憑神

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監督  降旗康男
出演  妻夫木聡、西田敏行、香川照之、赤井英和、夏木マリ、佐々木蔵之介、鈴木砂羽、森迫永依、佐藤隆太、江口洋介

浅田次郎さんの原作です。本は読んでいません。このところ彼の小説数冊読んで、余りの上手さに舌を巻いて・・・一寸やりすぎ!と言う気がしないでもないのですよ。してやったり!という作家の顔が見えるようなんですもの。一寸西田敏行さんと似ています。彼も実に上手い!文句無く上手い!上手すぎてやっぱりしてやったり顔に見えないことも・・・椿山課長に次いで又このダブルですよ。
少々(かなり?)痩せていただいて、天切り松も西田さんでどうでしょう?浅田さんと相性がいい感じがしますが?勘三郎さんやすまけいさんより?あーーー、それでもやっぱり、3人ともマズイ、屋根が抜けちゃうわ。
でもどうやら「大日本人」はパスに決めたらしい?旦那が行こうと言うのです。そうなれば否やはありません!と言うわけで夫婦50チケットゲット!ほんの一寸ですが彼は寝ましたね。やっぱり!です。でもこの映画の場合ナットク!って気もするんです。
西田さんにしては出番が少なかったせいですか、やり過ぎと言う気は全然しませんでした。むしろ疫病神に余ったそのパワーを分けてやってもらいたい感じ。西田さんなのにあんなへなちょこ調伏でへなへなになっちゃうなんてなんか間違ってない?ってくらい。折角の3巡さん、もっと弾けて貧乏!厄病!真骨頂を見せて欲しかったな!でも3神にハジケル時間を与えたらシリーズ3本物になっちゃうかな。死神に愛される話ってちょっとありきたり?原作の長さはどのくらいなんでしょう?ぽっぽやはあれで映画1本持ちましたからね。
香川さんが江戸っ子の町人の、佐々木さんが江戸っ子の侍をそれらしく演じていましたし、この二人のキャラクターは最高!(砂羽さんとの夫婦が実にいい!)佐々木さんは本当に注目株です、と密かに思っているオバサンは私だけではないでしょうね。え、もう高値?
妻夫木さんには「父子鷹」の勝小吉あたりを読んでもらって勉強してもらうと貧乏御家人の小倅の雰囲気もっと出たんじゃないでしょうか。(勝さんといえば麟太郎さん、江口さんだけ妙にあの映画で浮きませんでしたか?見ていて妙にコミックに劇画が一コマ紛れ込んだみたいな場違いの気恥ずかしさを感じてしまったのはなぜかなぁ?私、江口さんのファンなのに?)
彦四郎さんは貧乏旗本の次男坊にしてはちょっとばかし可愛くておっとりしすぎていたかな。でも死神が彼を好きになる感じにはぴったりだったのかも。それに将軍の影武者になるにも。慶喜さんて水戸っぽの若様だったのだからあまりべらんめえになってもね・・・ってとこでしょうか。3神にとり憑かれて成長して行く彦四郎に感動するより、3神に振り回される江戸っ子侍をもっと楽しみたかったなぁ。
というわけで?なんだか少しずつ帯に襷にどっちにしても物足らなくて、どうせならもっとやりすぎてくれてもよかったのにぃ・・・と思いながらエンドタイトルをにっこり笑って見ていたら、変なところでやりすぎを見ちゃいました。「お台場でなにしてんですか?浅田さん!」
城跡歩いていると崩れたお社がよくあります。いつもお参りしていたんですが・・・ちょっとどんなもんかな・・・ぁ・・・お参りするのにこれから勇気がいる?
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東京タワー オカンとボクと、時々、オトン

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監督  松岡錠司
出演  オダギリジョー、樹木希林、内田也哉子、小林薫、松たか子、勝地涼、平山広行、原知佐子、結城美栄子、荒川良々、柄本明

東京タワー」で本、TV二時間ドラマ、TVドラマ、映画、舞台と5つ美味しい?という凄さです。
物凄い人気が良く分かります。ここまで来ると社会現象?
私は二時間ドラマは見損なったし、劇は見に行く気はありませんので、本と映画とTVドラマの3点観測?
TVドラマと映画を比べる?すると・・・音楽を聴き比べる楽しみも付いてきましたね。

ここまでマザコンもの?が日の目を浴びて、おおっぴらに?大手を振って扱われるなんて時代も変わったのだと・・・私にはその驚きが大きいです。しかも実際の世の中はそんな風に懐が深くなったという気はしないのですが・・・というか全ての親と子がお互いに親離れ子離れしない世の中に全体としては動いているような感触?はあるんですけれどねぇ・・・
まぁ、この素直さは気持ちよいです。
というわけで友人もTVドラマと比べてみたいというので異議なし!雨の銀座まで出かけてきました。それにしても桜も終ったというのに、この冬の暖かさはどこへ行ったのでしょうというまさに冬でした!
でも映画は心温まる訛りの散見する気心安さに溢れていて居心地の良い時間でした。私は「そんなに「泣かせるぞ!」という作りはしていないな・・・」とそのほどの良さを買いながら見ていましたが、なんと!お隣に座ったおばさんがオカンが東京に引き取られて柄本さん扮する医者が出てきた頃から凄い勢いで泣き始めました。
「ぐすん、ズズズズゥ・・・しぇくぅ」
それに気を取られて私の素直な感想がしぼんでいきました。
「え?ええっ?そんなぁ、そうなの?」っていう感じです。
きっと自分の中に自分の母息子の物語をお持ちだったのでしょう。
この映画は抑えている分見る人それぞれに自分とオカンの物語、自分のボクとの物語を紡がせてしまったのかも知れませんね。
ここまで、私は長くした分TVの方が泣かせ作りじゃない?と、思っていたのですけれど?TVドラマは細かく作りすぎた分見る人が自分に引き付ける余白を失っていたかもしれません。
でも倍賞さんのオカンと樹木さんのオカンと甲乙つけられない!オカンって色々あってボクも色々あってどんな組み合わせにも好悪はあっても甲乙はきっとありえないよねぇ・・・って思って見ていたのです。
だって原作の持っている素直さが群を抜いていて心に迫るものを持っているのですから、脚本が思いっきり意訳しようとしない限り心打つ作品に仕上がるでしょう?って言う気がしていましたもの。
そうはいっても映画に出てくる俳優さんたちの演技の見事さはなんとも充実して見ごたえがありました。邦画が充実しているわけだ!と俳優さんを見ながら思いました。
オダギリジョーさんは役に溶け込む術、それは才能なのでしょうか、自然な普遍的な僕がいましたし、語りが本の味を加えて静けさがありました。小林さんは若い時も年取ってからも年月を体の中でろ過してしまったようで不思議な人ですねぇ・・・「紙屋悦子の青春」で30代のお兄さんが自然に見えたのに喫驚したのですが・・・勝地涼君、面白い味があって、楽しみですし・・・樹木さんはあの抗癌剤投与の苦痛を表現する時の凄さ!あの足!本当に治療を受けていました!可哀想で治療止めさせて・・・と叫んでいました。本の中のオカンがそこで苦痛に喘いでいました。
私の母より若い世代の母なのに不思議に私の母のような何かが有りました。母を手放しで懐かしんでいます。

ちょこっと思っちゃいましたけれど、才能ってなんでしょうね。大学時代ちゃんと勉強して優を積み重ねて・・・何にも花開かないことって・・・ありがちでしょ・・・どこで何をすれば・・・何時何をつかめれば・・・努力って何かし遂げた人が見せないのはかっこいいですけれど・・・努力ってなくちゃならないのに・・・しているのでしょうけれど、それを越えた何かってどうやったら得られるのでしょうね?
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手紙

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監督  生野慈朗
出演  山田孝男、玉山鉄二、沢尻エリカ、尾上寛之、吹石一恵、杉浦直樹、田中要次、石井苗子、吹越満

予告編では何回も見ながら、泣かせ映画っぽくて?見る気は全然なかったのに「紙屋悦子の青春」とニ本立てだったのでつい?見てしまいました。そして予想以上の収穫で、驚き、儲け物をしました。
登場人物が全員非常にバランスよい落ち着いたハーモニーを奏でているような映画でした。
正直な構成で整った姿の映画という感じですか。
勿論これは映画を見てからの総合的な感想です。
物語はハーモニーなんていうような物では全くなくて、過酷な青春の物語でしたから。
主人公の苦闘の歴史と言っていいでしょう。それだけに山田さんの好演が光ってたように思いますが、勝手な私は玉山さんは佐多啓二を思わせる久しぶりの二枚目登場?かとちょっとわくわく。もっともそういう私は玉木何とかという俳優さんと区別が付いていなかった若手音痴なのですが。
彼が兄の殺人と言う事件のあおりを食って投ぜられた状況は、いかにその犯罪が弟のために切羽詰った兄の弟ゆえの犯罪だとしても過酷なものでした。
実際社会と言うのはそんなものなのではないかな・・・と思いますし、私自身婚約した女性のお父さんのような行動を取らないという自信はありませんもの。
殺人を犯してしまった、それがどんなに気の毒な思いがけない成り行きからのではあっても、その兄が服役を終えて帰ってきてからの事を考えないわけにはいきませんものね。その点は実際杉浦さんが言った通りです。大人の説得力のある人格者が言うとやっぱり心にしみこみ方が違う・・・なんて素直に感心してしまった私です。
だからそれが彼の心にも穏やかに浸透したのでしょうね、諦念と共に。それまでに萌していた無念な諦念にここで始めて彼は向き合ったのですけれど・・・受け入れたと言うことが又気の毒で・・・可哀相で。
兄はどんなに後悔しても、それが胸を噛んで、弟を思いやっていてもたっても居られない気持ちに追いかけられていたとしても、社会の仕業は兄の所へはやってこないのですね。
兄はやるせなく座しているのですが、その姿は哀れで・・・罪を犯してはならないとつくづく思わせられる姿勢ですが、生活して、自力で生きていかなければならない弟に容赦なく社会の荒波が襲い掛かります。アパートの落書き、職場への垂れ込み・・・不条理です。不条理極まりないのです・・・犯罪者の兄弟を受け入れられるかと問われれば二の足を踏む私でも積極的にあんなことは出来ません。
被害者そのものもそんな事をするゆとりはないでしょう?それをする人たちが居ると言う事実も胸を噛みますが、でもあり得ることだと一方では納得もします。それが社会かも知れませんと。
だからこそこの映画の沢尻さん演じる彼女には驚かされますね。本当にこんなに強い可愛い女性が居る確率って、巡り会う確率ってどのくらいだろう・・・なんてつい考えたりしてしまって。
「君ってホント人間と言う者を信じていないんだね?」なんて自分に突っ込んだり。
だから彼女の存在が出来すぎだよ・・・って思っていたのに、なんと最後で泣けました。
吹き越しさんの演じる被害者の息子の言葉あたりからもう駄目でした。
「ほら、一生懸命の何かって何かにはなるんだから!」なんて自分に訳の分からない事を突っ込んだりして。
それにしても手紙書かなくなったよねぇ・・・心のこもった手紙って本当に書かなくなったよ・・・
「手紙」って言葉自体がもうセピア色していて懐かしくて愛しくて、構えちゃうんだなぁ・・・
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ディパーテッド

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監督  マーティン・スコセッシ
出演  レオナルド・デカプリオ、マット・デイモン、ジャック・ニコルソン、マーク・ウォールバーグ、マーティン・シーン、ヴェラ・ファーミガ、アレック・ボールドゥイン

「インファナル・アフェア」は何年か前試写会が当たって見たし、面白かったので覚えている。けれどこれがハリウッドでリメークされるとこんなにも面白さが際立つのかと・・・配役にも溺れた私は思ってしまった。アンディ・ラウさんとトニー・レオンさんのコンビは魅力だったけれど、脇の俳優陣を知っているだけにハリウッド版の嬉しさが勝っちゃったね、私には。するってーと、日本の恐怖映画もハリウッドでリメークされるとこんなにも面白くなっていたのかな?いや、配役が今一だったよ。「シャル・ウイ・ダンス?」があったじゃないの?まぁね。しかしこれは又なんと豪華な配役になったものだ!監督も!
ここのところ「ギャング・オブ・ニューヨーク」「アビエーター」と続けて見ている感じだが、この3作とも甲乙つけがたく映画を満腹させてもらったという感じ。昔の作品はいいと思っても監督の名を意識したことは無かったが、この3作はいい。
ダニエル・ディ=ルイスが良かったし(好きなんです)、ハワード・ヒューズはその人自体に磁力があったし、レオナルドは三作通して成長しているって感じだし!
全部お金がかかっているから?といってしまっては実も蓋も無い。
でも私はそういう映画が、贅沢な映画が好きなんだと思う。
異世界を堪能するにはこれくらいやってもらわなくちゃ?
「ギャング・・・」のNYは面白かった。若い国なりに歴史は作られてゆく。時代物は洋の東西を問わず面白い。アイリッシュ+イタリアン+ユダヤ+インディアン+アフリカン+チャイニーズ+ヒスパニック・・・人種の坩堝が形成されてゆく時代は戦国時代思わせるエネルギーだった。
今度はボストンが舞台。アメリカのいわば古都だが、この映画の舞台になるビル群は荒廃しつくしているこの国を思わせて象徴的だった。裏切りと欺瞞との渦巻く国。1日生き延びるのが大変な国。
誰を信じて?誰を騙して?頭脳をフル回転させても、出会い頭の死が穴を開けて待っている。そんな非常な男の世界を垣間見るスリルとサスペンス・・・こんなのを楽しむ機会はざらには無いよ・・・と、私は座りなおす。映画の中のリアルを楽しむ。
それにしてもなんと汚い世界だろう。使われる言葉の数々、テクニックの数々・・・全部汚い!
ニコルソンとウォルバーグの汚さは最高だ・・・その意味では大統領さんは存在感が薄くてしどころが無い感じ・・・可愛そうに・・・
なら主役二人はどうかというと?これが困った!何を演じても好感度抜群のマットが方向性を表現しそこなっている?いやそうじゃないのかな?正義という権力付きの魔力に填まっていった男を演じているのだ・・・いや?と私はどうやらこの彼の演じるコリンに感情移入をしそこなったらしい。なぜなら唯一の紅一点である精神分析医の彼女に対する立場も含めてデカプリオ演じるビリーの方がより危険でより哀れで可愛いから・・・というわけで・・・なんだかんだとこの裏切り世界にどっぷり魅せられた私でした。
二人とも見事に?殺されて私は座席で二度いや三度飛び上がりました。
見終わって感傷的になっている私ってまだ可愛いかも???「物語好き」過ぎて簡単にどっぷりはまる!しかしこんな風にリアルにどっぷりさせてくれる監督・俳優陣が嬉しい。
女医さんにはもう少し魅力・知性が欲しかったのは気のせい?ジェラシー?ここが弱いな!
精神科医(分析医)がでてこないアメリカ映画って最近あるかな?
近頃のアレックさんはなぜか宝田明を思い出させる。脂ぎっていて自信満々そうで色男で・・・でもこの作品では絞っていたのかな?俳優さんだ!細くなったからか?「ヤングライダーズ」に出ていたのは弟さんだったと思うけれど、全然似ていないと思っていたが目が同じだと今回初めて気が付いた。
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ドリームガールズ

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監督  ビル・コンドン
出演 ビヨンセ・ノウルズ、ジェニファー・ハドソン、ジェイミー・フォックス、エディ・マーフィー、ダニー・グローバー、キース・ロビンソン、アニカ・ノニ・ローズ、シャロン・リール

ありがたいことに?ブロードウェーでミュージカルは見ていない私ですから(あ、1回だけNYで「スモーキー・ジョーズ・カフェ」って言うのを見てます)、ハリウッドのミュージカル映画は私には最高の娯楽です。
あの世?へ行っちゃえます。
「ウエストサイド・ストリー」から最近では「シカゴ」「オペラ座の怪人」「レント」「プロデューサーズ」・・・と「ウォーク・ザ・ライン」も含めてもいいかな。もっと言えばアステアの作品もジーン・ケリーも「メアリ・ポピンズ」「チキチキバンバン」「サウンド・オブ・ミュージック」「マイ・フェア・レディ」「フット・ルース」・・・限が無いか・・・?
だから、当然これも見ます。で、全く文句無く楽しんで来ました。
見るたびに何時もですが、あらゆることに感嘆!です。
ショービジネス裏話物語もありふれていそうでも面白かったです。
久しぶりのスーパーマンではないエディさんも楽しめたし(疲れなかったし?)。だって、彼の映画は随分見ましたが、彼の演技力なんて考えたことも無かったし、ましてや歌なんて思いもしませんでしたから・・・驚きでした。本物の芸人さんは凄い!
それに新人ですって?嘘でしょぅ?のジェニファーさんは圧倒的に迫力満点魅力的!だったし、アメリカにはどれだけこんな新人がいるのでしょう?ってまた思いました。アメリカで作られて送り出されるミュージカルが面白いわけだ!
バービー人形みたいなスタイルの後期?ドリームガールズのスタイル&ダンス・ミュージックは大好きだし(ダイアナ・ロスもシュープリームスも覚えてますよ、だからあのポスター群なんとなく懐かしくて)・・・ビヨンセさんの美貌は確かに好き嫌いはともかく「!」ものですし・・・超を千倍して羨ましい!!!
途中まで「これってエフィーが主人公じゃない!」と思って、「なんで助演女優賞なんだろう?」って思っていましたけれど、後半・特に最後のビヨンセさんのソロと行動で「ああ助演でもいいんだ?」と思いました。でもビヨンセさん歌のほうでこんなにスターなのによくここまで抑えた?演技で終始できたものだと、これはこれで凄い!かも。
エフィーの「ワン・ナイト・オンリー」で大感動して聞きほれたのに、劇場から出てきて私から出た鼻歌は「ドリームガールズ」の「ワン・ナイト・オンリー」でした。やっぱりね?私はあの当時の大衆なんです。そうしてみるとあのマネージャーの手腕は確かに「たいしたものだよ屋根やのふんどし・・・」これも私の鼻歌でした。

難点?は二つ
ジェイミー・フオックスはどうも好きになれないので、だから我慢して「レイ」も見なかったんだ。他の人じゃいけなかったのかなぁ・・・と、ぼやく私。
そして、キース・ロビンソンさん、このタイプは好きです(テヘッ)。なのに、「ホワイト・ハウス」のデュレ・ヒルさんと「華麗なるペテン師たち」のエイドリアン・レスターさんとこの3人見分けが付かないよーと、ぼやく私。

ついでのボヤキ
この頃年のせいか決断力が鈍くなっている!「レント」はサウンドトラック躊躇わず購入したのに「オン・ナイト・オンリー」の鼻歌が怪しくなっている今、なんで買って来なかったんだろう?アマゾンがあるさ?
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椿山課長の7日間

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監督 河野圭太
出演 西田敏行、伊東美咲、成宮寛貴、和久井映見、須賀健太、志田未来、桂小金治、余貴美子、綿引勝彦、沢村一樹、渡辺典子

朝日新聞の連載で読んだ。確か面白く?だから見に行かないでいいな・・・俳優の顔ぶれでなんとなく映画の出来の感じも想像できそう・・・って。
でも鑑賞券頂いたので見に行っちゃいました。
で、良かったです!
私の今年の5本には入りませんけれど。
上手に整理されて素直に表現されて・・・結果素直に笑えて最後ちょっぴり涙ぐんで。浅田さんのいいほうの世界だなとちゃんと思わされて。
西田さんは想像通りで、伊東さんも想像通りで、子供たちが上手で、だけど物語を喰ってもいない程の良さで、小金治さん、余さん、綿引さん、市毛さん出ている皆さんほどがいいのです。
ほどって何さ?といわれそうですが、誰かが特に目立ったり印象が強かったりとかいうことが無くてアンサンブルがいいって感じでしょうか。物語の笑えるところを協調しすぎてもいないし、お涙のところもやりすぎていないし。まるで当たり前の出来事のように?
で、出色なのが和久井さんの中陰役所の世話役さん?これは役得も有るけれど、役と顔と声がグッドマッチ!って感じでしたから笑えもしたし、有り得そうでもあり?
よくあるとりかえばや物語をユニークな物にしている浅田次郎さんのこのひらめきを彼女が生かした!って気がしました。
また、伊東さんの演技は下手なのかもしれませんが下手なのが丁度これまた見事に監督の意図を生かした!という感じです。
上手すぎる女優さんだったら背後の西田さんが死んじゃったかもしれない?でもヒョットするとそれこそが演技の真髄?
殆どが中年以上のこの日の観客、映画館の中に時々広がる笑いも実にほどが良くて気持ちよい。
ある意味可もなく不可もないのかも知れないけれど、最後に思わず眼の中にぽわっとにじんだもののほどが又気持ちよかったなぁ!
しかし人生本当に色々あるねぇ、大変だったわねぇ、それでも椿山さんも皆さんも無事成仏できてよかったねぇ!やっぱり人生棄てたもんじゃないわねぇ・・・私って素直?
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地下鉄(メトロ)に乗って

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監督 篠原哲夫
出演 堤真一、岡本綾、大沢たかお、常盤貴子、田中泯、吉行和子

原作を知っている作品の映画化はいつも葛藤を引き起こしますね。
でも、やっぱり見ちゃうんだなぁ。
さてと、何が一番違ったでしょう?
見終わって一番に思ったのは「女」というものをどう思っているの?でした。
男に優しいものを描くと女は割りを喰わなくちゃならないの?
3人、いや4人の女性・・・本当に幸せだったのは誰でしょう?
いえ、一番可哀相だったのは誰でしょう?と問いますか。
吉行さんの演じた主人公の母?
愛した人には戦死されて、お腹に残された子供には自殺されて、大成功した(成り上がった?)夫には虐待されて別れ、冴えない次男と暮している上に多分その息子の不倫にも気が付いているから一緒に暮している嫁には後ろめたい。
常盤さん演じるみちこの母?
愛して戦後一緒に生きぬいた人には妻子がいて、とうとう一緒に暮すことも無く世話されることも無く、意地を貫いてひとりで生き抜き、子供も結局は流産してしまう。
岡本さん演じるみちこ?
生きている時は愛人で、好きになった男は腹違いの兄で、その兄のために自分の存在を抹殺しようと決意しなければならなかった?
長谷部の妻?
夫の愛人の存在も知らず、姑と狭い団地で同居して、パートで家計を遣り繰りして夫の留守がちの家庭を支えている。
映画の始まりから終りまで沢山のタイムトリップがあって、過去が凝り固まった愛憎を解きほぐしていく形になっているのにこの女たちは物語から置き去りにされたままだったような・・・
勿論みちこさんは余りにも哀れな存在に描かれているけれど・・・勝手に男の守護天使なんかにされては叶わないわねぇ、みちこさん!
岡本綾さんが本当に消え入る風情の女性を好演していたからなお更。
好演といえば常盤さん、蓮っ葉な粋ないなせなお姉さん堂に入ってたわ。
主人公が優しい弟に自分の厭なもの?を押し付けっぱなしで勝手に生きてきた男と見えてしまったのは映像の力だろうか。
本で読んでいる分には彼の事を理解できたような気がして「よかったね・・・」とでも言ってあげたくなるくらいだったのに、みちこと抱き合う生の姿を見てしまうと、こんないい加減な男に「過去を知る」という恩寵がどうして与えられたのか?とすら思ってしまう。
勿体無いじゃない!もっとそれに値する人が他に幾らでもいるでしょうに、何で彼なのよ・・・ってね。
そこで「ああそうか、恩寵が与えられたのは戦中子供を助けた、良かれ悪しかれ一生懸命生き抜いた父親にだったのか!」って思ったりして。いや、でも女に手を挙げる男なんだぞ!
だけどやっぱり、みち子さんにとっては冗談じゃないわよ、こんな「真実」見せられてこんな選択させられて・・・。あんな男たちのためによ?
本でオブラートに包まれていたものが脚本に整理されたら男の童話の我が儘さがそそけたってしまったという印象なのだ。
だけど過去を振り返る、過去を見る、過去に浸るというのは確かにちょっとしたカタルシス!思い出は絶対に甘い!許しはもっとイケル!
その点でこの映画を好きだという人も多いだろうな・・・とも、思うけれど、同じ「懐かしいなぁ!」でも「3丁目の夕日」との決定的な違いは真底を流れる暖かさに無垢なもの有るか無いか、傷つく人がいるかいないか、かもしれないなぁ。
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黄昏

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監督  マーク・ライデル
出演  ヘンリー・フォンダ、キャサリン・ヘップバーン、ジェーン・フォンダ、ダグ・マッケオン、ウィリアム・ラントゥ

先日カズオ・イシグロの映画化だからといって「上海の伯爵夫人」を見に行ったが、彼の作品というとなんといっても「日の名残り」が印象に残っている。その「日の名残り」の事を思い出すと連続して思い出されるのがこの映画だ。物語り的にも全然関係ないし、舞台もイギリスとアメリカだし、単純に日の名残りが見られる時間が黄昏だからだ?と言ってしまってはみもふたもないが。
ただ老人を描いたという意味で、しかも頑固に生きた老人を描いた、人生の終章を描いたという点で共通の味わいがある。
先日八千草薫さんと杉浦直樹さんの出演での舞台の広告を見ていた。
多分非常に好配役だろうなぁ・・・と思ってその記事を読んだが、日本人の俳優によって演じられるその舞台は身近過ぎて自分にぴったり引き付けてしまいそうだぞ・・・という懸念もある。
「黄昏」も「日の名残り」も外国の話だというところに程の良い感傷に素直に浸れるという一種のクッションが私の場合あるのだと思う。照れないで見られるのだ。
老いてはいてもヘンリーもキャサリンもおしゃれだったしなぁ・・・あの当時そう思ったのだった。
全てが人も別荘もその周りの景色も羨ましいくらい美しかった。
そのあたりで痛みを感じないで感傷にふけれたのだろうと今は思う。
だけど今は切実なんだなぁ。
人生の黄昏がいつかということは人それぞれだし、その同じ人でもある年はしっかり黄昏ていたのに、翌年は気を取り直して生き生きしていた・・・なんてこともあるし。そろそろ老年を迎えるから親孝行できる時に・・・なんて思い初めた頃に急に亡くなってしまった母のようなこともある。その私の母は自分の人生の黄昏時を認識したことはあったのだろうか?母の歳までまだ15年も残している私は先月から起きた腰痛を庇っていたら?首も回らなくなってしっかり人生の終わりを痛感している。だから?この映画を思い出した?
いずれにしてもこの映画は決して忘れることのない輝きを私の映画史?のなかに燦然ときらめかせている映画の一つだ。
人なら大抵は必ず迎える時の一つの普遍的な現れのような気がするからかもしれない。
夫婦が二人で老年を迎えると、きっとこんな時が来るのだろうなぁ・・・という?
子供と問題のない親なんてそうはいないし、首尾よく分かり合えて、愛を確認しあえて・・・晩年を迎えるなんてこともそうそうはないかもしれない。
ヘンリーとジェーンのフォンダ父娘が同じ眼をしていた、確か。
だからなお更親子のことが、確執も理解も素直に心にしみたんだろうか。
でも時間が無くなる時が来ることは確からしいから?なるべくは心を広くおおらかに(大雑把に?)受け入れることは受け入れ、受け入れられないことも受け入れ・・・ということも心できれば・・・と思わされた映画だ。
だけど頑固になっていく一方、せっかちになっていく一方、弾力性がなくなっていく一方、我慢がきかなくなっていく一方・・・なんだなぁ・・・やっぱり今はもう人生の日の名残りを秒読みしている段階に入ったのかなぁ?
願わくば、キャサリン・ヘップバーンさんのような美しい賢い老年を迎えられますように・・・と、ひたすら願うしかないかな?無駄だ!無理だ!有り得ない!
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父親たちの星条旗

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監督  クリント・イーストウッド
出演  ライアン・フィリップ、アダム・ビーチ、ジェシー・ブラッドフォード、バリー・ペッパー、ポール・ウォーカー、ジョン・スラッテリー、ジョン・ベンジャミン・ヒッキー、

さっきからこの映画の事を書こうとして座っているのだが、最初の言葉すらも出てこない。だから出てこないと言う事を書いたら・・・ひょっとして?・・・と思って書き出してみた。
何を覚えている?・・・音楽!うん、音楽。
心にとーんと落ちている。米軍に向かって恋人のところへ帰れと促す語りの後のしーんと心に染み入る曲(あれって東京ローズ?)、そしてこの映画のテーマ、エンディング、その他も。
それから?・・・あの物量!
硫黄島が米軍の戦艦や輸送艦にぐるりと取り巻かれ、その上にあの鈴なりの兵隊。あれを見たとき妙にリアルにこの戦争に勝てると思った人たちの無謀な愚かさ、取り返しのきかない過ちの重さに胸を突き刺された。
それから?・・・インディアンの海兵隊員アイラ。
あの頃の日系の人たちと同じだろうか?アメリカに忠誠を尽くすことで、命を投げ出すことでアメリカ人になりきろうとした。または家族たちをアメリカ人として受け入れられてもらいたい一心で?またはアメリカ人としての誇りを持ちたくて?それでも結局「インディアンめ!」と言われ、差別され、貶められる。どこの国でも同じだ・・・とアイヌ人を思い出していた私。軍隊の中で生き生きしていたアイラと戦後酔いつぶれ生き方を見出せないアイラ。「ウインド・トーカーズ」で見た俳優さん、とつとつと知した喋りに無垢・素朴を感じさせる、いい感じの俳優さん。いい感じと言えばバリー・ペッパーの演じたマイク軍曹。
それから?・・・そうあの写真!
戦場でなら数限りなくあっただろう国旗を掲げるシーン。その一つに過ぎないのに、妙に絵となる構図だったために、激戦の地の山上に立ったために、利用されまくってしまった写真。あの頃の米国にも厭戦気分あったんだ!金に困っていたんだ!あの利用を考え出した広報?の非情さ。財務省の担当者と海軍の担当者のあり方。そして一番は生き残った当事者の3人のその後の人生。せいぜい20歳前後?可哀相に生き残った後の人生の長く思えたことだろう。
病室で死を迎えようとしている「今」、硫黄島での「過去」、戦時公債キャンペーン中の「過去」の三重構造がちょっと忙しくて、戸惑ったり、感情移入がよろめいたりした分?却ってじっくりその当時がどうなっていたのかと言う事を追って読んでいけたので、彼らを理解できたのかも知れない・・・と、思う。
だから監督が言いたかったことも、頭に描けたような。
戦争へ行きたくない。誰も戦争に行かせたくない。
誰もあんなところで死なせたくない。誰にもあんな殺し方をさせたくないしあんな殺され方をさせたくない。アメリカと日本、立場が逆転していても政府や軍がしたことは、考えたことは、きっと同じだったろう。
日本も、日本の軍も硫黄島の様に全滅・一億玉砕を叫んでいたのだから。硫黄島を利用したことでは同じだ。
心などというものを毛筋程も思いやる心など無くなるのが戦争だから。
戦場ではヒーローは生まれない。戦場に行かなかった人間が戦争に利用するためにヒーローは作られる。
アメリカ側からだけでなく日本側からも撮られたというもう一つの映画も見てからならまた書くことが出来るかもしれない。
反対側からの視点を持つ余裕が平和の証であってほしいけれど、アメリカは今まだ戦時下で、兵士が亡くなり続けている。この国も片棒を担ぎ続けている。
映画の原作がこの帰還できた衛生兵の息子の手によるものだということも一つの明るさかも知れない。
過去は語り継がれるべきものだから。
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出口のない海

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監督  佐々部清
出演  市川海老蔵、伊勢谷夕介、塩谷瞬、柏原収史、伊崎充則、
香川照之、上野樹里

7・8月体調を崩して家にこもっていた父が墓参りに上京してきた。
好きな映画も見ず、買物も散歩も極力控えていたからか、涼しくなったからか、体力を取り戻したと・・・それでも一回り小さくなって。
何もせずに家でおとなしくしていた間、横山秀夫さんの「クライマーズ・ハイ」と「出口のない海」を読んでいたからと、墓参りがすんでからこの映画を見に行った。
私の苦手のジャンルはオカルトとリアル日本戦争映画。
史実に基づいた・・・というヤツだ。これは辛い!
しかしこの映画は不思議なことに今まで日本の戦争映画で抱かされたいやらしさが全く無かった。
陸軍を描いた映画では無かったからかもしれない。
いじめの為のいじめ、卑劣なだけの卑劣、そんな物は皆無だったからだ。
海軍は同船同夢・一蓮托生の家族的?世界だからか?
でもしかし・・・それだけにこれでは戦争の悲劇がヒーロー化しないだろうか?と不安にも思ってしまった。
何しろここに出てくる青年たちはさわやかで好感が持てて、親だったらこんな、息子を持ちたいと思う青年ばっかりだったのだから。
一寸ひねたランナー北君ですら真摯な青年であるし。
主人公の並木君はもとより、塩谷君(この人の顔本当にいい感じ!)演じる整備工君や伊崎君演じる童顔君、母似の鏡青年君、「心配したぞ!」と言って唯一鉄拳を振るった高橋君演じる教官にいたるまで、皆共感の持てる日本が誇れる?青年たちだったのだから。
こんな戦争映画作ってしまっていいんだろうかという私の不安、分かってください。
彼らは本当に死を恐れているのに、誰一人戦争への疑問・反発・憤りを表現しない、悲しみはあるけれどね。
並木君の父に至っては・・・あの諦観と平常心とあの科白「イギリス人?の何とかさん、いい人だったなぁ・・・。」はどうでしょう。
その科白が並木君の最後を左右したんでしょう・・・と、思うと、やっぱりおちおち親は出来ません。ある意味凄い親ですよ、行動で示せないことは言わないんですね。
時代に素直に育った青年たちというのは考え物だ・・・不味いんじゃないかなぁ・・・困ったもんだ・・・いい子たちだなぁ・・・の堂々巡りに落ちた私です。
やっぱりあんな子供たちをむざむざ殺す国なんて・・・自分の子の事を思うに付け安倍さんでいいのかなぁ・・・きな臭いなぁ・・・あの人本当は戦争どう思っているんでしょうね?・・・鵺みたいな答弁だし・・・と、不安が募る私でもありました。
美しい国は美しい青年たちが居てこそなんだからね!と、釘を刺したい私でもあります。
美しい青年って、素直なだけの青年ではないですからね!
とにかく、この立派に育った青年たちを生かせる国にしたい!
彼らがしたい事をして生きてゆける国であって欲しい!
という意味で、この映画も反戦・非戦の気持ちを一層強くしてくれましたし、目指せ八方美人の国?外交が全てよ!と、思いました。
ま、それはともかく、見終わって何か違和感が・・・と、ズーット考えていたのですが、分かりましたよ。
海老蔵さんです。一生懸命に演じていて、演技力にも不足は無いのになんかそぐわないって感じ・・・他の青年群と並ばないのです。
「主人公だからだろ。」って?うーん?
いえいえ、単に彼の大きすぎる立派な顔と目のせいじゃないかなぁ・・・っていう気がするのですけれど。
反対に彼だけがあの時代の顔をしていて、他の青年たちが現代の顔過ぎるのかも・・・。
海老蔵さん、別に「睨んで」くれたわけでもないのですけれどね。
香川さん、ここでも存在感有りましたね。無くてはならない俳優さんになりそうです。
でも、便利に使える何でも出来る一寸出る俳優さんにはならないでね・・・。
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