湖のほとりで

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監督  アンドレア・モライヨーリ
出演  トニ・セルヴィッロ、ヴァレリア・ゴリノ、オメロ・アントヌッティ、ファブリツィオ・ジフーニ、ネッロ・マーシャ、アンナ・ボナイウート、アレッシア・ピオヴァン、マルコ・バリアーニ

非常に混んでいました。一回目は20分前に劇場に着いて、チケットは既に売り切れ。二回目のチャレンジで1時間前に着いて「前方二列目しか空きはありません」でした。
ですから好奇心と期待はいやがうえにも・・・という心持で臨みましたが・・・う~ん、どうだろう?
面白かった?と聞かれれば、好き好きだろうけれども盛り上がって面白い映画とはいえないね。と、答えられるでしょう。
それで好き?と、重ねて聞かれたら?これも答えは「微妙」です。
楽しい映画ではなかったし、犯人逮捕までのサスペンスも無かったし、そもそも謎が微妙。でも寂しげな静かな景色には心を引かれる何かが有りました。
少女の殺害死体が湖の畔にあがって・・・と、前知識があったのだけれど、導入部の女の子の行方不明の方で既に不安になってしまって、子供の事件は厭だ・・・と。
犯人を捜す刑事は非常に理知的な丹念な人柄を感じさせながら、捜査はありきたりで非凡ではなく先入観に支配されていたし・・・。
しかし、捜査の道筋で、この北イタリアの小さな村の人々のプロフィールが浮かび上がってくる。といってそのどれかにズームしていくわけでもない。普通に知りえる他人の家庭ってこんなものだろう?ぐらいの。
それにもかかわらずこんなに小さな少人数の村人でさえ、皆問題や悩みや不安を抱えていて、それぞれに強い個性も当然有る!
その捜査をする刑事本人も人に知られたくない家庭の事情を抱えている。それでも誤認逮捕をしながらでも地道に固めていくという基本はおろそかにはされない。で、真犯人が現れる。
だからこの映画で静かに浮かび上がってきたのは、刑事を含め村人たちの群像。グレーと一色のように言ってもそのグレーの中には様々な微妙なヴァリエーションがあるような、そんな人間たち。犯人を描くのではなくて・・・そんな感じがした。
だからこの映画好き?と聞かれたら、雰囲気は好きだったよ。と、答えられる。でも印象に残って好きな映画として指を折って数えられるか?と、聞かれれば「ノ」かもなぁ。映像と同じですべてが曖昧模糊とした靄の中の湖のイメージ。

エル・カンタンテ

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監督  レオン・イチャソ
出演  マーク・アンソニー、ジェニファー・ロペス、ジョン・オーティス、マニー・ペレス、ヴィンセント・ラレスカ

人って本当に色々なんだなぁ・・・なんて思っているのは意外な人に意外な趣味があるってことで・・・。
サルサって言葉は知っていたし、多分聞いてもいただろうけれど、どれがサルサでそれは何だ?って聞かれても私には答えられない。
それなのに友人がこの映画「見に行こう!」って言う。「サルサの映画みたいよ」「私、エクトルのCD持ってる。いい声なのよ」  絶句!  というわけで映画へ行ったのです。
でほんの少しサルサを聞いてきました。魅力的でないことも無いです。曲には好きなものも有りました。結果的には私は多分ああいう高音の美声っていうのが苦手かも?フレディ・マーキュリーは好きなくせに?って、まァそこはそれ、慣れ?
音楽家?っていうか、ジャンルが絞れるのかもしれないけれど・・・特にアメリカの歌手の一代記でアルコール依存症か麻薬の依存症に苦しまなかった人っていないみたいなのはどうしてでしょう? ラジオでたまたま聞いてこの曲好きだな、とかこの歌手好きだなっていう門口から覗き込んだだけのファンとしては全く事情がわかりません。 業界の体質か、それともアメリカで歌手をするということのリスク、ストレスが凄く問題にならないくらい大きいということなんでしょうか?
だから心を打たれる部分も確かにあるのだけれど、共感できたり同情できたりする部分が、その病?を克服した時にだけ感じられるっていうパターンに陥りがちです。もっとも本人は笑い事ではなかったでしょうが。どれだけ苦しんだことか・・・と、思われる人も確かに多いのですが・・・。このエクトル・ラボーを描いた映画はその点共感を覚える部分は皆無でした。どうしたって理解できないんです。
親に褒められなかった子は山のようにいるし、口うるさい妻を持った人は同じくらい山のようにいるでしょうよ。
しかも歌手として絶頂をも味わっている最中のアルコールと薬です。「理解できるわけ無いわ!」と思います。そしてその弱さは・・・弱さとしか思えないのですけれど、家族をも巻き込んでしまいます。
その弱さこそが人間だといってしまうには・・・立ち直ったり、頑張った人が大勢いるので、言いたくないとも思います。
唯一同情できたのは、あの妻の速射砲のような口調の迫力あるののしりを聞いたいたら、ソリャ切れるでしょうね。という点だけのようです。こんなに弱い人間だったからその歌が人の心を打ったのだというのなら、傍で言えることは無いな・・・と、見る私はただ無力です。
麻薬やアルコールは勿論もう海の向こうの話ではすまなくなっているのですが・・・
モンテ・クリスト伯爵なら?あのハシシッ?なんとなくカッコ良かったで済むけれどね、これはなんとしたことでしょう?
 

アマルフィ 女神の報酬 

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監督  西谷弘
出演  織田裕二、天海祐希、佐藤浩市、平田満、福山雅治、佐野史郎、戸田恵梨香、大塚寧々、伊藤淳史、大森絢香、サラ・ブライトマン、ロッコ・パパレオ
見終わって、満足の吐息をついた。けれど、場内が明るくなるや否やしなければならないことがある。 旦那が文句をつける前に「面白かったね!良かったね!」と、すかさず言うことだ。
映画を見に行って文句を言わなかったことの無いやつである。
折角こちらは「楽しんだなぁ・・・」と、思っているのに明るくなるや否や「話がおかしかった」とか「美人がいなかった」とか「ウソっぽかった」などと何かしらけちをつける。
ウソ?ウソでいいのよ。他人のマジな人生を覗きに来たんじゃないんだから!
だから今回は・・・と、意気込んでいたのだが・・・「うん、そうだね良かった!」といわれて・・・肩透かし?
「本当に?」「本当だよ!」というわけで、記録すべき文句を言われなかった映画一号になった。
彼が今までに素直に褒めた映画は、映画館で見たのではないけれど「パピヨン」だけだから・・・凄い。
いい男がいい男らしく!いい女がいい女らしく!いいロケーションでカッコイイドラマ!
邦画もやっとここまで来たか!
そりゃぁいい日本の映画は山のように有るけれど、有ったけれど、ただただ嬉しく酔わせてくれた映画は初めてじゃないか?とまで思ったのだ。
おしゃれだったよ!
旦那に言われないとつい自分で思っちゃうところが厭なんだけど、
黒田君が参戦しなかったら、藤井さんは紗江子さんをあの警備会社へいざなえただろうか?イタリアの警察力って?
ま、その辺はどうでもいいか。
舞台のローマやアマルフィーやその行程など楽しめるだけ楽しめたし、最後のサラさんの歌はもう言うことないし・・・オリンピックの時に見たよりズーッと美しかったし?・・・後半思いっきり乗れたし気持ちが盛り上がったなぁ。と、まぁこのくらい満足して帰ってきたのですよ。
でね、携帯で配信されたビギンズってどんなの?
ってことは、アフターもあるわけ?
何でもいいけれど映画にしてよ!と、思っているわけです。
織田さんの映画いつも待ちうけ中なんですから。

それでも恋するバルセロナ

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監督  ウディ・アレン
出演  スカーレット・ヨハンソン、ペネロペ・クルス、ハビエル・バルデム、レベッカ・ホール、パトリシア・クラークソン
外人の夢に見るスペイン、バルセロナってこんな感じだよね?
って、思いながらバルセロナ&その近郊?を見ていました。
最初から音楽とあっけらかんとばらしてしまう簡易な安直なナレーションとで、見る私も完全に観光客の乗り。
それもバルセロナに憧れている・・・観光客?今年春スペイン旅行をしてきて、バルセロナの印象はまだ新しい。けれどそれだけに取り落としてきたバルセロナの見所を一生懸命捜し見ようという気分が勝った。
登場してくるはずの三人三様の美女たちは女性の私が見ても申し分が無いし、いい案内人になるだろう。
バルデムさんは「海を飛ぶ夢」「コレラの時代の愛」に次いでの3本目だが、どうにも好きになれないタイプのお顔なので、彼女らが彼に引かれる理由が見つからない、というのが唯一の難点か?それとも魅力というものはただただ危険性と芸術と豊かさの中にあるのか?
「あんな人生送っていて、よく生きていけるよね?それがスペイン?」と思った時点で映画の世界から墜落するんだろうな・・・と思えて、ここで踏みとどまることにした。つまり何も考えないことに。こういう3角だったり4角だったりする?人間関係まじめに考えられそうに無いのだもの。ここは一夏の観光客の夢と甘い揺れを楽しませていただこうじゃないの?傍観者!
スカーレットさんはいつものイメージでそのマンマな気がするけれど、ヴィッキーの惑いはレベッカさんの繊細な美貌と普通の女性らしさで感情移入できますし・・・なんて、ロマンチック・コメディ(に成っているのかなぁ?)楽しむ体勢を整えて。何より彼女の叔母さん?のジュディの一生懸命の後押しがおかしいし!ジュディの気持ちが一番わかる年なんだぁ・・・私。コッチに近い年なんだぁ・・・なんかめげる。
ところがそこにマリア・エレーナの劇的な登場。
もうすっかりさらわれました。いやもう・・・本当に美しいんだもの!彼女のスペイン語でまくし立てるところなんか、なんか陶然としてしまいます。信じられない生き方、いや行き方?
頭と心のどんなすき間にも、髪の毛一筋も、こんな女性の欠片、普通の女性にはありませんもの。世の全ての男性の憧れるというかイメージするスペイン女を完全に具現化したシンボルですかね?魅力的だ!ひたすら魅力的だ!やってられないけれど!とアメリカ女はすとんと影になりました!
夏は冒険が似合う!スペインも冒険が似合う!どう生きても自分の人生、そう思うと犬に食わせたい我人生?チェッ、ツマンナイ。

愛を読むひと

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監督  スティーヴン・ダルドリー
出演  ケイト・ウィンスレット、レイフ・ファインズ、デヴィッド・クロス、ブルーノー・ガンツ

「21歳も年の離れた男女の愛の行方」というイメージが予告編で植えつけられていたので、ケイトのアカデミー賞という余禄があるにもかかわらず、見たいとは思っていなかった。
朗読というものを小道具に使われてはなぁ・・・みたいな感じでいたから、友人がどうしても見たいと言わなかったら見ていなかっただろう。危ない危ない!これだから予告編での判断は危ない!
ケイトはなんか重たい印象の有る人で、あえて言えば土着的なドシンと地に足の付いた力強さがあって、「タイタニック」なんかの彼女はミスキャストだと思っていたが、この映画で彼女の本分みたいなものに気付かされた。
実にこの映画では彼女は重くリアルに生きていた。初めて本当にいい女優さんだなぁと思った。その意味では今までいい俳優さんだと思っていたレイフ・ファインズさんの方が当たり前すぎてしまったかな。でも彼の声は朗読にはぴったり。
前半、15歳の少年マイケルの若さと大胆さ、それを受け入れる大人のハンナの孤独がちょっと向きつけにだけれど心に染みとおってくる。だから後半が生きたのだろう。仕事を評価されたケイトが転職して彼の前から姿を消すところまでは彼女の謎が、朗読の本の選択から、ピクニックのメニューのところから・・・薄い疑いとして提示される・・・その表現が凄く上手くて、表情の微妙な陰りに、気がつかないうちに私はもう秘密を知っている。
それがあの法廷の場ではっきり心に浮かんできた時、感動が湧いた。というか、哀れさで泣けるようだった。
一人で一人だけでここまで生きてきた女の人生、勉強する機会もなく多分逃げもして・・・それでもそれだけは人に知られまいとしてきた何十年もの生涯。ここまで来ていまさら人に知られたくないもの。そのために大きな取り返しのつかない過ちを彼女にさせてしまったもの。それはまた一面では彼女をここまで生きさせてきた意地ともプライドとも言えるものなのだろうけれど・・・。
獄中で送られてくるテープで字を学ぶ彼女の姿が痛々しくて・・・そして学んだ字で謝罪をしたとき彼女の生きる縁はなくなったのだと・・・鈍重に行き難い時代を生き抜こうとしてきた一人の女性の生涯、そして少年のj日を決して忘れないマイケルの人生。見落とすには惜しい映画だった。よかった。友に感謝!
 

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人生に乾杯

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監督  ガーボル・ロホニ
出演  エミル・ケレシュ、テリ・フェルディ、ユーディット・シェル、ゾルターン・シュミエド

ハンガリー映画
ハンガリー→ブタペスト→パール街→ボカ・ヤーノシュ&ネメチェック・エルネーだけの私の頭にようやく新しい固有名詞が登録されました。エミルとヘディ!
遠い遠い、多分私には初めてのハンガリー映画です。

ブタペシュトには一度行っているのですが、映画で見た景色は全く違う田舎の町で、ヨーロッパの本当に田舎町でした。
でも、映画のストーリーは、なんか妙に馴染みました。だって私たちの老後こうならない保証は全く無い今の政府の無策振りですもの。政権交代しても多分・・・駄目だろうなぁ・・・と思っていながら・・・せめて少しでも変えてみるか?・・・しか、選択の余地の無い今の私たち・・・通帳の残り少ない金額と入金される年金の数字と否応無く差っ引かれる数字の数々・・・?
そう、私もそこまで行ったらエミルに成る!(私の方が生き残ってしまったら、絶対に!)
それはともかく、あんなドラマチックに始まった恋だったのに、今の空気より薄い夫婦の日常・・・これも笑えるリアルでしたね。
ここでも「私たちもそうだ、ウン!」って。
そしてあの強盗道行き!これが楽しめましたね!特に奪ったお金で買物をしおしゃれをした二人!こんな田舎のおじちゃんおばあちゃんなのにドレスやスーツが決まるのです。やっぱりーヨーロッパ人種のために洋服はあるんだよ・・・って、感じ?
「ずーっとお互いを見てきた夫&妻」伊達じゃないんです。それに絡む刑事たちの様!その成り行きの面白くて、温かくて、のんびりしていること。町の人々の反応も。
そして最終章・・・えー、そうなっちゃうの、そんな、そこはリアルにしないで!えーーーーで、あれ?
そう、若い頃も機転の利いたエミルでしたっけ!
そしてこの映画は私の忘れられない気持ちいい溜飲も下がる、心も笑える映画のお仲間入り!
ボカもネメチェックも生きていたらやっぱり年金の乏しさに苦労しているんだろうか?ハンガリーのあの時代をどう生き抜いたのだろうか?
エミルはちゃんと無事に困難な時代を生き抜いた方だと思うのにそれでもあの生活です。心配です。
 

劒岳 点の記

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監督  木村大作
出演  浅野忠信、香川照之、松田龍平、仲村トオル、役所広司、
宮崎あおい、小澤征悦、モロ・師岡、蛍雪次朗、夏八木薫、仁科貫、蟹江一平

実に山々が綺麗でした!映像が素晴らしかったです!雪の山々が本当に見事でした。映画、ドラマを見たというよりも記録映画を見てきたという感想です。
人間のドラマはありました。軍と測量士たちの、軍と山岳会の、ふもとの村と村の、親と子の・・・色々ね。
でもとにかく山・山・山の映像。山の季節!その山を歩く人の姿!
お花畑、ガレ場、雲、霧、靄、雨、雪・・・山!
あんなに山の上り口、道を探して、挑戦して、「見つからないだろうな・・・この山は、登れないよ。」と、まぁ、登れたことは知っているのだけれど、そう思える頃、突如として・・・登れちゃったの?
え、アレで?みたいな・・・ちょこっと肩透かし?的。
だから人間を、山に挑戦する人間たちの群像を見に行ったんだけど、群れで挑む人間より山の映像に取り付かれてしまった人間たちの姿の方が印象として勝った!っていう印象です。この映画に携わった人々の努力は非常に窺えますし、感歎します。凄いなぁ・・・
それだけ剣岳は圧倒的な姿でした!
 

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真夏のオリオン

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監督  篠原哲雄
出演  玉木宏、北川景子、鈴木瑞穂、益岡徹、吹越満、吉田栄作、平岡祐太、堂珍嘉邦、太賀、黄川田将也、デヴィッド・ウィニング、ジョー・レヨーム

久しぶりに旦那が見に行こうといった映画です。
この映画は微妙です。
例えば第二次世界大戦のことを頭にきちんと措いて見ようとした人には、これはそういう映画ではないと思われるからです。
真の戦争を描くものではなくて、緊張の中の男の集団とその中ではぐくまれたロマンスを描こうとした映画だと受け取れれば、これはさわやかに綺麗に描かれたかっこいい映画です。
多分素直に見れば「カッコイイ男の集団よね?生き方よね?」と思えるので・・・「戦争というものを伝えたい。語り継がねば・・・」というやむにやまれぬ気持ちで作った映画ではないと思いました。日米の戦闘も小奇麗な机上の軍事演習を抜け出ないのです。音を使ったモールス信号、ハーモニカの音、無駄に危険なやりとりに、妙に浪花節的両軍の将の思いやり?武士道のつもり?
で、私はすっきりしない気持ちで頷けないでいます。
戦争を小奇麗に「あんな悲惨な負け方をした戦争にも、立派な軍人、生き残った潜水艦があったんだ、艦長の能力と資質次第では・・・」みたいに描くことに意味があるだろうか?と思うのです。
戦争をこういう目線でこんなに小奇麗に描いていいものだろうか?否!という気持ちが拭えない。
でもその一面、日本の軍がこういう軍人が多く生きられた軍隊だったら?と思わなくも無いのです。
絵に描いたように格好よく軍人を描いちゃいましたものね。玉木さん演じる倉本艦長、クールな声と笑顔で男ならずとも魅了しちゃいますものね。栄作さんも、益岡さんも、吹越さんも良いカッコし過ぎちゃいました。
最後の「艦長の下で戦えた事を誇りに・・・云々」なんて・・・教科書か?と、思うくらいですもの。うん、やっぱりこんな風に書いちゃいけないなという気持ちです。
アメリカ軍にもきちんと敬意を払って、痛みわけは映画の上で?
実際にこんな終末を迎えた艦もあった、という事実を拾い上げたのかもしれないのですけれど、それでもこれは余りに特殊な・・・他の艦長の下、人間魚雷に乗って死んでいったり、海の藻屑となった人たちが浮かばれないじゃないですか。
先日横須賀港で潜水艦が3艦埠頭に浮上して横付けしているのを見ました。思ったより小さくて・・・妙な衝撃でした!
 

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夏時間の庭

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監督  オリヴィエ・アサイヤス
出演  ジュリエット・ビノシュ、シャルル・ベルリング、ジェレミー・レニエ、エディット・スコブ、ドミニク・レイモン、ヴァレリー・ボネトン、カイル・イーストウッド

どこの国でも持てる人にとっては相続税は大変なんですね?
その点では余り共感はもてない裕福で美的なセンスを楽しめる優雅な人たちの映画でしたね。
そして同じようにどこの国でも親世代と子世代の感傷の溝はあるんだなぁ・・・と、いう感じでしょうか。親の気持ち、長男のように受け止めたいと思っても、母親が覚悟していたように子供が数人いればその人数分だけの意見も希望も事情もあるようで。
美しい家、美しい調度品、美しい人々・・・ある意味では夢の生活の宴の後の侘しさが、非常に生活実感のある子供らの相続問題の向うに漂っていました。世はどんどん世知辛くなるようで・・・?それでもこういう庭で、こういう家で、こういう美しいものたちに囲まれた少女時代を過ごせたら・・・そういう記憶だけでも持っていられるのだったら・・・という羨望はありました。もっともそういうものが有れば長男のような心の痛みも多く付いてくる・・・って事でしょうね。
こうして素晴らしい絵や家具が美術館に納められ様々な人が見られるようになるということはいいことですが・・・
私はオルセー美術館の家具のコーナーを走り抜けた覚えがあります。オルセーは楽しみにして、時間をいっぱい取ったつもりでゆっくり見ていたのです。で、家具の場所に行った時も最初は丁寧に見はじめたのです。丁度長男夫婦が母の遺品の展示状況を見に来ていたように?ところが途中で嫌気が差したのです。だって使えない家具をただ眺めて「こんなの使ってみたいわ。」とか「この上にこの花器を措いて向日葵ね・・・」なんて言ってるのって、ただただ無いものねだりをしているようである意味つまらなかったんですものね。こういうものって使われてナンボだもんね?何も置いてない机なんて間が抜けてる。何も飾られていない飾り棚なんてねぇ?だからこの映画は美術館がきっと本当はこう展示したいっていう気持ちで作った舞台なのかもね。きっと家具の展示が美術館の学芸員さんたちも物足りなかったのよ・・・なんて話しながら帰ってきたのです。
絵はどっちにしろどこに置いても壁にかけて鑑賞すればいいものですけれど、生活用品はどんなに美しくても使わなくてはね?
だって「あのお手伝いさんに持って行かれたあの花器が一番幸せ、花瓶冥利に尽きたわよね?」でした。
あの家を買った人もその子の世代にはあの屋敷を手放すことになり、あの庭は・・・と、考えるのは厭でした。孫たちが騒いでいる最後の日の庭もそんなに喜んでいるようには見えなかったんです。
祖母がいて子供たちがいて孫たちの可愛い声が響いている・・・冒頭の庭が一番幸せそうで・・・そこに一番の眼福のあった映画でした。古き良き日々を家族サイズにしたらこの庭になるんだって、感じでしょうか。

重力ピエロ

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監督  森淳一
出演  加瀬亮、岡田将生、小日向文世、鈴木京香、渡部篤郎、古高由里子、岡田義徳

余りにステキな映画だったので・・・本を予約しちゃいました。
原作の伊坂さん、お名前は知っていますが読んだことは無かったので・・・ヒョットすると物凄くいい作品書いているのかも・・・と、期待大です。ついでに図書館で待ちが物凄く多くなっている「ゴールデンスランバー」ってのもついでに予約!
映画の方がいい!という可能性もありますかっ?
何が良かったって・・・とにかく小日向さん、ぴかイチ!
何がピエロかって、題の事を考えていたのですけれど、この家族全員ちょっと地上から浮いているんですね。重力って・・・そこかな?なんて思ったのですが?
あの夫を選んだあの母がまず浮世常識離れている感じ。最もその選択はステキな大正解なんですけれど。兄と弟の関係も同じく、父と息子たちの感じもこれまた同じく!私の「あってほしいなぁ・・・ワールド」の住人たち。
ここには、実にいい空気が流れていて、暖かくてほんのり色。で、大正解って言葉おかしいんですけれど、この家族大いにありでしょう?ありですよ!
でもとりわけこのお父さん。凄いんです!ピエロ、一番似合うの彼ですが(失礼)、小日向さんの顔って色々なものが張り付きやすい顔なんですか?悪も善も。これって演技力って言ってもいいのでしょうね。 生きていくのに色々なものを重ねて重ねて・・・丁度ピエロの化粧のように、塗り重ねて。たまねぎみたいになっているの、重層に。で、たまねぎを一枚むくと涙が流れるでしょう?目がジーンとして。このお父さんの心はジーンとするごとに皮を一枚一枚重ねていって、こういう顔に成ったんだ!っていう納得?説得されちゃったような。
生きていくってこういう顔になることだわ!みたいに。親だったらこういう顔になって見事子供を育てたいな。いえ、こういう顔で見守れたらいいなかな。
兄弟の言葉もお父さんの言葉もとても良かった。いい言葉沢山あったな。
渡部さんの演じた男の存在が絶対悪みたいに重く垂れ込めるのに対して、この家族の結束が心に浮き上がってリアルになる不思議さ。優しさが祈りみたい。
厭な物語を抱えているのに、いい雰囲気をたっぷり味わわせてくれた映画だった。加瀬さん好きという友人と見に行ったのだけど、二人とも益々好きになったと思うし、岡田君?いいな。
でも小日向さんが最高かも。
この映画ここで終ってくれてよかったぁと思っているのだけれど、果たして原作はどうなんだろう?SOSの出し方、出された時の向き合い方、色々感じさせられた。問題は出し方を知らない人、出す相手・方向を持たない人かも・・・

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