初恋

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監督 塙幸成
出演 宮崎あおい 小出恵介 宮崎将 小嶺麗奈 藤村俊二

この映画は前もって知識が全く無かったので、チケットを頂かなければ、見損なうところでした。
かの「3億円事件」を土台に据えているところ、つまりあの時代は私の青春期だったので、様々に挿入されるあの時代の映像を懐かしく見ました。
だいたいあの事件は随分沢山様々なメディアで取り上げられていますから、解決されなかった事件だけに許されて?色々な解釈が可能ですが、この脚本には意表を衝かれました。
作家になれる人の想像力の翼って本当に凄いですね?

話は変わりますが、先だって父が「NHKの朝ドラ見ているかい?」
「その時間はドラマ見る暇無いので朝ドラってあんまり見ること無いんだわ。」
「そうかい、別にどうっということは無いんだが、今度主演している女の子なぁ、宮崎あおいとかいう名だったと思うが、久しぶりに本当に可愛い子でね、気持ちよく見ているんだ。いい女優さんに成長してくれればいいなぁと思ったんでね。」と言ったのです。
その宮崎さんが主演でした。
いい女優さんになるんじゃないかなぁと私は思いました。
彼女の孤独感、所在の無い切なさがよおく分かりました。
ジャズ喫茶の入り口に佇む姿に乾いたいじらしさがありました。
乾いたと書いたのはじーんと来る涙を誘うような感じとは一線を画すようなむなしさがあったからです。

あの時代の空気は知っているつもりですが、私は蚊帳の外でしたから・・・何も行動しなかったからで、クラスでクラスメートと安保で激論を交し合ったりはしましたから・・・ただあの映画の中の青年たちが醸すような空気は縁が無かったと言うことですが、
それだからかこの物語には「ありだなぁ」と言う部分・理解できる部分を持てないままに見終わってしまいました。
ただ、みすずの初恋の情緒は普遍的な悲しみが漂っていてあの頃の私の心のあった場所を思い起こされました。
しかし殆どの出演者がよく言えば初々しいからでしょうか、せりふが聞き取り難いので困りました。
口跡がいいとか悪いとか言いますが、それ以前かもしれません。
会話の中身が中身ですからあれは「狙い」なんでしょうか?
でも作品としては不親切です。
どんなボソッとした一言も聞くものの耳に届かなくては、意味が無いでしょう。
囁くような一言、つぶやくような一言を客の耳に届けて役者は「何ぼ!」と思うのですが、皆さんまだ途上ですからね?
唯一藤村俊二さんが助け!でしたよ。あの小柄な方の声がしっかり耳にも心にも気持ちよく届くんですからね。
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花よりもなほ

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監督  是枝裕和
出演  岡田准一 宮沢りえ 古田新太 浅野忠信 香川照之
田畑智子 原田芳雄 加瀬亮

実に充実した濃い映画を見ちゃった!
満足!満足!と、心の中でつぶやきながら席を立った。
これだけの映画見せていただけば十二分に元が取れた?いやそれ以上ですよ。有り難や!
出演の項に長屋の全員の名を連ねて書くべきですよ。ええ、そうですとも!

本当言うと途中長い映画に思えたんです。
って、中だるみしたと言うことではないんですよ。
余りに長屋の住人がしっかり書き込まれていたんです。
一人一人の個性や匂いまで伝わってくるような。
長屋しぐさとでもいいますか、狭くて汚くて思いっきり肩寄せあっている住人たちが、それぞれを馴れ合いながらも底の方でそれぞれの抱えるその阿呆さ加減も悲しさ加減も辛さ加減も尊重して受け入れあっている、認め合っているとでも言いますかね?
その描きようが余りに見事で、反対に途中で心配になってきちゃったんです。
監督はこれを一体どう収めるんだろう?
すべてのこの愛すべき人たちをどうしてくれるんだ?って、本気で
心配になっちゃって。

仇の金沢十兵衛親子どうする気よ?
一年に一回腹切る香川さんの浪人の人生って何を抱えているの?
やくざの袖吉には何があるの?
おさえ親子の仇は?
その日暮らしの面白いけれど見てると悲しくなる住人たちは長屋を追われたら・・・?
第一この情けない長屋の隅で膝を抱えてる主人公どうしてくれるのよ・・・?何とかしてやってよ、お願い!みたいな。
赤穂浪人さんの方は想像が付いていたから・・・まぁね。
っていう具合に完全感情移入。

だから濃くって重くって、時々くすくす笑いながらも、彼らの逞しさも愛しく・・・結末が出るまでが長~く感じられたと言うわけです。
でも素晴らしかったのがここからでした。
実に見事な畳み込み方でした。
収束に向かっていく収斂のスピード感と省略の上手さ!
この省略って手抜きの省略ではありません。
科白と絵面のコラボレーションとでも言いますか?
上手に見る人の想像力をフル活用する仕方とでもいいますか!
その上に赤穂浪士の討ち入りの見事な常識の裏切り方のおまけ付き。
これ、ありですよ!
書きませんけれどね、浪士の討ち入りに急ぐ場面に懸かる「一言」!
貞四郎の討ち入りの感想!
意表を突かれましたけど、頷いちゃいますもんね。
(そして寺坂吉衛門さん、息子にわらじ作り教えられるのねぇ。)

この映画の「主題」がくっきりと浮かび上がって、宗佐さんの大写しの笑顔と共に満足の吐息!となったわけであります。
出演していたすべての俳優さんがこれだけ一人一人が見事に思えた映画ってそうそうは無いですよ。
業突く張りの大家でさえもね?
いやぁ、実に秀逸な長屋セット付きの極・極上等な落語でした!
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ナイロビの蜂

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監督  フェルナンド・メイレレス
出演  レイフ・ファインズ レイチェル・ワイス
ユベール・クンデ ダニー・ヒューストン
ピート・ポスルスウエイト ビル・ナイ

さぁ、私に何が書けるのだろう?
とにかく心の中に書き綴るのが困難なものが渦巻いている。
それもどうすることも出来ないとはっきり自分で分かっている巨大な無力感の中で。
この映画の音楽が単調に静かに波が繰り返し繰り返し寄せ来るように鳴り響くように、
心の中に繰り返し繰り返し寄せ来る重い思いがある。
見たくないもの、知りたくない世界がこの音楽に乗って繰り返し繰り返し私に考えろと迫ってくる。
溢れる愛情も情熱も得体の知れない深い闇の中に飲み込まれていく。
いいたいこと、訴えたいことが声高ではなく心に沁みてくる。
だが、涙を流す以上に何が出来るのだろうか?私に?
ヒロインのテッサはその知性が得たものを一直線の情熱の羽に乗せてすべきことに突き進んで称えられるべき女性像を永遠に打ち立てた。
だが、私が打たれたのは夫のジャスティンにだ。
イギリス人らしいイギリス人。
静かで理性が勝ち庭仕事を愛する感情的ではない既に出来上がっている人間のはずだった彼だ。
知ろうと決意してからの彼のした一途な頑固さのことだ。
知っていくこと、それを受け入れていくこと、深く受容するということ、その行き着く先。
知りえた妻の愛情の深さも、自分の妻への深い愛情も、それがなんになったんだろう。
この恐ろしくも悲しい大地の上に落ちると、乾ききった大地が一滴の水を跡形も無く吸い尽くすように、どんな愛情も無力なのだと思えて・・・
一体何をこの大地に注ぎ込めばいいのだろう?
分かっているくせに!人類は皆分かっているくせに!
ジャスティンの死、自分を待つものを知りながらセスナから降りた少年のそれからが暫くは心の底であの音楽のようにこだまし続けるだろう。
だが、何時まで?それが今一番怖いのかもしれない。

久しぶりに映画を見て原作を読みたいと思っている。
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ダ・ヴィンチ・コード

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「本」で書いたからやはり映画も見てきた以上書くべきだと思う。

ダ・ヴィンチ・コード

が、さて・・・どう書いたらいいものか。
友人から
「今度の「会」丁度いいからダ・ヴィンチ・コード見に行かない?あなた銀座に近いから予約券手に入れておいてくれないかしら?」
と電話があって
「でも会は水曜日よ。六本木はいつも予約するけど日劇のレディスデーも予約できるの?」
「できるでしょ!」
で、すたこら出かけたら、予約の行列は出来ていたけれどなんとか予約できた、4人分。
その後土曜日の夕刊のニュースで開場前に100メートルの列が出来たと読んだ。
だから今日、電話をしてきた友人は「私って本当に先見の明があるわよね!」と、自賛していた。
並んだのは私だけれど、まぁ、確かに!
皆ニュースも読んでいたし、繰り返し繰り返しTVに閃く予告も見ていたし、予約券のある身、のんびり出かけていったら切符を求める長蛇の列が見えたし、期待感はいやがうえにも・・・
と、いった事情を長々書いているということは・・・なんだけれども、
決して映画の出来が悪いと言うことではないのだが、本の感想がしっかり出来ていると、
「映画と原作は別物だよねぇ・・・」なんて、また言ってしまいそうになる。
あの本の中身を凝縮しているのだから、もっとスピード感に満ち満ちてもよさそうなのに、意外とそうはなっていない。
上手に物語が整理されていると言うことも勿論あるのだが、人物描写をすっ飛ばしたせいで妙に簡単なうすべったいお話になってしまったようなのだ。
まづジャン・レノが演じた警視に意外性が無くなった!
イアン・マッケランがガンダルフの陽気な憎めない目つきで終始するので、ついこちらもにこやかになってしまう?
ポール・ベタニーの修道僧の恐ろしいまでのストイックさと狂信と従属が、経過がはしょられているので理解できない!
恐怖感も嫌悪感も沸きそこなった。
カトリックがこの作品を嫌悪する理由はわかったけれど、肝心の謎解きが妙に簡単過ぎない?
シオン修道会はこれじゃぁ何とか無事繋がっていけそうだよねぇ・・・って、えぇっ、安心していいんだっけか?
トム・ハンクスは演技力見せ所が無かったなぁ、オドレイさんは可愛らしさ魅せそこなったなぁ。
でも、フランスやイギリスや舞台はとてもよかったなぁ!
ルーブルとテンプル教会は行ったけど他のとこも行って見たいなぁ!
ロスリンて「ロード・オブ・リング」のロスロリアンを思い出さない?
と言うわけでもう一度いうけれど、小説と映画は別物だからね、映画を見ただけでも「キリスト教って一筋縄じゃ行かないんだなぁ。宗教ってなんなんだ?神なんて出来なければいいのに!」って思えることは思える?
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リバティーン

映画タイトルINDEX : ラ行 149 Comments »

監督 ローレンス・ダンモア
出演 ジョニー・デップ サマンサ・モートン トム・ホランダー
ジョン・マルコビッチ ロザムンド・パイク、ケリー・ライリー

本当はまず「ジョニー・デップ」という題でまとめていっぱい書きたいくらいですが、
とりあえずこの作品を見てきたので。
「シザー・ハンズ」で初めてジョニーに注目してからどれくらいの時間が流れたんでしょう。
不思議なことにこの人は、この時と今との間に時間が流れたと思わせないところがあります。
そして映画を見るたびに彼がジョニーと言う名を持つ俳優だと言う事を忘れてしまいます。
見るたび別人と言うと変ですが本人が消えてしまうのです。
見終わって暫くしてから「あージョニーって本当に魅せるなぁ!」です。
オードリーが何時どんな役で見てもオードリーがちゃんと輝いているのとは全く対照的に、
彼の場合は画面の中の男がいるだけでなのです。
良くも悪くも彼が演じている人物その人が銀幕を蠢いている感じです。
この作品でもそうでした。

それにしても男がカッコイイと対照的に女が描ききれていないと言うことがえてして多いのですが、
この作品では3人の女が輝いた分ジョニーは狂言回しになってしまったと言う感じを受けました。
ジョニーの語りで入り、ジョニーの語りで終る一代記のような体裁ですが、
実際ジョニーのロチェスター伯は狂気と悲壮と堕落を惨めなまでに迫真の演技で
画面を縦横無尽に占領しましたが、見終わった私は彼を取り巻いた3人の女性に当たったライトを心に焼き付けられた!という感じがしたのです。
それぞれに魅力的な女がそこには居ました。
ジョニーの演技が彼女たちに脚光を当てたようなのです。
あの時代女優が娼婦と同義語だった(日本の阿国歌舞伎の女たちがやはり春をひさいだように、どの世界でも同じ様な時代を経てきてるんだなぁ!)時代にあって、自分の生き方をするということがどんなに大変だったかと思う時いっそうこの女性たちは輝きます。
女優のレジーは言うまでもありません。
格好のいい科白が幾つもありましたから。
ロチェスター伯は芸術的才能がどんなにあったとしても結局時代の子。
彼女たちを完全には理解できなかったでしょう。
結局はあの時代の男に過ぎないのだから。
そう、あの時代にあの科白を言ったレジーは凄い!って思わされましたよ。
あくまで全くの対等を主張していましたよね。
そしてロチェスター伯の妻です。
ナント美しくいたことでしょう!(「プライドと偏見」のお姉さんですよ、多分)
あんな男を夫にしてどんなに屈辱と悲哀を味わったことでしょう?
でも見事に妻を貫きましたよ。
この時代にはもうあんな女性廃れてしまったかもしれませんね。
この女性からあの愛を引き出したロチェスターの「魅力を思え!」って?まぁね。
そしてあの娼婦です。
病み崩れていくロチェスター伯には自分への愛情も誠意も一片も無いと知りつつ、
引き寄せられてしまった自分の心のままに最後に追い払われるまで付き従った心とはどんなものだったのでしょう。

こう、3人の女を見事に浮かび上がらせたのはヤッパリ?
「ジョニーの魅力であり表情であり声音だった!」と、結局私はジョニーに唸って帰ってきたのですけれど・・・。
それにしてもナント猥雑で下品で、まるで印象的なあのどろどろのぬかるみのような時代だったんでしょう、食わせ物のチャールズⅡ世の時代は!
結局はあの時代が主題だったようですよ。

かもめ食堂

映画タイトルINDEX : カ行 3 Comments »

監督  荻上直子
出演  小林聡美 片桐はいり もたいまさこ

なんとも程のよいセンス、気持ちのいい間、柔らかなユーモア、優しい静けさ・・・見て本当に幸せな感じになりました。
ホワイトナイトの優しい夜みたいな!
女が3人も集まってあんなに静かな信頼の空気をかもし出せるものでしょうか?
「知っていました?スナフキンとニィは父親違いの兄弟なんですって。」とか、「知っていました・・・?」というような話題のためのフリに小林聡美の見せる「ポ?」っとした表情、いいですね。
おしゃべりに弾んでいってしまいそうなところで煩くならない。
こんな優しさ持てたらいいですけれど、友情なり信頼なりを示すために、または確認するために普段必要以上にしゃべりまくっている自分が画面の向こうにちょっと情けなく透けて見えるようでしたけれど・・・でもそんなことどうでも良くなって、あの食堂のサッパリした空間みたいに気持ちのいい殺風景さの中で安らいで微笑みながらのひと時を過ごしていました。
実にシンプルセンス食堂でしたね!
あの3人どんな人生を送ってきて、あの程のよさを見につけたんでしょうね。
ヘルシンキにいたるまでのそれぞれの道筋はほんの少し垣間見られた(いや、聞いた)だけでしたけれど、きっとここへいたるまでの過程があってこその彼女たちなんですよね?
でも監督が切り取ったところは本当に心地よい時間と空間でした。
その切り取り方にえもいわれぬセンスを感じていました。
この出演のお3人がまた絶妙なハーモニーを奏でていました。
持ち味そのままに見えるのですけれど、いいなぁ!
朝ごはんしっかり食べていったのに、映画は正午12時前に終ったのに物凄くお腹のすいている自分に気が付きました。
殆どがいつも私が作ってきたメニューですよ。
でも人に作ってもらったものを食べるって最高に幸せなことですね。
鮭に塩振って・・・「うーんもう少し時間を置いてから焼いた方がいいな!」とか、「サクサクっと切る音がとてもよくて、このとんかつ上手いこと揚がっているな!」とか、「このしょうが焼きの照りの程が実にいいな!」とか、「おにぎりのご飯が実にたっぷりと・・・アァ、私だったら明太子も是非メニューに入れたい!」とか・・・
お腹がすいたときにおいしいものを食べられる幸せをつくづく噛み締めて・・・それにしても「あー気持ちの良い映画だったぁ・・・」と、お昼を食べに行きました!
そうそう、かもめ食堂の前身のコーヒー店の経営者だった男性、何かで見ているような気がするんですけれど・・・ン・・・ん・・・のどに刺さった小骨?

映画館でかもめ食堂のメニュー売っていました。
イメージぴったり!ウ~ン、プロだ!って?
はいりさんがチョコチョコって書いたみたいにみえるんだわぁ。
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アンソニー・ホプキンス

俳優についてのコラム 1 Comment »

サァ、この俳優さんの何を語れるというのでしょう? 私に?
世の中にセクシーと言える男優さんは山のようにいます。
しぐさや表情や、つまり立ち居振る舞いや科白の表情でセクシーさを漂わせる人は山のように。
ジェームズ・ディーンは勿論あの表情で、アントニオ・バンデラスはその姿で、アル・パチーノはその目で、ガブリエル・バーンはそのスタイルで・・・あげれば限が無いというより、印象に残ったすべての俳優さんが、作品のどこかでふっと表現する魅力こそが「セクシー」だという気がしています。
ところがアンソニー・ホプキンスは全身がセクシーの塊なんです。私に言わせれば!
どこにいてもどんな役をしていてもそこに彼がいるとその場が匂いたつのです。
そんな気がする俳優さんです。
「日の名残」のひっそりとした執事役をしていても、「ジョー・ブラックをよろしく」の老いた愛情深い父親役をしていても、「アミスタッド」の老成したしたたかな元大統領?を演じていても、「アレキサンダー」の脇で地味にプトレマイオスを演じていても、一人の男性がセクシーにそこで輝きを放っているようなのです。
ですから「羊たちの沈黙」や「ハンニバル」のような彼のエモーショナルな力量全開作品となると、もうめちゃめちゃに魅力的です。
すべての表情、すべての動作が完璧に引き寄せビームを発しているようで、怖いのに映画に没頭させられてしまいます。
知らずに彼が動いている世界に引き寄せられて臨場してしまう感じです。
私はつまり難破!という有様です。
おかしなことに彼の作品に吸い寄せられるくせに彼がセクシーだということに気が付いたのは、なんと・やっと「マスク・オブ・ゾロ」でした。
この作品を見て、剣を構えてたつ後姿・その背中の線に「あぁ、そうだったんだ。彼は真にセクシーなんだ!」と感嘆したのです。
セクシーさでアントニオを完璧に凌いでいたのです。
この方はどんなに老いても、銀幕に立ちさえすれば、それこそ「銀色に輝くセクシー!」を見せてくれるのではないかと思っています。
でも、まだ見ていない彼の沢山の作品があるので、私にとっては「これからが楽しみな!」俳優さんでもあるのです。
それに「高慢と偏見」の後でふとアンソニー・ホプキンスの寝てばかりいるのんきなエマの父親とコリン・ファースのナイトリーで「エマ」が実現しないかなぁ・・・と、思いました。
あんなのどかな老父役でもセクシーに出来るものか?って挑戦?
出来たりして・・・いや、出来ますって!
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ナニー・マクフィーの魔法のステッキ

映画タイトルINDEX : ナ行 6 Comments »

監督 カーク・ジョーンズ
出演 エマ・トンプソン コリン・ファース ケリー・マクドナルド
アンジェラ・ランズベリ トーマス・サングスター

ヤッホー、ファンタジーだよぉ!
と、飛んで行きました。
コリン・ファーズだしぃ!
字幕版、夕方の日比谷みゆき座とあって?「プロデューサーズ」より込んでいたのはちょっとした驚きでした。
子どもなんか一人も居ないのよ。
で、隣は大学生くらいの男の子だし、もう片方は結構いいお姉さん。
後ろはおばあ様お二人といった感じで大人ばっかのファンタジー鑑賞。
息子たちが小学生だったら、絶対連れて行っているのに!
「大人一人で行っていいのかなぁ?」的映画のはずなのに。
イギリスの田園の余りにも濃い緑のオープニングからもう、「うんうん、私でもこんな風に始める!」
?エッ?私と同じでいいの?それって・・・?
という感じでしたが、色鮮やか過ぎのちょっとケバケバ風でした。
魔法使いってそんな風土じゃないと合わないのかなぁ?
私だったらもう少し自然な色か、パステルかけちゃうかも・・・。
とにかく、大人たちはもう目いっぱいという感じで久しぶりのジェシカおばさんも、真っ赤なほっぺのコックさんも、再婚相手?の恐怖おばさんも異常気圧。
その中で子どもたちの思いっきり可愛いこと!上手いこと!自然なこと!悪いこと!
長男のサイモン君と眼が合った途端、物語に引きずり込まれちゃいました。
眼がね!生きていたのよ!
悪戯っぽくてね!もう本当に手ごわいぞ、こいつ!って感じ。
この子キットそのまんま「地」なんだわ!って思ったくらい悪くてめちゃめちゃチャーミングで手ごわすぎて私だったら願い下げ。
当然マクフィーさんの杖が無ければ太刀打ちできません!
でもねぇ、綺麗で優しくって若いお母さんが出来ちゃうんだぁ↓
この子達の亡くなったお母さん忘れられちゃって・・・いくのかなぁ・・・って、天国から見守るのってヤッパリ割に合わないなぁ・・・でも子どもの幸せを考えると・・・天国にいたらこれが出来る最善だよねぇ・・・マクフィーさんを送って・・・子どもたちにいいお母さんを見つくろって?・・・あーつらいなぁ・・・って、どっぷり物語の中に入り込んだお母さんになってしまっていました!
で、コリン君は?
ああ、そうそう、奮闘していましたよ、しっかり喰われちゃって、情けない!
ヤッパリよく出来た妻を見繕ってあげなくっちゃしょうが無いかぁ!

映画を見に行く

映画についてのコラム 339 Comments »

頭が痛くなる母は行けなかったが、子供の頃は映画は家族の誰かと行くものだった。
ディズニー映画、記録物やファンタジーなどは父と二人の弟と揃って。
しかし父にはこだわりがあって、「ゴジラ」とかSF物等は男の子の見るもので、私は留守番。
(なぜか?いつの間にか?今じゃ!モスラの歌も歌えるのですが・・・)
ミュージカルはどうやら女の子の見るものらしくて父と二人で、弟は留守番。
(当然?トナイト歌えますぅ・・・)
健さんファンの父は健さんのものは任侠物も含めてこれは自分ひとりで。
父が子どもたちの見る映画をすべて決めて采配していた。
中学3年の頃からやっと友人と映画に行く許可が下りるようになって、それからは殆ど友人と見に行った。
だから私はあの暗がりでどんなにわくわくするか分かっていながらずうっと一人では映画館へ行けなかった。
誰かを誘うか、誰かに誘われるか。
だから誘われると行きたいと思っていなかった映画でも絶対に断らなかった。
映画を見るチャンスは一つでも多く得たかったから。
そして見た映画の事を誰かと直ぐ話し合いたかったから。
その私がやっと昨年ごろから一人で映画館へ出没できるようになった。
思えば長い道のりだったねぇ・・・と、自分であきれている。
レディスデーが出来て行きやすくなった事もあるけれど、父のように年とともに字幕に追いつかなくなることもあるという事を知ったせいもあるけれど(何時まで洋画見られるかな?)、自分が一つ頑固になったせいもあるかもしれないと、密かに思っている。
見たい映画にこだわる気持ちが強くなっていて、譲らなくなっている?のかも。
それに、誘って、見たい映画を探り合って、時間を打ち合わせて、という事を積み重ねるのが面倒になったのかもしれない。
一人で座席に腰を沈めて、上映を待つ間の時間をひっそり楽しむとか、終ったあとユックリ背中を伸ばしながら噛みしめる時間を喜ぶとか、・・・時間の貴重さの質が変わったのかもしれない。
いずれにしてもいい年をしてやっと私は一人で歩き始めた?映画に関しては。
これが他の事にも波及して行けばいいな!と、思い始めている。
年々色々な意味で映画も変わってきたけれど、見る人も年々歳々変わっていくのが当たり前?
人は年毎に成長もし?衰えもする!のだから、全部ひっくるめて自分の変化をも楽しまなくっちゃね!
・・・って、そんなオオゴトじゃないか!
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プロデューサーズ

映画タイトルINDEX : ハ行 124 Comments »

監督  スーザン・ストローマン
出演  ネイサン・レイン、マシュー・ブロデリック、
ユマ・サーマン、ウィル・フェレル、ロジャー・バート
ゲイリー・ビーチ

公開されて最初のレディス・デーに見に行っていいのだろうか?と、ちょっと不安に思いながら朝1番の回に出撃した。
「プライドと偏見」に同じ条件で出かけたら映画館の前に道路まで行列が続いていて、ギョットしたのを思い出したので。
前評判からすると当然これも・・・!の筈が肩透かし。
開演5分前になってようやく真ん中辺がふさがってきたけれど、真ん中から前の方は殆どがら空き状態。
女性の人気、出足は今ひとつだったようだ。
しかし、笑った。
確かに自分でもここで大口開けて笑っていいのかな?という場面がかなりあったにもかかわらず、とにかく笑った。
殆どが女性の観客たちのあちこちから憚ることなく高笑いが響く。
おおよそが芸ならぬゲイネタ&シモネタなのにも関わらず、あらゆる世代の女性たちがげらげら笑いだもの、女も変わった!
自由自在だ!
なんて、変なところに感心しながら、笑った!
まずネイサン・レインには「バードケージ」でこの手の演技力には脱帽していたから今更驚かないけれど、・・・「あぁ、舞台でご活躍だったのね!やっぱ上手いわ!!」
でも、マシュー・ブロデリックは「ファミリィ・ビジネス」と「グローリー」しか見ていなくて、「グローリー」の印象が強くて、本当に可愛い誠実な素直に育った勇敢な思想に殉じる正義漢そのものの若者、小柄な童顔坊やだったのだから・・・「おー!!!」だった。
この二人の組み合わせも秀逸ならもう一組も秀逸!
ロジャー・バートとゲイリー・ビーチの演出家とその秘書。
登場時から既にもう廻りは笑いの渦。
いやーブロードウェイにはこんな達者がどれだけいるんだろう?
ハイテンションがズーット続くのに見ていてくたびれないし!
それにもう一組といっていいのかな?
ヒトラーを舞台で演じる二人!
つまり舞台でヒトラーを演ずるはずだったウィル・フェレルの脚本家と彼が骨折して交代した演出家との二人。
ヒトラーの演じ方の丸っきりの大違い!
テンションの高さは負けず劣らず、でも対照的な演技。
舞台の幕が上がって演出家のヒトラーが現れたときのひときわ高い悲鳴のような笑い!忘れられません。
蛇足だけれど演出家のチームのインド人?(ターバン巻いていた)の美貌!舞台でナチ・ヒトラーの親衛隊役をした金髪のちょっと不気味な俳優さんの流し目と美貌!
なぜかこれも忘れられそうに無いんです!

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