バンテージ・ポイント

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オリジナル・サウンドトラック「バンテージ・ポイント」 オリジナル・サウンドトラック「バンテージ・ポイント」
サントラジェネオン エンタテインメント 2008-03-12
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 監督  ピート・トラヴィス
出演  デニス・クエイド、マシュー・フォックス、フォレスト・ウィッテカー、ウィリアム・ハート、シガニー・ウィーバー、サイード・ダグマウイ、エドウアルド・ノリエガ、エドガー・ラミレス、アイェレット・ゾラー
始めから終りまでこんなに心臓がパクパクした映画は久しぶりだ。
もう夢中でのめりこんでそのパクパクを多分思いっきり楽しんだんだろう。こんな映画にぶち当たることがあるから、映画に行くのを止められないのだね。
物語の時間的な緻密さと、登場人物の配置の妙と、一人一人の目線から進む物語のスピード感と、何を、どこをとっても目を話せない緊張感の濃密さがあった。
最初はSPの間にだけあった緊張感が、2発の銃声で一気に広場からその外の世界へ津波の様に波及していく。
そのパニックの情景が最初から最後まで背景にびっしり描きこまれていて、その圧迫感と騒擾に私の心臓は引っつかまれて喘ぎ続けてしまった。
最初この町のこのパニック感は行き過ぎではないかとも思えたのだが、気が付いてみると物語りはこの広場で始まって、ほんの東へ8ブロックのガード下で終息したのだ。時間的にも地域的にも狭く短い間の出来事だったのだから当然ではあったのだが。
しかもTVの映像でリアルタイムに報道までされていて、人々は争ってその場から逃れ、または争ってその現場へ駆けつけるといううねりが起こりえる状況だったのだ。そしてその町の駈け抜ける人々、走る抜ける車々の混乱。それを背景にスピード感の波動が起こる。
そこに何度もかぶさる爆発の煙の中のフラッシュバック。
あの音とリズムに私の心臓は共鳴してしまったのだ。
それがこの映画の最大の魅力でもあったかもしれない。
特にアメリカ人観光客ウィッテカーの動き・目線。あれが今の大多数のアメリカ人の立位置で、映画を見る私の目線でもあるかのような。
大統領の影武者作戦、内通者の存在、テロの可能性とそれを利用するタカ派、そのさらに裏をかくテロリスト、人質、恋の仕業、主人公はクリント・イーストウッドとケヴィン・コスナーとが演じたことのあるシークレット・サーヴィスそのままの経歴だし・・・ちりばめられている一つ一つに新味は無いのに見せ方で凄いハラハラドキドキのドラマが出来上がっているという見事さ。
人質をあんなに簡単に消せたテロリストが少女を轢く事を避けようとする。その事実は、話し合いを優先させようとする大統領の意志よりも自然に人間的でちょっぴり救われもする。
こんなに心臓に素敵な?映画なのに・・・あの首謀者の使いこなす携帯の凄さに付いていけない。あんなに色々なことが本当にあんなに簡単に出来るの?今って?

光の六つのしるし

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闇の戦い〈1〉光の六つのしるし (fantasy classics―闇の戦い) 闇の戦い〈1〉光の六つのしるし (fantasy classics―闇の戦い)
スーザン クーパー Susan Cooper 浅羽 莢子

評論社 2006-12
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監督  デヴィッド・L・カニンガム
出演  アレクサンダー・ルドヴィク、イアン・マクシェーン、フランセス・コンロイ、クリストファー・エクルストン、アメリア・ワーナー、グレゴリー・スミス

ファンタジーとなれば見過ごしにはできない私、今年最後の映画にこの作品を選び、高転げにコロゲマシタ。
何処か広告で?読んだんですよ「「ゲド戦記」の作者と並び称されるされるスーザン・クーパーのファンタジーの名作」って言うような記事。それなら仇やおろそかにできないでしょ?だから期待感いっぱいで見に行ったわけですが。ヒョットするとこの作品も映画「ゲド戦記」の二の舞?表現方法は違えども、ファンタジーは見せるには絶好の素材なんでしょうね。商業映画人?にとっては。
この映画は内容はともかく映像の点では結構楽しめました。多分、原作は面白いのじゃないでしょうか?と思いました。光と闇の戦いというのはファンタジーの王道ですが、それだけに永遠に汲めど尽きぬ泉のようなものです。作者の子供への否大人にへもの心からなるメッセージを伝える最高のものです。
少年少女とそれを導く先達(妖精や魔法使いや師や竜とか様々な姿の)・同行者たちとの織り成す成長の物語は素直に心を潤してくれます。だから・・・と、思ってこの作者の原作も「ゲド戦記」と同じ切り取られ方をしてしまったのかも・・・と気が付きました。原作ファンには「さぞ残念!」なことになっているのかも?
不思議な角度からの映像が多くて眼がくらむ?眼が回る感じがありました。この感じは面白いや!と、思いながら見ていたのですけれど、それは多分上に書いた意味で全く原作の持つ表情とは違っているのかもしれないなぁ・・・
お話までが宙をすっ飛んでしまった!という感じです。
何でどうしてこうなるのか、印のありかを示す本はどこへ消えたのか?それなしに殆どの印を彼は感で?暗示で?閃きで?見つけたようですが、それじゃァ物語としては成り立たないかもねぇ。
それにこの手のファンタジーではお決まりの少年の成長譚としての視点が双子の兄の存在と年上の美人のお姉さんへの執着とを乗り切ることだけに当てられているようなのが舌足らず?なのか不満でした。
折角逞しく育ちそうなキャラクターを持っている少年を起用できたのですから、勿体無い!それに周りの家族(特に父親の存在の処理)・古老って殆どこの映画では意味のない存在にしかなってなくて、闇のライダーも「ロード・オブ・リング」の乗り手の半分も怖くなかったもんなぁ・・・
あぁあ、私ってどうしてこんなにファンタジーって付くと弱いのかなぁ?とぼやきながら、でも霧と靄?回転浮遊感?橋と屋敷の雰囲気?まぁ、それなりに楽しんだじゃないのさと言い聞かせて帰ってきました。
この原作本当に「ゲド戦記」と並ぶ?かも。それなら読む価値あるかなぁ・・・そっちの方に賭けてみようかな?
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ベオウルフ/呪われた勇者

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監督  ロバート・ゼメキス
出演  レイ・ウィンストン、アンソニー・ポプキンス、ジョン・マルコヴィッチ、ロビン・ライト・ペン、アンジェリーナ・ジェリー、クリスピン・グローヴァー、ブレンダン・グリーソン、アリソン・ローマン

今思い出しても「世界少年少女文学全集」って凄かったんだなぁ!
「続・3丁目の夕日」で淳之介君が読みふけっていたからではありません。「ベオウルフ」最古に近い?英語で書かれた文学ですって?大昔あの文学全集には様々な国の神話と共に英雄譚も収録されていました。小学生だった私が「サガ」とか「エッダ」とかいうものを知ったのもあの全集でした。様々な国の文学を童話から大作家の作品まで本当に良く網羅していましたよ。あれは読書の素晴らしい指針になりました。
さて「ベオウルフ」は残念ながら知りませんでしたが、サガやエッダの時代に近いものでしょうか?映画館の予告編で見たあの変な映像は私には妙に中途半端に思えて、リアルではないし劇画アニメでもない、あれはなんだ?でした。だから英雄冒険譚のようでファンタジーだとしても、サガやエッダの時代の古い古い英雄譚としては興味は惹かれるものの「あの映像は私の好みに合わないかも・・・どっちかはっきりしてもらいたいよ。」でした。見たいか微妙って所です。
ところがこの映画にアンソニー・ホプキンスやジョン・マルコヴィッチの名が挙がっているとなったら?「話は別!」になります。
と言うわけで出かけてしまいました。それにこの頃には「ベオウルフ」の素性も少しずつ情報が入ってきていましたからね。一寸想像力を刺激されていました。太古の英雄?魔物との契約?おぉ!
映像の技術的なことは私の判断の外です。だからその評価はするつもりも出来もしません。でも、物語は楽しめそうです?
結局、アンソニーの、ジョンの、造形はいやでした。どんな人物でもその俳優に「演じて」貰いたかったです。大好きなアンソニーの顔だけが蠢いている感じで一寸おぞましかったです。ジョンにいたってはこれだったら無名の俳優を使ったらいいのに!でした。
映画を俳優の演技を楽しむものだとすればこれはそういうものではないという気がして、アンソニーの映画一本見損なった損失感が沸きあがってきました。
ただ、不思議なことに?アンジェリーナだけは妙に填まりました。ロビンがまるで命の無いロボットレディみたいになっていたのとは正反対にアンジェリーナだけは命の通っている魔物でした。彼女の顔のインパクトの強さが映像処理に負けなかったのかな?なんて思ってしまいました。ホントカナ?
それに一つ救いは竜が飛んだことです。何故か私は竜を見るのが大好きです。竜ってワクワクスイッチです。これがポンとでてくれば私はウキウキワクワクドキドキになれます!子供の頃からこれだけは進歩なしです。だから最後のベオウルフの決戦は一寸興奮しました。ここはファンタジーやなぁ!です。でもねぇ、逃げ惑うロビンの顔に感情が窺がえないのでハラハラ感が半減です。
やっぱり人間実写でこの映画見たいな。別に最先端技術なんてどうでもいいよ・・・と、アナログ人間は帰って来ました。そしたらやっぱり過去にちゃんとまともに?映画があったみたいです。ジェラルド・バトラーですって。怪物の処理どうしたのかな?そっち見てみるかな。
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パーフェクト・ストレンジャー

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監督  ジェームズ・フォーリー
出演  ハル・ベリー、ブルース・ウィリス、ジョバンニ・リビシ、
ゲイリー・ドウーダン、クレア・ルイス、ニッキー・エイコック、ハイジ・クラム、フロレンシア・ロザーノ

ああああぁぁぁ・・・↓
ブルースの映画は一生懸命!外さない私なのに・・・友人と行くのに一生懸命我慢して、行けなくて、満を持して?やっと行けたのにぃ・・・
これってこの頃多いんですよって気がするんですが、「アクロイド」仕立てですよ。
ジョバンニさんなんて思いっきり怪しい人物とあの部屋を見せてしまって・・・ポワロさんの言う都合が良すぎる・多すぎる手がかりでしょ?これじゃぁ「お願い犯人はジョバンニさんだと思って!」ってお願いされているみたいで、しかもブルースは思いっきり当て馬?「はいはい犯人はボクと思っていてくださいよ」ですもん。
残りはだーれ?ブルースの奥さん役の女優さん一癖ありそうに登場してみるし、秘書は訳ありだし・・・でもやっぱり残りはだーれ?でしょ。
ブルースにハル・ベリーさんを組み合わせてスパイスにジョバンニさん、これは面白い組み合わせだぞ!と物凄く楽しみにしていたのに。
映画としてはこれはブルースさんでなくとも良かったのに!
ハル・ベリーさんのここのところどんどん増して行く美貌と魅力を徹底的に見せるだけの映画にしてくれれば行かないで済ませたのに!
そして現在の社会の、メル友の世界の危うさに警鐘を鳴らす程度にしてくれれば、それはそれなりに行ったとしても納得して帰ってこられたのに。
女に弱くて、金持ちの妻に見張られているのに浮気をやめられない?虎の皮かぶりの大富豪役だなんて、しかも彼が金を持っていないからいい弁護士も雇えなかった?「彼は犯人じゃない!」って私だってもっと上手く弁護して上げられる!なんて憤懣やるかたなく見てましたよ。
こんな事をしている場合じゃない!一年でも若いうちに「ダイハード5」撮る方に専念して!お願い!
でも、まぁ、ハンサムな彼を見られたからいい!そういい!
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ヘアースプレー

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監督  アダム・シャンクマン
出演  ニッキー・ブロンスキー、ジョン・トラボルタ、ミシェル・ファイファー、クリストファー・ウォーケン、アマンダ・バインズ、ザック・エフロン、クィーン・ラティファ、ブリタニー・スノウ、ジェームス・マースデン、アリソン・ジャーニー

嬉しい映画でした!
楽しくて最初のボルチモアの曲からすっかり弾んで乗ってしまいました。
何が嬉しいって?
予告編でトラボルタさんの名前を見てから眼を皿のようにして彼の素顔をあのビッグ・ママから引っ張り出そうと一生懸命だったのですが、映画本編を見終わっても見つけられないのでした!
いやー凄い!特殊メイクって奴?だってあの太ももからふくらはぎ、一寸怪しいお尻はともかく、ヒール履いたあの足、絶対あれは女性の足。ジョンの割れた特徴的な顎の欠片も無い滑らかなふくよかな顎・頬。瞳だけがそういわれりゃ彼?位の凄さです。その彼があの重さを微塵も見せずに軽ろやかにステップ踏むのですから・・・堪えられないでしょう?もっとお願い!もっと見せて!でした。
それにあのママ、シカゴのあの看守ママ!あの映画の凄い存在感忘れられない人でしたよねぇ・・・クィーンさん。それが若返った?みたい?歌は圧倒的に魅力!です。あの堂々さ?カリスマを感じさせる人ですよ。
2本続けて見られたミッシェルさん!スリムな厭味なお顔の美女!
あんなに美女であんなに厭味に作れるなんてやっぱりステキな私の好きな女優さんよねぇ!と、又惚れ直した?いえ、惚れ続けなんですが。
で、あのクリストファーさんの踊り。この人のダンス見ることがあるとは夢にも思わなかったけれど、実は・・・なんですね。やっぱり異才?
そしてザック!「ハイスクール・ミュージカル」ちゃんと見ていましたもんね。やっぱり正統派60年代風ハンサム。サンセット77のクーキー(エドワード・バーンズ)を懐かしく思い出しちゃった。
ハンサムがこんなに真正面からきらきらしちゃうと気恥ずかしいくらい好男子?役柄も一寸気恥ずかしい正統派正義感正直男の子。いいのかな?実際ありかね?この恋?ありだと嬉しい!そう有りよ!
あって欲しいよ!私って悲観的?いえ、現実的なだけ。
あのかっこいい報道官のアリソンさんがあんな保守的なお堅いお母さんだなんて?見違えてうふふです。
え、やっぱり年だねぇ・・・ベテランばかり褒めてる?ザックったってクーキーだから?イエイエそんなことはありません。
主演のニッキーさん!あのキュートさ、あの可愛さ、あの軽やかさ、なんて笑顔がいいんでしょ!本当に彼女と一緒に跳んで弾んでしまいました。きらきらピンクのお母さんと娘。可愛いったらないのよ、こんな嬉しい豊かな景色ってないでしょ?
それに親友のベニー、絶対「アメリカの女の子!」然でしょ?残り少ないアメリカの田舎の可愛い部分みたいな。
私が中高生の頃コニー・コリンズ・ショーがあったら多分アンディ・ウィリアムズ・ショーより夢中になっていたことは確かよ。コニー役のマースデンさんの笑顔も妙に印象的に可愛いじゃないですか?
ストーリーもとても素直、社会派部分?もナントほどの良いこと!で好感がもてるのですけれど、ストーリーをどうこう思う前にすっかり楽しんじゃいました。これだから・・・ミュージカルは止められない!
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パンズ・ラビリンス

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監督  ギレルモ・デル・トロ
出演  イバナ・バケロ、セルジ・ロペス、マリベル・ベルドウ、ダグ・ジョーンズ、アリアドナ・ヒル、アレックス・アングロ、エウセビオ・ラサロ、バコ・ビダル、フェデリコ・ルッピ

重層するラビリンス
魔法の国の王女がさ迷い転生する彼女の魂がさすらう時空を超えたラビリンス
フランコ政権下の独裁を象徴するビダル大尉とゲリラ戦を展開する民衆が織り成す人間界の人間たちがさ迷う現実のラビリンス
母の上に覆いかぶさってくる死の影と義父の残虐さから逃避したいオフェリアがさ迷うパンの世界のラビリンス
オフェリアの生きる世界も悪の迷宮なら彼女の魂が逃れようとすがる世界も魔の迷宮。どちらにも明るく美しい安らえる世界は見出せない。
これをファンタジーと言うのは間違っている・・・ダーク・ファンタジーですって?現実の闇から逃避の闇へこの心の旅がファンタジーなどと言うなら・・・でもやっぱりこれは「本当は怖い」と名づけられる童話と同じような?心の中に住む魔物の紡ぐラビリンスが奏でるファンタジーってことでしょうか?
死が甘美に見えてしまうなんてことが子供の心を舞台にした物にあっては欲しくないことだと思いながら、この映画が紡ぐラビリンスに私も囚われてしまいました。
いい悪いも、好き嫌いも超越してこの映画の印象の深さは恐ろしいほどのものでした。忘れられない映画の一つになるでしょう。
混乱と恐怖の時代とその時を生きなければならなかった子供の心の喘ぎを映像にするのになんと言う物語を紡ぎだしたのだろう・・・と、席に沈み込んだ私は殆ど恐れの眼差しでこの少女オフェリア自身が
彼女の現在の生活の中にある恐怖と不安から生み出してのめりこんでいくラビリンスを見つめていました。
秋の終わりの生き延びた蟷螂のお化けみたいな虫に「妖精さん?」と呼びかける少女の感性そのものが時代のゆがみと彼女を取り巻く世界の乾きを既に象徴しているようで、その虫が変化してなった妖精は妖精と言うよりもまるで寺院の軒から除き見ているガーゴイルのようで、そもそも付いて行きたいような姿ではない。それなのに魅入られるように付いていく少女はそれだけ現実の過酷さの中で喘いでいる。冒頭の彼女の喘ぎは全編を通じての彼女の心の悲鳴のように低層を流れている。詞の無い子守唄がその悲鳴に不気味な優しさで纏わり付く怖さ。
勇敢に挑戦した第一の試練に対し、誘惑に負けた第二の試練、そして命であがなった第三の試練。
死んでやっとたどり着く安住の心地よい世界。現実の世に残された弟と比べて彼女の行き先に安らぎを感じてしまう悲しさ。
残虐な父と離れても弟の行く末はパルチザンの過酷さに彩られるに違いない。その父も彼と彼の父親の記憶のラビリンスの囚われ人でその息子の行く末もまた地上の果ての無いラビリンスだ。オフエリアを迎える王妃が地上で哀れにも弱かった母なのがまた悲しい。
エンディングの音楽に心の底まで怖さを秘めた悲しみに満たされてしまって、映画の心をこれほど見事に要約した音楽はないと思いながら明るくなるまで浸っていた。
それにしても子供が心から楽しめるワクワク感に満ちて遊べるようなこの世を作ってやりたいものだなぁ・・・私に出来ることがあるのだろうか・・・だがその前に大人こそ救われなければ・・・
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HERO

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監督  鈴木雅之
出演  木村拓哉、松たか子、松本幸四郎、阿部寛、大塚寧々、勝村政信、八嶋智人、岸部一徳、香川照之、中井貴一、森田一義、国仲涼子、田中要次、小日向文世

TVドラマの方は見なかった三人(父と旦那と)で出かける気になったと言う時点で、この映画の許容範囲?の大きさが思われるというものですが・・・しかも3人とも終って最初の感想は「面白かったねぇ・・・」です。でも付け加えると、「実際の法廷ではあの最後の長いキムタクさんの場面はありえないだろうけどね。」という科白も重なりました。
そうそうもう一つ、「武士の一分」よりやっぱりこちらの方がこの人らしくて自然だったよね?と、私は二人の同意を取り付けました。無論キムタクさんのことです。
出演者の豪華さと演技力に負うところは大だったとは思いますが(だって、普段スマップのドラマを殆ど見ることの無い3人組ですからねぇ、主に彼ら豪華出演者名簿?に釣られた訳です)、物語とその骨子と多分TVドラマで練られた事務所の人間関係の多彩さが良かったのだろうな・・・?と(TVを見ていない)私が思いました。逆にTVの彼らを知らないからこそ新鮮でよかった?と言う部分もあるかもしれず?これ一本でTVドラマの人間関係マスター!
田中要次さんはTVでも出ているのかな?時々見ている人ですが、今回は特に注目。面白いキャラだなぁ・・・でしょ?
TVでの2時間ドラマでも良かったのかもしれませんが、映画にならなければ私は見なかったはずですから、映画になって良かったな!です。枝葉ですが、多分一生韓国に行く可能性の無い私にはおまけ(大筋的にはほとんど外国である必要なかったでしょう?)の釜山(ですか?)の街中観光も面白かったし。イさんて、遠藤憲一さんの若い時を思い出させません?
憎まれ役の敏腕弁護士役で出演するんだ!と思っていた幸四郎さんが純日本的ウェットな弁護士さんだったので一寸肩透かしだったけど、反対にこれが一番の儲け役立ったのかな?とも。で、やっぱり演技派の香川さんが二番目の儲け役?
キムタク検事さんの事件に対する姿勢が共感を呼ぶと言う基本がぶれないから、お終いまで興味を引かれて夢中で見てしまい、楽しみましたが、法廷ものとしてみるとまだ「それでもボクは・・・」の方が面白かったなぁ・・・と、ちょっと惜しい?
しかし実際問題としては検事さんは選べないからなぁ・・・あ、勿論事件を起こす気は全くないんですけれど・・・
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ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団

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監督  デヴィッド・イェーツ
出演  ダニエル・ラドクリフ、エマ・ワトソン、ルパート・グリント、ゲーリー・オールドマン、アラン・リックマン、マギー・スミス、エマ・トンプソン、マイケル・ガンボン、ヘレナ・ボナム・カーター、ロビー・コルトレーン

8月のお子様月間が終ってから・・・で、物凄ぅく待ちくたびれたぁ。
そして・・・ウ~ム?です。この映画が満足だったのかどうか?
男の子って成長途中に確かにこういう頃があります。男でも子供でもなく中途半端で何ていうかきれいじゃない?でもハリーたちの雰囲気って日本の子供たちの高校生くらいの感じゃありませんでしたか。一寸、原作より年喰っているって感じは物語の脚本の違和感にも比例しているような・・・微妙な感じ?
「不死鳥の騎士団」て題なのに不死鳥の騎士団の人々って、団員って分かりましたか?具体的に彼らがどう動いているのか、それがもう少し描かれた方が、ダンブルドア軍団の結成の意義と活躍の胸のすく感じが際立ったんじゃないかな・・・なんて脚本に疑問を呈していますが・・・原作がどんどん長くなる以上読み方、印象の受け方、好きな部分・・・読む人それぞれですから厄介でしょうね。
ま、映画の場合原作は脇に措いておいて・・・ですが、ハリーの苛々、癇癪の源である愛情への渇望、不安、疎外感・・・この編の主要な感情の描き方が省略されすぎていたような・・・悪夢の不安(ヴォルデモードと繋がっているのか?という)だけしか描きこまれていない感じです。そここそが次回作へのハリーの焦燥にも、生長にも、繋がっていくので全部の巻を見ていないと置いていかれそうな心配を感じてしまいました。(最もこれだけならまぁこれだけでもいいんだけどって言う気も一部ではあって・・・だって2時間一寸にまとめたんだもの・・・だから別物だって!)
シリウスとの場面が少なすぎたのも私には残念です。ゲーリー使っておいて!ハリーの感情の不安定さを際立たせる大事な挿話ですものね。あの愛情を又失ったハリーはもう一つ見るものの愛情と同情を引き付けるはずなのに・・・と、惜しい!(ハリーは同情なんか要らない!)
アンブリッジ先生は私のイメージどおり!ふるーい女子高卒なので先輩だった主の様な才女先生が何人かいたのを思い出しちゃったのですが・・・彼女等は魔女だったのです?ピンクと猫って定番なんですね!イメルダさん秀逸で、出番がいっぱいでよかったですね、ヘレナさんやゲーリーさんやマギーさんは可哀相だったのに・・・とぼやきました。フリットウィック先生はやったーですね!(かわゆい!)
今回は軍団創設へとか友情はあったけれど(双子がはじけてくれて楽しかった!)ファンタジーの持つ全体の温みとワクワク感の弾みが少なくてそこが一寸残念(最も原作の方もどんどん厳しくなっているのだものねぇ・・・って、あれは別物だってば!)まぁ、スネイプ先生とハリーの父親の話は扱いようではいじめっ子とそのカリスマ性なんて1話が出来ちゃうくらいのテーマだし?でもスネイプ先生を描きこまないと彼へのダンブルドア先生の信頼も理解できないままよ~です。まぁ、描かないからこそハリーの失敗も物語としては生きてくるのですが。
前4作より「あー、面白かった!」と席を立てなかったようです。
成長って寂しいものなのねぇ~ですか。
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ボルベール<帰郷>

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監督  ペドロ・アルモドバル
出演  ペネロペ・クルス、カルメン・マウラ、ロラ・ドウエニャス、ブランカ・ボルティージョ、ヨアンナ・コボ、チュス・ランブレアベ

色彩の鮮やかな画面でした。女のための女の映画でした。が、ここは女護ヶ島?色々あってしっかり生活しているのは女ばかりで、男は皆墓の下?色彩に惑わされたせいか私の頭はまだ戸惑っています。
なんとなく昔のソフィア・ローレンの映画を思い出させられましたが、ソフィアの母には大らかな逞しさももそこ深い悩ましい悲哀ももっと痛烈だったような(今はもう朧?)記憶がありますが、ここに有るのはもう少し違うような・・・その場しのぎ的な行動的な刹那的な?スペイン的な?
二代続いての犯罪、暴かれることなく過ぎた犯罪、どうやら罪は償われなくてもいいような?
二代続けて女が落ちる悲しみということは、かの国の男とはああいうものなのだ・・・という認識?まさか!その出来事に仮託した女の生きる道の厳しさということでしょうね?
だとしても、ああキレイに葬り去ることが「良かった!」ことなのでしょうか?
犯罪が暴かれてその原因が追究されて、その時真に男の罪を白日の下に晒し、そういう男たちから女性を守る方策が模索されるべきだ・・・なんて、私の理性的な?頭の片隅では思考が行われていたのですが。圧倒的なこの女優陣たちに押し流されてしまいましたね。
だって、当然でしょ!そんな男たちに母が与えるのは死の宣告!
って言うか、その時・瞬間の防衛は当然究極には殺人になってしまうでしょう。
殺しても飽き足りない男たち!裁判に引きずり出してもなかなか死罪まで持っていけない卑劣な劣情を裁くには?
なんにしても女たちは生きて行く。子供を守って!それが母!
頷かされてしまった私の心情は「母こそ心の故郷!」と謳っておりました。「ボルベール」と!(ペネロペさんの歌ですか?最近俳優さんの歌唱力に敬服している私ですが)
それにしても太陽が違うんですかね?彼女の身にまとう(和柄の花模様風?の)華やかな信じられない色彩の組み合わせの衣装。あれとあの体格とで「母」以上の(以前の?)「女」というものの素晴らしい凄さをペネロペさんは表現しつくしているようでした。
女の本質が違うというか、根本的に女が違うでしょうというか、そもそもどっちの女が女なんだ?と大和撫子女の女である私は押し捲られてしまってたじたじ!感動というより迫力負けでした・・・かも?
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ハリウッドランド

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監督  アレン・コールター
出演  ベン・アフレック、ダイアン・レイン、エイドリアン・ブロディ、ボブ・ホスキンス、ロイス・スミス、ロビン・タネイ

ジョージ・リーブスっていう俳優さんだったんですね?
大昔、子供の頃楽しみにしていたTVドラマのスーパーマンさん!
スーパーマンにクラーク・ケント以外の名前があるなんて思いもしなかった?あの頃。彼はスーパーマン、クラーク・ケントさんでした。
しかも放映が終ったのを残念に思っていながら、主演のスーパーマンさんが自殺していたとは・・・!全く思いもよりませんでした。今頃びっくりしていたわしいと思っています。
予告編でスーパーマンを演じていた俳優の自殺・・・と聞いていながら私の頭の中ではあの丸みを帯びた優しいふっくら頬の四角い顔のクラーク・ケントさんとベン・アフレックの顔が結びつかなくて「自殺したって?まさか、私の好きだった玉よりも早いあの人のことじゃないよね?」でした。
白黒の映像はメガネを取ったスーパーマンになったときのクラーク・ケントの目の色が白っぽくて・・・「アァ、外人さんだ!」って感じだったんですよねぇ。
そんなわけで「スーパーマンさんの自殺は本当だったのか?」そのものが私の疑問になって、その疑問を解きに映画館へ出かけていきました。結局その疑問はそのまま今も疑問なんですが・・・きっと既にあの頃そうだったように?回答もそのまま、3つのうちのどれかに違いない?のままだったのです・・・
私にとっての収穫は「エイドリアン・ブロディさんになかなかな使い道があった!」ってことと、「ダイアン・レインさんが幾つになっても美しいなぁっ!」そして「あの懐かしいスーパーマンさんを演じていたのはジョージ・リーブスさんという俳優さんだったんだ!」ってこと。
あの当時の俳優さんにとってTV俳優であるということ、映画俳優ではないことがそんなに屈辱的であったということの驚きというか気の毒さ。キーファさんなんてTVの方が生き生きしているじゃないの・・・なんて思うと、時代に殺されたってことになりましょうか?ただ、俳優さんにとって役柄のイメージが固定してしまうことの怖さと強みはよくわかる気はしますね。色々な俳優さんが当たり役を降板したり、同じ役にがんじがらみになって尻つぼみになっていくのを見ていますもんねぇ。
シャーロック・ホームズにとっ捕まってしまったコナン・ドイル!アルセーヌ・ルパンに乗っ取られたモーリス・ルブラン!って?違う!ったら。
ハリウッドには昔も今も魔物はちゃんと居る!どんな一瞬の栄光の中にも魔物はいる!
あの、昔の白黒のスーパーマンを知らなかったら、ベン・アフレックのリーブスさんは悲しさの表現がとても効いていたなと思ったでしょうね。差し込まれるスーパーマンの映像に違和感を覚えているうちに・・・???煙に巻かれちゃったような感じです。それにしてもこの映画、映画としてどうだったのかなぁ?・・・と、思い出そうとしているのですが・・・妙に妙だわ。

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