・とは映画全般見終わっての感想でもありますが・・・。カーターのささやかな最後のやりたいことリストがあんなに豪華に替わったのは・・・カーターがあんなに愛していた家族のそばから最後離れていられたのは・・・あのリストを最後に見直して、エドワードと共に私も気が付いた次第です。感動もありました!
でも、男の人にはああいう気分って、し残した遊びをし尽くしてって気分、きっと底に沈んであるのでしょうね?・・・と、思って私にもあるのに気が付きました。
最後の時間をどういう風に過ごしたいか?真剣に考えた人が多いでしょうね?あのリストを見てから。
本当に残された時間を知ることが出来たら・・・子供に迷惑をかけない葬式代を除いてその期間で使い切ってしまえるのに・・・とは現実的で現金な私の思いです。そういえば昔40歳までに4千万貯めて、着物を着て過ごせる人になるのが(つまり家事をしないってことよ)夢だと言った友人がいたなぁ。でも、その金額じゃ最後の夢は買えないかもね。だからカーターの最初のリストのように?お金で買えない望みを抱くことにしましょう。
いずれにしても女性は最後はお一人様になる確率は確かにとても高いのですから・・・考えておいても邪魔にはなりませんよね。
それにしても人生の最後にも?楽しい夢を見させてくれる素敵な映画でした。明るい気分に成れたじゃないの?それにしてもエドワードは、彼の顔や表情は、本当に可愛いかった!それを思い出すだけでも、私はニコニコよ!

ザ・マジックアワー

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ザ・マジックアワー オリジナルサウンドトラック ザ・マジックアワー オリジナルサウンドトラック
サントラUNIVERSAL SIGMA(P)(M) 2008-05-28
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監督  三谷幸喜
出演  佐藤浩市、妻夫木聡、深津絵里、西田敏行、寺島進、小日向文世、戸田恵子、綾瀬はるか、伊吹吾朗、浅野和之、香川照之、甲本雅裕、柳澤慎一

「ラヂオの時間」「笑の大学」「THE有頂天ホテル」に次いで三谷さんの映画見に行ったのは4作目になります。と言っても三谷さんがTVで広告しまくっていたイメージはあるのですが4作全部監督していたのではないのですね?今頃気が付きました。
舞台には縁が無いし、新聞連載は殆ど広告内輪話で「面白くもなし!」だし、話題の笑える三谷さんの作品に触れるチャンスは映画だけ。
今回も随分広告を見た気がしますが・・・といっても、「相棒」には負けている?「THE有頂天ホテル」もTVで見直しちゃってからの出撃になりました。旦那さまと。
「TVの有頂天ホテル見る?」と聞いたら「前にみたからいい。」
絶対彼は三谷さんの映画の「ファンじゃぁ無い!」って言う気がするのですが。有頂天も見た後で「大して面白くなかったじゃないか!」と、言われたような気が・・・
彼と私の笑のツボは多分ずれているのです。TVのお笑い見ていても面白いと思うものにずれを感じますからね。ユーモアのセンスが同じってことはカップルにはとても大事なことと聞くようですが?
ま、それはさておきせっかく見る気になったのだから・・・出撃!
で、結論を先に言うと「有頂天」より好きです。多分面白いです!
声に出して笑った部分が多かった!と言えるかどうかまでは一寸判断がつかないのですが・・・「映画」としては「ラヂオ」「笑の大学」かな?でも「楽しむ」に関しては・・・今度の作品は先回に劣らずオールスター大集合!で、しかも被さっている人オンパレード!なんですが・・・それでも全体に今回の方が俳優さん総じて演技上手?
両方の映画に出ていた人も今回の方が生き生きしていたような・・・
つまり全体の生き生き度が高かったような印象を受けました。
ってことはそれだけ話が荒唐無稽で、演ずる方も乗れた?
佐藤さんの「俳優振り」にはホント笑えた!山本耕史君や谷原章介君が出るにいたって、一体あと誰がどんな役で出てくるんだろう?なんて、そんな楽しみも有りか?って、笑いながら思っていた。
しかしどんな映画にも「西田さん有り!」なのね。どんな役をやってもだーい好きっていえる俳優さんは他にはいない?くらいよ。相変わらず上手いなぁ!って、俳優見るのが映画じゃないっていうの!なんて急あわててにいずまいを正したりして?惑わせられるねぇ。それにしてもコマーシャルで思いがけず久しぶりでお目にかかって目を疑った柳沢さん!昔よりズーといい男!うれしいなぁ。
それなのに「本物のデラ富樫は何時どんな形で誰が?」当然身近に居る筈だよ・・・って目をさらにして。結局最後まで邪道?いえ、エンターテインメント!でした。話の終わりも天塩が西田さんだったからもう納得の得!書割は書割で楽しんだし、物語の必然なんてどうでもいいし、嘘っぱちがそれで楽しめれば映画としては大歓迎!
サービス精神全く無しの私はてんこ盛りのサービス精神にはただただ頭が下がるし、下町っ子の私はお祭っぽい気分はなじみ・・・とくれば?この手のお祭映画が出来ればまた誰がどんな役でどんなに楽しそうに演じるのか見に飛んでいく私でしょう?
 

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

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監督  ポール・トーマス・アンダーソン
出演  ダニエル・ディ=ルイス、ポール・ダノ、ディロン・フレイジャー、ケヴィン・J・オコナー、キアラン・ハインズ、

見終わるまで150分以上もある長い映画だったとは気付きもしませんでした。凄い!前日4時間しか寝ていなくて・・・下手すると寝ちゃうんじゃないかと心配していたのに・・・始まったらそんな心配吹っ飛んでしまいました。
石油が噴出する映画というと「ジャイアンツ」が直ぐ思いだされますが、あの映画も家族の1代記、これもある意味血は繋がらないながら父息子の1代記、石油発掘が絡むと物語りは巨大に骨太になるという感じか。
時間を忘れて画面に引き込まれたのにはあの音楽と言うか「音」に物凄く因るところが大ではないかという気もする。
伝道師、カリスマ宗教家といってもいいかもしれないがイーライがある意味牛耳っている土地で、非常に偏った宗教色の強い土地柄故、女性たちの服装も殆ど色の無い映像世界で石油が燃え上がる映像だけがすごいインパクトで頭に残っている。そしてそれを際立たせるのがあの「音」だ。
その色はプレインビューのともイーライのともいえる男の野心の象徴の様でもあった。男たちを突き動かす欲、それが生み出す葛藤、狂気、それが噴出したような炎の柱。そしてそれに飲み込まれる息子の運命。
プレインビューもイーライもとてもあたしの理解の他だとあの焔を見ながら、あの音に心をズッタズタいじめられながら、座席に埋もれこんでしまった。
明るさを感じる余地は全く無い。にもかかわらず、ダニエルの声は実に明確に明瞭に鮮やかに耳に飛び込んでくる。対するのがイーライの中身はまやかしで胡散臭いとしか思えない熱弁だ。裏腹なのに同じ狂気を感じさせられる。オトコはコワイ!
石油が湧き上がる、油井が掘り当てられる、その一本一本に一つの狂気がアメリカでは生まれているのかもしれないなんて思って、いや世界中の油田一つ一つに紛争と怒りと恨みと・・・やっぱり狂気としかいえないものが湧き上がっているんだ!と思えた。
そしてそれを消費して一刻一刻を私は生かしてもらっている・・・という恐ろしさ!
デモネ、どんな打算に突き動かされたにしろ、どんな黒い意図があったにせよ、子供を連れて歩いていた時の彼には人間らしい潤いが時に見られたのに、息子が去った時に、あの時の致命的なやりとり後、彼は乾燥し果てて・・・あの最後が来たんだと思いたい私がいて、その私は自分で自分の終わりに「終った!」と、はっきり言い切れる人生ってただただスゴイ!と思っている。
誰がこれだけの迫力と意志を狂気のように貫いて生きられるか?って。

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド ゼア・ウィル・ビー・ブラッド
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スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師

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スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師 (ジョニー・デップ主演) スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師 (ジョニー・デップ主演)売り上げランキング :
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監督  ティム・バートン
出演  ジョニー・ディップ、ヘレナ・ボナム=カーター、アラン・リックマン、ティモシー・スポール、サシャ・バロン・コーエン、エドワード・サンダース、ジェイミー・キャンベル・バウアー、ローラ・ミッシェル・ケリー

「ジョニーから眼を離せない!」という二人連れで見に行きました。
でもジョニーを見るより首を押えて横向いている時間の方が多かったようだなぁ・・・と、ぐったりして帰ってきました。でも映画そのものはよかったんですよ。念を押しておきますけれど、濃い時間を過ごせます。
これは確かに音楽劇!かもしれないけれどミュージカルって響きは無かったなって思いました。だってあれ聞いていたら一緒に歌いたいって思える歌は一つも無かったのですもの。ミュージカルを見たなら、時に口ずさめるような気分も欲しいじゃないのって。
歌として聞いていた物は無かったんです。あれは独白が捩れたものだという気がしたのです。ジョニーが歌うとそれは心の思いが吹き出る・・・念がよじれて立ち上ってくるっていう感がありました。
復讐の念が凝り固まってもう他の何も見えなくなった男の心の暗黒が口から捩れながらこぼれてきたものだという感じが。
それはヘレナ演ずるミセス・ラペットも同じでした。何を歌っても貧しさと報われない思いと閉塞感にしかならない、哀れ。
それが、19世紀、暗黒の世相、霧のロンドン、モノトーンの世界と相まって二人が二人共に狂気に流れ込んでいく様がドーンと見るものに、聞くものに、重苦しく、(しかし不思議にスムースに)のしかかってくる感じでしょうか。
息苦しい映画でした。若者の恋にも明かりは全く射さないし。過去過去過去・・・ここには未来は無いのです。
スゥイーニーにはもう娘も判るはずが無い。消息を聞いてももう娘は彼の心の中でリアルにはならない。恨みで凝り固まっているうちに彼の心の中で娘は成長をやめてしまっていた。妻とともにもう失われ去った者になっている。彼はもう未来は見えない。娘の未来を思いやる感情も無い。心の中にはもうひとかけらの潤いも残っていないのだ。何も明らかにならずこの出来事はロンドンの塵芥の中に紛れて消えていくのだろう・・・と・・・首を押えたまま思っている自分に気が付いて「ジョニーはやはり凄い俳優だ。」と、改めて思った。
終りまでとうとう首から手が離せなかったのです。
何時まで経っても顔が一つにならない不思議な面白い俳優だと。
今度はどんなものをどんな風に見せてくれるのかという期待を常に抱かせる俳優だわ・・・と。
で、しっかりマフラーを首に巻いて映画館を出ました。
 

ゼロ時間の謎

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ゼロ時間へ (クリスティ文庫) ゼロ時間へ (クリスティ文庫)
アガサ・クリスティー 三川 基好早川書房 2004-05-14
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監督  パスカル・トマ
出演  メルヴィル・プポー、キアヌ・マストロヤンニ、ローラ・スメット、ダニエル・ダリュー、アレサンドラ・マルティネス、フランソワ・モレル、クレマン・トマ

渋谷での最終日に何とか滑り込みました。と言ってどうしても見たいと思っていたわけではないのです。アガサの大ファンと称しながらポワロさんとミス・マープルのものしか読んでいない後ろめたさもあります。あー、付け加えればこの同じ監督の「奥様は名探偵」を見に行くために慌てて読んだ「トミーとタッペンス」シリーズはその後読了していますが。
アガサ自身が自分の「10の作品」にあげていると言う名作だそうですが?しかもまたフランスでの映画化です。前作でイギリスの香りが吹っ飛んでいて、戸惑ったように、この映画でも同じことが起きるのではないかと思いましたが・・・アガサは海外の保養地大好き人間でしたから・・・いいのよ?っていうか本当にここが舞台だったのかな?登場人物の名はともかく警視の名が完全フランスね?それにしてもこの監督さんは何で二作続けたのでしょうね。やっぱり、アガサファンですか!この作品もアガサ原作と声高に言わなければフランス映画らしい映画になっていました。と言うかそのままフランス映画でした!そう思って見ればいいのでした。ダニエル・ダリューの資産家の伯母様はともかく、女二人の雰囲気がやはりイギリス人じゃない・・・ギョームみたいな男もフランス人そのものだ・・・と、それでもこだわっていますが、意味の無いこだわりですね。テンポがまだるっこくて?それとも私がこういうシチュエーションに落ち着けなくて?途中ちょっと眠くなったのが無念です。アガサの作品で!
本妻と現妻との間でまだ迷う男ってそれだけで死刑!(過激すぎますか?)モノですが、最後に至る未練って・・・「キアラにですか?カトリーヌになら分かる」なんて思っていた私は余り映画の世界に没入できたとは言えませんね。現妻と本妻があんなに全く別のキャラクターになることってあるのですかね?何回結婚しても失敗する男は同じタイプの女性に恋すると聞きますが?美しいのかもしれないけれど(二人とも?がかなり)しんねりとして暗い女性と爆発的に過激で下品な女の間で揺れ動くなんて気の毒すぎて・・・あんな結末になって収まりが付いてよかったねなんてギョームに言ってしまいそう。こんなつまらない事を書いちゃうんですもの・・・アップが遅れたわけです。(念のため、一緒に行った友人はキアラが美しかったァ・・・と、ため息でした。)

今度こそ、本を読みましょう。だって、アガサ自身が認めていた作品だと、この映画の広告で知ったのですから。バタイユ警視は他でも活躍していましたっけ?

シルク

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SILK SILK
ryuichi sakamoto 坂本龍一エイベックス・エンタテインメント 2007-12-12
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絹 (白水Uブックス 169 海外小説の誘惑) 絹 (白水Uブックス 169 海外小説の誘惑)
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監督  フランソワ・ジラール
出演  マイケル・ピット、キーラ・ナイトレイ、アルフレッド・モリナ、役所広司、芦名星、中谷美紀、國村隼、ケネス・ウェルシュ、本郷奏多
見終わったとき、夢のような映画を見たという気分でした。
エンド・ロールの間も心をその夢の中に憩わせるような美しい音楽が聞こえていました。
この映画の夢感、憧れ感、浮遊感の源は美しい映像とこの音楽だったんだと思いながら座っていました。
予告編から受けた印象で少し見るのを躊躇っていたのですが、映画は違うものでした。
外国映画で日本を描くときの違和感は時に非常に不愉快です。
スタッフの中に日本人の名前を見つけたときなどはもっと不愉快です。「何で正す努力をしなかったんだ?」って思うからです。
でもこの映画は日本をきちんと描く意志は、はなから無かったと思います。(それにしてはいいほうだと思います) 媒介したのは絹だったのだから極端に言ってしまえば中国でもタイでも良かったんです。
要するに男というものは本当に大事なものを手に入れていながら、憧れに生きる者だと言う事を描きたかったように思えます。
実生活の中にあるある種の倦怠感が男を冒険にかき立て、憧れにいざなう。異国の少女の唇や肌やエキゾチックな不思議なとらえどころのない魅力はそれそのものが目的ではなかったのだと思いました。
男は「山のあなたの空遠く」それが遠くにあればあるほど憧れがかきたてられたのです。
向うに居ると残してきたものに思いを寄せ、帰ってくると後ろめたさに愛を語りすぎ、尽しすぎ、相手の不安を掻き立ててしまう。
そして自分の心もまた不安と憧れの間に落ちる繰り返し・・・。
しかしこの場合利発な妻はその夫を理解している。
彼を支配し、衝き動かしているのは異国の特定の女そのものではなく遠く憧れる心そのものだと。
妻からの曲折を経て届けられる手紙に男は知る・・・という形ですが、多分男は男を男たらしめた芯にあった憧れをも失ってしまったのではないかと気の毒でもありました。
男は失って初めて自分の運命の最高に大事な者とその価値を知る・・・まぁ、そういってしまっては男が可哀相かも。
あの庭を埋める百合は香りのない山百合でしょうか、それとも?
妻のために美しい庭を作る夫は心の底ではそれと知らずに愛を尽していたのかもなぁ・・・なんてロマンチックな気分にどっぷりつかってきました。
そしてあの日本の雪景色に妙に郷愁を誘われてしまったのは何故でしょうね?
  

再会の街で

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監督  マイク・バインダー
出演  アダム・サンドラー、ドン・チードル、リブ・タイラー、ジェイダ・ビンケット=スミス、サフロン・バロウズ、ドナルド・サザーランド

「今年最後の映画になりそうかな?」と、友人と出かけました。
恵比寿の映画館は久しぶりですが彼女がシニアでチケットを買った後、私が5千円を出すと4千円おつりが帰ってきました。素直に頂きました。約2ヵ月後に迫った還暦を痛感。同じ彼女と行った「4分間のピアニスト」では同じ条件でおつりはちゃんと3200円だったのに・・・?彼女と予定をあわせるとレディスデーに映画に行けないのが痛いところでしたが・・・それももう直ぐ!?
あ、まだレディスデーが今年もう一日あるわ!
さて、アダム・サンドラーといえば「ウェディング・シンガー」「ビッグ・ダディ」「スパングリッシュ」「もしも昨日が選べたら」を見ています。楽しい映画での彼を知っている?わけですが、今回はとてもシリアスな役柄です。ジャック・レモン、ロビン・ウィリアムスや西田敏行さんを思い出すまでも無くコメディアンさんには素晴らしい演技力のある人が多いようだと思っています。だから今回は彼に注目です。ドン・チードルさんは言うまでもなく、今回もはまり役というか彼の持ち領分バッチリな感じです。「ホテル・ルワンダ」系?
スクーターといっていいのでしょうか?あれ車道を走るのOKなのですか?あれが実に効果的に使われていた印象が強いです。
風を受けるという感じには色々な意味合いをつけることが出来ます。
乗っている人の状況に応じて。何より印象に残ったのは最後にアランがあれで愛する妻の元に帰っていく場面ですが、娘を迎えに行くのですよね?娘と夜のニューヨークをスクーターで走る場面を想像させて心楽しく映画は閉じました。その前しばし、私は涙涙でしたから。ハンカチを取り出し、めがねを取り・・・止めることが出来ませんでしたから、あれで救われました。
悲しみ方は人全てそれぞれ、千差万別と、改めて当たり前のことに気が付きました。家族を失ってもその悲しみに直面して人はどうなるのか、その人の措かれた状況もあるでしょうが・・・たった一人になった夫と夫婦で受け止めた場合と・・・。同じに受け止め同じに悲しみを共有することは絶対ありえないんだと、そうだそのとおりだと頷いていました。しかし彼の周りに彼を心配しながら佇む人たちの姿を見ていたら彼が心から羨ましくなりました。マンションの管理人のおばちゃん、友人の会計士(彼の妻子を君は知らないから彼は安心できるんだといった人です)、弁護士。一人でもこんな風にそっと見守っていてくれる人が果たしているでしょうか?
ドンの歯科医さんはたまたま出会わなければ彼が妻子を失った事をニュースか何かで知りながら何もしなかったのですから、本来なら関わりあわなかったはずですよ。彼があそこまで彼にくっ付いたのは(他にどう言えます?)心配だったからだけではなかったんですよね。それぞれ人にはその人の抱えている事情とその時というものがあるのです。歯科医のアランもあの時期人生の閉塞感の中に、鬱屈の中に、居なかったら?人は人をお互いに必要な時に求め合うという我儘な生き物ですよ。いつもこんな風な幸せな出会いに満ちているといいのに。人生はなかなかこう上手く動いてくれません。この場合幸せな?本当にしあわせな時の一致が運命の計らいで起こったのだと思いますが、それがドラマです。そしてそれが私に感動を起こさせました。支えあう幸せ・・・それを思いました。絶対一方通行で人を助けたり、施したり(言葉はイヤですが)はありえないのだと思います。子育てをするとき親は子を一方的に保護し育てるだけではありません。子から受けたあの幸せな季節、そしてそこから共に学んだことがいっぱいあったように。
一見幸せで何不自由ないように見えるアランもこの交情で得たものがいっぱいあったし、失ってはいけない大事なものにも気が付いたし(それは彼の妻も同じ?)チャーリーにはチャーリーの朧ながらも行く手が予感されたし・・・良かったなぁ!心して?誠意というものをいつでも心の中に用意しておきたいものだなぁ。
「9・11の被害者を勾留するなんてとんでもない問題になるぞ」みたいな発言がありましたね。アメリカのあの日からの混乱がキン!と伺える一言でした。

スターダスト

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監督  マシュー・ヴォーン
出演  クレア・ディンズ、チャーリー・コックス、ミシェル・ファイファー、ピーター・オトゥール、シエナ・ミラー、ロバート・デ・ニーロ、ルパート・エヴェレット

一寸題名がありきたりすぎて、本当はステキな言葉のはずなんだけど・・・と思いながらもそこはそれファンタジー!見に行くでしょ。
ピーターの名があり、大好きなミシェル・ファイファーさんが出ているとなれば、絶対!特に魔女には定評がある?
ピーターさんに関してはなんだこれだけ?と、がっかりでしたが、ミシェルさんに関しては・・・これは彼女の映画でした。どんな役をしてもほんと魅力的な人ですよ!
綺麗ににしても、醜いにしても彼女は生き生きと楽しそうに映画を支配していました。彼女が居なかったら(彼女のふんした魔女ラミアがと言うべき?)この映画は炭酸の抜けたコーラだったかもしれないななんて思いながら帰ってきました。
そうそう、デ・ニーロさんの海賊とそのクルーの楽しさと、死んでも自由になれないで生き残っている兄弟にくっ付いてくる死者兄弟たちも楽しかったな。っていうかラミアさんとそこが一番のこの映画の見所でした。魔女トリオも面白かったしね。主演のトリスタンを演じた坊やはぽっちゃりとしたお鼻の素朴な感じの青年過ぎて、むしろお父さんを演じた俳優さんの方が主役に適していたんじゃないかな?それともこんな坊やだからこそ冒険を通じて成長していく感じが出ると思ったのかな?
でも私にとって一番の誤算?はクレアさんでした。ジュリエットの可愛さを望むのは酷ですが(でも相変わらず可愛い大きなお目目でした)、でも無意識にあの可愛らしさを求めていたんですね・・・と見ながら気が付きました。だってスターですよ?むしろお馬鹿な?結局は火遊び相手になってしまったヴィクトリアを演じたシエナさんの方が美しく見えてしまっては・・・問題でしょ。
スター・イヴェインにはもっと輝いて欲しかったな、もやもやの光で輝かせるのではなく文字通りに。
魔女ラミアの美への執念には共感は勿論?持てましたが、結末のスターとトリスタンの恋は最初からのお決まりどおりでやっぱりねこうなるとミエミエだったよ的に!つまらなかったな。
もっとドラマチックな恋物語を折角なら仕立てて欲しかったな。
なんでもありのどこからでも切り取り自在のはぎ合わせファンタジーになってしまった感じ?流れ星が女性という素敵な発想なのに・・・どこで間違ったのかな?トリスタンの出生から彼が王国の跡取りだなって最初から分かっていたからかな?妙に恋の成就があっけないとか?(ラミアが手を抜かなかったならどうなったんでしょう?の方が面白かったりして)
全部のエピソードに既視感がつきまとっているようで?
ピーターは「クィーン」に期待しましょ!
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幸せのレシピ

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監督  スコット・ヒックス
出演  キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、アーロン・エッカート、アビゲール・ブレスリン、パトリシア・クラークソン、ボブ・バラバン、ジェニー・ウエイド、セリア・ウェストン

ババロッティですよね?あの厨房に鳴り響いていたのは?おぉー!
と言うわけで?関係ないけど!素直に「マーサの幸せレシピ」でした。
が、どっちも好きです。マルチナ・ゲディックさん(善き人のためのソナタよりも美しいくらい!)のマーサもキャサリンさんのケイトも。キャサリンさんはいつも美人だと思ってみていましたが、この映画の彼女にはその上をいく美しさがありました。色々な感情を表す表情に柔らかいベールを被せたようです。
落ち着いてしっとりしてこの年代の女性の美しさが私には魅力でした。マルチナさんにはヨーロッパの成熟が産んだというような大人の美しさがあってアメリカ風?の華やかなキャサリンさんでどう?っていう危惧は最初の厨房で吹っ飛びました。ほっ!ケイトが可愛かった。
女性が自分の職場を自分のものとして完圧(こんな言葉無い?)しようとすれば彼女みたいにそれだけしか眼に入らない、それだけに集中した生活をせざるを得ないよ・・・って、彼女の立つ位置が理解できますものね。ぎりぎりのところで自分を保とうとしているキャサリンさんの顔がいとおしかった。この時点でこの映画は「マーサ」に比べても合格点だ!です。
完璧な厨房で完璧な料理をするということとお店で客が満足すると言うことの間には一本きっぱりと引かれた線があるんです。だって、満足ってそれぞれの人の個人的なものですもの。だからこの時点でのケイトはただ素晴らしいシェフなだけです。そして・・・というケイトの成長がいじらしいです。
と言うわけで、シェフと店主の立場は違いますから・・・それが一致した彼女たちの店は理想の姿ですが、三人居てこそという肩の張らない関係が気持ちよく収まりました。幸せになって満腹できた幸せな映画でした!だけどあのレストランどうなるのだろう?可哀相に!
何が新しい居心地の良い自分を発見させてくれるか分からないものですが、一生懸命な人のところには何かが舞い降りてくるのかもね・・・って祝福できちゃう。
好み的にはアーロンさんが一寸?なんです。大体が謎の男ですよ、ニックって。大柄で声が良くて体格どおりに欲の無いおおらかな人間性を見せてくれましたが、「カンバセーション」のこの「映画日記」に書きようが無かったつまらなさを思い出してしまって。好きになれるかなぁ?この俳優さん。
でもアビゲールさんとの組み合わせはとても良かった。
アビゲールさんのあの薄い色の目って表情を浮かべ易いんじゃないかなぁ!影も光も波のように通り過ぎていくようで、黒い目なんかよりも・・・なんて一寸羨ましくなって。「リトル・ミス・サンシャイン」の余韻をも加味してしまって・・・子役にはかなわない!でもこの子はのさばらない。ほどの良さが映画を大人のものにしています。
「恋と娘・・・」に続いておいしそうな映画でしたが、心に何も無くても家であの魚料理は食べたくない!最もだからこそ始めて子供と向き合った叔母さんの肩に力が入った姿勢がよく分かって毛糸の不器用な一生懸命さが可愛くもありました。
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